
公約の 食料品消費税0%や1%は 飲食店の倒産を加速! 解決策も書いています!【前編】
なるべくわかりやすく書いていきますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
※この前編は noteマネーにピックアップされました。
ボクは消費税減税に反対してるわけではありません
まず言わせていただきたいのですが、今まで書いてきた記事をご覧いただけるとわかっていただけるかもしれませんが、基本的に 減税には賛成の考えです。
「食料品のみ1%」等で 起きる問題の解決策は、後編の最後に書いています。
「食料品のみ1%」「食料品のみ0%」
政府の公約は 「食料品のみ0%」でしたが、現在は 「食料品のみ1%」が浮上してきていますね。
「食料品のみ1%」にすると、システム改修期間が短くできるということが理由のようですが、実は、その他の 「食料品のみ0%」で想定される問題は、「食料品のみ1%」でも 同じように起きる可能性があります。
今回の記事では、飲食店に限定して、2つの問題点を 書いていきます。
消費税率の段差の問題
これが 1つ目の問題です。表1をご覧ください。

飲食店のこの段差の問題は いろいろなところで 語られていて、わかりやすいために ご存知の方も多いのではないでしょうか。
飲食店だと 10%かかるのに テイクアウト、宅配や お店での購入は 1%となれば、飲食店での売上や利益が 落ちることが懸念されていますね。
2026年上半期「飲食業」倒産 過去最多の509件
2026年上半期(1-6月)の「飲食業」倒産は、509件(前年同期比5.3%増)だった。上半期では、2年ぶりに増加し、1997年以降の30年間で初めて500件台に乗せた。
これだけ経営環境が悪化しているわけですが、これ以上の 悪化圧力を加えたら どうなるか 想像に難くないです。
さらに 制度的な問題で 減益が
さらに、これが 2つ目の問題ですが、制度的な問題で 減益になる可能性が たいへん大きいです。
飲食店の 仕入(食材)が 消費税が8%から1%に下がっても 実際の仕入税込価格はあまり下がらない可能性が 言われていて、この下がらない分は 飲食店の自腹 つまり減益になってしまうのです。
価格転嫁率はどれくらいなのか
価格転嫁率というのは、減税した場合に 実際どのくらい価格が下がるかという率です。
消費税を8%から1%に 7%下げた場合ですと
7 × 30% = 2.1
つまり、2.1% 価格が下がった場合に、価格転嫁率 30% ということになりますね。
今回の消費税減税って 軽減税率8%からの減税じゃないですか。
軽減税率を引下げた場合の 価格転嫁率の事例を 文献で探してみたのですが、見つかったのは参考文献2の 価格転嫁率「30% 」だけでした。
これは、1999年から2013年までのユーロ圏17か国の事例を研究したものです。(*2)
ここでは、まず、飲食店の 自腹減益問題を理解するために この 価格転嫁率「30% 」を使って、考えてみましょうね。
まず、現行の方式を確認しましょう
現行は 課税取引という方式ですが、例えば、ラーメン屋さんラーメン1杯で 仕入税抜(食材)300円、売価税抜1000円で考えてみましょう。
売価税込1100円、仕入税込(食材)324円
消費税の納税額は、100円 ー 24円 = 76円
これが、仕入税額控除 ですね。
手残り額は
1100円 - 324円 - 76円 = 700円
です。
水光熱費や家賃などの、消費税10%がかかる経費(以下、10%課税経費)は、後で 仕入税額控除として 消費税の納税額を全体で合計した額から 差し引けます。
ここで、食材の 仕入率(原価率) は 30%としていますが、これは 飲食店で言われてきた一般的な 原価率ですね。
ただし、このところ 物価高のために
こうした状況で「原価率30%を守れ」というのは、もはや精神論に近い。
と書かれているように、もっと高くなっていることが推定されます。
「食料品のみ1%」で 価格転嫁率30% の場合
仕入(食材)の消費税が8% → 1%に下がるわけですが、実際の下落は、価格転嫁率30%だった場合が次の例です。
売価税込1100円
仕入税込(食材)300円 × (101%+7% × (100%-30%))
= 317.7円
消費税の納税額は、100円 ー 3円 = 97円
(3円は 300円 × 1% )
手残り額は、
1100円 - 317.7円 - 97円 = 685.3円
で現行と比べて 利益が 14.7円減ってしまっていることがわかりますね。
10%課税経費は、現行の場合と同様な扱いになります。
Δ営業利益率は ー1.34%
この場合の Δ営業利益率 ( 営業利益率の変化 ) は、
減益ー14.7円 / 売価税込1100円 × 100 = ー1.34%
(※ 価格転嫁率30%の場合の減益ー14.7円を使用)
ここで、上の計算で使用した食材の仕入率(原価率)が一般的な30%より高くなれば、 当然ですが減益は拡大し、営業利益率はさらに低下します。
なお、この値はあくまで「食材の仕入価格が下がらない場合」の低下です。
さらに、上で書いたように 消費税率の段差によって販売が宅配等へ逃げる場合は、売上が減るため営業利益率は一段と低下します。
売価税込を上げるのは 困難
売価に10%がかかり続けますから、値段を上げるのは 困難が予想されます。
2026年上半期(1-6月)「飲食業」倒産動向 からも
食材や水道・光熱費などの「物価高」倒産は86件(同53.5%増)で、前年同期の1.5倍に増加。また、「人手不足」関連倒産は36件(同125.0%増)で、同2.2倍に急増した。
小・零細の飲食業ほどコストアップの負担増加が大きく、来店客数の減少を懸念して値上げなどの価格転嫁が難しい実態を浮き彫りにしている。
価格転嫁が難しいことがわかります。
また、2016年ごろの情報ですが
外食産業は、個人経営が総店舗数の5分の3を占め、法人形態であっても資本金1,000万円未満のものが4分の3を占めるなど、中小・零細な事業者が多い。
つまり、外食産業全体でも 中小・零細な事業者が 90%を占めていることになって、2026年現在でも この規模感が続いているとしても 倒産リスクが とても高いことがわかりますね。
「食料品のみ0%」だとどうなのか
「食料品のみ1%」が 7%減税なのに対して、「食料品のみ0%」は 8%の減税ですから 例えば 価格転嫁率30% つまり 実際に価格が下がる率は 同じと考えますと、減益になる金額は 大きくなりますね。
ですので、「食料品のみ0%」での 細かい計算例は 書かないこととします。
後編では
後編では、「食料品のみ1%」に消費税減税する場合の 軽減税率の価格転嫁率の実証値である「30%」を基準にしつつ、政策評価として現実的な幅を持たせるため、30%・50%・70%の3つの価格転嫁率でシミュレーションを行います。
そして、倒産リスクを 考えてみたいと思います。
また、最後に「食料品のみ1%」等で 起きる問題の解決策を書いています。
すでに公開済みですので、よろしければご覧ください。
参考文献
1) 東京商工リサーチ ,「2026年上半期「飲食業」倒産 過去最多の509件 居酒屋倒産が初の100件超、人手不足・物価高が課題」,2026/07/08
https://www.tsr-net.co.jp/
2) 小巻 泰之,「欧州における付加価値税率変更の経済効果」,財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」令和3年第1号(通巻第144号)P36 ,2021 年3月
https://www.mof.go.jp/
3) Kitchencost ,「飲食店の原価率を業態別に比較」,2026年5月10日
https://kitchencost.app/ja/
4) 農林水産省「食料産業政策審議会 食産業部会(第1回)」資料2
https://www.maff.go.jp/