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ゞョン・アヌノィング『ガヌプの䞖界』 その党6回 

    その 「のちに圌はこう曞いおいる」匏文章。

    ※ 物語の決定的な郚分はなるべく蚀及しないように気を぀けおいたすが、説明䞊どうしおも、倚少のネタバレをしおしたうず思いたす。少しでもダメな方はご遠慮ください。



     さお。
     私が『ガヌプの䞖界』を䜕床も読んでしたうほど奜きな理由の二぀目は。


     『「のちに圌はこう曞いおいる」匏文章』です。名付け方が䞋手ですみたせん。


     ガヌプの母ゞェニヌ・フィヌルズは自䌝を曞いお有名人になり、ガヌプも䜜家になりたす。そのため、「のちに圌女は圌はこう曞いおいるこう蚀っおいる」ずいう文章が時々出おきたす。

     䟋えば。第䞀章。ゞェニヌに぀いお。

    看護孊はすぐに実地に圹立たせるこずのできる孊問だし、その勉匷には看護婊になるずいう以䞊の奥の動機は朜んでいないように思えたのちに圌女はその有名な䌝蚘の䞭で、医垫に自分を売り蟌もうずする看護婊が倚すぎるず曞いおいるが、しかしそのずきは圌女の看護時代は終わっおいた。

    『ガヌプの䞖界』 新朮文庫 䞊巻 p

     この文章を読むだけで。

     この埌圌女は䌝蚘を曞き!、それが有名になり!)、結局看護婊を蟞める!こずがこんな物語の初めの段階で!わかっおしたうわけですが。

     さらに。

     ずりあえず圌女はこの先も生き延びお、埌に回想する機䌚を埗るのだ。
     
    ずか。

     どうやらこの先、圌女は圓初の考えずは違った芋方をするようになるらしい。
     ずか。

     それはもしかしたらこの先、圌女の考えを倉えるような䜕か別の事実が発芋されるか、あるいは、圌女が自分の物の芋方そのものを倉えおしたうような倧きな事件を経隓するこずになるのかもしれない。
     ずか。
     
     物語の先を、未来を想像するこずができたす。

     私はこれが奜きなのです。

     物語の䞭の時間がふわりず広がる感じがしお。



     たた、同じ第䞀章。

    「母は䞀匹狌だった」ずガヌプは曞いおいる。

    同䞊 p

    ずいう文章。
     これは母芪ゞェニヌの若いころに぀いお評した息子ガヌプの蚀葉ですが。

     この文章も未来成人した子䟛から過去母芪の若い頃ぞの蚀及ずなり時間的な広がりが意識されたす。
     同時に、圓事者ゞェニヌではない別の人物ガヌプのものの芋方、芖点が存圚するこずによっお、空間的広がりみたいなものも意識されお。
     
     時間的にも空間的にも広がっお、少しず぀䞖界が確かなものになっおいく感芚。

     こうしお䞖界はリアルさを増しお。

     たるで登堎人物が、フィクションではなく本圓に生きお語っおいるような。
     たるでガヌプなりゞェニヌなりの、䜜家ずしおの蚀葉が実際に埌の䞖に残されおいるような。

     そんな気分になっお。

     この感じが奜きなのです。

     ゞェニヌやガヌプがものを曞く蚭定でなかったずしおも、こういった語り口は成り立぀ず思いたすが「数十幎埌おばあちゃんになっおから圌女はこう蚀っおいたが。」なんお。
     「のちに曞いおいる」などず蚀われるず、圌らが䜜家であるこずをより匷く意識させられるこずになっお、そんなずころも面癜いなず思いたす。


     などず、考えおみたしたが。
     この技法。
     䜕より私が倧奜きな、もっず重芁な仕事をしおくれたす。

     それは。

     やはり第䞀章。
     はたぐりの生態を知ったゞェニヌは。

    人間ずいうものははたぐりず范べおそれほど神秘的でも、たた魅力のあるものでもないこずを発芋し぀぀あった。

    同䞊 p14

    ずいういうのですが。
     これだけでも十分皮肉が効いおいお面癜いのですが。この埌、

    「母はこたかい区別のできる人ではなかった」ずガヌプは曞いおいる。

    同䞊

    ず匷烈な皮肉が。

     
    どうやらゞェニヌは、埌でこんなふうに息子ガヌプに曞かれちゃっおるらしいです。フィクションですけど。

     りチの母は若い頃こんなこず考えおたらしいけど、でも違うよね。こういうこずだよね。

    ずいう、息子から母ぞの遠慮のないツッコミ。みたいな。もちろんフィクションですけど。


    「のちにこう曞いおいる蚀っおいる」ずいう衚珟は他の小説でも時折芋かけたす。おそらく文章で衚珟する小説ずいう媒䜓ならではの衚珟なのでしょう。

     この技法。
    「これはフィクションだけどね。」ず蚀添えたくなるほど、リアリティヌを出す効果があるず思いたす。
     ずいうより。
    「いや。でもこれフィクションでしょ」ず、読者ずしおいちいちツッコミを入れたくなる楜しさがあっお。

     奜きなんです。

     『ガヌプの䞖界』では、はたぐりの゚ピ゜ヌドのように、登堎人物が過去の出来事や他者の意芋にツッコミを入れおる みたいなずころもあっお。
     ちょっずキツめの気の利いたゞョヌクのような。

     アヌノィングは皮肉の効かせ方がうたいなあずい぀も感心しおしたいたす。



     でもこの゚ピ゜ヌド。
     これで終わりたせん。

     さらに畳み掛けるように。

     はたぐりず人間のいちばん倧きな違いは、はたぐりず違っお倧抂の人間にはナヌモアのセンスがあるずいうこずである。あたりナヌモアのある方ではないゞェニヌに䞡者の区別が぀かなかったのも無理はない。

    同䞊

    ず、地の文でオチが぀きたす。

     この二重䞉重に重ねられた皮肉。

     もう。
     「のちに圌はこう曞いおいる匏文章」ずか関係なくなりたしたけど笑。

     面癜いです。

     私は䜕床読み返しおも、ここで思わず口元を緩めおしたうのです。


     次回は。
     その「小説の䞭の小説」ず「䜜家論」です。


     前回 その 『たるで連想ゲヌムのような』

     その1  『狂気ず悲哀。だけでなく』はこちらから

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