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夏の面接|ポンコツ雑記帳 ep.07

    ほうこ

    びりっ。

    嫌な音がした。

    ただでさえ、太ももがぴちぴちのパンツスーツ。
    汗で裏地が張り付いていた。

    でかける直前になって、まさかの…
    貴重な1着が、破れた。

    この日は、面接だった。

    ── 👖 ──

    あれから、1年。
    まだスーツを新調していない。

    着る目的ができてから買えばいいと思っていた。

    そして、あの事件のことさえ、忘れていた。

    近々スーツを着用した方がいい場面があるらしい。

    それで思い出した。
    わたし、スーツを持っていないではないか。

    だって、痩せる予定だった。
    ……予定だった。
    でも、逆に大きくなる可能性もある。
    どっちに転ぶかわからない体に、スーツは買えない。

    ── 👖 ──

    今年も半端なく暑い。
    試着に行くのもはばかられる。

    あ~どうしたものか…
    そう思いながら、何もしないまま当日を迎えた。

    当日、余裕で履けると思っていたパンツも、
    これまた、ゆとりは少なかった。

    ……やっぱり、成長している。

    ── 👖 ──

    会場に到着。
    ジャケットを着ていないひとが、もうひとりいた。

    ありがとう。
    心の中では、感謝の涙。

    面接する側は、楽な服装だった。

    だよね~、ですよね~
    この暑さのなか、やってられないよね~
    と、心の中で握手した。

    ── 👖 ──

    そんなわたしに、後日、合格通知が届いた。
    服装は、関係なかったっぽい。

    しかも、全員合格だった。
    平和だ。

    ぼんやり思う。
    スーツは、いつ買えばいいのだろう。




     
     
     
    50代おひとりさま。ポンコツ街道まっしぐら。 小さなおうちで、シンプルな暮らしと庭時間を楽しんでいます。 過去の自分に会いに行くエッセイ「あの日のわたしに会いに行く」、人生の後半戦を綴る「おひとりさまの老後」を中心に、暮らしや心の記録、くすっと笑える短編エッセイを綴っています。

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