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【谷の巡礼】㉑証文録 第5条「伍拾年ローン譚――谷の没落録・序」

    ――伍拾年之証文――


    証文に刻む印の音、
    諸行無常の響きあり。

    谷に揺れる高殿の影、
    盛者必衰の理をあらわす。

    ​細く長くと囁く、
    甘言に弄され霧は深く。

    主の黒髪は、
    いつしか白髪となり、

    堅牢なりし柱は朽ち、
    床は軋む。

    やがて高殿は寿命を迎え、
    土に還るとも、
    交わしたる証文は、
    老いることなく、
    永劫に生きる。

    その重きを払いきれぬまま、
    主は旅立ち、

    果ては、
    まだ世の理も知らぬ、
    幼き子らの枷となり、
    無常にも引き継がれゆく。

    高殿も久しからず、
    ただ谷の夜の夢のごとし。

    夢の楼閣もつひには散りゆく、
    ひとへに風の前の塵に同じ。

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    ――そして谷の宴は、儚く舞うのでした。

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    手鞠

     
     
    谷を彷徨い、谷を巡礼しながら。暮らしと、お金の輪郭を綴っています。

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