
君、誰?
私は自然科学者であり、科学を信奉しています。
それでも、既存の科学では説明のつかない出来事に何度か出会ってきました。
そんなこともあって、心霊現象やUMA(未確認動物)といった、いわゆる“超常的なもの”に興味を持っています。
信じたいんです。
だって、ネッシーやイエティが上野動物園にいたら――やっぱり、見に行きたくなりませんか?
歴史のカギを握る人物に、もし直接話が聞けるとしたら――どんなことを話してくれるのか、
ワクワクしませんか?
今回は、そんな私が中学生のころに体験した、ちょっと不思議な話をひとつ。
中学3年のとき、不思議な写真が出てきたことがありました。
「出てきた」というのも変ですが、誰も撮った覚えがないので、そう表現するしかないのです。
いつの季節だったか、どこから出てきたのかも、はっきり覚えていません。
その写真は、中学校の体育祭のもの。
黄色い鉢巻を巻き、体操着姿の私が、坊主頭で赤い鉢巻をした男の子と肩を組んで写っていました。
ふたりともカメラ目線で、満面の笑みを浮かべながら、Vサイン。
一見すれば、なんの変哲もないスナップ写真。
でも――その男の子、私はまったく知らなかったんです。
肩を組むほどの関係なら、クラスメイトか、せめて同じチームの仲間のはず。
けれど、顔にも名前にもまったく覚えがない。
家族に見せても「この子は知らない」「この写真を撮った覚えもない」と口をそろえました。
じゃあ、その子の家族が撮って、僕にくれたのか? でもそんな記憶もないし、そもそも写真をもらった覚えもない。
――なんだか変だな、と思いながらも、写真はそのまま机にしまっておきました。
それから数日後。
朝礼で全校生徒が体育館に集められました。
校長先生が静かに語り始めました。
「2年生の男子生徒が、自ら命を絶ちました」
悲しみに包まれる空気の中、スクリーンに映し出されたその子の顔――
あの写真に写っていた、彼でした。
そのとき初めて、彼の名前を知りました。
住所も遠く、学年も違う。接点など、どこにもなかったはずの相手。
家に帰って母にその話をすると、ひと言。
「気持ち悪いから、捨ててきなさい」
私はその写真を、近くの神社で燃やしました。
いったい、どうして私と一緒に写真に写っていたんでしょう?
彼は、私に何かを伝えたかったんでしょうか?