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戊闘シヌンにこだわりすぎたっおばよ

第9話 胜力者専門・闇バむト


倕方。

旅先の商店街を、空手家パパは歩いおいた。

昚日は小孊生ず䞀緒に、孊校の怪談から珟れた怪物ず戊った。

䞀昚日は幜霊殺人事件。

その前にも、銀行匷盗だの、UFOだの、座敷童子だの。

最近ちょっずおかしい。

いや。

かなりおかしい。

「今日は絶察、普通に過ごす」

四十二歳。

各地の道堎を巡りながら空手を孊ぶ、旅の空手家。

胞元には、自分自身の魂ず結び぀いた《魂カヌド》。

肩の近くには、小さな粟霊リュミ。

すっかり普通ではない日垞になっおいたが、それでも今日は平和に終わる぀もりだった。

そのずき。

スマヌトフォンの画面に、劙な広告が衚瀺された。

『特殊技胜者募集』

『本日4時間・報酬12䞇円』

『あなたにしかできない仕事がありたす』



「    」

空手家パパは立ち止たった。

四時間。

十二䞇円。

「高っ」

リュミが暪から画面を芗き蟌む。

「パパヌ。なんか怪しくない」

「怪しいねヌ」

ものすごく怪しい。

問題は、そこではなかった。

特殊技胜者。

あなたにしかできない仕事。

最近、普通ではない胜力を持぀人間ず䜕床も出䌚っおいる空手家パパには、その蚀葉が劙に匕っかかった。

「  リュミさん」

「なヌに」

「これ、胜力者集めおない」

「かもヌ」

分からない。

分からないからこそ、䞀人で銖を突っ蟌むのはやめた。

最近、空手家パパにも少しだけ孊習胜力が芜生えおいる。

電話をかける。

盞手は怪異探偵――雚宮ナギ。

超垞珟象を調べおいる女性で、空手家パパず同じく魂カヌドを持぀胜力者でもある。

「もしもし雚宮さヌん」

『はい』

「怪しいバむト芋぀けた」

『応募しないでください』

「ただ䜕も蚀っおないよ」

『あなたからその蚀葉が出た時点で、先に蚀っおおこうず思いたしお』

「四時間十二䞇円」

『応募しないでください』

「特殊技胜者募集」

電話の向こうが、少しだけ静かになった。

『  それは気になりたすね』

「でしょ」

『URLを送っおください。たず調べたす。絶察に䞀人で応募しないでください』

「分かった」

珍しく玠盎である。

数分埌。

雚宮から電話が来た。

䞀般的な求人サむトには掲茉されおいない。

䌚瀟名もない。

連絡先も匿名。

募集察象の「特殊技胜」が䜕を指しおいるのかも曞かれおいない。

『胜力者を集めおいる可胜性は吊定できたせん』

「じゃあ攟っずいたらダメだよねお絊料も高いし」

『そうですね。少し調べる必芁はありそうです。ただし、勝手なこずは――』

「倧䞈倫。二人で応募しおおいた」

『そういう意味ではありたせん』

さお。

面接は空手着ではたずいだろうか

◆

指定された集合堎所は、駅前の雑居ビル。

午埌六時半。

雚宮は開口䞀番、空手家パパを芋た。

「なぜ私の分たで応募したんですか」

「だっお、䞀人で応募するなっお蚀われたし」

「私が蚀ったのは、応募するなら盞談しおくださいずいう意味です」

「日本語っお難しいね」

「あなたは䜕語ならちゃんず䌝わるんですか」

二人が指定された貞䌚議宀ぞ入るず、すでに若い女性が座っおいた。

二十歳くらい。

少し緊匵しおいる。

その向かいには现身の男。

「真壁シオンです」

男は穏やかに名乗った。

履歎曞は求められなかった。

代わりに枡されたのは、䞀枚の玙。

空手家パパには、

『身䜓を䜿う仕事』

雚宮には、

『調査』

若い女性には、

『䟵入経路の確保』

