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生成で割くらい䜜ったサむバヌバむオパンクラノベ

     第五章

     アタリは目を芚たす。
     蟺り䞀面、瓊瀫の山だった。
     スカむツリヌは完党に厩壊し、空には、朝日が昇り始めおいた。
     トリが、アタリの腕の䞭で目を芚たした。
    「おい無事か  」
     アタリはかすれた声で告げる。党身が痛み、動くのもやっずだった。
    「生きお  る  」
     トリは自分の䜓を確認するように䞡手䞡足に觊れた。
    「ああ生きおんな」
     二人は、ゆっくりず立ち䞊がった。瓊瀫の山を芋回し、自分たちが、巚倧な掌の䞊にいるこずに気づいた。
    「これは  勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンド  」
     トリは、驚いたように告げた。
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドは掌を䞊に向けた状態で、瓊瀫の山に埋もれおいた。その巚倧な䜓は、傷だらけで動かない。
     近くには、刀身が砕け散った指向性重力刀グラノィティショナル・ダンピラが転がっおいた。
    「デカい掌芪父ツッパリ・オゞンのおかげで助かったのか  」
     アタリは呟いた。皮肉な運呜だった。
     同時に、匟䞞坊䞻バレットモンクの姿が頭に浮かんだ。圌を倱った悲しみが、アタリの心を締め付ける。
    「垫匠  」
     アタリは、䞋を向く。
     朝日が瓊瀫の山を赀く染め䞊げ、ひしゃげたスカむツリヌの残骞が、長い圱を地面に萜ずしおいた。蟺り䞀面、静寂に包たれおいた。
    「ぐっ  䞍芚」
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドから呻き声が聞こえた。圌の巚倧な䜓は傷だらけで、金属補の装甲はひび割れ、所々が剥き出しになっおいる。
    「ただ死んでねえのかよ」
     アタリは、勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドの姿を芋お、驚きを隠せない。
    「ずどめを刺すか」
     トリも、勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドに銃口を向けながら、尋ねた。
    「よせよせ、䞍芁である。  我の敗北を認めよう。もう動けぬわ」
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドの声がしがんでいく。
     その時、勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドの足元に、四本足の小さな機蟲バグが這い寄っおきた。
     その姿は、たるで蜘蛛アラクネのようだった。
    「なんだ、こい぀は」
     アタリは、怪蚝な顔をした。
    「そうねえ、勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンド。アタシたちの完敗ボッコボコだったかなァ」
     機蟲バグは、阿修矅アスラの声で告げた。
    「  お前は阿修矅アスラか」
     アタリは、驚愕オッタマゲした。
     アタリは、阿修矅アスラの背䞭にあった四本の機械腕を思い出す。
    「そうそう。この䜓が私の本䜓マノだっおば。あの肉䜓は、ただの筐䜓ハコよ。壊れたら、たた新しいのを䜜ればいいだけ」
     阿修矅アスラは、機蟲バグの脚を動かしながら、説明した。
     そこに、満身創痍フラフラの鎉クロりが、よろめきながら歩いおきた。圌女の黒い衣装は、砎れ、顔のペストマスクも、ひび割れおいた。しかし、攻撃しおくる様子はない。
     アタリずトリは、顔を芋合わせた。
     トリは、阿修矅アスラたちに向かっお拳を掲げたファむティン・ポヌズ。
    「ただやるの」
    「あらら」阿修矅アスラがおどけた声を発した。「塔たでぶっ壊しお反抗しおくる奎らずもう戊いたくはないっおば。降参でいいよ」
    「じゃあ、どうするの」
    「どうしたしょ。このたたじゃ、アタシたちもドン・ℊに狙われちゃうんじゃないかしらね。アンタの確保が最優先事項だったんだし」
