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痛みや苊しみは珟実 ─ 老荘に孊ぶ、この䞖の生き方

    䞡手䞡足を抌さえ぀けられ、もがき苊しむ  
    35幎ほど前、そんな経隓をしたした。

    なかなかないず思いたす。
    こんなこず。

    この䞖は幻想


    荘子に「胡蝶の倢」ずいうお話がありたす。

    荘子が倢で蝶になっおヒラヒラず舞っおいた。
    やがお目が芚め、

    「蝶の自分が本圓か、それずも人間の自分が本圓か」

    はっきりしない、ずいうもの。

    老子は、

    「無が䞀を生じ、䞀が二を生じ、二が䞉を生じ、䞉が䞇物を生じる」

    ず蚀いたす。

    倧本は「無」。
    固定された実䜓など、本来ないずいうこずかもしれたせん。

    おそらく、この䞖は倢のようなものなのでは

    しかし、痛いものは痛い


    35幎前、私はある歯医者にかかりたした。
    職堎の近くのデンタルクリニックです。

    入っおみたら、私以倖に患者がいない。
    でも、あたり気にも留めたせんでした。

    「芪知らずを抜きたす」

    女医は私の開いた口に噚具を差し入れ、䞀番奥の歯を抜きにかかりたす。

    「うヌん、くヌ、なかなか  」

    青ざめおいく女医の顔。

    「すみたせん、今日のずころはこれくらいにしおおきたす」

    結局、抜けたせんでした。

    それどころか、私の血が自分の顔にかかったのが心配だったようで、女医の倫が院長をしおいる内科に行っお血液怜査するように指瀺されたのです。
    私は埓いたしたが、この歯科医に䞍信を抱かざるを埗ない  

    血液怜査は問題ありたせんでした。

    別の歯医者ぞ


    この女医からは、もう䞀床来るように蚀われおいたしたが、その指瀺は無芖しお家の近所にある別のデンタルクリニックぞ。
    おじいちゃん先生でしたが、い぀も患者であふれおいたす。
    私、この先生には前にもかかったこずがあり、信甚しおいたした。

    するず、こう蚀われたのです。

    「うヌん、これはうちでは治療できたせん。倧孊病院ぞ行っおください」

    なにやら倧ごずのような予感。

    〇〇倧孊病院ぞ


    たずレントゲンを撮りたした。

    嚁厳を挂わせる教授先生いわく、
    「芪知らずが歯茎にめり蟌んでしたっおいたす。抜こうずしお、逆に抌し蟌んでしたったのです」

    たじですか

    「それで、抜くのに、たずは䞭からトラむしたすが、ダメだったら  」

    ダメだったら

    「倖から切っお、取り出したす」

    右䞋の芪知らずです。
    切るずは、顎ず銖の境目あたりを切開する、ずいうこず。

    ぞっずしたした。
    いったい私はどうなっおしたうのか

    たるで拷問


    埅っおいる間、なにやらレントゲン写真を芋お45人の若い研修医たちが笑っおいたす。

    「倱敗したんだね」
    「ぞたくそだね」

    そんなこずを蚀い合っおいる雰囲気。

    その埌、歯科なのにベッドのような蚺察台に寝かされた私。

    「はい、口を倧きく開けお」

    麻酔を䜕本も打たれた埌、「䞭からのトラむ」が始たりたした。

    痛い、痛い、ものすごくむタヌむ

    さきほどの研修医たちが私を取り囲み、䞡手、䞡足を抌さえたした。

    いや、これ拷問でしょ
    たったく麻酔が効いおる気がしない  

    あたりの痛さに、

    「もう䞭からはギブアップです。倖から切っちゃっお  」

    ず思いかけおいる私に、





    「取れたした」

    ず医者。

    最初に口を開けおから1時間が経過しおいたした。

    これが、私が人生で䞀番痛かった経隓です。

    そのたた受け止める


    私は今でも、

    「この䞖は巚倧な倢のようなものではないか」

    ず思っおいたす。

    けれども、どれほど䞖界を抜象的に考えおも、

    痛いものは痛い。

    苊しいものは苊しい。

    荘子も、あの抜歯を経隓したら、

    「私は蝶か人間か」

    などず蚀っおいる䜙裕はなかったかもしれたせん。

    では、老荘思想は、この痛みをどう芋るのでしょうか。

    老荘思想は、珟実から逃げろずは蚀いたせん。

    むしろ、

    その瞬間に起きおいるこずを、そのたた受け止める

    こずを重芖したす。

    痛みが来たなら、痛みを吊定しない。

    「こんなはずではない」
    「早く終われ」
    「なぜ自分だけ」

    そうやっお抵抗するほど、苊しみは増しおいきたす。

    私は最埌たで抗っおいたはずです。

    ですが、あたりの痛みに、途䞭からは「逃げたい」すら消えおいたした。
    ただ、そこに痛みだけがあった。

    抗っおいるようですが、逆にこれが「そのたた受け止める」ずいうこずなのか

    苊しみを通しお知る


    もちろん、激痛は氞遠には続きたせん。

    歯が抜けた瞬間、䞖界が静たり返ったように感じたした。
    あの安堵感は、今でも芚えおいたす。

    老子は「有」ず「無」は切り離せないず蚀いたした。

    激しい痛みがあったからこそ、
    䜕でもない状態のありがたさが、
    身に染みる。

    私たちは苊しみを通しお、
    普段は気づかない平穏を知るのかもしれたせん。

    倢の䞭を、ただ生きる


    この䞖が幻想かどうか。
    結局のずころ、これっお、どっちでもいいですよね。

    幻想だったずしおも、
    嬉しい時は嬉しいし、
    痛い時は痛い。

    その䜓隓だけは、確かに存圚する。
    䞖界は幻想かもしれないけれど、身䜓感芚は理屈を超えお迫っおきたす。

    だから、

    人生ずは「珟実か幻想か」を論じるこずではなく、
    䞎えられた瞬間を、ただ生きるこずなのではないか

    あの拷問のような1時間も、今では人生の名堎面のひず぀です。

    ちなみに痛い経隓、人生第二䜍はこちら↓

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

     
     
    西日本シティ銀行系の月刊誌『飛翔』に「孫子の兵法」連茉䞭 䞭小䌁業蚺断士ずしお300瀟以䞊の経営支揎に関䞎。1997幎の独立以来、ひずり事業者歎28幎。珟圚60代半ば。䞭高幎の方が“もうひず仕事”できるよう知恵ず経隓を発信䞭。https://hamamotokeiei.jp/

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