
連載紀行文ロケットvol.4
とりあえず腹ごしらえをしなければ旅どころではない。おっちゃんの言ったとおりに美の吉に入った。宿泊施設とレストランを両方営んでいる形態で、入店すると13時半くらいであってもお客さんで賑わっていた。どれも美味しそうで迷ったが、お魚が食べたくて焼き鯖定食を頼んだ。おっちゃんナイスだ。ありがとう。当たりのお店だった。脂ののった焼き鯖に、美味しいお米、味噌汁。シンプルなのに美味い。
おっちゃんの言ったとおり、またのるーとを予約して宇宙センターまで行くことにした。慣れたもので、LINEひとつで予約ができる。乗車場所、降車場所と時間を設定して予約するだけ。(これは後日わかったが、台数が少ないため、打ち上げが近づくと予約の時間が希望通りにならなくなる)
乗車時間「今すぐ」を選択すると、35分待ちと出た。下手な動きはできず、なんとなく目に入ったアイショップと呼ばれるこの町の売店に入った。
自動ドアが開いた瞬間に、目の前に現れたのは秒速5センチメートルのコスモナウトの売店そのものだった。興奮を隠してすました顔で決して広くない店内を一周する。やはり気になる飲料コーナーのガラスケースを覗くと、そこにはアニメにあったヨーグルッペやデイリーコーヒーが並んでいた。ケースからデイリーコーヒーを手に取って、レジまで運ぶ。レジにはおばちゃんが座ってて我慢できなくて聞いた。
「変なこと聞いてもいいですか」
この変なクッションをやめなければいけないのに、癖になっていることに気付いた。
「もしかしてこちらって、秒速5センチメートルのモデルになったお店ですか?」
おばちゃんは何を言ってるか理解できず、きょとんとした顔で黙った。
「違う。それは中種子の方だ」
後ろからすかさず声がして振り返ると店主らしきおじちゃんがいた。
「そうなんですか、入った瞬間うわぁ秒速5センチメートルだと思って」
「昔のね、アイSHOPってのは全部こんな感じなんですわ」
「ほら、デイリー牛乳とかヨーグルッペとかが並んでてね」
「なんだか、今はこんなのも人気みたいだよ」
おじちゃんは何やら店の入り口に並べたフィギュアを整えながら、僕に一枚の紙を渡した。
ロボティクス・ノーツというアニメらしきイラストにデカデカとおじゃり申せ種子島!という文字が書かれていた。裏側は種子島のマップになっていた。
お礼を言って退店し、入口のデイリーコーヒーをコンテナベンチに座って飲んだ。
ずっと昔からここにいたみたいな気持ちになった。


連載紀行文ロケット
種子島一人旅への想いや旅の風景を綴る連載企画。もうすでに旅ははじまっている。
(また旅が終わったら編集しますので、ゆるくお楽しみください)