ず曞かれおいた。



「䟵入経路」

若い女性――戞塚ミナが、少し迷っおから答えた。

「私  《抜け道》っおいう力があるんです」

「抜け道」

「鍵を開けたり、壁を壊したりするんじゃなくお  通れる堎所が、なんずなく分かるっおいうか」

「すげヌじゃん」

「え」

「めっちゃ䟿利じゃん」

ミナが目を䞞くした。

それから少しだけ、嬉しそうに笑った。

「  そう蚀っおもらえたの、二人目です」

最初にそう蚀っおくれたのが、真壁だったらしい。

自分の胜力を初めお「圹に立぀」ず評䟡しおくれた。

だから、この仕事を続けおいる。

「ちなみに私の仕事、身䜓を䜿うっお曞いおあるけど」

空手家パパは真壁を芋る。

「空手」

「近いですね」

真壁は空手家パパの身䜓を芋る。

「あなたは殎るこずより、盞手の重心を厩す方が向いおいる」

「おお」

空手家パパの目が茝く。

「真壁さん、歊術やっおる」

「いえ」

暪から雚宮。

「芋るだけで分かる達人、ずいう話ではないでしょう」

「違うの」

真壁は小さく笑った。

「私、人が䜕に向いおいるのか、少し分かるんです」

《適材適所》。

人の適性を盎感的に芋抜く胜力。

「胜力を持っおいる人間に、胜力を隠しお普通の仕事をしろずいう瀟䌚の方がおかしいず思いたせん」

だから胜力者に、その力を生かせる仕事を玹介する。

それが自分の仕事なのだ、ず。

少なくずも。

本人はそう信じおいるようだった。

今回の仕事は、䌁業の研究斜蚭から荷物を運び出すこず。

報酬十二䞇円。

「斜蚭偎の蚱可は」

空手家パパが聞く。

真壁は少しだけ間を眮いた。

「ありたせん」

「泥棒じゃん」

「法的には問題がありたす」

「泥棒じゃん」

空手家パパが立ち䞊がりかける。

その袖を雚宮が小さく匕いた。

目が合う。

ただ垰るな。

もう少し調べる。

そんな目だった。

「    」

空手家パパも目で返した。

分かった。

バむト代高いもんね。

◆

午埌䞃時四十五分。

迎えに来たのは黒いワゎン車だった。

運転垭には、がっしりした䜓栌の男。

「ガンテツだ。珟堎じゃ俺の指瀺を聞け」

「ガンテツさん、歊術やっおる」

「やっおねえ」

「じゃあ䜕が埗意なの」

「俺はただ――硬いだけだ」

「    」

空手家パパの拳が、無意識に握られた。

「殎っお確認しようずしないでください」

雚宮に止められた。

「ただ䜕もしおないよ」

「拳を握っおいたした」

リュミは埌郚座垭の隅を、ふわふわ飛んでいる。

誰がリュミを芋るこずができるのか。

それは、ただ分からない。

今のずころ、誰も圌女ぞ反応しおいなかった。

リュミも珍しく静かだった。

やがお車は、郊倖の研究斜蚭ぞ到着した。

そこで䞀぀。

予定ず違うこずがあった。

斜蚭の窓に明かりが぀いおいる。

人圱もある。

「  人いるじゃん」

ガンテツの顔が険しくなる。

「聞いおねえぞ」

真壁も眉をひそめた。

「蚈画では、この時間にはほずんど無人のはずです」

ミナが斜蚭を芋る。

「私、抜け道探しおきたす」

そのずきだった。

雚宮が䞊を芋た。

「埅っおください」

「どうしたの」

「屋䞊」

空手家パパも芋䞊げる。

人圱。

䜕かが動いた。

䞀瞬だった。

すぐに芋えなくなる。

「  誰かいる」

次の瞬間。

赀い譊告灯が点滅した。

りゥゥゥゥ――。

斜蚭内に譊報が響く。

「え」

ただ誰も䜕もしおいない。

ミナも動いおいない。

なのに。

「危ない」

空手家パパは走った。

ミナを抱え、そのたた埌ろぞ飛び退く。

ドンッ

さっきたで圌女がいた堎所を、巚倧なシャッタヌが塞いだ。

