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Episode 3 ― プラハの影と契約の真実

    成田空港を発ったアキラ、ケンタ、タクヤ、そしてイヴァンの一行は、半日後、チェコ・プラハの空港に降り立った。

    「……やっぱ寒いな」

    ケンタが肩をすくめ、コートの襟を立てる。

    「プラハの冬は厳しいからな」

    イヴァンは手慣れた様子でタクシーを拾い、荷物をトランクに積み込むと、全員を後部座席に誘った。

    「で、行き先は?」

    タクシーの運転手が尋ねると、イヴァンは静かに答えた。

    「黄金の小道(Zlatá ulička)だ」

    アキラが怪訝そうに聞き返す。

    「黄金の小道……?」

    「中世の錬金術師たちが住んでいたとされる路地だ。今は観光地だが、私の祖父が残した手記に、そこに隠された地下室の存在が記されている」

    車内の空気が張り詰めた。

    「まさか、その地下室に『禁断のレシピ』が……?」

    タクヤの問いに、イヴァンは曖昧に笑った。

    「分からない。だが手がかりはそこにあるはずだ」

    車は石畳の道を走り抜け、プラハ城の麓に到着した。
    冬の冷たい風が吹き抜け、カフェ・トリニティの一行は防寒具を整え、黄金の小道に足を踏み入れた。

    小道の奥、観光客の立ち入りが制限された古びた扉の前でイヴァンが立ち止まった。

    「ここだ」

    彼は懐から鍵の束を取り出すと、一つの小さな銀の鍵を選び、慎重に鍵穴に差し込んだ。

    「おいおい、どうしてそんな鍵を……?」

    ケンタが驚くと、イヴァンは淡々と答える。

    「祖父が残したものだ」

    ギィィィ……。

    重い音を立てて扉が開くと、そこには古びた石造りの階段が続いていた。

    「行こう」

    アキラが先頭に立ち、懐中電灯をかざしながら階段を降りていく。
    薄暗い地下室には、古びた実験器具やガラス瓶、分厚い書物が散乱していた。

    「すげぇ……まるで映画のセットみたいだな……」

    ケンタが感嘆の声を上げる。

    だが、アキラは一点を見つめていた。

    地下室の奥、壁に刻まれた奇妙な紋章。
    それは、佐伯さんが残した暗号メモに描かれていたものと同じだった。

    「間違いない、ここだ」

    アキラが近づき、壁に手をかざす。

    その瞬間――。

    「――来ると思っていたよ」

    不意に、地下室の奥の闇から声が響いた。

    一同が振り返ると、黒いコートを羽織った長身の男が立っていた。

    「君たちがここまで辿り着くのをね」

    「お前は……誰だ?」

    アキラが問い詰めると、男はゆっくりとフードを下ろした。

    「私は――“秩序の番人”だ。
    『禁断のレシピ』を悪用する者を抹消するために存在する組織の一員だ」

    空気が一気に張り詰める。

    「だが残念だ。君たちはここで終わりだ」

    男がポケットから何かを取り出した瞬間――。

    「下がれッ!」

    イヴァンが叫び、全員をかばうように飛び出した。

    銃声が響く。

    ……。

    ――次回へ続く。

    ⸻

    次回予告


    プラハの地下室で対峙する“秩序の番人”。
    迫る銃弾、交錯する思惑――。

    アキラたちはイヴァンを守り、真実に手を伸ばせるのか。
    地下に封じられた「禁断のレシピ」の正体とは?
    そして、佐伯さんが追い求めた最後の答えとは――。

    次回、
    Episode 4 ― 古文書の迷路と裏切りの微笑


    運命を、越えろ。


     
     

    和人

     
     
    和人 52歳。 放送大学で学びながら、 小説『Café Solas』を執筆中。 就職氷河期世代として、 仕事・学び直し・健康・老後について考えています。 50代のリアルな日常と、 学び直しの記録を発信しています。 小説とエッセイを中心に更新中。

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