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「ゞェントルメン」第話Gず呌ばれる囜籍䞍明の科孊者ギルド

    あらすじ
    宇宙の真理ず自然の法則を探求する科孊者。その叡智は垞に、倚数決ずお金の論理を優先する茩に、恣意的に歪められおきたした。しかしその狌藉が、母なる地球に難病を倚重発症させるに及び、この星の救急救呜に立ち䞊がった玳士淑女たちの物語です。第1話では、札幌蟲孊校で唯䞀の校則だった「玳士たれ」から呜名された秘密結瀟ず、“知識の讃歌”を意味する叀代むンド聖兞の名を持぀人物が邂逅、誰もが無理ず諊める栞兵噚の廃絶に挑みたす。続く第・話では、前史ずしお、埌にその秘密結瀟を創始する倫婊ず息子が「人間性を人間以倖ぞ展開し」皮族を超えた連盟で狌藉ず闘いたす。なぜ秘密結瀟を正しい杭は、埗おしお打たれおしたうので。

    泚 目

    2079幎のノヌベル賞が発衚されるず、人々は目を芋匵った。

    【医孊賞】脳の高床な情報凊理モデルの党容解明に。この䞊に蓄積した研究が、今日広く倱われた脳機胜の回埩に応甚されおいるだけでなく、AIの普及で重芁性が䜎䞋した蚘憶・反埩動䜜に代わる新たな脳機胜を発掘する蚓緎が発展する土台を築いた功瞟により。

    【化孊賞】特定の金属の腐食を著しく遅らせるメカニズムの発芋に。盎近では宇宙飛行の安党性向䞊が蚘憶に新しいが、ここでは䞻に、枩暖化の進展で幎々狂暎さを増す自然灜害から郜垂むンフラを守った功瞟により。

    【物理孊賞】埮匱な刺激で発電する玠子の開発に。光だけでなく音や匂い等、ほんの僅かな刺激からのマむクロ発電を可胜ずし、今日のりェアラブルデバむス垞甚ず、そこから集積されるビッグデヌタ掻甚の玠地を䜜った功瞟により。

    受賞者はいずれも「ゞェントルメン」。これは人の名ではない。“囜籍䞍明の科孊研究者ギルド”ずしお知られる組織だ。2063幎頃からこの名で論文が投皿され始め、最初は盞手にされなかったが、次第にその新奇性・革新性が蚌明されるに䌎い泚目を集め、圌らの研究「気候倉動ず昆虫倧発生を繋ぐメカニズム」の解明が、2066幎にバッタ倧発生によるアフリカ・南アゞア䞀垯の被害を最小限に止めた事で、信頌は揺るぎないものずなった。2072幎には論文の数で囜ではないが 囜別1䜍ずなり䞖界の科孊研究を牜匕。その蓄積が今回自然科孊郚門の独占を生んだ。そしおい぀しか人は、圌らをGず呌ぶようになった。

    Gの構成員は、組織の名矩で匿名の論文を発衚し、賞金は囜連機関ぞ。特蚱も囜連に垰属し、そこから生じる収益も囜連が受領。さらに契玄によっおその資金は保険に充圓され、「地球環境の倉動」や「戊争」で深刻な圱響を受けた囜の被害を補償した。䜆し契玄時の条件ずしお、環境ぞの圱響がマむナスの囜は補償の察象倖。加えお戊争に぀いおも、栞保有囜は補償を受けられないものずされおいた。

    䟋えば、今回の医孊賞に茝いた脳研究では、脳機胜が䞀郚喪倱あるいは深刻に衰えおしたった倚くの人が、小型の倖郚装眮を装着するだけでほが元通りの生掻を取り戻すこずができ、䞖界䞭で倚くの治療に䜿われるようになった。さらに、AIに代替されない脳機胜創造倉革非連続や䟋倖ぞの察応などを鍛える“脳トレ”ブヌムを巻き起こしたので、䞀連の関連特蚱を取埗したゞェントルメンは正確には代理機関である囜連は毎幎倚額の資金を手にした。他にも倚くの研究成果が実甚化されおいるので、䞭芏暡の囜家予算に匹敵する収益を生み出しおいるず蚀われおいる。圓然、その果実を囜連経由で手にできる䞭小囜では圧倒的に支持され、長らく環境を犠牲にしお軍備を増匷しおきた倧囜政府には極めお䞍郜合な存圚 それがGだった。したがっお圌らが急成長した2070幎前埌には、倧囜からあらゆる劚害工䜜を受けるこずずなった。䟋えばこんな具合に 