ミナの顔が青ざめる。

ガンテツが真壁を睚んだ。

「おい。話が違うぞ」

「私にも分かりたせん」

雚宮は屋䞊を芋る。

「先客がいるようですね」

空手家パパは真壁を芋る。

「想定通り」

「いいえ」

「じゃあこの仕事、䞭止」

「埅っおください」

真壁が䞀歩前ぞ出る。

「蚈画に倚少の倉曎はありたすが、仕事そのものを䞭止する必芁は――」

「あるよ」

空手家パパは斜蚭を指差した。

「人いるじゃん」

「ですが――」

「泥棒しに来たのに、人たで巻き蟌むなら話が違う」

「最初から泥棒ではありたすけどね」

雚宮が小さく蚀った。

「それはそう」

真壁が空手家パパの前ぞ立った。

「勝手に行動されおは困りたす」

「䞭に人いるなら助ける」

「それはあなたの仕事ではありたせん」

「じゃあ今から仕事にする」

空手家パパが暪を抜けようずする。

真壁が腕を䌞ばした。

「行かせるわけには――」

「ごめん」

腕を取る。

䞀歩。

重心をずらす。

「うわっ」

真壁の身䜓が床ぞ萜ちた。

そのたた腕を抌さえる。

「はい 泥棒終了」

「あなたもさっきたで参加者でしたけどね」

「雚宮さん、今それ蚀う」

ガンテツが呆れたように二人を芋る。

「  厩す方が埗意っお、本圓だったんだな」

◆

真壁を拘束し、ワゎン車ぞ乗せる。

ガンテツが車のキヌを抜き、真壁を埌郚座垭に拘束した。少なくずも簡単には出られない。

「そこで倧人しくしおろ」

真壁は䜕も答えなかった。

空手家パパはガンテツを芋る。

「ガンテツさんは」

「あ」

「ただ仕事続ける」

「続けねえよ」

ガンテツは斜蚭を芋る。

「䞭に人がいるず聞かされおねえ仕事で、新人たで巻き蟌たれた。もう契玄倖だ」

ミナも黙っお真壁を芋おいる。

「  私も」

小さく蚀った。

「もう、これはやりたくないです」

空手家パパは頷いた。

「じゃあ助けに行こう」

その前に。

真壁から聞けるこずだけは聞いた。

《BLACK BOX》。

胜力者専門の仕事を仲介する組織。

䟵入。

運搬。

監芖。

情報収集。

そしお――盗み。

胜力者の力に合わせお仕事を割り振る。

今倜の目的は、この研究斜蚭の地䞋保管庫から䞀぀のケヌスを持ち出すこず。

「誰が欲しがっおんの」

「埡圱カナタ」

真壁は答えた。

「《BLACK BOX》を䜜った人です」

「その人、なんでケヌス欲しいの」

「知りたせん」

「知らんの」

「私は人ず仕事を繋いでいるだけです」

真壁にも。

ケヌスの䞭身たでは知らされおいなかった。

そのずき。

斜蚭の䞭ぞ様子を芋に行っおいたリュミが、壁を抜けるように飛び出しおきた。

「パパヌ」

「おかえり」

「䞭にただ人いっぱいいるよ」

「やっぱりか」

「それずね、倉な人いる」

「倉な人」

リュミは銖を傟げる。

どう説明すればいいのか、自分でも分からないらしい。

「その人のそばにね――私みたいなのがいる」

「    」

空手家パパは斜蚭を芋る。

嫌な予感しかしない。

◆

四人ず䞀匹は斜蚭ぞ入った。

ミナの《抜け道》で、通垞ずは違うメンテナンス通路を進む。

斜蚭内では譊報が鳎り続けおいた。

途䞭、二人の研究員が走っおきた。

「逃げおください」

「地䞋に男が」

話を聞く。

地䞋ぞ向かった男がいる。

電子錠や監芖蚭備にも異垞。

譊備員も負傷しおいる。

そしお。

ただ䞭には職員が残っおいる。

今は。

そちらが先だった。

空手家パパは魂カヌドを取り出した。

《光》。

カヌドから淡い光が広がる。

「残っおる人に、出口教えられないかな」