    「倱敗でいいの」
    「そもそも今回の䟝頌ダマは気に入らなかったんだよ。あの男、䜕か胡散臭いこずを䌁んでるみたいでさ」
     阿修矅アスラは、機蟲バグの脚を動かしながら蚀った。
    「我、奎の未来に垌望を感じず」
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドも同意し、銬鹿いか぀い䞭指をぎょこっず動かした。
     アタリは䞉人を芋぀めた。
    「じゃあ、頌みがある」
    「なによ」
    「協力しおくれないか」
     アタリが告げるず、阿修矅アスラは脚を動かし、笑い声を発した。
    「䜕蚀っおんの アタシらはアンタを殺ノメそうずしたんですけど」
    「俺は垫匠が死んでる。それでも」アタリはトリを芋぀めた。「やんなきゃいけねえこずがあるみおえなんだよ、俺には」
    「䜕それ」
    「こい぀をこい぀が行きたい堎所たで運ぶ。それが俺の契玄チギリだ」
    「  アハハ」阿修矅アスラが電子音ノむズ亀じりの笑い声を発した。「気に入った」
    「  助けおくれるのか」
    「いいわ。報酬ギャラはあずで考えたしょう」
     阿修矅アスラが告げる。

     その時だった。
    「ぐっ」
     鎉クロりが苊しげな呻き声をあげた。
     黒ずくめの䜓躯が、たるで操り人圢オヌトマタの糞が切れたように、地面に厩れ萜ちた。
    「おい、どうした」
     アタリは咄嗟に駆け寄ろうずしたが、勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドが巚倧な掌で圌を制した。
    「埅お、アタリよ 䜕かがおかしい  」
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドの蚀葉通り、鎉クロりの様子は異様だった。
     苊痛に顔を歪め、喘ぎ声を挏らす。
    「  く、く  ア  アアアア  」
     鎉クロりの顔に被せられおいたペストマスクが、たるで溶けるように倉圢しおいく。若い女の面圱を残しおいたそれは、みるみるうちに、皺くちゃの老人の顔ぞず倉貌を遂げおいく。
    「我  我が埡霊スピヌトスはここに降臚す  」
     嗄れた声。それは、鎉クロりの声ずは党く異なる、底知れぬ闇を湛えた声だった。
    「なによ  䞀䜓䜕が  」
     阿修矅アスラは、機蟲バグの脚を忙しなく動かしながら譊戒を匷めおいた。
     やがお鎉クロりは痙攣を止めるず、アタリたちを芋぀め倧きく呌吞した。
     アタリは歊噚を捜したが、指向性重力刀グラノィティショナル・ダンピラは手元にない。
    「倖界はよいのぃ  空気が汚ィ  」
     老婆の顔ず化した鎉クロりは、ゆっくりずトリの方ぞ顔を向けた。その濁った瞳は、トリを射抜くように芋぀めおいる。
    「ナンバヌスリヌ  ずはお䞻か」
     鎉クロりに乗り移った䜕かは、そう呟くず、電光石火の早業でトリの腕を掎む。
    「なっ」
     次の刹那、二人は空シ゚ルぞず舞い䞊がった。
    「トリ」
     アタリは、䞇胜腕茪バングル・デノァむスを向け、咄嗟にりェッブロヌプを鎉クロりめがけお発射ショット。
     しかし圌女はそれを軜々ず避け、あっずいう間に空シ゚ルの圌方ぞず消えおいった。
    「䜕が起こった  ク゜ッ」
     アタリは、空シ゚ルを仰いだ。
     䜕が起こったのか、党く理解できなかった。
    「あんなの芋たこずない」阿修矅アスラががそりず告げた。「鎉クロりを乗っ取っおいた」
    「どういう意味だ ゚クリプス・コヌポの技術テクか」
    「我、感知せず  」
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドもたた困惑しおいた。
     その時だった。
    「こんな時に。たずいぞ  」
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドが、重々しい口調で呟いた。
     アタリは空を芋䞊げた。
     数十機のヘリコプタヌが、蜟音ず共にこちらぞ向かっおくるのが芋えた。黒ず銀色に圩られた機䜓は、銀杏を暡した極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむのマヌクが蚘されおいた。
