メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【゚ッセむ】蚀葉のひんかく       

     人の話す蚀葉には衚情があるず私は思う。蚀葉そのものにはもずもず明るさずか暗さの色合いはあるのだが、それらは話し手の顔぀きや身振り、それに声音や間合いにより埮劙に増幅される。その党䜓に聞き手が自分の感受性や想像力も盞たっお共鳎するのでないだろうか。その兞型を挔劇に芋るこずができるず思う。芳客は生掻的には挔者ず䜕の関係もないのに、その挔技セリフに感動しお笑いもするし涙も流す。

     それでは小説の䞭でのセリフはどうだろうか。䜜䞭の䞻人公の喜怒哀楜に感情移入しお、読者はやはり笑うし涙する。ここでは生身の人はいないのだが、蚀葉による描写力で読み手の情感を刺激する。挔劇では蚀葉の向こうに人が介圚するが、小説では蚀葉だけで動く挔者の蚎求はないのに読み手の心は揺れ動く。それはなぜかずいえば、蚀葉を介しお読者は人の䞖の真実を芋るからだず私は思う。

     いずれにしおも語圙そのものにはそれぞれ意味はあるのだが、その意味がその堎の人による䜿われ方で額面通りの意味でなくなる堎合があるこずは誰でも経隓したこずがあるず思われる。子䟛のころに、䞎えられたお菓子を本圓は食べたいのにいらないず蚀ったり、思春期に奜きな女の子に嫌いず蚀ったり、数え䞊げればきりがなく出おくる本心ずの乖離である。

     人の発した蚀葉の本圓の意味は本人しか分からないのだが、腹が痛いずいえば、盞方はどこが痛いのず疑わずに玠盎に心配するのが䞀般ずいえるだろう。実は痛くもかゆくもない、ただ盞手の関心を埗たいだけずいう事もありえるから厄介になる。かっおむ゜ップの寓話で『オオカミ少幎』を読んだこずがある。確かヒツゞ芋匵りの少幎が倧人を驚かすためにありもしないオオカミの来襲を知らせたが、そんなこずを䜕回もやったため、本圓に来た時には、誰もが信甚しなくなっおいたので助けに来なかったずの話だったず蚘憶しおいる。

     嘘を぀けば信頌を倱うずの教蚓だずいえるが、これが䞀般瀟䌚の垞識的な䟡倀芳だず思う。前にも曞いたが、嘘を぀くなは哲孊者カントの䞻匵で、これが普遍化すれば人の関係は成立しないずいうものだ。珟䞋の情勢を芋れば劙に説埗力があるように感じおしたう。囜際瀟䌚でも囜内でも停情報があふれ返っおいるではないかず思えば、䞀般の人はその真停を確かめようもなく困惑するばかりずなる。本圓にどうすればいいんでしょうか。

     普通の日垞の人間関係では、お互いに心ず蚀葉の乖離は基本的にはない蚳で倚少の行き違いは生じるこずもあるだろうが、盞手の人ぞの信頌の䞊に立っおいるこずは蚀うたでもないだろうず思う。平穏な普通の瀟䌚は呚りを疑わなくおもよいのだろうが、昚今はこれたでの信頌瀟䌚が倱われ぀぀あるようで心配になる。

     それが地球芏暡で芋おも同じで、䞖界の平和の枠組みが壊れようずしおいる。自囜の゚ゎのみで他囜を省みないで攻撃をし、力だけで抑えようずする。それを容易にするための蚀葉の暎力があらゆるコミュ媒䜓を通じお䞖の䞭に拡散する。物欲だけの䞖界でこの䞖に正矩も理念も芋られない。神の絶察的な拠点を倱った人間なのにその䞊さらに人同士の安心の絆を非情に打ち砕き、よるべなき孀立の淵に投じようずいうのだろうか。

     第二次䞖界倧戊埌に築かれた平和の秩序がきしんでいる。平和維持のためには䜕が必芁なのか。それは戊争をしないこずだずいえるのだが、蚀葉では簡単なのにずおも難しい。䜕故ならば、はるかな叀から珟圚たで、人類瀟䌚では限りなく平和を損なう戊争発生ずの道のりをたどっおきたのだから。それらの過去の実盞は曞物に曞かれた文蚀から知るこずができる。

     䟋えば、垝政末期のロシアの文豪トルストむが著した『戊争ず平和』ずいう壮倧な名䜜がある。19䞖玀初頭にフランスの皇垝ナポレオンに䟵略されたロシア貎族瀟䌚における人々の動静を描いおいる。戊争の残酷さや非情さの䞋でのロシア囜民の抗戊、若者たちの参戊や、恋を描き、戊争の意味や人が生きるこずの意矩を問うおいる。
     この倧䜜は埌にむタリア・アメリカの合䜜で映画化されおおり、䜜䞭のナタヌシャをオヌドリヌヘップバヌンがピ゚ヌルをヘンリヌフォンダそしおアンドレむをメルファヌラヌが挔じおいる。音楜は『倪陜がいっぱい』でもご存知のニヌノ・ロヌタだった。その埌に゜連がこの䜜品を四郚䜜で映画化しおおり、ご芧の方もおられるのではなかろうか。

     いずれにしおも蚀葉ずは、発信者の意図で圩色され、受信者のフむルタヌ越しに認識される真莋䜵せ持぀魔法のツヌルずもいえるのでなかろうか。幌児のころから習い芚え、生涯同䌎する離別のないのが蚀葉なのだ。それが昚今、正邪混圚、玉石混淆、良きも悪しきも䞖の䞭にあふれお煮えくり返っおいる。こんな悪環境で無力な私にできるこずは、ずにかくこれらの蚀葉矀に察し、吞み蟌たれないように䞻䜓的な察応をするずいう事かなず思っおいる。

     これたで蚀葉に関しお䜕篇か゚ッセむを曞いたけど考えるほどに分からなくなる。本圓のずころ蚀葉っお䜕ですか。それは、人がお互いに蚀葉を亀わしお理解しあうずいうのが基本なんでしょうが、その堎合、蚀葉の䜿い方が人の評䟡に密接に絡んでくるずいうのがある。䞀般的にはそれぞれの生掻環境で自然に身に぀くものず思うが、スムヌズな意思疎通のためにも䜿う蚀葉の品栌には気を付ける必芁があるのではなかろうか。


     
     
    定幎退職埌に本を曞き、これたでの著䜜の刊行は『人の䞖の物語』ず『ブロンズの母』それに『孫のおあいお』や『バックミラヌの残圱』がありたす。この床、note投皿の『峠の向こう偎』を二月二日に曞籍化したした。アマゟン通販

    あなたぞのおすすめ