廊䞋ぞ光の筋が䌞びおいく。

だが。

途䞭で乱れた。

完党な道にはならない。

それでも。

「あっち  誰かいる」

遠くから声がした。

光を芋぀けた人がいる。

「ミナさん」

雚宮が振り返る。

「この光の先に、抜け道を䜜れたすか」

「やっおみたす」

ミナが目を閉じる。

しばらくしお。

壁の向こうを指差した。

「  ありたす」

普通なら避難経路にならない堎所。

そこに道があった。

「こっちです」



避難が始たる。

ガンテツが職員を誘導する。

「慌おんな 順番に行け」

ミナも䜕床も振り返りながら、人を通しおいく。

そのずき。

ズンッ

地䞋深くから衝撃が走った。

リュミが振り返る。

「パパ」

「なに」

「あの人、䞋にいる」

空手家パパは地䞋ぞの階段を芋る。

雚宮も同じ方向を芋おいた。

「行きたすか」

「嫌な予感するけどなヌ」

空手家パパはガンテツぞ振り返る。

「ガンテツさん ミナさんお願い」

「ああ」

「䞀人にすんなよ」

「分かっおる」

ミナが空手家パパを芋る。

「気を぀けおください」

「そっちもね」

空手家パパず雚宮。

そしおリュミ。

䞉人は地䞋ぞ走った。

◆

薄暗い地䞋通路。

その先に。

壊された保管庫の扉があった。

床には譊備員が倒れおいる。

雚宮が駆け寄った。

「倧䞈倫ですか」

呌吞を確認する。

「生きおいたす」

「よかった」

そしお。

少し離れた壁際に、もう䞀人。

掟手なゞャケットを着た若い男が倒れおいた。

「  誰」

空手家パパたちの足音に気づいたのか。

男が、わずかに顔を䞊げた。

「  逃げろ  」

「え」

「そい぀は  」

震える腕を持ち䞊げる。

通路の奥を指差した。

「俺じゃ  止められなかった  」

腕が萜ちかける。

それでも。

男はもう䞀床、力を蟌めた。

「早く  みんな連れお、逃げろ  」

それだけ蚀っお。

力尜きたように、腕が床ぞ萜ちた。

「    」

空手家パパは男を芋る。

自分がこんな状態なのに。

自分を助けろ、ではなく。

みんなを連れお逃げろ。

「  ヒヌロヌじゃん」

雚宮が立ち䞊がった。

芖線は。

その先。

保管庫の䞭倮ぞ向いおいる。

そこに。

䞀人の男が立っおいた。



䞉十代前半。

特別倧柄ではない。

歊噚も持っおいない。

その足元には、䞀぀のケヌス。

そしお。

男の隣には。

癜く淡い光をたずった、人のような存圚が浮かんでいた。

リュミに䌌おいる。

けれど。

䜕も喋らない。

リュミの目が茝いた。

「あっ」

男ではなく。

その隣の存圚をじっず芋る。

そしお嬉しそうに振り返った。

「パパ、あの人――味方だよヌ」

「どこが」

床には譊備員。

倒れたヒヌロヌ。

壊された保管庫。

その真ん䞭には、どう芋おも䟵入者。

「うヌん  」

リュミは男ず、光る存圚を亀互に芋る。

「なんか  こっち」

「どっち」

「    」

本人にも分からないらしい。

男がこちらを芋る。

「埡圱カナタだ」

「あ、噂は聞いおたす。空手家パパです」

「  真壁から聞いたか」

《BLACK BOX》を䜜った男。

埡圱カナタ。

空手家パパは倒れおいるヒヌロヌを指差した。

「この人、あんたがやったの」

「だから」

「譊備員は」

埡圱は䞀床だけ、倒れた譊備員を芋る。

「巻き蟌たれた。死んではいないだろ」

それ以䞊は答えなかった。

埡圱の芖線が。

空手家パパの胞元で止たる。

魂カヌド。

「  お前も持っおるのか」

「だったらなんだよ」

埡圱の目が现くなる。

「★3」

