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ビーチテニスの楽しみ方

    はじめに

    青空の下、砂のコートに立つ4人の間を、オレンジ色のボールが軽やかに行き来します。ボールが砂へ落ちる前にパドルで返すため、ラリーには小気味よいテンポがあり、風に押された1球を追うたびに自然と声が出ます。海辺の開放感と、ネット際の素早い駆け引きを一緒に味わえるのがビーチテニスです。

    名前はテニスでも、硬いコートでボールを1度弾ませる競技とは感覚が大きく異なります。ストリングのないパドルと低圧のボールを使い、地面に落とさず直接打ち返すのが基本です。最初から強いサーブやスマッシュを目指さず、貸出用具のある体験会で、近い相手とゆっくりボレーを続けるところからなら、ラケット競技が初めてでも砂の上の休日へ入りやすくなります。

    ビーチテニスの基本情報

    ビーチテニスは、砂のコートをネットで分け、ボールが地面へ落ちる前にパドルで打ち合う競技です。テニスの得点方法を土台にしながら、ノーバウンドでつなぐ点はバドミントンやビーチバレーにも通じます。競技ではダブルスが中心ですが、幅を狭くしたコートでシングルスを行うこともできます。

    2026年1月1日から施行されている国際規則では、コートの長さは16mです。ダブルスは幅8m、シングルスは幅4.5mで、一般的なテニスコートのようなサービスラインやセンターマークはありません。すっきりした長方形の中で、前後左右の空間を2人で分け合います。

    ネットの高さは、男子と18歳以下男子が1.80m、女子、混合ダブルス、18歳以下女子が1.70mです。高さがあるため、ただ強く打ち下ろすだけではネットに阻まれます。山なりの深いボール、足元へ沈む球、頭上を越すロブを混ぜることで、平らな砂の上にも奥行きが生まれます。

    競技面は平らで均一に整え、石、貝殻、ガラス片などを取り除きます。国際大会のコートづくりでは、細かく締まりすぎていない砂を40cm以上の深さにすることが目安として推奨されています。海水浴場の空いている場所へ線を引くだけでは、安全なコートにも自由に使える会場にもならないため、管理された砂施設や許可されたビーチコートを選びます。

    使うのは、ストリングを張ったテニスラケットではなく、板状のビーチテニス用パドルです。公式規格では全長50cm以内、ヘッドの幅26cm以内、厚さ38mm以内で、打球面には空気抵抗を抑える穴が並びます。初めは数字だけで選ばず、握ったときに手首へ重さが集まりすぎないか、ゆっくり振って面を止めやすいかを確かめます。

    ボールは、通常の硬式球より速度と反発を抑えたステージ2のオレンジボールです。公式規格の重さは36.0〜46.9g、直径は6.00〜6.86cmで、黄色とオレンジの配色が目印になります。似た色でも競技用として承認されていない物があるため、大会では主催者指定の球を使い、体験では会場の貸出球を選ぶと安心です。

    ボールは自分の側へ落ちる前に、1回の打球で相手コートへ返します。ダブルスでも、バレーボールのように2人で触ってから返すことはできません。砂へ落ちた時点でポイントが終わるので、相手の球が浅いか深いかを早めに読み、迷ったときは短い声で譲り合います。

    得点は0、15、30、40と進み、40対40では次の1点でゲームが決まるノーアド方式です。標準のセットは6ゲーム先取ですが、2ゲーム差が必要で、6対6になると7ポイントを基本とするタイブレークへ進みます。試合は3セット制で2セットを先取した側が勝ち、1セットずつ分けた場合は、最終セットの代わりに10ポイントのマッチタイブレークを行うのが基本です。

    サーブはベースラインの後ろから打ち、相手コートへ入れば、左右どちらの位置からでも始められます。2回目のサーブはなく、ネットに触れて相手側へ越えた球もそのままプレーが続きます。混合ダブルスで男性がサーブを打つときはアンダーサーブになるため、参加する種目に合わせて打ち方を確認します。

