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「手ぶら」で生きていきたい

    外出するときは、基本的に手ぶら。財布、スマホ、イヤホンだけを、ポケットに入れて外に出る。近所でも、電車に乗って誰かに会いに(そして飲みに)出かける時も。

    いつからそうするようになったのかは、覚えていない。気づいたらそうしていた。リュックでも何でもとにかく何かを背負うのがなんとなく嫌だったから。肩に感じる重み、あるいは夏場に感じる背中の湿り気、もしくは「置き忘れたらどうしよう」という不安。たぶん、そんな他愛のない理由。


    きっと僕は、何かを背負うことに向いていない。リュックだけではなく、何もかも。


    だから、ひとりで良い。「ともに支え合って」なんて、少なくとも僕にとっては夢物語だと思っている。あくまでも、僕にとっては。相手が誰であろうと、あるいはどんな人となりであろうと、僕はその人のことも背負おうと思ってしまう。それは本当に自分勝手なひとりよがりで、くだらない自己満足で、時として相手にとってはただの有難迷惑にすぎない。そして、それ故に僕は僕を曝け出すことができない。目に見えないけれど確実に存在している壁のようなものが、互いの肩と肩、あるいは背中と背中の間に薄く、しかし強固に存在している。

    一方で、決して常なる孤独を愛しているというわけではない。寂しいときもあれば人肌が恋しいときもある。愚痴を聞いて欲しい時もあれば、逆に頼って欲しいときもある。今日あった面白い出来事を共有したいと思う瞬間もある。一緒に涙を流したいときもある。肌と肌で触れ合いたいときだって、もちろんある。確かに人よりも孤独な時間を必要としているのかもしれないけれど、それは何もかもひとりでやり過ごせるほど強いというわけではない。バツイチ独身、ひとり暮らし、フリーランス。むしろ孤独に押しつぶされそうな瞬間の方が多い。


    それでも、僕は何も背負わず「手ぶら」で生きていこうと、生きていくべきなのだと思っている。僕のキャパシティーでは、自分ひとりの人生を背負うだけで精一杯。あるいは、僕のひ弱な両肩ではそれすら背負いきれないかもしれないのだから。




     
     
     
    ホリノウチ ヘラルド|エッセイ|掌編小説 フリーランスで、適応障害で、たぶんHSP。 herald.horinouchi@gmail.com

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