「だったらなんだよ」

「お前は、どうやっお䞊げた」

「は」

「䜕をした」

「䜕蚀っおんだ。よく分からん」

埡圱が止たった。

「  分からんだず」

「気づいたら䞊がっおたし カヌドは呪われおるし」

しばらく。

埡圱は空手家パパを芋おいた。

理解できないものを芋るように。

「匷い敵は」

「戊った」

「死にかけたこずは」

「ある」

「魂に觊れたこずは」

「ある」

「どれだ」

「知らんっお蚀っおんじゃん」

埡圱は黙った。

やがお。

小さく笑った。

「そうか」

その目が。

先ほどより少しだけ楜しそうになった。

「面癜いな、お前」

「私は嫌な気持ちだよ」

埡圱は足元のケヌスぞ手を䌞ばした。

雚宮の声が飛ぶ。

「そのケヌスから離れおください」

埡圱が雚宮を芋る。

「断ったらどうする」

雚宮の右手が動いた。

手銖に巻かれおいた黒い腕茪が、䞀瞬で圢を倉える。

鉄のフレヌム。

掌には、小さな鉄球。

空手家パパが目を芋開く。

「ええヌ すご 手品」

「今そこですか」

雚宮が攟぀。

鋭い音。

鉄球が埡圱の顔面ぞ――

その盎前。

埡圱が消えた。

「――え」

違う。

消えおいない。

動いた。

鉄球が背埌の壁ぞ激突する。

雚宮の目が芋開かれる。

だが。

もう埡圱は目の前にいた。

掌底。

ドンッ

雚宮の身䜓が宙ぞ浮く。

数メヌトル埌方ぞ吹き飛ばされ、床を転がった。

「雚宮さん」

「  っ」

雚宮は胞を抌さえる。

意識はある。

埡圱は远わない。

その腕を。

青癜いものが走った。

バチッ。

電気。

「  ★4か」

埡圱は雚宮を芋る。

「たあ、この皋床か」

「    」

空手家パパの眉がぎくりず動いた。

雚宮が苊しそうに顔を䞊げる。

「  あの人」

「うん」

「性栌、悪いですね」

「知っおる さっきからずっず腹立぀」

空手家パパが前ぞ出た。

埡圱がこちらを芋る。

胞元の魂カヌドぞ芖線。

「次は★3か」

「星で人を芋るなっおの」

「★3で、なぜ戊う気になるのか疑問だよ」

「あヌもう、いちいち腹立぀蚀い回し」

埡圱の身䜓に、たた青癜い光が走る。

空手家パパは構えた。

さっき䜕をしたのか。

现かいこずは分からない。

ただ。

雚宮の攻撃を避けたあの動き。

あれは、人間が出せる速床ではなかった。

「  加速装眮かなんかかな」

埡圱が笑った。

「来な」

戊闘開始。

◆

距離は五メヌトル。

正面から速さで勝おる盞手じゃない。

それはもう分かった。

なら。

「ほらよ」

空手家パパは魂カヌドを投げた。

埡圱の芖線が、䞀瞬だけ動く。

その隙に身䜓を沈めた。

䜎空タックル。

䞀気に間合いを詰める。

完党に虚を突いた。

――はずだった。

埡圱が動く。

速い。

空手家パパの肩が沈んだ瞬間には、もう手がそこにある。

肩ぞ觊れる。

軌道を逞らす。

「うおっ」

身䜓だけが前ぞ流された。

床ぞ手を぀く。

背埌から埡圱の声。

「やはり、こんなものか」

「    」

空手家パパは床に手を぀いたたた。

笑った。

「なるほどね」

「䜕がだ」

床を蹎る。

身䜓を回す。

蹎り。

埡圱が反応する。

避ける。

――その方向ぞ。

さらに倧きく䜓を捻り、二段目の蹎りを出す。

「っ」

脇腹ぞ盎撃。

埡圱の身䜓が壁ぞ匟かれた。

「    」

初めお。

埡圱の顔から䜙裕が消えた。

空手家パパが立ち䞊がる。

「おたえ、芋過ぎだわ」

構える。

「芋えたら、動くんだろ」

埡圱が黙る。

「だったら――」

空手家パパが笑った。

「動かせばいいじゃん」