    2026年規則には、サーブが打たれるまでネット近くへ入りすぎないための禁止区域もあります。ネットからの距離は女子・混合・18歳以下女子で3m、男子・18歳以下男子で6mです。体験では細かな位置を暗記するより、主催者が示したマーカーより前へ出ず、サーバーが打ってから動き始める約束を全員でそろえます。

    砂の上では、1歩目が沈み、硬いコートと同じつもりで踏み切ると間に合わないことがあります。その一方で、ボールは低圧で腕へ伝わる衝撃が比較的穏やかです。初回は説明と準備運動を含めて60〜90分ほど、短いゲームまで体験できれば十分で、試合の長さは採用するセット方式やラリー、天候によって変わります。

    日本では、地域のクラブ、常設コート、期間限定のビーチスポーツイベントなどが入口になります。無料体験や用具貸出のある回もありますが、同じ場所で定期的に開かれるとは限りません。開催日、申込、対象年齢、雨天時の扱いを確かめてから出かけます。

    ビーチテニスにかかる費用

    初回はパドルとボールを買わず、貸出付きの体験会を選ぶと負担を抑えられます。参加無料の回や、パドルを手頃な料金で借りられる回もあります。参加料、レンタル料、保険、キャンセル条件を申し込み前に見ます。

    手持ちの速乾性ウェアを使えるなら、最初に必要なのは交通費、飲み物、タオル、日焼け止め、着替え程度です。参加料を除く追加負担は0〜3,000円ほどに収まることもありますが、遠方の海岸では競技費より移動費の方が大きくなります。初回の予算には、会場までの往復と食事も分けて入れておくと安心です。

    個人で用意しやすい物は、次のようなものです。

    • 速乾性のシャツと動きやすい短パン

    • 砂浜まで移動するサンダルや運動靴

    • 飲み物、タオル、着替え、防水袋

    • 汗や水に強い日焼け止め

    • 柔らかな帽子と、必要に応じて落下防止付きのスポーツサングラス

    • 替えのグリップテープや小さな救急用品

    競技用パドルは素材、重さ、表面加工によって価格差があり、数万円台の製品が中心です。高価なモデルが初めから扱いやすいとは限らず、先端の重さや反発が手首へ合うかも大切です。2〜3回借りてから、指導者や販売店へ打ち方と予算を伝えて選びます。

    ボールは練習仲間と共有しやすく、複数個のセットで販売されることもあります。1人でまとめて買うより、クラブの球を使い、消耗の早さや好みが分かってから足します。パドル、ボール、グリップ、ケースを一度にそろえるなら、3万〜5万円前後を見込むと選択肢を持ちやすくなります。

    コートを仲間で借りる場合は、砂コートの使用料、照明、ネット、ライン、保険を参加者で分けます。公共施設でも、居住区分、平日・休日、全面・半面によって料金が大きく変わります。ビーチテニスに使える時間帯、予約資格、貸出用具を施設へ確認します。

    大会へ進むときは、1大会ごとの参加料と年間登録料が加わります。国内ツアーでは、男女ダブルスや混合ダブルスが1ペア6,000〜8,000円ほどの大会例があり、ペアで分ければ1人3,000〜4,000円ほどです。大会によって登録不要の種目もあれば、選手登録が必要なものもあります。

    2026年度の選手登録料は年間3,000円で、登録期間は2026年4月1日から2027年3月31日です。このほかに交通、宿泊、ユニフォーム、食事、任意保険がかかります。参加料が小さく見えても、海辺を巡る大会では遠征費を別の封筒へ分けるように考えると、普段の練習費を圧迫しにくくなります。

    無料体験や近隣の練習へ年に数回参加するだけなら、交通費を除いて年間0〜2万円ほどで楽しめることがあります。自分のパドルを買い、月1〜2回コートを借り、大会へ数回出るなら、年間5万〜15万円ほどになることもあります。宿泊を伴う遠征や複数のパドルは趣味の広がりとして別に考え、最初から標準費用へ入れません。

