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夏のおしゃべり|あの日のわたしに会いに行く

    ほうこ

    そんなこと書いていいの?
    怒られない?
    恥ずかしい。

    夏休みの作文につきあっていたとき、
    次男が言った言葉だ。

    いいよ、いいよ。大丈夫。
    そっちの方が面白いよ。
    担任の先生しか見ないよ。

    と、そそのかした。

    結果として、その作文は、多くの人の目に触れることとなった。

    ごめんよ、次男。
    でも、それはれっきとした君の作文であり、勲章だ。

    じいちゃんちに行きました。
    〇〇しました。
    楽しかったです。

    と定型文のような作文を書くつもりだったらしい。
    でも、出来上がった作文は、じいちゃんちに到着する前に、いや家を出発する前で終わった。

    じいちゃんのことだけで完結したのだ。

    見事だった。

    その作文は、わたしと長男と次男の三人で、じいちゃんのことをおしゃべりしながら、書いた。

    本人は、自分のものではないと自信なさげに言う。
    でも、誰かが過剰に添削したものでもない。
    選ばれたあとも、先生の添削はほとんどなく、清書を丸投げされた。

    子どもの作文は、そういうのがいい。

    夏になると思い出すあの日のおしゃべり。

    「そんなこと書いていいの?」
    あのとき次男に言った言葉を、今、自分自身で繰り返している。



     
     
     
    50代おひとりさま。ポンコツ街道まっしぐら。 小さなおうちで、シンプルな暮らしと庭時間を楽しんでいます。 過去の自分に会いに行くエッセイ「あの日のわたしに会いに行く」、人生の後半戦を綴る「おひとりさまの老後」を中心に、暮らしや心の記録、くすっと笑える短編エッセイを綴っています。

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