埡圱の目が倉わる。

「  なるほど」

青癜い光。

バチッ。

「面癜い」

今床は埡圱から来た。

速い。

掌打。

空手家パパは受ける。

流す。

觊れた瞬間。

埡圱の身䜓が、すぐに次の䜍眮ぞ動こうずする。

速い。

だからこそ。

その動きを䜿う。

受ける、捌く、小さく厩す。

埡圱が姿勢を修正する。

その修正先ぞ身䜓を入れ密着。

倧きく重心がずれる。

「な――」

「これも耐えるか」

䞀歩。

埡圱が螏む。

だが、それは、

埅っおいた䞀歩。

「そこじゃヌ」

足が地に着く前に割り蟌むように自らの前足を螏み蟌み。

厩れた盞手ぞ、正拳。

拳が埡圱の顔面を捉えた。

埡圱は衝撃を受けながらも、人間離れした動きで倒れない。

口元から血。

「    」

指で血を拭う。

「これが★3  」

「空手すごいだろ」

埡圱の身䜓に。

さっきより匷い青癜い光が走った。

バチッ。

バチバチッ。

空気が震える。

「  評䟡を改める。もう遊ばない」

「うるせえ」

空手家パパが螏み蟌む。

前に、埡圱は移動する。

もはや二人だけ、流れる時間が違っおいた。

埡圱の芖線が、床ぞ萜ちた。

そこには、最初に投げた魂カヌド。
★3。

䞀瞬だけ。
埡圱の目が、カヌドに吞い寄せられた。

次の瞬間には、もうその身䜓が動いおいた。

空手家パパぞの察凊ず同時に、カヌドぞ手を䌞ばす。

指先が觊れる。

「――光れヌヌヌヌ」

「なっ」

バシュンッ

魂カヌドから癜い光が炞裂した。



至近距離。

「ぐっ  」

埡圱が顔を背ける。

カヌドから手が離れた。

空手家パパは懐ぞ入る。

埡圱が反応する。

速い。

だが。

もう分かっおいる。

觊れる。

埡圱が反応する。

わずかな、重心の、乱れ。

「――゚ィィィむ」

軞足を刈った。

「っ」

埡圱の身䜓が浮く。

ドンッ

背䞭から床ぞ。

そのたた腕を取る。

肘を極め、䜓をう぀䌏せぞ反転。

背䞭に䜓重を乗せる。

埡圱がもがく。

だが。

もう、逃げられない。

「離せ」

「離すか」

「おたえ――」

「捕たえたヌ」

数秒。

やがお。

埡圱の身䜓から青癜い光が消えた。

「    」

荒い呌吞。

埡圱は床に頬を぀けたたた。

自分の魂カヌドを芋る。

䜕も倉わっおいない。

「  䞊がらない」

「䜕が」

埡圱は答えなかった。

ただ。

カヌドを芋おいた。

それから。

空手家パパを芋る。

「★3に  」

「ん」

「胜力たで䜿っお  」

信じられないような顔。

「負けたのか、俺  」

「空手舐めんな」

しばらく。

沈黙。

やがお埡圱がく぀く぀ず笑った。

「  違うな」

「䜕が」

「お前を舐めおた」

「よし いい心がけだ 反省しろ」

「それは無理だ」

「おたえなんなの」

戊いは終わった。

◆

「  すごいですね」

埌ろから声。

振り返る。

雚宮がゆっくり身䜓を起こしおいた。

「雚宮さん」

「倧䞈倫です」

「ほんず」

「たぶん」

「たぶん」

雚宮は床に抌さえ蟌たれた埡圱を芋る。

「  本圓に捕たえたんですか、この人を」

「捕たえた」

「そうですか  」

なぜか若干呆れおいる。

壁際では。

倒れおいたヒヌロヌが、わずかに笑った。

「  やるじゃん  」

「おお 生きおた」

「そこ  かよ  」

「よかったよヌ」

ヒヌロヌは䜕か蚀おうずしお。

諊めたように目を閉じた。

気を倱っただけらしい。

「よかったヌ」

空手家パパは胞を撫で䞋ろした。

そしお。

埡圱のそばにいた光る存圚を芋る。

ただそこにいる。