    費用をかける順番は、貸出付き体験、数回の練習、手に合うパドル、必要な消耗品、選手登録、大会用ウェアです。ネットやラインを個人で抱えるより、整備されたコートと経験のある仲間へ費用を使う方が、安全な打球時間を増やせます。夕方の風や砂の感触まで好きだと思えた頃に、長く使いたい1本を選ぶくらいがちょうどよい始め方です。

    ビーチテニスをおすすめする3つの理由

    ノーバウンドのラリーが、短い時間にも心地よいリズムを作る

    ボールを待って弾ませる時間がないため、相手が打つ瞬間から次の1球が始まっています。大きく振らなくても、パドルの面を合わせて少し押すだけで球はネットを越えます。近い距離で5回、10回と続くと、朝の砂浜にも小さな達成感が生まれます。

    強い球を打った人だけが楽しめるわけではありません。相手が返しやすい高さへ送る、風で流れた球を丁寧に戻すといった穏やかな打球も、ラリーをつなぐ立派な技術です。忙しい休日に短く身体を動かしたい日にも、1球ごとに集中する時間が気持ちを切り替えてくれます。

    2人の距離とひと言の声が、そのまま得点につながる

    ダブルスでは、広い8mの幅を2人で守ります。真ん中へ来た球をどちらが取るか、ロブを追う人の前を誰が埋めるかが、返球の強さと同じくらい大切です。「お願い」「前」「アウト」と短く声を交わすだけで、ぶつかりそうだった2人の動きがほどけます。

    互いの得意な側が分かると、立つ位置にもそのペアらしさが表れます。スマッシュが得意な人を前へ生かす日もあれば、風上から丁寧に球を運ぶ人が流れを整える日もあります。勝敗のあとに、2人で1点を作った感覚が残るのは、ペア競技ならではの楽しさです。

    砂と風が、いつものテニスとは違う景色を見せてくれる

    砂は毎回同じ硬さではなく、踏み込む場所によって足の沈み方が変わります。風もボールを押したり止めたりするため、きれいなフォームだけでは答えが決まりません。自然の変化を邪魔なものとせず、その日のコートの個性として受け止める面白さがあります。

    朝の柔らかな光、夕方の涼しい風、ラリーの向こうに見える水辺は、競技の時間を小さなお出かけにもしてくれます。ただし、真夏の炎天下に耐えることが魅力ではありません。季節と時間帯を選び、暑さや雷の日は立ち止まることで、海辺の開放感を長く楽しめます。

    始める場所と最初の道具を選ぶ

    最初の入口は、地域のクラブが募集する体験会や、ビーチスポーツの催しに設けられる体験時間です。常設コートが近くにない地域でも、期間限定で参加できることがあります。ラケット競技未経験でもよいか、1人で申し込めるか、パドルとボールを借りられるかを確認します。

    海岸にネットが見えても、自由に入ってよいとは限りません。施設予約、利用者登録、団体単位の申し込み、海岸管理者の許可などが必要な場所があります。シャワー、更衣室、日陰、救護場所、荒天時の避難先まで分かる管理コートを選ぶと、初回の不安が減ります。

    見学から始めたい日は、国内ツアーや地域大会を訪れます。速いスマッシュだけでなく、サーブ前に2人がどこへ立つか、風下のペアがロブをどう使うか、ポイント間に砂をならす姿を見ると、競技の輪郭がつかめます。指定された観戦区域から出ず、飛んできた球を勝手にコートへ返さず、スタッフの案内に従います。

    借りたい物は、ビーチテニス用パドル、ステージ2のオレンジボール、必要に応じてビブスです。初回から硬くて先端の重いパドルを選ばず、握りが太すぎず、ゆっくり振ったときに面を正面へ戻せる物を試します。通常の硬式テニスラケットとボールで代用すると速度も打球感も変わるため、専用品を借りる方が競技らしさを安全に味わえます。

