
教えてください、烏丸先生Ⅱ #28 桃井朔Ⅱ
教えてください、烏丸先生Ⅱ #28
最終章・第3話 桃井朔Ⅱ
なんで「アレ」が黒板に貼ってあるんだよ。
僕が持ってたはずだろ。
あいつから渡されたけど、僕が貼ったところを見られたら、僕も共犯になるだろ。だから机の中に入れてたのに、もしかしたら落としたのか。
理科室に行くときか。結構慌てて行ったからその時に落としたのかもしれない。
最悪だ。
席替えのクジで不正をしただなんてバレたら、一緒にやってた学級委員の僕まで疑われるじゃないか。品行方正な僕の経歴に傷がつくだろ。
大体僕はこんなことするのに賛成してない。
こんなこと書いたら、真っ先に藍原が疑われるに決まってるだろ。
よく考えてみろよ。
藍原がこんなことするわけないだろ。
藍原だったら黒板にデカデカと自分で書くだろ。
それに藍原だったとして、クジの不正がバレるってことは、藍原と萩原の不正がバレるってことでもあるんだぞ。
藍原はそこまでバカじゃない。
言葉遣いと我儘を除けば、自分の評判を進んで落とす真似はしない。
隣の席に一か月いたらそれくらいはわかる。
文章も少しおかしい。
『黒瀬凛は不正をした。信用してはならない。』
不正をした、だけでいいのに。信用してはならない、まで書く必要はあるのか。
書いた意味はなんだ。考えろ。
これを書いて、皆が見て、得するのは誰だ。
まさか。
そんなことがありえるのか。
僕はもう一度貼り紙を見た。
それを見ているクラスの皆を見た。
教室から家庭科室に向かう背中に声をかける。
「椿さん」
立ち止まった椿さんに近づく。
周りに聞こえない声量にボリュームを落とす。
「貼ったのは、椿さんかい」
椿さんはコクリと頷いて言った。
「貼って、って言われたから」
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