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謎の「種干」 ─ 芋農家のささやかな日常

母と畑仕事の準備をしていた時のことです。

「ん?『たねぼし』って書いてある……」

母が、ぽつりと一言。

一瞬の間を置いて、思い切り吹き出した私。

「草かんむりを略したって!?」

母が運んできたのは、つぐね芋と呼ばれる山芋の一種の「種芋」でした。

翌日、畑に植えるつもりで、引っ張り出してきたのです。

その袋に貼り付けられた紙に、父の字で「種干」。

父が書いた「つぐね種干」の貼り紙

「のぎへん」に「重い」で14画もある「種」ならともかく、「草かんむり」に「干(正しくは于)」でたったの6画の「芋」を略すか?と、2人でひとしきり大笑い。

私はパッと見で「梅干の種」を思い浮かべてしまいました。

うちは芋農家だけど、さすがに「芋」の草かんむりを省略して「干」と書く習慣はありません。

近所の芋農家さんでも聞いたことがない。

きっと、父が走り書きした時に、うっかり抜かしただけ。

どうかその「種干」が、ちゃんと芽を出して、立派なつぐね芋に育ってくれますように。

まあ、「種芋」には違いないので、きっと大丈夫……

以上、芋農家の「ないない」話でした。

※ つぐね芋 ⋯ 丸い塊状の山芋の一種。ツクネイモ、ヤマノイモなどとも呼ばれる。水分が少なく粘りが強いのが特徴。我が家ではとろろにしてご飯にかけたり、汁物にしたりして食べています。あとは、お好み焼きにいれると、ふっくら柔らかくなって美味!

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