    自分のパドルを選ぶ段階では、重さだけでなくバランスと芯の硬さを比べます。手元寄りのバランスは操作しやすく、柔らかな芯や広いスイートスポットは、打点が少しずれても返しやすい傾向があります。表面のざらつきや強い反発は上達後にも選べるので、まずは肩と手首へ無理なく、10回続けて振れる1本を優先します。

    服装は、汗を逃がすシャツと短パンを基本にします。多くの会場では裸足で砂へ入りますが、サンドソックスや履物の扱いは施設や大会で異なるため、足裏に傷がある日は自己判断で覆わず相談します。会場まではサンダルや運動靴で移動し、アクセサリー、腕時計、硬い髪留めは外します。

    飲み物、タオル、着替え、日焼け止め、防水袋は、自分で持って行きます。帽子は視界を遮らず風で飛びにくい柔らかな物を選び、眼鏡は通常の硬いフレームのままプレーできるかを主催者へ尋ねます。荷物はベースライン後方やネットポストの近くへ置かず、指定された待機場所へまとめます。

    仲間だけで練習するなら、4人そろうとダブルスの位置を試しやすくなります。2人の日は近距離のボレー、ロブ、サーブのコースを練習し、無理に正式試合を作りません。ネットとラインの設置は施設に任せ、砂の下へ自作の金属アンカーを浅く埋めることは避けます。

    最初に覚えるのは、ノーバウンド、1チーム1打、1サーブ、ノーアド、ネットへ触れないことです。正式なタイブレークや禁止区域の細部は、短いラリーに慣れてからでも遅くありません。まずは相手が構えた位置へ穏やかに返し、ペアと声を重ねることから始めます。

    初めてビーチテニスを体験する1日の流れ

    前日まで|貸出用具、参加条件、天候の連絡を確かめる

    初心者が1人でも参加できるか、パドルとボールを借りられるか、練習相手を組んでもらえるかを確認します。集合から解散までの時間、参加料、保険、更衣室、シャワー、荷物置き場、雨天中止の連絡方法も見ます。体験会と大会前の練習開放では進め方が違うため、初参加であることを申し込み時に伝えます。

    前日は天気予報、暑さ指数、雷注意報、風の見通しを確認し、足裏の傷と体調を見ます。発熱、下痢、強い疲労、肩や足首の痛みがある日は、海辺まで行く予定を優先せず参加を見送ります。睡眠を取り、朝食を抜かず、飲み物は会場で探す前に用意します。

    到着後|砂、ライン、ネットの周囲を歩いて見る

    受付を済ませたら、コートの外側から砂面を眺め、スタッフと一緒にゆっくり歩きます。石、貝殻、木片、ガラス、深い穴、浮いたライン、露出した固定具がないかを確かめます。危険な物を見つけても自分だけで埋めず、位置を伝えて整備をお願いします。

    給水場所、日陰、救護場所、トイレ、雷のときに避難する建物も先に確認します。ネットポストの外側とベースライン後方には、走り抜けても物へぶつからない余白が必要です。バッグやサンダルはコート脇へ広げず、決められた場所へ置きます。

    準備運動|砂の上で歩き、止まり、面をゆっくり振る

    まず直線を歩き、足裏全体で砂を押して止まります。足首、膝、股関節、肩、肘、手首を小さく動かし、前後左右へ2〜3歩ずつ移ります。最初から深い砂で大股に走ったり、高く跳んだりしません。

    パドルを持ったら、頭上、胸の前、左右へゆっくり動かし、周囲の人へ届かない距離を確かめます。強く素振りをする前に、グリップの滑り、ひび、縁の欠けがないかを見ます。肩や手首に鋭い痛みが出たら、握りを変えて続けずスタッフへ伝えます。

