
海外の学校のメンタルケアがガチだった③
「これが効いた!ADHDママのグレーゾーン子育て」シリーズ第3弾。
今回は欧州の学校のメンタルヘルス教育について。
結論から言うと、欧州の学校のメンタルへの向き合い方は日本とは桁違い。息子がメンタル強強男子に育ったのは欧州のメンタルヘルスケアがあったから。
欧州の学校で何が起きてるのか、日本との違いを実体験を交えて説明します。そして最後に、日本の教育が抱える問題にも切り込みます。
日本の教育はダメなの?!
勘違いしないでほしいが、ただ単に欧米アゲ、日本サゲがしたいわけではない。
基礎学力の高さ、学級活動、学校行事、係活動、掃除や日直など日本の教育がずば抜けて優れてる点は多く、学力の底上げとバランスが取れた全人教育として海外からも非常に評価が高い。
一方、対話・議論型教育、実生活の課題解決から学ぶプロジェクト・ベース・ラーニング、そして社会性やメンタルヘルスケアの重要性など欧州式の教育は一人の大人として自立心とクリティカルシンキングを養う点で先進的だ。
中でもメンタルヘルスケアにおいては息子が大変助けられた。言葉の壁や文化の違いなど、外国人として海外に住むことは正直容易ではなく、これまでもいろんな問題があったが、乗り越えられたのは学校のサポートがあったから。
授業でメンタルヘルスを学ぶ
呼び方は国によって違うが、欧州の学校では実生活を生き抜くためのSEL / Social Emotional Learning(社会性と情動的学習)が学力と切り離せないものとして教育に組み込まれている。
SEL(社会性と情動的学習)とは
Social Emotional Learningの略。感情を理解・コントロールする力、他者への共感、良好な人間関係を築く力を育む教育的アプローチ。2018年に欧州委員会が生涯学習の重要能力のひとつとして正式に位置づけ、欧州各国で導入が進んでいる。学業成績の向上にも貢献することが研究で示されている。(出典:欧州委員会, 2023)。
SELを通じて感情、人間関係や生きる上でのライフスキルを学ぶことが、結果としてメンタルヘルスの向上にもつながり、学業向上にも貢献する。
スウェーデンやフィンランドに至ってはメンタルヘルスが独立した必修科目になっている
このように欧州では早い段階でメンタルヘルスを必修科目として学び、その重要性を子どもの時から認識するようになる。
SELで学んだこと
息子の学校ではこの1年を通じて、発達障害、オンラインの危険性、感情の自己調整、思春期、ウェルビーイングについて学んだ。
例えば今年、息子はADHD、ASD、学習障害(読字障害、ディスレクシア)について学んだ。10歳にして発達障害とは何か、そしてそれぞれの違いを理解してる。
あと、5月のメンタルヘルス月間では思春期について学んだ。子どもはもちろん保護者向けの講座も行い、さまざまなアクティビティを通して親子で思春期のことについて知った。

これから何が起きるか、その時どうすればいいか、メンタルにどう影響するか、冊子やクイズシートにして楽しく学んでました。


まだ10歳だが、早い子はこの時期から思春期がはじまるとのことで、体に起きる変化について事前に心の準備ができた。
これは自分のことはもちろん、お友達で見た目が急に変わったり、急に荒れ出したり、機嫌が悪くなった子たちも、もしかして思春期なのかも?と他人を思いやる視点も育ったようだ。
このように欧州では早い段階でメンタルヘルスを必須科目として学び、その重要性を子どもの時から認識するようになる。
スクールカウンセラーの違い
日本の学校にも保健室に養護教諭がいるが、専任のメンタルケアスタッフが常駐している学校はほとんどない。スクールカウンセラーはいても非常勤。
一方、欧州では大学院(修士・博士)を出て臨床経験を積んだ、専門性の高いスクールカウンセラーがフルタイムの正規スタッフとして常駐している。

そのスクールカウンセラーがあらゆる場面でメンタルヘルスケア活動を学校内でリードしてる。
何をするかというと、いじめ対応、行き渋り、家庭問題、メンタルヘルス支援、そして外部機関へのつなぎ役。日本のスクールカウンセラーよりももっと積極的に介入してくる。
息子の学校では毎週配信される「学校だより」の中に「カウンセラーからのたより」として今週のカウンセリングアドバイスが送られてくる。
いじめの対処法、SNSの危険性など、親子で話し合える内容を読みやすいカラフルなチラシで発信してる。
また、保護者向けの講座もしょっちゅう開設してる。
行き渋りになった時の対応
実は息子が昨年、中学に上がった時(うちの学校では10歳で中学生)、大親友が引っ越してしまったのと、環境や雰囲気がガラッと変わったため、初日で大変ショックを受けたようだった。
つらくて帰宅してすぐ「消えたい」とボロボロ泣き出した。翌日には学校を休んでしまい、行き渋りがはじまった。