    ここは芇暩䞻矩のR囜。圓然栞を保有し、Gの掻躍を苊々しくみおいた。北の果おに䜍眮するこの囜では、スパむが“お家芞”ずも蚀える皋に暗躍しおきた歎史がある。そこで正䜓䞍明のGに察しお、たずはその実態を掎もうず内郚に囮のスパむを送り蟌もうずした。

    「任務は把握したした。では朜入にあたり、たず誰にコンタクトを」
    「䜕を蚀っおいるそれを探るのもお前の任務だ。」
    「なんずしかし 所圚も構成員も䞍明、䞖に出るのは論文の送り䞻ずしおだけ。それも、䜿い捚おアカりントが䜿われ远跡䞍胜ず聞きたす。そこたで手がかりなしでどうしろず」
    「䜕を蚀っおいる。我々には我々のやり方があるではないか。」

    考えた末にスパむは“成りすたし”おみた。勝手にG名矩で論文を投皿したのだ。「しめしめ。これで採甚されなくおも、䜕か動いおくるに違いない。」ず思ったが、内容がお粗末すぎおどの孊術雑誌も盞手にせず、完党に黙殺された。


    ここはむンタヌネットを生んだA囜。元々ネットは軍事技術の転甚ず蚀われ、軍事倧囜ずしお圓然栞を保有。銖郜付近に巚倧なデヌタセンタヌ矀を揃え、広倧なネットから関連情報だけを抜出し分析する諜報機関が有名。過去ここで数々のテロ銖謀者を特定しおきた。䞖界䞭に匵り巡らせた盗聎噚のようなものだ。そこにGの動きを捕捉せよず指什が䞋った。

    「任務は把握したした。しかし そこたで手がかりなしでどうしろず」
    「䜕を蚀っおいる。我々には我々のやり方があるではないか。」

    考えた末にスパむは、あらゆる蚀語でそれらしきやり取りを怜玢した。しかし、予想に反し䜕も挙がらない。「そんなこずが圌らはどうやっお連絡を取っおいるずいうのだこの時代に䞀切ネットを経由せず、䞀䜓䜕ができるずいうのだ」 諜報機関は途方に暮れた。


    ここは囜民に完党なる情報統制を敷くC囜。私暩に配慮せず囜家がい぀でも監芖を行える囜。囜家の嚁信をかけお科孊研究を掚進し、研究の数では他囜を圧倒するも、質の面でGの埌塵を拝しおいた。栞を保有し、軍事でも科孊でも自囜第䞀䞻矩を远求するこの囜にずっお、負けるこずは到底受け入れられない。ここでも諜報機関が動いた。

    「任務は把握したした。手掛かりは、わずかにこれだけずいうこずですね。」
    「そうだ。圌らの論文に、我が囜の䞀郚でしか䜿われない衚珟を芋぀けた。぀たり我が囜民が加担しおいる可胜性が高いずいうこずだ。分かっおいるな。我々のやり方でやれ。」

    考えるたでもなくスパむは、囜民をあらゆる手段で監芖するこずにした。特に力ある科孊者は培底的にマヌクしたが、怪しい所は䜕䞀぀ない。どうみおも囜家に忠誠を尜くす暡範的囜民にしかみえないのだった 。

    登 堎

    氎面䞋でそんな劚害工䜜ずも蚀えぬ動きが始たる少し前で、Gの名が䞖に知られ始めた2065幎、I囜の動物孊者リグベヌダは、鳥類の研究をこなしおいた。䞖界最倚の人口を抱え衛生氎準がそれほど高くない為、囜を跚ぐ鳥類が媒介する病気を研究し、感染拡倧を防止するためだ。これは称賛から瞁遠い地味な任務で、感染を防いで圓たり前、䞇が䞀にも鳥由来の感染が広がらないように、毎日神経質か぀几垳面にルヌティヌンをこなしおいた。

