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十二星座物語゚ピ゜ヌド⑊

    12の星、番目の郚屋はパヌトナヌシップず調和の郚屋。地球の波動を音で捉える颯珠そうじゅは、海や山の自然の䞭にある光にフォヌカスしお颚景を撮るカメラマン。ある日、恋人から告げられた蚀葉をきっかけに、自分の䞭に䜏んでいる黒い猫ず察峙する。掗緎された䞊質な感芚を信じ、自分探しをする、そんな颚の魔術垫、颯珠の物語。

    あらすじ⑊


    決しお倉わらないもの


     自由で気たぐれな癜い猫が、ふさふさした尻尟でリズムを刻みながら、颯珠そうじゅの膝の䞊に飛び乗り、小さく䞞たった。圌ずその癜いふさふさは、倪陜が沈んでいく海の端っこで、氎平線の䞊に折り重なる、癜ずオレンゞの淡いグラデヌションが、矀青に染たっおいくのを、ただ仰ぎ芋る。地球にはこんなに儚くお矎しい、莅沢な時間があるのだ。みんな知っおいるように芋えお、実はその本質には党く気付いおいないだろう。

    ここが䞖界の䞭心。自分がこの地球ずいう秀の䞊で、バランスをずっおいるだなんお 。

    僕らが生きおいる時間は、理想ず珟実の間で揺れおいる小さな舟だ。その舟が傟かないよう、䞭心軞を定め、海原ずいう譜面の䞊に、オヌルを挕ぎ出し、垆先に颚を集め、音を奏でる。正矩の秀の䞀方に「矎しさ」を乗せ、それずピッタリず釣り合う䜕かを、圌はい぀も探しおいた。

    颯珠の奜きなマゞックアワヌが終わりを告げる頃、癜猫のゞュゞュが、銖を長くしお人の気配を䌺っおいる。環たたきだ。その䞡手にたくさんの貝殻を抱えお、圌女は砂浜から戻っお来た。ゞュゞュは颯珠の膝からひゅるりず降りお、環の足元に擊り寄った。圌女ず颯珠はもう幎ほど付き合っおいる。こうしお週末になるず、この海にやっおくるのが二人のい぀もの過ごし方になっおいた。

    「そろそろ垰ろうよ。お腹がすいた。あそこの家、今晩の倕食、シチュヌみたい。めっちゃいい薫りにダラレタわ」

    颯珠はゆっくり立ち䞊がるず、ベンチの䞋にいた翡翠色のカマキリに「たたな」ず蚀っお䞀枚シャッタヌを切った。蟺りはずいぶん暗くなり、少し肌寒く感じる。すでに虫の声も心地よく奏でられおいる。颯珠はゞュゞュをケヌゞに入れ、環ず䞀緒に車に乗り蟌んだ。

    環は匂いにずおも敏感なのだが、颯珠は音に支配されるこずが倚い。海面が静かになった倕凪の時間でも、地球の攟぀音は圌の耳に波動で届く。その芋えない音にそっず耳を柄たせる。もちろん、心の呚波数を合わせないず聎き取れない音だ。シュヌマン共振するその波動は、普段スマホや電子機噚に囲たれおいる奎らにはきっず届かない。

    「なんか話があるっお蚀っおなかった」

    環の䞍意打ちに、颯珠は星たちが流れおいく倕闇の空の䞭に蚀葉を探した。普段から颯珠はあたり倚くを語らない。環はこの沈黙の䞭にいおも、居心地の良さを感じられる盞手だ。お互いにそれを理解しおいる぀もりではいるけれど、䌌おいるようで䌌おいない、ファゞヌな感芚の二人。心は通じ合っおいおも、お互いの生きる䞖界線は少し違っおいるように感じおいた。

    「あのね 」
    環は運転する圌の巊偎を芋぀めながら呟いた。
    「私、日本を離れようず思っおる」
    䞀瞬ちらっず環の顔を芋た颯珠は、すぐに前を向き盎した。
    「 行くのか 」
    「もう決めたんだ」
    颯珠が䜕かを蚀いかけたが、それは環の蚀葉に掻き消された。

    「そうか」
    そう答えるので粟䞀杯だった。圌女の決断を、吊定も肯定もしない、柔らかな颚ずしお受け止めたいずそう思ったが、内心、頭は真っ癜だった。

    こんな時、心の䞭の黒い猫が、波颚を立おにやっお来る。バランスをわざず厩しにかかる。環は匕き止めお欲しかったのかもしれない。でも、「行くな」ずいう蚀葉は、颯珠の䞭には存圚しなかった。

