
モノだけではない文化の豊かさを求めて--アートフェアにギャラリー参加して知ったこと
3/12〜3/15に開催されていた「ART FAIR TKYO 20」(アートフェア東京)。
日本で最も長く続くアートフェアで、その規模はまさに日本最大級。
国際フォーラムのホール一つを貸し切って、日本全国のギャラリーが肩を並べ合う。
私の働いているギャラリーもその中に一ブースで参加していたので、人生で初めてアートフェアというものにスタッフ参加してきた。
私が人生で過ごしてきた仕事の中でも最も濃く学びと気づきの多い数日間だったので、
そこで得たインスピレーションのいくつかを記録がてらここに書き残してみたい。

兎にも角にも溢れんばかりのアート
まずは本当に……すごかった。こういう世界があるのだなと知った。
豊かで彩りに溢れていて、けれど同時にどこか余裕のある空気感が漂っていて落ち着きがある。
私はこの世界がとても好きだな、と思った。
本当に数えきれないほどのブースがずらりと(所狭し…と言ってもいいほどに)並んでいて、その中に数多のアート作品が飾られている。
なんというのだろう、この、「アートの氾濫」…とでも呼びたくなってしまうようなシチュエーション。一つ一つの作品が(当然だけれど)素晴らしくクオリティが高く、まさに最前線の作品たちがずらりと並んでいる。
その壮観さとエネルギーの大きさたるや… 実際にぜひその場に来て体感していただきたいくらいのものだった。

「アートの世界」ならではの素敵なご案内がしたい
私らしいお客さまとの接し方、みたいなことについても考える良いきっかけとなった。
どういう話しかけ方が良いのか、どういう話の持っていき方をするのが良いのか…。
やはり作品の背景にある作家の思いや文脈、制作技法や描かれているものの裏話みたいな話をするのが私はとっても好きだなと気づいた。
作品のcontents/コンテンツとしての「おもしろさ」を、一人一人のお客さまの目を見ながら話す。今この方は何を気にされているのだろう、ご自身とどういうつながりを見出されているのだろう…、そういうことを考えながらお話しするのがとても楽しい。



作品をお買い上げいただく、ということもギャラリー側としてはもちろんもちろん大切なこと。
けれどーーだからこそ、お客さまお一人お一人の感情や「今」に寄り添ったお話が出来るといいな、
お一人お一人がその作品とご自身だけのつながりを見出せるような、
そんな素敵な「アートの世界だからこそ得られる体験」のようなものがご提供出来るといいな、
と思った。
私がこのギャラリーの世界にいなければお話しする機会がなかったような方たちにもたくさんお会いできる機会だからこそ、
場数を踏んで素敵なご案内が出来るように、経験を一つ一つ地道に積んでいきたいものである。
お客さまが「へぇ…おもしろい」という眼をしてくださる瞬間が大好きで、その瞬間をカメラで切り取ったように私は一つ一つ覚えている。
私らしいluxury /豊かさとは
アートマーケットといえば「豊かさの象徴」といった印象を抱く方も少なくはないだろう。
だし、実際にそういう面はある。
アートフェアを来訪された方々は、やっぱりすごく豊かな雰囲気をまとっている方が多い。
それは経済的な豊かさ…というのもあるだろうけれど、同時に「文化的な豊かさ」みたいなものを感じることも多かった。
そういった、今まであまり触れて来なかった世界の豊かさに触れたことは、「私らしい豊かさって何なのだろうな」と考えるきっかけをくれたような気がしている。
必ずしも物質的な豊かさが精神的な豊かさを表すわけではない。
たとえ多くのものが自分の手の中にあったとしても、「私らしさ」を握りしめることが出来ていなかったら、きっと私は満たされることはないのだろうな、と思う。
そういうことを考えるにつけて、きっと私は「文化的な豊かさ」みたいなものをこれからの人生の中で手に入れていきたいのだろうな、と思った。
本を読んで人文のことを考えて、芸術の世界に触れていたい。そうしていられる時間が自分にとっての豊かな時間なのだろうな、と思う。
そういった「文化的な豊かさ」の中にはもちろん、今のままの状況で手に入れられるものと、もう少し経済的な豊かさがないと手に入れられないものの二つが存在する。
たとえば、本を買うのは(よっぽど高い本でなければ)そんなに経済的なハードルの高いものではないけれど、
アート作品を買う、という話になってくるとそんなに誰もがパッと購入出来るものではない。
アート作品を買う、というのは単なる物品を買うというだけの行為ではなくて、
作家がその中に込めた人生と技術と思想と、
それから世界にたった一つのものを買うという意味を持つ行為だ。
だからこそ作品は経済的な豊かさに裏打ちされうるものになるし、経済的な豊かさというものがその世界においては創作表現や文化というもののためにある存在であるということに、
私はどこかロマンのようなものを感じずにはいられない。
だし、私はやはり単なる物質的、経済的な豊かさではなく、
そういった「文化的な豊かさ」を手に入れたい。
自分が経済的な利益を追い求めるのなら、それはやっぱり「文化的な豊かさ」を手に入れるためのものであって欲しいな、と
いうことを考えた数日間だった。
さいごに
アートフェア東京。
年に一度の、日本最大級のアートの祭典。
そんな場にギャラリースタッフとして参加することが出来たのは本当に幸運なことだと思うし、
そこで自分のこれからの人生や将来の仕事、目標についての様々な彩りあるインスピレーションを得ることが出来たことは幸せなことだなと思う。
やっぱり、私はアートの世界で自分で「場」を作りたいな、という気持ちが強くなった。
創作表現やインスピレーション、文化のときめきのようなものの交差点になるような場が作りたい。
その構想は仕事をしながらゆっくりじっくり温めているので、今度また記事にもしてみようと思う。
めくるめくアートの世界は美しいだけではなく、本当におもしろくてワクワクする場所だ。
その場のきらめきが、この記事を通じてほんの一片だけでも伝わったらいいなぁ、と思う。
…といった感じで、noteではアート/文化/言葉/生活/たまに仕事などの様々なトピックを、
feeling/感性とlogic/知、両方の「おもしろさ」を大切にしながら、
自由気ままに書いていこうと思っている。
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それでは、今日が良き日となりますように。
春は。/ Haru-ha.