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連載紀行文ロケットvol.9

    鉄砲館を後にして、港まで歩いた。港でバスが来るまで待った。高速船に乗ってくる人、これから行く人、大きなフェリーに乗る人、いろんな人がいる。誰かが船を見送りに来ていて、船が見えなくなるまで追いかけて手を振り続けていた。いろんな物語を想像して勝手に寂しくなっていた。ブォーと大きく汽笛が鳴り響いた。

    バスで南種子町に戻り、レストラン田園で夕食を食べた。ロケットの打ち上げ日も改めて決まり、町内の人口も増えているのだろう。店内は多くの人で賑わっていた。お刺身や生姜焼きの入った豪勢な田園定食を食べた。とても美味しかった。

    ロケット打ち上げが見れないことがやはり悔しいので、せめてもの思いで種子島の星空が見たかった。今朝、バスに乗る前にロケット打ち上げが見れる場所でもある宇宙ヶ丘公園まで歩いて行った。展望台があって、南種子町を一望できた。あそこなら星空がよく見えるかもしれない。
    僕はひたすらに暗い方へと宇宙ヶ丘公園まで歩いた。南種子町はそもそも街灯がたくさんあるわけではない。そもそもが少し暗くて夜歩くのは勇気がいることだった。それでも星をよく見るためには光を遮断できる暗闇を目指す必要があった。歩いているとところどころ本当に真っ暗闇がある。
    「いや暗すぎるだろ。こわい、こわい」
    ひとりでそう呟いて恐怖を誤魔化した。惨めだった。ロケットを見るために遠くからこの島に来て、ロケットが見れずに暗闇にいた。泣きそうだった。かなしくて、暗くて、こわかった。
    あまりの暗さに思わず空を見上げる。そこには光り輝く星々があった。明るい星、暗い星、たくさんある。見えてないだけで他にも星はあって、もっともっと明るい星もこの宇宙にはたくさんあるのだろう。ときどき動く光があって、飛行機なのかそれとも雲が流れて雲間の星が動いているように見えるのかわからなくなるが、間違いなくひとつだけすぅーと流れていく星があった。ただただ純粋に流れ星だと思った。
    こういった暗い場所を通る度にこわくなって空を見上げていた。もう星は見れたから、引き返してもいい気がした。それでも歩を止めることはできなかった。およそ2kmを歩き、とうとう宇宙ヶ丘公園の展望台に辿り着いた。
    この展望台にこの時間上がっていいのかどうかルールはわからなかったが、立ち入り禁止がないので展望台の階段を上がった。スマホのバッテリーも30%台の中でライトをつけて上がっていく。もちろんここには灯ひとつなかった。きっと同じような考えの人がいるだろう、そしたらもうこわくない。そんなふうに思ったのに、そこには人ひとりいなかった。
    そして気付いた。高すぎて町の灯りが視界に入る。星はさっき通った暗闇の方がよく見えた。
    「いや、ちょっと明るいんかい」
    思わずそう吐いて、1分も経たないうちに急いで帰った。

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    奥の黄色いのが展望台である
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    連載紀行文ロケット
    種子島一人旅への想いや旅の風景を綴る連載企画。もうすでに旅ははじまっている。
    (また旅が終わったら編集しますので、ゆるくお楽しみください)

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