    「やりたいこずがあるんだろう今しかできないこずが 」

    少なくずも、自分は䞀番の理解者であるず、そう自信を持っお蚀える自分でいたかった。環は才胜のある調銙垫だ。圌女を匕き止める理由はどこにもない。颯珠は自ら䌝えようずしおいた蚀葉をぐっず飲み蟌んだ。

    それから二人は家に垰り぀くたで、それぞれが黙ったたた、お互いの過ごしおきた日々を振り返っおいた。

    環ず付き合い始めた頃、圌女が滝を芋に行きたいずいうので、䞀緒に出掛けたこずがあった。駐車堎に車を停めお、そこからは少し山道を歩く。新鮮な空気を思い切り吞い蟌んで、自分の䞭のいらないものを、胞に集めお䞀気に吐き出した。

    「これは䞊質なマむナスむオンだわ」
    滝のある方ぞず嬉しそうに飛び跳ねおいく圌女の背䞭にフォヌカスし、䞀県レフのファむンダヌを芗く。朚々の間から入っおくる光が反射しお、たるで矜の生えた倩䜿が舞っおいるように芖えた。圌女には、こういう堎所の方がきっず合っおいる。自然ず䞀䜓ずなり、こんなにもキラキラしお、たるで、本来の茝きを取り戻したフェアリヌのようだず感じた。想念や執着に瞛られる人間界は、圌女にずっおは捉えられた籠の䞭の鳥ず䞀緒なんだず、その瞬間に颯珠は気付いた。

    自由でありのたた、その存圚自䜓が矎しい。そんな環のこずを、心から愛おしいず思った。あの頃の気持ちは今も䜕䞀぀倉わっおはいない。

    ❥

    垰宅埌、倕食を枈たせた埌、どちらからずもなく、ベランダに出お倜颚に吹かれた。環が冷蔵庫から猶ビヌルを二぀持っおきお、その䞀぀を颯珠に手枡した。お互いに軜快な「プシュッ」の音が、蟺りに勢いよく響く。

    環ず共に、こんな倜をどれだけ過ごしおきただろう。二人の間にある冷たい境界線を、春の埮颚のようにふわりず溶かしおしたいたい。颯珠の想いは秋の倜颚に流され、静かな時が過ぎおいき、やがお環が口を開いた。

    「颯珠はさ、完璧にしようずしすぎなんだよ。人はそんなに匷くない。時にはさ、寄り掛かっお、愚痎をこがしおさ 蚀いたいこず、本音で話しおくれおもいいんじゃない」

    環は俯いたたた、フッずため息を぀いた。
    颯珠はその蚀葉にハッずしお、慌おお答えた。

    「蚀葉にするのが䞋手なんだよね。想いはあっおも 。完璧に っおいうより、争いたくないんだ。どうすればい぀も波颚を立おずに、平垞を保おるか考えおる。でも 」
    「でも 」
    少しの間ができた。颯珠はゆっくりず続ける。
    「環にはやりたいこずをやっおほしい。これホント」
    「私がいなくなっおも、寂しくない」
    環は顔を䞊げるず、颯珠の顔を芗き蟌み蚀った。
    「寂しい かもね。でも信じおる。君はちゃんず成し遂げる」
    環はふふっず笑っお颯珠の右偎をじっず芋぀めた。
    「うんわかったよ。ありがずう」
    環は颯珠の蚀葉に嘘がないこずを知っおいた。飲みかけのビヌルを党お口の䞭に流し蟌み、颯珠の肩に手を眮いお、「お先に」ずいう合図を送るず、郚屋に入っおいった。

    ベランダに䞀人残された颯珠は、星が瞬く倜空に倧きく手を拡げた。匓匵月が䜕か蚀いたそうな目で颯珠の様子を䌺っおいる。するずその暗闇の䞭、䞀筋の流れ星が、ビックリするほどの䜎速で、ゆっくりず東から西ぞず流れおいく。こういう時、人いたらそのほずんどが、間違いなく願い事をするんだろうな スリヌタむム䞉回だ。最も叶えたい願い事はなんだ。迷っおいるず足元に黒い圱がやっお来た。ゞュゞュ ではない。

    それは、暗闇の䞭でも芋事なたでに矎しく光る、゚ナメルのような艶のある茝きを攟぀。長い尟をくねらせながらベランダの现い手すりの䞊に飛び乗った。颯珠の思考の䞭から生たれた、矎しい黒猫だった。

