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Photo bynoouchi

人生でいちばんさわやかな「捨てちまえ」

     だってさあ、
     本棚にはあれやこれや、大事なモンが入ってンだよ。

     洋服も捨てて
     化粧品もネイルも、最低限の消耗品しか買わなくて
    (あんなに好きだったのにね、と言われて、嬉しくて寂しかった)
     だいぶ身軽になったんだよ。
     だからさ「本と本棚」だけは、という話なワケですよ。

     君は「おごるから飯を食おう」「デザートも頼みなさい」と言ってくれて(同期なのに)
     でも本棚がさあ、いっぱいでさあ、って言ったのよ。
     ぜんぶ、一生懸命聞いてくれて、
     そうして、サッパリと言うのであった。

    「そんなもん捨てちまえ!」

     そう言われたらさ、ガツーーーンと、思うわけですよ。
     なんていうか、わたしが思うわたし像って、こういうときに、条件反射で悲しんだり、じわじわと怒ったり
     だって、大事なモノ「捨てちまえ」ってひどい話じゃないか。
     と、思うような人間だったはずなのに
     この刹那、けろりと「……そっかああ!」などと、思ってしまったわけです。
     けっして、おごっていただいて機嫌がよかったわけではなくて。
     それもあったけれど。
     たしかになあ、と思ったのです。

     本と本棚の「どうしても手放したくないもの」と、「二度と買えないもの」って、どれくらいあるだろう。
     最近、ゴミの日のたびに「ゴミ袋の余ったスペースに不用品を詰め込む」ってやってたら、部屋がけっこうスッキリして。
     古くなったものとか、持っている自覚がなかったものとかね、いろいろ。
     なくなっても困らなくて、寂しくもなくて、ただただ生活しやすくなった。

     毎日一冊、手放すと言ったら、どこまで手放せるだろう。
    「大切なモノ10冊選べ」って言われたら、ちょっと難しい気がするけれど。

     まあ、元の話題が「キャパオーバー」だったので
    「捨てちまえ」って、合理的だよなあ。
     合理的ってすごいなあ。ある意味、暴力的とも言えるのだけれど
     なんていうかだったなあ。
     と、いまでも思う。
     それも、目の前の男は「金ならある」なんて言い方をするのだから
     捨てるの、正しいよ。そうだよ。
     持てないものは持たないのがよくて
     持てるようになったら持ちなさいって、
     君は優しいよ。

    「捨てたくないモノ」について
    「捨てるべきかどうか」って、案外考えていないよな。
     という気もするのです。
     服も化粧品も買わないから、本くらいは大事にしたい。っていうのは本当なんだけど。
     無意識のうちに「これ以上は手放したくない」という防御体制で。
     ぜんぶの本が大事かと言われたら「いつか大事だった本」とかもまだ、手元にある。
     本棚に収まってるなら、それでもいいんだけどね。
     欲望は止まらなくて、やっぱりキャパオーバーなんだよ。

     持ちすぎてると、大切なモノわかんなくなるから。
    「なんとなく」増えちゃうよなあ。
    「本当に大事なモノ」と「いつか大事になるかもしれないモノ」が、本棚に並列に並んでいたとしたら
     その人生って、けっこう迷子かもしれない。という気もする。
     そして、迷子も悪くはない。と思うのだけれど、それもわかっているのだけれど。

     もう、失って困るものはないって、
     いやあ、けっこう身軽になったつもりだったんだけどな。
     まだまだ未熟でしたよ。
     未熟も迷子も悪くないけれど、自覚がないのはよろしくない。
     自覚してなきゃ、「迷子を楽しむ」ができないよ!

    「捨てればいいのかあ」とラクになったあの瞬間の、オムライスの味を、わたしは今でも思い出す。
     またおごってください。





    ▼片付けのやり方を覚えてから、息がしやすくなりました。思い立ったら捨てたり、並べ替えたりして、快適な暮らしに近づけて嬉しいです。もやもやしているひとは、早くこの本に出会ってください。

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