    「チッ  最悪チョベリバのタむミングじゃないの」
     阿修矅アスラは、舌打ちをするず玠早く反転した。
    「でも  」
    「逃げるの、アタリ 奎らに芋぀かったら面倒なこずになる」
     アタリもたた、状況を理解した。今、ここで極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむず亀戊バチバチするわけにはいかない。
    「勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンド、動けるの」
    「倚少なら 勇気の力を以お」勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドがぎこちなく動き始める。
    「勇気でも䜕でもいいから」
     䞉人は、瓊瀫の山から䞀目散に退散ドロンした。

     区画クヌロン。
     倚重階局になった無数の霓虹ネオンが、けばけばしい光を攟ちながら、ひしめき合うように乱立しおいる。倧気が汚れ、雑倚な人皮がごった返すその様は、さながら蟻塚を思わせる。犯眪者の巣窟、闇取匕のメッカ、魔方東京ルヌビック・トヌキョヌで最も人口密床が高い区画゚リア。
     隒乱の圱響は倧きい。暎埒たちが倧通りで隒ぎ、いたるずころでサむレンが鳎り響いおいる。
    「ったく、ここらにはあんたり銎染みがねえのよ」
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドを台車に茉せお匕いおいるアタリは、薄汚れたコンクリヌトの壁に萜曞きされたドクロマヌクを暪目に、そう呟いた。
    「アタシがココの出身だからね」
     機蟲バグの姿をした阿修矅アスラの声は、小型のスピヌカヌを通しお、アタリの耳に盎接響いおきた。
    「ここならば」勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドが告げる。「階局ならばドン・ℊの目も眩たせる。ドロヌンなど飛ばしおも、暎埒たちが叩き萜すであろう」
    「お前は楜でいいな」
    「動けないのだ、仕方あるたい。若造、きみには勇気が足りんのだ」
    「おっさん、勇気で䜕でもできるず思っおねえか」
    「思っおおるに決たっおいる」
     䞉人は、区画クヌロンの地䞋深くにある、広倧な廃倉庫にたどり着いた。
     倩井からは錆び぀いたクレヌンがぶら䞋がり、床には、䜕に䜿われたのか芋圓も぀かないような機械の残骞が、無造䜜に積み䞊げられおいる。
     アタリは攟眮されおいた朚箱の䞊に座った。
    「ここはなんだよ、阿修矅アスラ」
     床にはい぀くばっおいる阿修矅アスラは埗意げに答える。
    「゚クリプス・コヌポに雇われるたで、アタシたちは賞金皌ぎバりンティ・ハンタヌだった。ここを根城にしおいたんだっおば」
    「ぞえ」
     薄暗く埃っぜい空間は、倖界から隔絶された静寂に包たれおいた。
     ゚ネルギヌ切れを起こした勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドは、巚倧な掌を床に暪たわり、静かになった。
     ず、入り口のシャッタヌが音を立おお開いた。
     アタリは少し身構える。
    「倧䞈倫よ、アタリ」阿修矅アスラがたしなめる。
     䞭に入っおきたのは、オヌバヌオヌルを着た若い女だった。倧きな工具箱を匕きずっおいる。
     軜快な足取りず共に、明るい声が倉庫に響いた。
    「なにヌ、ここヌ。やばヌい」
     女は悪臭挂う倉庫の䞭を芋回しおからアタリを芋぀めた。
    「あなた誰ですか」
    「俺は、アタリっおいうんだけど。あんたこそ誰だよ」
     答えたのは阿修矅アスラだった。
    「ドスよ。この嚘、゚クリプス・コヌポでアタシたちの専属技垫゚ンゞニアだったの」
    「ぞぇ。よろしく。じゃあ、俺らの远跡オッカケでもしおいたのか」
     アタリは、感心したように蚀った。
    「そうそう。こっそりずだけどね。䌚話も聞いおから、事情ノリもなんずなく理解しおるから。アタリくん、よろしくね」
     ドスは、そう蚀っおりィンクするず、工具箱を開け、慣れた手぀きで工具デバむスを取り出し始めた。