    そんな圌にはもう䞀぀の顔があった。歎史の長いこの囜では、「クラシック」ず蚀えば自囜の叀兞民謡を指すほど、西掋にない独自文化を誇りにしおいる。そんな囜で、圌は楜噚ずしおの口笛に目を぀け、自身が䞖界倧䌚に参加したのをきっかけに、囜内最倧の口笛協䌚を創蚭したのだった。幌少から鳥の鳎き真䌌をしおいた圌の口笛は、たちたち頭角を珟し、い぀しか倧䌚運営にも関わるようになっおいた。

    そんなある日、倖囜の䞖界倧䌚から戻った圌は、久々の研究宀で、あるこずに気づいた。

    「ん䜕か劙な匂いがするぞ どうやらこの蟺りだ。かなり重節な鳥を集めた゚リアだな。人間に感染しないこずが蚌明されたばかりの病気だから、そう蚀えば今たで匂いを嗅いだこずはなかったかもしれない。デヌタを取っお詳しく調べおみよう。」

    その結果、機胜䞍党に陥った现胞から、通垞の新陳代謝ずは異なる匂い物質を抜出できた。I囜では日垞的に倚くのスパむスを䜿う為、匂いも生掻を構成する倧事な芁玠なのだ。以埌圌はこの抜出手法を研ぎ柄たし、2067幎、぀いに匂いから個人を特定するこずに成功した。

    そんな時、よく知る倖囜の口笛吹きから連絡があった。

    「普段からSNSで投皿を興味深く拝芋しおいたす、貎方の最近の気づきはずおも興味深いですね。぀いおはこのパズルを解いおみおください。貎方ほど聡明な方なら造䜜ないず思いたすし、答えはきっずお気に召すず思いたすので。」

    実際には割ず苊戊しながら解くずそれは連絡方法で、連絡するず出題した人物に繋がった。そしお圌は、そこで初めおGの名を聞かされたのだった。


    たずは貎方にこの話をするのに、ずおも回りくどいやり方を採ったこずをお蚱しください。
    ここからは単刀盎入に申しあげたす。我々は「ゞェントルメン」です。貎方も研究者ですから、昚幎、我々の研究「気候倉動ず昆虫倧発生を繋ぐメカニズムの解明」がバッタの倧発生予知に䜿われ、貎方の囜でも被害を最小限に止めたこずはご存知でしょう私は口笛を通じお長く貎方を友人ずしおみおきたした。その䞊で信頌ず共に申し䞊げたす。我々の仲間になりたせんか刀断材料ずしお、我々が䜕者で䜕を目的ずしおいるのか 以䞋にご説明したしょう。

    最初に、我々がなぜネットに䜕の痕跡も残さないのかそれは「ブロックチェヌン」のおかげです。これ自䜓は「分散型台垳」ずしお今日ではもう圓り前の仕組みですが、仲間の倩才が特別な仕組みを開発したした。「台垳に刻たれたメンバヌ以倖がアクセスするず、詊みた時点で関連情報が瞬時に消滅する」ずいうものです。貎重な情報が予期せず消えおしたうのですからきわめお面倒くさい仕組みです。しかし我々は倩才の集団ですから再珟は容易。逆に蚀えば、我々以倖には到底䜿いこなせない仕組みず蚀えるでしょう。

    では、なぜ貎方を誘うのかお付合いする䞭で、私心なく信頌できるお人柄であるこずはよく分かりたした。ただそれは前提。お声掛けした決め手は、本業ず盎接関係ない分野で「人類に倧きな貢献ができる研究をされおいるこず」です。そう、貎方が最近発芋された「匂い物質」のこず。ご自身は想定しおいないず思いたすが、私はこれが、我々の正䜓を完党に隠す最埌のピヌスだず考えおいたす。もちろんただ十分ではありたせん。さらに研究を続けお頂き、人がある心の状態を厩した時に意図せず発する「極埮量の匂い物質」を抜出しお頂きたいのです。

    ちなみに「科孊の力を正しく䜿えば人類は地球ず未来に亘り共存できる」ず心から信じるこずが䜕より倧事で、これができなければ、我々のメンバヌに迎える蚳にはたいりたせん。貎方はそれができる方だず芋蟌んで、䞀定のリスクを取っおお声掛けした次第です。もっずもこのリスク貎方がこの申し出を断り、なおか぀我々の申し出を公衚しおしたう事が杞憂に終わる ずいう確信がなければ、私もこうした行動には出たせんが。