もともと環境の変化に弱いタイプだが、「消えたい」はさすがにショックで初日からスクールカウンセラーに助けを求めた。
これが大正解だった。
ほぼ毎週のように電話やメールでフォローアップしてくれ、毎日時間を作って本人に声をかけ、オフィスに呼んでは一緒に遊んでくれた。スクールカウンセラーの部屋にはフィジットトイや魅力的なおもちゃがいっぱいあったので安心して話せたようだ。
スティミングとフィジットトイについて👇
何よりも、何かトラブルがあったら真っ先に駆けつけてくれて、「ぼくはきみの味方だよ」という姿勢を示してくれた。
これが何よりもの安心材料となり、1カ月後には安心して学校に通えるようになった。ひたすら感謝しかない。
国の専門家につないでもらった
さらにスクールカウンセラーが国の医療サービスにもつないでくれたこともある。
息子のアセスメント(状態の把握と分析)からはじまり、家で実践できる具体的なツール提供、接し方のアドバイス、続けていく上での改良の方法など、丁寧にサポートしてくれた。
親だけだったが、専門家のオンライン面談1時間、5回セッションが完全に無料で受けられた。めんどうな手続きもなし。
そして毎週、母親のわたしに宿題が課せられた。
毎日10分のスペシャルタイム
スマホも何も投げ出して、息子がやりたいことを何でもやってあげる。この10分間は子どもが主導権を持つ時間。親が指示しない、評価しない、ただそこにいる。
ABCチャート
問題行動が起きた時の「前後関係」を記録するシート。Antecedent(何が引き金だったか)、Behaviour(どんな行動だったか)、Consequence(その後どうなったか)の3つを書くだけ。パターンが見えてくる。
感情の言語化
子どもの感情をそのまま受け止めて言葉にする練習。「悲しいんだね」「それは嫌だったね」。解決しようとしない。まず受け止める。うるさい!って言いたい気持ちをひたすら我慢する。
これだけのしっかりしたプログラムと専門家のアドバイスが無料ってすごい!何より悩み相談できる時点でこちら側の気持ちがホッとする。
うちの場合、わたしのメンタルが不安定だったこともあり、そこら辺もフォローしてくださったので、わたしが無料でカウンセリングを受けたことになる。
欧州は学校の中に専任スタッフがいて、そこから無料で医療につながる導線がある。この違いは相当大きい。
日本はどう?
うちの息子がこんなに恵まれた環境にいられたのは、正直運でしかない。日本にいたら、同じようにはいかなかったと思う。
けど、ここで言いたいのは欧州の仕組みがすごい!!ではない子どものメンタルにちゃんと人とお金をかけてるかどうかで違いが出ていると言う話だ。
日本の不登校児童数は小中学で過去最多の35万人を更新。12年連続で増加中。
発達障害者数も年々増えてると言われてる(もちろん理解が広まり、発見しやすくなったとも言える)。
何よりも衝撃的なのが小中高生の自殺率が年々急増しており、昨年は538人と過去最多を更新したことだ。なんと10〜20代の死因のトップが「自殺」でG7各国の中で最も高いという事実だ。

こうした「心の危機」は日本の教育において大変深刻な課題で、決して家庭だけで解決するものではない。
日本は教育への公的支出がずっとOECD最下位レベル。たった8%で36カ国中、3番目に低い。
一方、防衛費は2025年にGDP比2%を達成し過去最高を更新した。政府がどこに投資してるかが明らかだ。

OECD加盟国 GDP比 下から2番目
※2017年のデータ
さらに、日本の教師の年間法定労働時間は小中高で1728時間。小学校においては25カ国で4番目に長い。さらに時間外勤務を含めると世界トップクラスなのに、授業時間の割合は国際的にみて低い。
そもそも日本の教員は海外に比べて部活、生徒指導、事務作業、不登校や特別支援が必要な児童への対応やいじめ対応など業務範囲が異様に広い。なのに給特法によって時間外勤務手当が支払われない。
公務員なのにブラック化しており、大量の離職者を生み、なり手が増えない。

現場が疲弊しきって、そのしわ寄せが子どもたち、特に発達障害や相対的貧困家庭の子たちに向かってるのが現状。
担任の先生がこちらのスクールカウンセラーがやってる丁寧な行き渋りのフォローアップをできる時間がそもそもないと言う話です。
子どもの心の健康は個人の問題ではない。ましてや不登校や社会的弱者が学校に行きにくくなっているのは明らかに社会の問題です。
メンタルが安定してる子は学びやすい。学びやすい子は将来の選択肢が広がる。選択肢が広がれば、社会に出てからの生きやすさが変わる。子どものメンタルに投資することは社会全体への投資になるのです。
欧州はそれをわかってるから、学校にお金と人をかけてる。日本の教育現場だってそこに気づいているのに政府が動いてないのが現場。
幸い、日本でも2025年からSELの導入が試験的にはじまったそう。だいぶ遅いが、それでもはじまった。全国に普及するのにはまだまだ時間がかかりそうだが、これを機に社会でメンタルヘルスの重要性が広まることを願っている。
その前に、親としてまずは海外の事例を知ること、そしてまだ日本にも希望があることをこの記事で感じてもらえたらうれしいです。
次回予告
次回はうちで1年以上続いてる子どもにお手伝いさせる方法!!
実体験と自作のテンプレ付きでお届けします。
ただいま連載中!
連載完了
よかったらスキやフォローお願いします!励みになります🙏
╭┉┉┅┄┄┈ • ┈┄┄┅┉┉╮
#変おばnote
月・木 夜8時 更新🆙
╰┉┉┅┄┄┈ • ┈┄┄┅┉┉╯