
英語と日本語で読む『おおきな木』──村上春樹訳と「与える愛」の話
初めましての方も、
ほかの記事を読んでくださった方も、
おはようございます。
たくさんの記事の中からお越しくださり、
ありがとうございます。
前回の記事では、
パワフルな街・ニューヨークの魅力が詰まった本を
ご紹介しました。
今回は、長年読み継がれている名作絵本のご紹介です。
こんな方におすすめ。
村上春樹さんの翻訳絵本が気になる方
成長とともに感じ方が変わる絵本が好きな方
原文と翻訳の両方を楽しみたい方
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
英語で読める『おおきな木』〈日本語訳付き〉

英語で読める『おおきな木』〈日本語訳付き〉
作:シェル・シルヴァスタイン
訳:村上春樹
出版社:あすなろ書房
(内容紹介)
世界的ベストセラー『おおきな木』を、
原文で楽しみたいという
読者のご要望にお応えして刊行するバイリンガル版です。
英語と日本語が併記されています。
村上春樹がこの名作を
どう読み解いたのかがよくわかり、
より深く物語を楽しめます。
内容は、少年の成長と、
無償の愛を与え続ける木のお話。
純粋に木が大好きで、
一緒に遊んでいたちびっこの少年が、
成長とともにほしいものが変わり、
そのたびに木は自分を差し出していきます。
原文では木が「her」となっていて、
母性を象徴しているように感じました。
私は読むたび、理由はうまく言えないのですが、
涙が出てしまいます。
そのくらい感情に訴えてくる物語です。
注目したいのは、木が幹まで与えてしまい、
切り株になってしまったところの翻訳。
繰り返しでてきたフレーズ
「And the tree was happy」
のあと、切り株だけになってしまった時には
「but not really」と続きます。
旧版の本田錦一郎さんの訳では、
「きは それで うれしかった・・・
だけど それは ほんとかな。」
村上春樹さんは
「それで木はしあわせに・・・
なんてなれませんよね。」
旧版のほうが
読み手に委ねられる余白があります。
一方で新版の訳は、より切なく、
やるせない気持ちに
寄り添ってくれるように感じます。
いかようにも解釈が可能で、
「自分ならどう訳すだろう?」
と考えるのも味わい深いかもしれません。
イラストはモノクロでシンプル。
「おしゃれ」という言葉で片付けるには惜しくて、
文章と相まって、
そぎ落とされた美しさがあります。
ちびっこの少年は、
フランスで50年以上愛される児童文学
「プチ・ニコラ(Le Petit Nicolas)」
を思い出しました。
読み直すたびに、
自分や子どもの成長を感じられる一冊です。
最後までお読みくださり、
ありがとうございました。
今回の記事が、
絵本を手に取るきっかけになれば
とても嬉しく思います。
次回の更新も、どうぞお楽しみに。