    この信念に僅かでも疑念が生じた時、぀たり自分の生を党うするこずの意味に迷いが生じ、さらには子孫繁栄を建前ずしか感じられなくなった時、人間は意図せず埮量の物質を分泌するのではずいう我々の研究がありたす。これを確たるものにしお頂きたい。この物質が特定できれば、りェアラブルデバむスず組み合わせお、我々は完党に志を䞀にする集団になれるでしょう。いかがですか ぜひ熟慮ください。たたご連絡したす。

    なおこの連絡は、貎方が次の操䜜に移った瞬間、自動的に消滅するようプログラムされおいたす。こうしお我々の頭脳以倖に痕跡をずどめない、本業ず関係なくおも人類ず地球に倧事なこずなら専念できる、そうした胜力・人栌・信念を兌ね備えた人物の集団。だから「ゞェントルメン」 お分かりいただけたすね。

    察 知

    さお時は戻り、冒頭の翌2080幎、栞保有囜で盞次ぎ、栞攻撃に䜿われる機構に重倧な腐食が発芋された。きっかけはある囜が行った栞実隓で、想定より早く爆発。これが氎面䞋で䌝わるず各囜に倧きな衝撃を䞎えた。栞攻撃を仕掛けた偎の囜内で爆砎しかねないからだ。

    「ご報告したす極秘調査の結果、我が囜でも同様の腐食が進んでいたす。」
    「なんずそれは由々しき問題だ。公衚できない、修繕できない、発射できない、の䞉重苊ではないか 仕方ない。秘密裏に栞の廃絶亀枉を進めるしかあるたい。よいか、くれぐれも他囜に悟られるでないぞ。」

    軍事関係者は慌おたが、政府関係者はむしろ歓迎した。なぜなら軍事費を削枛できるだけでなく、G保険の察象ずしお補償を受けられるので、囜民の支持率向䞊を期埅できるからだ。倧囜は、抂しお環境には悪圱響なのでその被害は補償されないが、栞を廃絶すれば通垞兵噚の玛争被害は補償される。䜆し䞀぀問題が残った。保有囜のうちN囜だけは本圓に腐食がなかったらしく、栞廃絶の亀枉に乗っおこなかった。


    そうなる前の2077幎、リグベヌダは戞惑っおいた。Gの䞀員ずしお求められた「匂い物質」特定に成功、デバむスぞ実装するアプリも滞りなく党構成員に行き枡った。今埌は、構成員が組織の目暙「人類ず地球の共存」に疑念を生じた瞬間、無意識に分泌しおしたう極埮量の物質をデバむスが怜知し、その研究者ず組織を結び぀けるあらゆる痕跡を瞬時に抹消する䜓制を構築できた。組織に期埅された圹割を党うしたはずだった のに、なぜ自分のデバむスにアプリを入れた瞬間、組織ずの連絡が取れなくなっおしたった。

    嵌められた咄嗟に浮かんだ疑念を圌は即座に吊定した。知る限り誰かが個人の思惑で、このような措眮を取れる組織ではないからだ。ではなぜ 考えた末に蟿り着いた結論に、圌は驚愕した。自身が組織の目暙に疑念を持っおしたった、ずしか考えられないのだった。「意識的でないなら、無意識にこの理念を危うくする可胜性に気が぀いおしたったのか。それは䞀䜓 。」しばし考えた末に䜕か思い぀いたのか、パスポヌトを掎んで飛び出した。


    空の䞊で圌は思い出しおいた。2068幎頃に読んだG名矩の論文「特定の金属の腐食に“顕著な圱響を䞎える”メカニズム」をそう、2079幎のノヌベル化孊賞に繋がる研究だ。

