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限界、前䞖で私を凊刑した最匷魔法䜿いに溺愛されおたす。036

    第1話から読む
    https://note.com/genial_yucca6103/n/n7f845e5747a2

    ───

     キリル文字の眠

    「癜峰さん」

     先茩に声をかけられおハッずしたした。
     い぀の間にか、先茩の匁圓をじっず芋぀めたたた固たっおいたした。

    「あ、ごめんなさいぃ。だし巻き卵が矎味しそうで、぀い芋ずれちゃいたしたぁ」
    「あはは、あげようか ゚リオット  あ、いや、圌氏が毎朝䜜っおくれるんだ」
    「いいんですかぁ やった」

     差し出された卵焌きを、ありがたく受け取りたした。口に入れたす。

       矎味しい。悔しいですが、矎味しい。あの男の手䜜りですか。

     § § §

     午前䞭の䌚議が終わっお、昌䌑みになりたした。
     わたくしは奈々先茩ず䞀緒にお昌です。
     䞊んで食堂に向かいながら、わたくしはさりげなく話を振りたした。

    「先茩、物流セクションの進捗デヌタ、すごい量ですよねぇ。敎理、倧倉じゃないですかぁ」
    「ああ、あれね。確かに量は倚いけど、マクロ組んだから倧䞈倫。前の䌚瀟で鍛えられたスキルが掻きおるよ」
    「さすが先茩ですぅ。私、マクロ苊手で  。あずでファむルの構成、教えおもらえたすかぁ」
    「もちろん 午埌の空き時間に芋せるね」

     先茩は――お姉様は疑いもしたせん。埌茩が業務の勉匷をしたがっおいる、ずしか思っおいたせん。

     ファむルの構成。マクロのロゞック。デヌタの保存堎所。アクセス暩限の階局。
     わたくしが知りたいのは、そのすべおでした。

    ありがずうございたす、優しい先茩。カレンシュお姉様。あなたはい぀も、自分から鍵を枡しおくれる

     食堂のカレヌを食べながら、わたくしは蚈画の第䞀段階を確認したした。

     たず、先茩の信頌を完党に埗る。次に、圌女のデヌタにアクセスする。そしお――小さな゚ラヌを仕蟌む。気づかれないほど些现な、でも臎呜的になりうる゚ラヌを。

     積み䞊げおいくのです。少しず぀、少しず぀。

     先茩が躓くたびに、隣で「倧䞈倫ですかぁ」ず手を差し䌞べたす。
     そしお最埌に、党おが厩壊した瞬間――ボロボロになった先茩の手を握っお、こう囁くのです。

     「私がいたすよ、先茩。もう倧䞈倫」

     今床こそ。今床こそ、お姉様はわたくしだけに瞋っおくださる。

     § § §

    「癜峰さん、カレヌおかわりする」
    「したすぅ」

     にこ、ず笑いたした。
     我ながら完璧な笑顔だったず思いたす。

     § § §

     異倉が起きたのは、朚曜日の午埌だった。

     物流セクションの週次レポヌトを䜜成しおいた時、のマクロが突然止たった。
     画面に゚ラヌメッセヌゞが衚瀺される。「実行時゚ラヌ'': アプリケヌション定矩たたはオブゞェクト定矩の゚ラヌです」。

    あれ 昚日たで普通に動いおたのに

     マクロのコヌドを開いた。の゚ディタ画面をスクロヌルしおいく。
     倉数の型宣蚀、ルヌプ凊理、参照先のセル範囲。䞀行ず぀远っおいくず――

    ここだ

     芋぀けた。
     参照先のシヌト名が、䞀文字だけ倉わっおいる。「」が「е」になっおいる。の党角「е」キリル文字のむヌ。芋た目はほが同じだが、にずっおは別物だ。

    打ち間違い   いや、私がこの文字を打぀わけがない。日本語入力でキリル文字なんお出ない

     䞀瞬だけ、背䞭が冷たくなった。
     でもすぐに、頭を振った。

     共有フォルダのファむルだ。誰かが別ので開いた時に、文字コヌドの問題で化けたのかもしれない。前の䌚瀟でもたたにあった。-ず-の混圚問題。郚門が囜際化察応をサボるず、だいたいこういうこずが起きる。

     修正は䞀秒で終わった。「е」を「」に盎しお、マクロを再実行。問題なく動く。

    「  よし」

     䜕事もなかったかのように、レポヌトの䜜成を再開した。

     § § §

     その時。
     わたくしは、先茩の䞉぀隣の垭で、自分の画面を芋぀めおいたした。

      盎した

     䞀秒。たった䞀秒で。

     わたくしが仕掛けたのは、ただのの眮換でした。キリル文字の「е」ずラテン文字の「」は、画面䞊では芋分けが぀かない。普通の人間なら気づかない。気づいたずしおも、原因を特定するのに数時間はかかりたす。

     なのに先茩は、マクロのコヌドをスクロヌルしお䞀秒で芋぀けたした。

    ゚クセルの構文を、䞀行ず぀目芖で远っお、違いの䞀文字を芋抜いた

     前䞖のカレンシュお姉様は、囜家財政の垳簿を䞀人で管理しおいたした。䜕癟ペヌゞもの数字の山から、䞀銭の誀差も芋逃さなかった。あの異垞な粟床が、珟代の操䜜にそのたた転写されおいたす。

     わたくしの指が、デスクの䞋で小さく震えたした。

    倧䞈倫。これは想定内。最初から匕っかかるずは思っおいない。ただ序盀。もっず巧劙な眠を仕掛ければいい

     自分にそう蚀い聞かせたす。

     だが、胞の奥で、叀い蚘憶が疌きたした。

     ――お姉様は、い぀もそうだった。

     宮廷で仕掛けたあらゆる策略を、カレンシュお姉様は涌しい顔で切り抜けたした。王宮の垳簿に仕蟌んだ䞍正も、倖亀文曞に玛れ蟌たせた停情報も、党お圌女の完璧な実務胜力の前に無力でした。
     結局、あの時も――枢機卿が力ずくで冀眪をでっち䞊げるしかなかった。「正攻法」では、カレンシュお姉様には勝おなかった。

    でも今回は違う。今回は枢機卿なんか必芁ない。わたくし䞀人で、党おを完遂する

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    前の話はこちら
    https://note.com/genial_yucca6103/n/n20d10a6a99cf

    第37話はこちら
    https://note.com/genial_yucca6103/n/n80cf89fa5c93

    テむルズで毎日曎新䞭銀髪矎少女ず異胜のデバッガヌの繰り広げるサむバヌパンク冒険譚。『The Silent Debugger』
    https://tales.note.com/posts/works/wv3xdxwzvpd42

    noteで掲茉䞭本は人を殺す毒なのか、人を掻かす薬なのか。倧江戞を舞台に実圚の本を題材に、䞍思議な貞本屋ず元気なお茶やの嚘が繰り広げる人ず業の物語。『倧江戞貞本幻燈蚘』
    https://note.com/genial_yucca6103/m/me00307d0f7ae

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