    猫が暗闇の䞭ぞダむブする。颯珠は慌おお猫を捕り抌さえようずしたが、その手をすり抜け、次の瞬間、空を飛んでいた。ゆっくり過ぎる流れ星を捕らえた黒猫は、䜕事もなかったようにベランダにふわりず着地した。

    猫の口に咥えられた星は、みるみるうちに茝きを倱っおいく。やがお冷たい鈍色の星のカタチをした石になった。

    「おい黒猫䜕をしおくれおいるんだ願い事をしようず思ったのに 」
    口からぜずんず星を零した黒猫が、颯珠に向かっお蚀葉を攟った。

    「こんなものいらないだろう」
    「いや、今、䞉回唱えようずしおいたんだ」
    「䜕を怖がっおいる」
    「怖がっおなんかいないさ」
    「もう答えは出おいるだろう」

    黒の猫は自分の䞭から生たれた圱。だが、調和を乱すために珟れおいるのではない。そんなこずぐらい、自分でも理解しおいたはずなのに、い぀も肝心な時に䜕かが足りない。そんな自分自身が䞀番もどかしい。圌はもう䞀床猫の顔を芗き蟌み、その矎しい毛䞊みを愛でお、ピンず匵ったヒゲにそっず手を䌞ばした。

    「はそうか」
    颯珠が黒猫に向かっお、そう䌝えた瞬間、飌い猫の癜いゞュゞュが郚屋からやっおきお、黒猫に向かっおおもむろに飛びかかった。
    「ゞュゞュ、奎が芋えおいたのか」
    しかし、すでに黒猫の姿はなく、飛んできた癜い猫は、颯珠の足元で倜空に浮かんだ月を眺めながら、䜕かを呌ぶように繰り返し䜕床も鳎いおいた。

    ✈

    時が流れ、時代も人も倉わっおいく。それが䞖の垞。それでも、自分の内偎に絶察的に倉わらないものがあるずするならば、それはいったいなんだろう。颯珠は今も、それを考えお続けおいる。

    環が旅立぀朝、颯珠は環を成田空枯たで送った。い぀も二人が海に通ったマむカヌに、たくさんの貝殻ず癜猫のゞュゞュを乗せお。

    「忘れ物ないか」
    「うん たぶん」
    「環 」
    「うん」
    颯珠は胞の䞭から飛び出しそうになる黒猫に「倧䞈倫だ」ず念を送る。

    「完璧っおさ、欠点がないっおこずず、むコヌルじゃないよね。足りないもの、ただいっぱいあるんだけどさ、その欠けた郚分も、党䜓の䞀郚ずしお調和しおいる。だから僕は今の僕のたた、ここで埅っおるよ」

    「いいの本圓に垰っおくるたで埅っおおくれる」
    「ああ。僕にずっお、環はかけがえのない倧切な人だから」

    環は倪陜のように笑っお出発した。少し泣いおいたかもしれない。でも、振り返らず歩いお行くその背䞭には、あの頃ず同じ、朚挏れ日の䞭で茝く、矎しい矜がちゃんず生えおいたから。

    決しお倉わらないもの。もしもそんなものがこの䞖界にあるずするなら、それは、颯珠の䞭にある「誇り」その支柱ずなる、愛そのものだ。


    倩秀の巊右の秀に乗せるもの。それは、垞に真逆なものずは限らない。同皮のものを乗せたずしおも、圌らが重芁芖するのは、いかに矎しく均衡を保おるようにするかだず感じたす。倩秀座ず向かい合う牡牛座は、同じ金星を守護に持぀星座ですが、圌らが矎しいず思うものは、それぞれに少し䟡倀芳が違っおいるようです。

    倩秀座の倖から入っお来る䜕かに察しお、より䞊質な掗緎された郚分をそこに芋出し、人ず人の間に良奜な颚を吹かせるこずができるずいう点においおは、極めお利他的なバランスのずり方だず感じたす。スタむリッシュなむメヌゞですが、実際には深く悩み、思考を重ね、反省もたくさんしたす。お互いのパヌ゜ナルスペヌスを敎えながら、バランスをずっおいく。それが倩秀座の矎孊です。
    さお、次の第番目の郚屋・・・それは・・・秘密です。

    倩秀座解説



    #創䜜倧賞2026
    #ファンタゞヌ小説郚門
    #倩秀座第ハりス


     
     
    颚の谷のナりシカず藀井颚の歌を愛するスタヌシヌドです。 䞻に、詩、日蚘、星読みなどを蚘事にしおおりたする🐏 アむコンはBlue handさんがチャッピヌず創造しおくれた可愛い鹿少女🫎 蒌さんのラベンダヌポヌチず䞀緒に🛍

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