    ボールに慣れる|近い距離で落とさず5回つなぐ

    2人で2〜3mほど離れ、相手の胸から肩の高さへ柔らかく送ります。大きく振り抜かず、パドルの面を相手へ向けたまま少し前へ押します。最初の目標は速い球ではなく、足を大きく動かさず5回続けることです。

    慣れたら1歩ずつ距離を広げ、フォア側とバック側へ交互に送ります。届かない球へ飛び込まず、1歩で間に合わなければ落としてやり直します。ボールを拾う人の近くで次の球を打たず、全員が顔を上げてから再開します。

    基本練習|低いボレーと高いロブを打ち分ける

    ネットを挟み、パドル面を少し上へ向けると山なりの球、正面へ立てると低い球になりやすいことを試します。腕だけで強く払わず、足元を整えて身体の前で捉えます。風上と風下を入れ替え、同じ面でも距離が変わることを感じます。

    相手の足元を狙う練習では、人へ強く打ち込まず、低い速度でコート内へ落とします。ロブはネットを越える高さから始め、後ろの人が余裕を持って下がれる球にします。頭上の球を追う人の後ろへ入り込まず、ペアは横へ離れて進路を空けます。

    サーブとリターン|1本だけのサーブを安全に入れる

    ベースラインの後ろに立ち、下から軽く打つアンダーサーブで相手コート中央を狙います。初回は上から強く振らず、ネットを越えて枠内へ入る高さを覚えます。1サーブ制なので、試合では失敗を恐れて力むより、同じ動作を繰り返せることが助けになります。

    受け手は主催者が示した禁止区域の外で構え、サーブが打たれてから前へ動きます。身体の正面へ来た速い球を無理に振らず、パドル面を置いて短く返します。ネットに触れて越えたサーブも止めず、声をかけながら次の1打へ移ります。

    ミニゲーム|4人で短いノーアドゲームを楽しむ

    4人でコートへ入り、最初はサービス速度を抑え、2ゲームまたは10分ほどの短い対戦を行います。得点は0、15、30、40と数え、40対40の次の1点でゲームを決めます。正式な1セットを急がず、全員がサーブとリターンを経験できるよう順番を替えます。

    真ん中の球には早めに声を出し、ペアの打球へ手を出し直しません。アウトか迷った球を相手のせいにせず、体験ではラリーをやり直す約束を先に決めてもよいでしょう。勝った点より、2人がぶつからずに守れた場面と、風へ合わせて返せた1球を覚えておきます。

    終了後|身体を冷やし、砂と借用品を整える

    急に座り込まず、日陰へ移りながらゆっくり歩いて呼吸を整えます。水分を取り、足裏、足首、膝、肩、肘、手首に切り傷、腫れ、痛みがないかを見ます。めまい、頭痛、吐き気、寒気があれば、単なる疲れと思わずスタッフへ伝えます。

    パドルのひびや縁の傷、グリップの緩み、ボールの破損を確認し、砂を落として借りた場所へ返します。できたラリー回数、怖かった球、疲れを感じた時間を短く覚えておくと、次回の練習量を決めやすくなります。濡れた衣類と乾いた荷物を分けると、帰り道も気持ちよく過ごせます。

    安全に楽しむために確認したい5つのこと

    砂の温度と異物を、裸足になる前に確かめる

    晴れた日の砂は、気温以上に熱くなることがあります。コートへ入るまでは履物を使い、足裏が熱い、痛いと感じたら我慢して走りません。裸足かサンドソックスかは会場の案内に従い、傷を覆えば参加できると自己判断しないようにします。

    石、貝殻、ガラス片、金属、木片だけでなく、浮いたラインや露出したアンカーも切り傷と転倒の原因になります。開始前と休憩後に砂面を確認し、着地で掘れた場所はスタッフとならします。砂が浅く、その下の硬い地面へ足が当たる場所では、ジャンプや飛び込みを行いません。