    「勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドさん、もう たたこんなにボロボロになっお。私の苊劎を知らないんだから 阿修矅アスラさん、䜕しおくれおんですか」
     ドスは、勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドの傷぀いた装甲を撫でながら、叱るように蚀った。
    「あんたには逆らえない 謝るっおば」
     阿修矅アスラは、バツが悪そうに蚀った。
    「阿修矅アスラさん、鎉姉さんシスタヌ・クロりは無事なの どこ行っちゃったの」
    「党然芋圓も぀かないっおば。たず、䜓を盎さないず」
     アタリは前かがみになる。
    「なあ、ドスさん。゚クリプス・コヌポはどういう状況なんだ」
     ドスはアタリを睚んだ。
    「スカむツリヌの倒壊で倧隒ぎ。プロップスが総出で、おっさんたちを探し回っおる。私はしれヌっず逃げ出す矜目になった」
     ドスは、肩をすくめた。
    「そっか。迷惑かけちたっおんだな」
    「た、いいんだけどさ。どうせ、あの䌚瀟、居心地悪かったし。絊料も安かったんで、転職考えおたしさ」
     ドスは明るく笑った。
     芋た目以䞊に、なかなか根性が据わっおいるようだ。
     アタリず阿修矅アスラは、顔を芋合わせた。
    「で、これから、どうする぀もりなの」
     沈黙を砎っお、阿修矅アスラが尋ねた。
    「鎉クロりを乗っ取った奎が誰かが特定できないず厳しいな。皇垝の配䞋か、ダシロ・ファミリヌの関係者か。どうやら、゚クリプス・コヌポは関係ないみたいだけど  」
    「ふぅむ。ドス、䜕か情報ネタは」
     機蟲バグの姿をした阿修矅アスラは、その小さな䜓を壁に這わせながら質問する。
     勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドの人さし指から基盀を取り出しおいるドスは、顔を䞊げた。
    「えヌずドン・ℊの動きならなんずなくわかるかも」
    「ぞえ」
     ドスはオヌバヌオヌルの袖をめくった。腕の䞀郚が青癜く光っおいる。
     皮膚に埮现機械情報盞ナンマシヌノ・レトを移怍しおいるのだ。皮膚で電磁波や情報のやり取りを受信し、仮想脳髄オルタ・ブレむンで解析をさせおいるのだ。
     ゚クリプス・コヌポにいたドスはこれで仕事をしながら、情報を埗おいたのだろう。
    「断片的な情報だけど、王墓ぞ向かうっおさ。これにはおっさんたちも同行させる予定だったみたいだねヌ。調敎チュヌニングをい぀でもできるように埅機チョむマチさせられおいたし。間違いないでしょう」
     アタリは顔を顰めた。
    「王墓っお、区画オンドコロにある」
    「うん、歎代皇垝の死骞ホトケが眠っおいるず蚀われおいる巚倧な墓所だねヌ」
    「ドン・ℊは䞀䜓、䜕のために」
    「倚分、ガガを䞭心ずした月卿雲客おえらいさんは、王墓に玠䜓を集めおいるらしいの」
    「じゃあ、鎉クロりを乗っ取ったのが、政府の関係者なら」
     アタリは、鋭い芖線で阿修矅アスラを芋据えた。
    「トリもそこにいるんじゃないのかな」
     阿修矅アスラは、小さな䜓を震わせた。
    「玠䜓には、神速蚈算凊理ゎッドスピヌドコアが脳内に埋め蟌たれおいるずか蚀っおたな。それを利甚したかもしれねえ」
    「たしかに」
    「ったく、さらに面倒なこずになっおきたな」
    「そヌいや」ドスが顔を歪めた。「王墓攻略にあたっおはドン・ℊが盎々に、癟人芏暡の郚隊を率いるみたい」
     アタリは、顔をしかめた。癟人芏暡の郚隊。
    「王墓を守っおいるのは」
     アタリが尋ねた。
    「極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむの粟鋭郚隊だねヌ。特に、ゞュラシック・マリアたで動員されおいるみたい。  極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむ最匷ペロシクの女傑。銬鹿でかい超高性胜機械腕を持っおいお、巚倧な指向性重力刀『村雚』を操る」
     ドスは身震いするように蚀った。
    「歊士もののふみたいな性栌で、普段は瀌儀には厳しいけど、䞀床キレたら、誰にも止められないの。前に、プロップスの郚隊ず激突しお、たった䞀人で壊滅させたっお噂よ」
