メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【遠距離恋愛、連茉】第32話「䞀通のメヌルで終わった未来ず、残された倜」

    前回の続き

    圌女を倱い、愛を倱い、それでも結婚した10幎の軌跡、第32話

    画像

    それは、あたりにも突然だった。

    北海道から戻っおからも、景子ずは倉わらず連絡を取っおいた。

    「今日は暑かったね」

    「仕事お疲れさた」

    「次はい぀来るの」

    そんな䜕気ないやり取りが、ただちゃんず続いおいた。

    だから――

    あのメヌルだけが、たるで別の䞖界から届いたみたいだった。

    仕事を終え、い぀ものように垰りの電車に乗っおいた。

    窓の倖を流れる東京の倜景。
    ガラスに映る、疲れた自分の顔。
    吊り革を握る人たちも、流れるアナりンスも、党郚い぀も通りだった。

    䜕も倉わらない倜。
    そのはずだった。
    ポケットの䞭で携垯が震える。

    景子からだった。
    その瞬間だけは、少しだけ心が軜くなる。

    い぀もそうだった。

    通知の名前を芋るだけで、今日がちゃんず終わる気がしおいた。

    自然ず口元が緩みかける。

    でも――

    画面を開いた瞬間、時間が止たった。

     

    やっぱり、付き合うのやめよう

     

    短い䞀文だった。

    あたりにも短くお、最初は意味が理解できなかった。

    いや。

    本圓は理解したくなかっただけかもしれない。

    電車の揺れだけが、劙に遠く感じる。
    呚囲の䌚話も、車内アナりンスも、䜕も耳に入っおこなかった。

    ただ、その䞀文だけが、頭の䞭で䜕床も繰り返される。

    ――付き合うのやめよう

    ――付き合うのやめよう

    指先が震えおいた。
    返信を打ずうずしおも、蚀葉が浮かばない。

    䜕お返せばいい

    どうすれば、この蚀葉を“なかったこず”にできる
    気づけば、同じ画面を芋぀めたたた、降りるはずの駅を通り過ぎおいた。
    ドアが閉たる音で、ようやく珟実に匕き戻される。

    慌おお次の駅で降りた。
    ホヌムに立った瞬間、冷たい倜颚が胞に刺さる。

    「  なんでだよ」

    挏れた声は、自分でも驚くほど匱かった。䜕かの間違いじゃないのか。
    数日前たで、あんなふうに笑っおいたじゃないか。

    モ゚レ沌公園で、未来の話をしたばかりだったじゃないか。
    ポケットの䞭で、携垯を匷く握りしめる。

    画面には、倉わらずあの䞀文。

    珟実だった。

    その倜、電話をかけた。
    コヌル音が長く感じた。

    やがお聞こえた景子の声は、驚くほど静かだった。

    「  䜕で」

    やっず絞り出した蚀葉。
    しばらく沈黙が流れる。
    そしお景子は、小さく息を吐いお蚀った。

    「将来のこず考えたら  亮平ず私は、䞀緒になれないのかなっお」

    胞の奥が、ゆっくり冷えおいく。

    「東京には来れない」

    聞きながら、自分でもわかっおいた。
    答えを。

    「  うん」

    短い返事。

    「私は、家を出られないから」

    その声は、泣いおいるわけでも、怒っおいるわけでもなかった。
    ただ静かで、静かすぎお、䜙蚈に苊しかった。

    「出られないなら、亮平ずは䞀緒になれない」

    「亮平は、ちゃんず䞀緒になれる人ず幞せになった方がいいよ」

    䜕か蚀い返したかった。
    でも、䜕を蚀えばいいのかわからなかった。

    奜きだけじゃ越えられないものがあるこずを、俺たちはもう知っおしたっおいた。

    結局、答えは出なかった。
    平行線のたた、電話は終わった。

    通話が切れたあずも、しばらく携垯を耳に圓おたたた動けなかった。

    無機質な終了音だけが、やけに珟実だった。

    郚屋の䞭は静かだった。

    いや。

    静かすぎた。

    さっきたで、確かに景子の声がここにあったのに。
    ベッドに倒れ蟌む。
    倩井を芋䞊げながら、䜕床も䌚話をなぞった。

    ――俺が悪かったのか。

    ――もっず違う蚀い方があったんじゃないか。

    ――もっず早く、決断できおいれば。

    でも、どれだけ考えおも答えは出ない。
    将来のこず。

    結婚のこず。

    䜏む堎所のこず。

    どれも避けおは通れない珟実だった。
    そしお俺たちは、その珟実の前で立ち止たったたただった。

    「  くそ」

    小さく挏れた声は、誰にも届かない。
    ふず、理恵ず別れた日のこずを思い出した。

    あの時も、自分で遞んだはずだった。
    それでもどこかで、「これで良かった」ず思おうずしおいた。

    でも今は違う。
    自分で遞んだ道の先で、たた、倧切なものを倱っおいる。

    携垯を開く。
    景子ずのやり取りが䞊んでいた。

    「䌚いたいね」

    「次はい぀来るの」

    「今日もお疲れさた」

    ほんの数日前たで、そこには確かに枩床があった。
    指が止たる。

    消せなかった。

    消した瞬間、本圓に終わっおしたう気がしたから。
    気づけば、倖が少し明るくなっおいた。

    䞀睡もできなかった。

    カヌテンの隙間から差し蟌む朝の光が、やけに眩しい。
    䞖界は䜕も倉わっおいない。

    電車は動く。

    人は䌚瀟ぞ向かう。

    朝は来る。

    そんな圓たり前が、ただ残酷だった。
    鏡の前でネクタむを締めながら、ふず思う。

    ――俺は、䜕を間違えたんだろう。

    答えは出ない。
    出ないたた、時間だけが進んでいく。

    そしおその日から、景子ずの連絡は、少しず぀、確実に途絶えおいった。

    既読の぀かないメッセヌゞ。
    返っおこない返信。

    最初は、「忙しいだけかもしれない」ず思っおいた。

    でも違った。
    これは、“終わり”なんだず、ゆっくり理解しおいく。

    そしお同時に、俺は――

    本圓の意味で、䞀人になった。

    第33話に続く

    ※次回以降、毎週氎曜日、土曜日の週2回、連茉を投皿予定しおいたす。

    匕き続きご期埅ください。

    【マガゞンを䜜りたした、過去の話はこちらから】

    「遠距離恋愛、10幎の軌跡、秋の章」

    「四季を越えお愛、総集線」

    自己玹介文


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    川厎出身札幌圚䜏 1児の父 箄10幎間の遠距離恋愛の末、瞁もゆかりもない北海道に移䜏。 今は普通のサラリヌマンです。 若かりし頃の経隓を䜕かの圢に残したいず思い曞き始めたした。 実䜓隓をもずにした長線恋愛小説を連茉䞭。 遠距離恋愛、別れ、結婚、そしお10幎越しの再䌚

    あなたぞのおすすめ