    暑さ指数を測り、日陰と給水を先に用意する

    海風があると涼しく感じても、日射、湿度、砂からの照り返しで身体には熱がたまります。WBGT31℃以上は、特別な場合を除いて運動を原則中止する目安です。開始時刻をずらす、時間を短くする、日陰へ入る回数を増やす判断を、試合の進行より優先します。

    のどが渇く前に少しずつ水分を取り、長い活動では塩分も補います。顔が赤い、足元がふらつく、頭痛や吐き気がある、返事が遅いときは、その場でプレーを止めます。意識がはっきりしない場合は救急要請につなげ、涼しい場所への移動と身体冷却を始めます。

    雷鳴、強風、飛ぶ砂があればコートから離れる

    雷鳴が聞こえる、稲光が見える、黒い雲が急に近づくときは、落雷が差し迫っていると考えて速やかに避難します。ラケットやネットの片づけを優先せず、頑丈な建物や窓を閉めた車内など、主催者が決めた場所へ移ります。テント、ネットポスト、単独の木のそばで様子を見ません。

    強風はボールの軌道だけでなく、帽子、看板、日よけ、砂を飛ばします。目を開けにくい、ラインが大きく動く、ネットを安全に保てない状態なら中止します。雨が弱まった、空が一度明るくなったというだけで戻らず、気象情報と主催者の再開判断を待ちます。

    パドルを振る前に、ペアと後方の距離を確かめる

    ダブルスでは、中央の球へ2人が同時に入ると、パドル同士だけでなく顔や手へ当たる危険があります。どちらが取るか早めに声を出し、ペアが頭上の球を打つときは、その振り幅へ入らず横へ離れます。打てない球を無理に取りに行くより、1点を手放して身体を守ります。

    ボールを拾う人、隣のコート、観客が打球方向にいるときはサーブを始めません。汗でグリップが滑る前に拭き、欠けたパドルを使い続けず交換します。ラケットを投げて届かせようとする行為はせず、ポイントが終わるまでネットやポストへ触れません。

    肩と足首の疲れを感じたら、強打より位置へ戻る

    砂では足首とふくらはぎへ負担がかかり、頭上の打球は肩と肘を繰り返し使います。初回から深い砂を全力で走り、高いスマッシュを何十本も続けません。歩く、短いボレー、低いサーブ、短いゲームの順に強度を上げます。

    着地で膝が内側へ入る、肩が上がらない、握力が落ちてパドル面を止められないときは休みます。転倒して頭を打ったあとに、頭痛、吐き気、見え方の変化、受け答えの乱れがあれば、その日の競技へ戻りません。砂が柔らかいことを理由に、受け身を教わっていない飛び込みを繰り返さないようにします。

    経験を重ねると変わる5つの楽しみ方

    第1段階|パドル面を合わせ、5〜10回のラリーを続ける

    最初は2〜3mの距離で、ボールを胸から肩の高さへ返します。大きく振るより、面の向きと打点をそろえ、相手が次に打ちやすい1球を送ります。5回続いたら10回へ伸ばし、フォアとバックの両側で落ち着いて触れることを目標にします。

    砂の上を歩き、止まり、1歩だけ動いて打つ感覚も覚えます。足裏の熱さや疲れを早めに伝え、給水の合図で止まることも技術のひとつです。速さを追わずに球を見られるようになると、初めてのゲームにも余白が生まれます。

    第2段階|2人の間隔を保ち、中央の球へ声を出す

    ペアと横に並び、近づきすぎず、真ん中へ来た球には早めに声を出します。片方がロブを追って下がったら、もう片方は前に残らず斜め後ろへ合わせます。自分が打たない時間にも位置を整えることで、コートが少し狭く感じられるようになります。

    相手の得意な側や、風で流れやすい方向も少しずつ見えてきます。強い人に任せきりにせず、返しやすい球を作り、次の1打をペアへつなぎます。ラリーの終わりに、2人の声と距離がそろった感覚が残る段階です。