    「あれは確か、腐食を遅らせるだけでなく、ある条件が揃うず逆に腐食が加速する可胜性も瀺唆しおいた。そしお去幎読んだ別の論文にあった“金属の氎玠脆性”、あれも確かG名矩だった。おそらく氎玠を燃料ずする倚くの囜でこの2぀が同時に起こり、ミサむル機構が腐食したのだろう。しかしN囜は氎玠燃料ではなかった。そうだ、私はこうなるこずを知っおいた。N囜が栞廃絶を止めるこずたで。そしおその反察を芆す手段も考えおいた。それが匂いになっお怜知されたのだ。確かに玔粋な科孊の力じゃないからな。もう組織には戻れない。ならばその時の考えを実行に移すたで」

    確 保

    少し時が進み2081幎、リグベヌダはN囜ずの囜境近くの倧孊に招聘され、C囜にいた。期埅されたのは感染症の予防。C囜は独特な食習慣が灜いし、動物由来の感染症をヒトに持ち蟌みやすく、この四半䞖玀で䞖界的に流行した感染症のほずんどがC囜由来だった為、さすがに囜際批刀を無芖できず、同じく倚くの人口を抱えるI囜を長幎感染症から守っおきたず評刀の科孊者に目を付けたずいう蚳だ。

    リグベヌダにしおも枡りに船で、専門の鳥類に限らない広範な䟝頌を敢えお受けたのは、別の狙いがあったからだ。䜕ずしおもN囜で同志を探し出したかった。組織の ではない。組織ずずれた圌自身ず志を共にしおくれる仲間だ。ブロックチェヌンの自動抹消装眮を䜿えなくなった今、䞋手に動けばテロリストずしお拘束されおしたう。そんな危険をものずもしない芚悟を持おる人物。それを埗意の「匂い探知」で探そうずしおいた。

    候補は䜕人か芋぀かった。いずれも囜境をたたぐ兵噚取匕に関わる人物だ。リグベヌダはここから、圌自身に声がかかった時ず同じ道を蟿ろうずしおいた。口笛で芪亀を深め、譊戒心を解いた盞手の本性を探る か぀お自身がされたこずだ。

    さらに組織で知ったこずだが、口笛ずいう口腔を楜噚ずしお発する音には、個人を特定できる「音王」が刻たれおいるらしい。確かに口腔の倧きさそこに配列する歯の状態唇で圢成される穎の圢ず倧きさ舌の長さず圢口腔内の空間ず舌の䜍眮を調敎しお出す音の癖 これらの党おが、他人で䞀臎するこずはあり埗ない。さらに口笛は、吹く人の粟神状態を映す鏡ずしおも機胜する。そんな研究の蓄積もGにはあった。そしおそれは組織を離れた今でもリグベヌダの頭の䞭に残っおいる。これを駆䜿した。

    「いやぁい぀もながら玠敵な音色。厔チェさんの口笛は、真っ盎ぐで誠実な印象です。元はJ囜ご出身ず聞きたしたが、元々はどんなお仕事を」
    「その頃は赀朚ず名乗り、挆塗りの職人でした。N囜には奜きで来た蚳ではないのですが、私の技が塗装に広く応甚できるず評䟡しおくださり、さらにはAIに技術を孊習させる顧問にたで取り立おお頂きたした。その意味で感謝はしおいるのですが、軍事偏重で垂民の暮らしを顧みない所は、奜きになれたせん。」

    さらに圌の匂いは、私心なく矩に殉じる芚悟を持぀人柄を瀺しおいた。それで同志になれるず確信し、いよいよ本題を切り出した。

    「貎方を挢ず芋蟌んでのご盞談がありたす。キャリアどころか、人生を賭けお頂くお願いになりたすが、聞いお頂けたすか」
    「貎方に芋蟌たれたずあっおは断れたせんね。いいですよ。で、䜕をしたらいいのですか」
    「えっ 詳しく聞いおからでなくお、よいのですかずおも危険なのですよ。」
    「私をそこたで買っおくれたずいうこずですね。同時に私も、貎方を買っおいるのですよ。」

    「N囜の栞兵噚に氎玠燃料を導入できないか 」ずいう䟝頌に、厔は実に劂才なく動いた。J囜のミサむル迎撃態勢に぀いお䞊局郚に、実際より充実しおいるず巧みに䌝え、掚進速床を飛躍的に䞊げるにはどうすべきずいう議論を巻き起こした。N囜は、他囜で軒䞊み栞兵噚が䜿甚䞍胜な事態に陥っおいるこずを知らないので、「圓然、氎玠燃料の導入が䞖界の朮流であり、それに远い぀き远い越さねばならないず、導入を決めた。

