
ぼくの人生の主人公
ひきこもりが他責することが問題視されることがあるので書いていこうと思う。
父が昔こう言ってきた。
「お父さんはIQ200あるんやで」
冗談で言っているのかなと思った。
しかし冗談で言っている感じはしなかった。
ぼくは「IQテストしたん?」と聞いた。
父は「してへんで」と答えた。
「じゃあどうやって測ったん?」と聞いた。
「超感覚器官で」と答えた。
その後1人になって恥ずかしいと思いながらソファにへたれこんだ。
父は宗教的なものに入っている。
入った当初は「お父さんは30何次元やねん。じゅん(ぼく)は16次元」「じゅんはプレヤデスって所から来てん。お父さんはシリウスって所」などと言っていた。
シリウスは全天で最も明るい恒星らしい。
テレビを見ている時に「コイツ幽霊が憑いとんで」とよく言っていたこともあった。
出かけた先でも「アイツ幽霊が憑いとんで」とよく言っていた。
母が怒っていた。
幽霊のことを幽ちゃんと呼んでいたことがあった。
そう呼ぶ理由を話していたけど忘れてしまった。
霊感商法がニュースになった時には母に「幽霊が憑いてるって言うたらアカンねんで!」と怒られていた。
父さんは会社を経営していたのだが倒産してしまった。
母は、その会社では働いていなかったのだが、母を役員ということにして、その会社から母に給料が入っていた。
倒産した時に母は父に「今月から、お給料はありませんからね」とふざけた口調で言われたそうだ。
5月に倒産したのだが5月になると母はこの話をよくした。「忘れられへんわ」と母は言っていた。
父は会社の経営で7000万円くらいの借金ができた。
正確には4000万円の借金と3000万円の借金である。
4000万円の借金は返済能力がないので返していなかった。
しかし3000万円の借金は返さないといけなかった。返済額を少なくしてもらっていた。返済額は月々数千円だった。
父は「これ全部返そうと思ったら300年かかんねん」と言っていた。
後には「たっかい利子はろたんや(払ったんだ)返さんでええねん」と言っていた。
父の入っている宗教的なもので始めた会社があって、その会社も倒産した。
この経営で父は1000万円の借金ができた。
スーパーの経営をしていた。
倒産したので出品者にお金を払えなくなった。
当然、出品者から苦情が出た。
父は「しょうがないやんな払われへんねんから」と言っていた。
借金は無断で母を保証人にしたものもあった。
母は怒っていた。
後に4000万円の借金は債権者が変わって200万円になった。
父は友人からも300万円借りている。
だから合計4500万円くらいだ。
父は陰謀論を持ち込んできた。フリーメイソンについて書かれた本を持っていた。
フリーメイソンやユダヤのことを「コイツラが世界を牛耳ってるんや」などと言っていた。
父は歴史否定論も持ち込んできた。南京大虐殺について云々言っていた。
歴史否定観の漫画を持っていた。父は「漫画やったら読みやすいやろ?」と言っていた。
最近は、父はよく分かっていないのか「最近はフリーメイソンって言わへんねん。イルミナーティって言うねん」と言っていた。
フリーメイソンとイルミナティを混同していた。
それにイルミナティのことをイルミナーティと言った。
正しい発音を調べてみるとイルミナーティの方が近い発音だった。少し怖い。
ふだん映画を観ない父が珍しく『レッドクリフ』という映画を観に行ったことがあった。
なんで観に行くのか聞いた。
「お父さんの過去世やから」か、なにかそんなことを言った。
父は自分のことを諸葛孔明の生まれ変わりと思っている。
父は気功を17,8年していた。
初めの頃はリピーターになる人がいなかったので「あんまり治しすぎたらアカンな」と父は言っていた。
初めに借りたアパートは商売をしてはいけなかったので、すぐに追い出された。
次に借りた所は父には高額だったので家賃を払うのに苦労していた。
母が自宅に戻ってきて青白い顔をして「差押えや」と言ってきたことがあった。
父が借金の返済をしていなくて父の銀行口座が差押えられた。
父は月々の数千円の返済ですらできなくなっていた。
家賃などがあるので借金の返済ができなかったのだと思う。
借りている所のオーナーと揉めていた。ぼくには父が逆ギレしているようにみえた。
今度は、そのテナントから、また別のアパートに移った。
ここは気功OKだった。
それから、どれくらいかして気功はやめたのだがアパートは借りっぱなしだった。
去年、アパートの家賃を滞納していることが分かった。
80万円だった。
それは父の知り合いに返してもらった。
しかし父はアパートの解約をしなかった。
だから「なんで解約せえへんの?」と聞いた。
父は「まほら村やろうと思って」と答えた。
まほら村とは理想郷のようなものと思う。
それから少しして今度は暮らしている所の光熱費も滞納しだした。
電気、水道、ガス、電話インターネット、管理費を滞納していた。
父は滞納グランドスラムを達成した。
暮らしている所は亡き母がローンを払ってくれた。
これが現在だ。
父のことで悩んでいると、頭の中が父のことばっかりになったことがあった。
父がぼくの人生の主人公をしている感じがした。
最近は、働いていないのは自分の能力が低いからなのかなと思うようになった。
しかし、これが、ひきこもりのぼくの父なのだ。