    第3段階|サーブ、ロブ、足元への球を場面で選ぶ

    安定したアンダーサーブに加え、身体へ近いコース、サイドへ逃げるコースを打ち分けます。リターンでは強く返すだけでなく、深いロブで相手を下げ、次の球を足元へ沈めます。風向きによって面を少し変え、同じ力でも距離が変わることを利用します。

    頭上のスマッシュは、十分な距離と安定した足場があるときだけ使います。決め急いでネットへ掛けるより、相手がもう1度打たなければならない場所へ運ぶ選択も覚えます。観戦でも、得点した最後の球だけでなく、その前のロブと位置の変化が見えてきます。

    第4段階|ノーアドとタイブレークをペアで組み立てる

    40対40の1点やタイブレークでは、風、相手の立ち位置、自分たちの得意なサーブを短く確認します。安全に入れる球を選ぶのか、前へ詰めるのかを2人でそろえると、緊張する場面にも迷いが減ります。エンドを替えたら、風上と風下の違いを次の2〜3点で確かめます。

    大会へ出るなら、採用されるセット方式、選手登録、サインイン、服装、試合前練習、セルフジャッジを大会要項で学びます。普段の練習ルールをそのまま持ち込まず、レフェリーと主催者の説明に従います。得点を記録する側や運営を手伝うと、短い試合を支える仕組みも見えてきます。

    第5段階|大会と旅、初参加者を迎える時間まで楽しむ

    国内ツアーをたどると、東北から沖縄まで、砂質も風景も異なる海辺へ行き先が広がります。遠征を観光と詰め込みすぎず、前日は身体を休め、試合後に地元の食事や夕景を味わうだけでも十分です。国際大会の映像では、ネット際の反応、ペアの配置、風の読み方を比べられます。

    続ける人には、コート点検、球拾い、給水場所づくり、初参加者へ貸出パドルを渡す役割もあります。最初から強打を求めず、近い距離で1球ずつつなげる場を作ります。誰かが砂の上で初めて続けた5回のラリーを一緒に喜べることも、経験を重ねた先にある楽しさです。

    ビーチテニスと一緒に読みたい関連記事

    テニスの楽しみ方

    ラケットでコースを狙い、相手の位置を見ながら1点を組み立てる面白さを、より身近なコートで味わえます。ボールを1度弾ませるテニスと、落ちる前に返すビーチテニスでは足運びも打点も異なるため、同じ言葉のなかにある違いを比べる楽しみがあります。


    バドミントンの楽しみ方

    ネットを挟んでノーバウンドのラリーをつなぎ、頭上の球や相手の足元を狙う感覚に通じるものがあります。軽いシャトルを扱うバドミントンと、風を受ける低圧球をパドルで返すビーチテニスを比べると、面の作り方やペアの距離が新しく見えてきます。


    ビーチサッカーの楽しみ方

    砂の沈み方を確かめ、短い距離を動いて空いた場所を作る感覚は、ビーチスポーツ同士で重なります。足で球を扱うビーチサッカーと、パドルでノーバウンドの球をつなぐビーチテニスでは技術が違いますが、暑さ、雷、砂面を競技より先に確認する大切さは共通しています。


    風の向こうへ、2人でつなぐ1球

    ビーチテニスの魅力は、強いスマッシュだけにあるのではありません。砂へ足を取られながらも、相手が打ちやすい高さへ1球を戻し、ペアが短く声をかけ、風で流れた球の下へもう1歩近づく。その小さな動きが重なるほど、ノーバウンドのラリーは長く、心地よく続いていきます。

    国内には体験会や地域の練習、大会という入口があり、最初のパドルを借りられる機会もあります。暑さや雷の日は海辺へ来たことに縛られず、穏やかな時間帯に短く楽しむところから始めれば十分です。オレンジ色の球を落とさずに5回つなげた休日が、いつもの海岸を少し違う景色に変えてくれます。


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