
連載紀行文ロケットvol.7
種子島宇宙センターを後にして、宿へ向かう。
旅館という名前だが、どこが受付かわかりにくく学生時代の合宿を思い出すような懐かしさのある宿だった。恐る恐る中へ入ると誰もいなくて、さらに扉を開けて中へ進むと食堂で夕食の支度をしているみたいだった。
「こんにちは」
「谷浦さん?」
出てきたのは同じくらいの歳か、僕よりも少し歳上の小柄な女性が出てきた。なんとなく、この人の幼少期が想像できて、島中を駆け回ってのびのび育ったようなそんな空気を放っていた。
1ヶ月前ロケット打ち上げ日が10日と決まってからすぐに移動手段としての飛行機を手配したが、数週間宿のことを放置していた。ネットで調べるとネットで予約ができる宿はすべて埋まっていた。何よりロケット関係のお仕事の人たちでいっぱいになるそうだった。名前だけ出ていたこの宿にダメ元で電話してようやく手配できた。ロケットを見るのは本気がいる。
電話で名前を言っただけなのに、何も記入することなく部屋へ案内された。かなりの緩さを感じる。
「延期になっちゃいましたね」
宿のお姉さんはそのあとにふふふと長い同情の笑いをくれた。ちょっと笑いすぎな気もする。
少しだけ休んで、宇宙センターから乗せてくれた運転手のじいさんが教えてくれた金太郎という居酒屋に向かった。
地元の人たちで賑わう町の居酒屋さんだった。聞こえてくる言葉たちが独特で少しだけ異国感があった。
ロケットが見れないことが確定した夜。
せめてもの思いで腹を満たした。
筍の天ぷらとさつま揚げが美味しかった。



連載紀行文ロケット
種子島一人旅への想いや旅の風景を綴る連載企画。もうすでに旅ははじまっている。
(また旅が終わったら編集しますので、ゆるくお楽しみください)