䜕も蚀わない。

埡圱を助けるこずも。

こちらを攻撃するこずもない。

ただ静かに芋おいる。

「    」

やはり、リュミずは違う。

䜕が違うのかは分からない。

ただ。

䜕か倧事なものを芋萜ずしおいるような――。

「もう無理」

考えるのをやめた。

「雚宮さんに䞞投げだ」

「私、肋骚痛めおるんですが」

「じゃあ黒瀬さんに䞞投げ」

「増えたしたね」

「リュミさん ガンテツさんたちの様子芋おきお」

「はヌい」

リュミが飛んでいく。

◆

しばらくしお。

ガンテツずミナが地䞋ぞ降りおきた。

「避難終わったぞ」

ガンテツが蚀う。

「残っおた職員も、こい぀の道で出した」

ミナも頷く。

「たぶん、党員です」

「よし」

これで人呜救助も終わり。

悪い人も捕たえた。

完璧では

「じゃあ、嫌だけど  黒瀬さん、呌ぶかヌ」

空手家パパは耇雑な顔をした。

「前、怒られたんだよなヌ」

雚宮は静かに頷く。

「今回は呌んだ方がいいです。むしろ呌ばずに垰った方が、もっず怒られるず思いたす」

「それは困る」

電話をかける。

数回の呌び出し音。

『  黒瀬だ』

「もしヌ、黒瀬さヌん。元気ヌ」

『    』

沈黙。

そしお深いため息。

『  今床は䜕をした』

「いや、ヒヌロヌ助けお悪い人捕たえたのに酷い」

『  なぜ連日事件に巻き蟌たれるんだ、お前は』

「私に蚀われおもヌ。ちょっずもう刀断きかないから助けにきおヌ」

沈黙が重い。

「ダメだ 雚宮さん あずは説明よろしく。私が怒られない方向で」

スマヌトフォンを枡す。

「最埌の条件は保蚌できたせん」

「なんで」

雚宮は電話ぞ状況を説明した。

研究斜蚭ぞの䞍法䟵入。

負傷者。

胜力者犯眪組織《BLACK BOX》。

そしお。

「埡圱カナタずいう男を、空手家パパさんが制圧したした」

電話の向こうが静かになった。

『    埡圱カナタ、だず』

黒瀬の声が倉わる。

『党員その堎から動くな。ケヌスにも觊るな。こちらで匕き継ぐ』

そしお。

『空手家パパ』

「はい」

『説教は埌だ』

「なんで䜓匵っおんのに怒られるんだヌ」

◆

やがお超垞察策局が到着した。

耇数の局員を連れた黒瀬が地䞋ぞ降りおくる。

負傷した埡圱。

床に眮かれたたたのケヌス。

ガンテツ。

ミナ。

雚宮。

空手家パパ。

そしお。

壁際で救護を受けるヒヌロヌ。

順番に芋る。

最埌に。

空手家パパを芋る。

「    」

リュミが小声で囁いた。

「パパ。今のうちに謝っずく」

「やだ」

即答。

「悪いこずしおないし」

「そっか」

リュミは玍埗した。

黒瀬は䜕も蚀わず、埡圱の前ぞしゃがむ。

「埡圱カナタ。《BLACK BOX》に぀いお聞きたいこずが山ほどある」

局員たちが慎重に埡圱を匕き継ぐ。

別の局員がケヌスを確保する。

最埌たで。

ケヌスは開けられなかった。

黒瀬が立ち䞊がる。

「  今回は、人呜救助ず被疑者確保に぀いおは瀌を蚀う」

「いいよ 私ず黒瀬さんの仲じゃん」

「ただし」

来た。

「正䜓䞍明の求人に自分から応募しお、犯眪組織の車に乗り蟌んだ件は別だ」

「    」

雚宮が目を逞らした。

空手家パパも目を逞らした。

「    」

二人ずも無蚀。

黒瀬の声だけが飛んでくる。

「お前ら党員だ」

「雚宮さん」

空手家パパは小声で蚀った。

「説明は任せたからね」

雚宮は数秒。

無蚀で空手家パパを芋た。

「  『怒られない方向で』ずいう䟝頌は、正匏に蟞退したす」

「え」

雚宮は黒瀬を芋る。

「黒瀬さん。最初から説明したす」

「うん」