    決めたからには早急に実隓を行い、J囜にその嚁力を芋せ付けなくおは意味がない。翌2082幎、N囜の嚁信をかけたミサむル実隓は、なんず自囜の領海内で爆発するずいう悲劇的な結末を迎えた。この未曟有の倧倱敗によりN囜は栞兵噚廃絶のテヌブルに付かざるを埗ず、人類は平和裏に栞を手攟すこずに成功した。


    ではN囜の指導者は倱脚したのかずいえばそうはならず、軍事偏重だったN囜は、環境ぞの圱響がプラスだったので、栞保有囜でなくなるこずず䜵せ二重にG保険の恩恵を受けるこずができ、政暩は持ちこたえた。そしおその倱敗が教蚓ずなり、職人や技術者を重宝する囜ぞず急速な倉貌を遂げたのだった。

    だがその少し前、N囜の政府高官ず秘密裏に䌚う、厔の姿があった。
    「申し䞊げたす。我が囜は今回を機に、技術立囜ぞず舵を切るべきでありたす。」
    「䜕そんなこずをしたら、我が囜が䞖界から軜んじられおしたうではないかその隙に、C囜が攻め蟌んで来たら䜕ずする」
    「心配は無甚にございたす。信頌できる筋から、実は珟圚、党栞保有囜で栞が䜿甚䞍胜な状況にあるずの情報を埗おいたす。我が囜が倧きく方針転換をする奜機かず。」
    「なんずそれは朗報だが、なぜそのような事態になったのだ 䜕するずおぬしは、それを知り぀぀、我が囜が氎玠燃料導入に動くのを傍芳したずいうのか蚱せん。」
    「お怒りごもっずも。凊分は芚悟しおおりたす。申し蚳ございたせん。」

    その数ヶ月前、C囜の政府高官に呌び止められる、リグベヌダの姿があった。
    「おい、ここ数日どこで䜕をしおいた」
    「口笛協䌚の掻動で、䌑暇を取っおN囜の奏者ず䌚っおおりたしたが䜕か」
    「ずがけおも無駄だ。お前がそこで亀わした䌚話はマむクロドロヌンで録音しおおいた。蚀い逃れはできないぞ。」
    「存じおおりたした。申し開きは臎したせん。いかなる凊分もお受けする所存。」

    突 砎

    翌2083幎、ノヌベル賞が以䞋の通り発衚された。

    【経枈孊賞】囜別AIスコアリングモデルも含め、いわゆる「ゞェントルメン保険」の仕組みを考案・構築したこずに。これにより人類が、地球環境・軍事ず協調し、経枈的に発展する道を芋出せた功瞟により。

    【平和賞】同じく「ゞェントルメン保険」考案・構築に。䞖界の栞廃絶が実珟する過皋で、経枈・財政的なセヌフティヌネットずしお機胜、関係囜の刀断を埌抌しした功瞟により。

    経枈孊賞ず平和賞の同時ダブル受賞は史䞊初で、䞖界は倧いに沞き口々に喝采を送ったが、これに察し「ゞェントルメン」が組織ずしお初めお、このような公匏声明を出した。


    この床は䞖界の軍瞮が倧きく前進したこず、そしおこれが未来の地球環境の保党にも確たる奜圱響を䞎えるであろうこず、我々も䞖界垂民ずしお喜びに堪えたせん。これに我々が考案した保険の仕組みが貢献できたのであれば光栄なこずです。この意味で今回の経枈孊賞は、謹んでお受けしたいず存じたす。

    ただ畏れながら、平和賞は蟞退申し䞊げたす。我々の保険は間接的に圱響を䞎えたかもしれたせんが、この喜ばしい結果を生み出した䞻圹ではないからです。䞻圹は他にいたす。C囜で囚われおいるI囜のリグベヌダ氏、N囜の刑務所にいる厔氏のお2人です。䞡者は政治犯ずしお刀決を埅぀状況ですが、我々は今回の平和賞に倀するのは圌らだず考えたす。それぞれ囜家を危険に晒したテロリストずしお、囜䜓転芆の眪に問われおいるず聞きたすが、我々は圌らの無実を知っおいたすし科孊的に蚌明もできたす。以䞋の論文を読めばそのこずはご理解頂けるはずですし、我々は2人の刀定デヌタを提出できたす。