「求人に応募したのは――この人です」

空手家パパを指差す。

「私の分たで勝手に」

「はあ」

リュミが小声で蚀う。

「パパ。雚宮さん、裏切ったね」

「ひどすぎる もう絶察、倉なのには匕っかからないヌ 関わらないヌ」

研究斜蚭の地䞋に。

空手家パパの叫びが響いた。

「ちくしょヌヌヌ」

◆

その埌。

研究斜蚭は超垞察策局ぞ匕き継がれた。

斜蚭に残っおいた人々の避難は完了。

負傷した譊備員も。

地䞋で倒れおいたヒヌロヌも救助された。

真壁シオン。

埡圱カナタ。

《BLACK BOX》に関係する二人は確保された。

ガンテツずミナも事情聎取に応じるこずになった。

事件は終わった。

少なくずも。

今倜の事件は。

連行される盎前。

埡圱が䞀床だけ振り返った。



「ん」

埡圱の芖線は。

空手家パパの手に戻った魂カヌドぞ向いおいた。

「答えを芋぀ける」

「はい」

「魂の研鑜」

「だから知らんっお」

埡圱はカヌドから目を離さなかった。

黒瀬に促され、歩いおいく。

その隣には。

あの光る存圚。

リュミによく䌌た。

けれど䞀床も蚀葉を発しなかった䜕かが、静かに぀いおいく。

リュミだけが、その背䞭ぞ元気よく手を振った。

「ばいばヌい」

空手家パパは、その姿が芋えなくなっおから聞いた。

「リュミさん」

「なヌに」

「あれ、本圓に味方なの」

「うん」

即答。

「味方だよ」

「埡圱が」

「んヌ  」

リュミは銖を傟げる。

考える。

けれど。

やっぱり䞊手く蚀葉にできないらしい。

「なんかねヌ  味方」

「だから、それが分からんのじゃヌヌヌ」

リュミは困ったように銖を傟げた。

空手家パパも分からない。

埡圱のこず。

光る存圚のこず。

開けられなかったケヌス。

《BLACK BOX》が、どこたで広がっおいるのか。

分からないこずだらけだ。

空手家パパは少し考えた。

考えお。

考えお。

「  腹枛った」

考えるのをやめた。

雚宮が小さく息を吐く。

「ラヌメン、行きたすか」

「え肋骚は」

「自分で応急凊眮したした」

「䟿利な力だなヌ」

「䟿利だからず蚀っお、折られおいいものではありたせん」

空手家パパの顔が明るくなる。

「ちなみに奢り」

「割り勘です」

「くそヌヌヌヌ」

倜の研究斜蚭に。

最埌たで、空手家パパの声が響いおいた。



抌忍空手家パパです。

第9話、リプレむ小説読んでいただきありがずうございたす

この小説はButlerずいう゜ロテヌブルトヌクRPGのプレむデヌタを文字起こししたものです。

タップするずアプリに飛ぶよ

あなただけの物語、よかったら遊んでみおくださヌい🀩

さおさお、今回のリプレむなんですが、実は戊闘シヌンにガッツリ手入れおたす😰

簡単に小説が出来るのがりリだったのに、、

それもこれもダむスロヌルが良すぎで、ボスである埡圱が瞬殺されたからや😭

これがTRPGの怖いずころであり、面癜いずころです。

䜜者が「こい぀匷いぞ」っお出しおも、ダむスはそんな事情を䞀切考慮しおくれたせん🀣

実際、最初の小説ではすごく匷そうに出おくるのに、党匟被匟しお、ほが䜕もせずに捕瞛されおたした。

お前は劇堎版ピッコロさんか

もっず根性出せやヌ

ず、たあ、こんな感じでいろいろありたすが😅抂ねチャッピヌくんが執筆しおいたヌす

こちらの蚘事に過去話もたずめおたすんで気になったらみおください

では、たた10話で

抌忍


今日のお土産コヌナヌ

本線倧掻躍劇堎版ピッコロさんです

しれネコさんの未公開プロンプトで䜜れたす

詳现を埅お

抌忍

いいなず思ったら応揎しよう