    【論文1】口笛の「音王」による、個人認蚌ず粟神鑑定の仕組み
    【論文2】人䜓が発する「匂い」が含む埮粒子の解析で、特定の粟神状態を蚌明する仕組み

    圌らのように真に「人類のために最倧の貢献をした人々」にこそノヌベル賞が盞応しいず考えたすし、圌らは「ゞェントルメン」構成員ではありたせんが、我々は同じ志で掻動しおいたすので、その志が獄䞭で、囜家の政治的な䜓面ず誀解にたみれお朜ち果おるのを芋過ごすわけにはたいりたせん。そうした想いを蟌めこの声明を送りたす。関係する方々には、ぜひ熟考頂きたく存じたす。

    最埌になりたすが、釈攟されれば「ゞェントルメン」は䞡氏をメンバヌに迎える所存です。我々の組織研究に䜙念のない方々には、この䞊ない朗報ではないでしょうか。たた䞖界で我々ず志を䞀にしお日々ご尜力されおいる皆さたぞも䞀蚀。我々の掻動にご興味あれば、ぜひ口笛をお吹き䞋さい。近く開催するオンラむン倧䌚に動画をご投皿頂ければ、い぀かお声掛けさせお頂くこずもあろうかず。では、ご投皿を楜しみにしおおりたす。


    倧囜にはもはやGを敵に回す䜙力も理由もなかった。䞡氏は、囜際䞖論の匷い埌抌しで解攟され、初めお“顔が芋える”構成員が誕生した。しかしこの埌も匕続き、組織の党貌が露呈するこずはなかった理由は、既に皆さんがご存知の通り。こうしお幞い人類ず地球は調和を取り戻したのであった。そしお䞖界は、様々な口笛の音色で満たされた。

    さお、解攟されたリグベヌダはI囜に戻り、かかり぀け医の蚺断を受けおいた。
    「なんず持病の免疫疟患が収たっおいたすぞ。自身ぞの攻撃が完党に止んでいたす」
    「本圓か難病ゆえ原因䞍明、根治䞍可胜ず思っおいたが 䞍思議なこずがあるものよ。
    どこかで信頌が厩れ、本来調和しおいたシステムが綻んだのであろう。信頌ずいうのは、実に䟮れないものだな。」
    「䜆しお気を付け䞋さい。これは寛解ずいっお治癒ではありたせん。ゆえにい぀たた症状が再発するか分かりたせんので。くどいようですが我が父の䟋もございたす。」
    「うむ 調和が厩れる兆しには十分泚意しよう。心配は無甚じゃカオル先生。そう蚀えば今回共に話題になった厔ずいう男、先生ず同じJ囜生たれだそうですぞ。」

    リグベヌダの埀蚺を終えた垰り道、カオルは久々に口笛を吹いおいる自分に気づいた。父の話を聞いたからか そういえば口笛を吹くずい぀も、亡き父の思い出が仄かに薫る。「ゞェントルメン」創始者だった父ギむチの圱が。


    ◆最埌たでお読みくださり、心より感謝いたしたす
    よければこちらも䜵せお、お読み頂けたすず嬉しいです◆
    「ゞェントルメン」第話人間展開①ギむチずクロ゚
    「ゞェントルメン」第話人間展開②レオナずカオル

    䜵せお『ゞェントルメン』に繋がる序章、ご興味あればぜひ。
    これは創䜜倧賞2023ミステリヌ小説郚門の応募䜜品です
    口笛SFミステリヌ小説①『犯人はスむミヌ』
    第1郚蚌拠篇第2郚闇堕篇第3郚決着篇

    #創䜜倧賞2023 #挫画原䜜郚門

     
     
     
    難病自己免疫疟患を抱え起業し「医療のあったらいいなデザむン工房」を運営。株匏䌚瀟 FTS (From The Street) の代衚。口笛䞖界倧䌚䜍→「臚床口笛」でヘルスケアリヌダヌシップ研究䌚の最優秀賞。小説では「ノベルフォヌミュラ日本GP」䞭間遞考を通過。

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