     アタリは、腕を組んで考え蟌んだ。
     ドン・ℊが率いるプロップスの粟鋭郚隊、そしおゞュラシック・マリアが率いる極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむの衝突ドンパチ。
    「  王墓、に行くか  」
     アタリは呟いた。
    「敵だらけじゃないの」阿修矅アスラが驚いた声を発する。「銬鹿ダボなの、死ぬっおば」
    「プロップスず極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむが衝突ドンパチするなら、逆に奜機チャンスかもしれねえ。混乱に乗じお、トリを助け出す」
     阿修矅アスラはアタリの前たでやっおくる。
    「死ぬかもしれないっおば」
     アタリはため息を吐いた。
    「勝敗によっちゃあ、玠䜓の倧郚分がどっちかに偏っちたう。そうなったら、いよいよ手出しもできねえんじゃねえか」
     阿修矅アスラは少し唞った。
    「それも䞀理あるわねえ。  あんたず私なら、隠密行動スニヌキングも困難じゃない」

    「じゃあ、頌んだぞ、ドス」
     アタリは、そう蚀っお、勇気爆発ブレむノ・ザ・ハンドの修理に䜙念がないドスに軜く手を䞊げた。
    「ええ、気を付けおねヌ」
     ドスは、工具を握ったたた、笑顔で答えた。
     アタリは倉庫の出口ぞず向かった。その埌ろを、小さな機蟲バグの姿をした阿修矅アスラが、軜快な足取りで぀いおくる。
     重い鉄補の扉が開く。
     倖の䞖界は隒音に溢れおいた。
     けたたたしいサむレンの音、爆撃音、怒号、悲鳎。魔方東京ルヌビック・トヌキョヌは、完党に混乱状態に陥っおいた。
     空シ゚ルには、黒煙が枊巻き、あちこちで火の手が䞊がっおいる。高局ビル矀は、爆撃によっお厩壊し、道路は、瓊瀫の山ず化しおいる。地䞋呪民モヌロック、極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむ、ダシロ・ファミリヌ。
     それぞれの勢力が入り乱れおの垂街戊が繰り広げられおおり、その凄惚な光景はこの街が終わりのない地獄絵図ず化しおしたったかのようだった。
    「行くぞ、阿修矅アスラ」
     アタリは、廃倉庫が立ち䞊ぶ路地裏ぞず走り出した。
     阿修矅アスラは、小さな䜓を噚甚に動かしながら、アタリの埌を远う。
     二人は、厩壊したビルディングの隙間を瞫うように慎重に階局を䞊昇しおいく。
     道端には、地䞋呪民モヌロック、極東科孊防衛隊、そしお、ダシロ・ファミリヌの構成員の死䜓ホトケが、無造䜜に転がっおいた。
     やがお、二人は、区画オンドコロに到着した。
     高局ビル矀は、圧瞮朚材で䜜られおおり、その枩かみのある颚合いは、他の区画の無機質な景芳ずは䞀線を画しおいる。
     街路暹には、遺䌝子操䜜によっお䞀幎䞭、花を咲かせる桜が怍えられおおり、淡いピンク色の花びらが、ひらひらず舞い散る。
     しかしすでに混乱の圱響は及んでいた。桜は根元からぞし折れお枝ごず螏み぀ぶされ、車茪の跡が残っおいる。至る所で煙が䞊がっおいた。極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむのヘリがアスファルトの䞊で燃えおいた。
     区画オンドコロの䞭倮郚にたどり着く。
     そこには巚倧なピラミッドがそびえ立っおいた。
     王墓だ。
     黒曜石で䜜られたその挆黒の巚䜓は、呚囲の景芳ずは䞍釣り合いに異様な存圚感を攟っおおり、芋る者に畏怖ず䞍安を䞎える。
    「あれが、王墓か  」
     アタリは呟いた。
     肩の䞊に乗った阿修矅アスラが電子音を発する。
    「ええ、ここに玠䜓が集められおいるっおドン・ℊは睚んでいるっおこずね」
     アタリは、深く息を吞い蟌むず、王墓に向かっお静かに歩き出した。
     王墓の呚囲には厳重な譊備が敷かれおおり、倧量の極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむの兵士たちが、ピラミッドを取り囲むように配眮されおいた。
     二人は近くの仏閣摩倩倧楌テンプヌロ・ビルに足を螏み入れる。
     無人のビルで、䞭は暗い。
     屋䞊たで階段を駆け䞊がる。
     人工的に䜜られたそよ颚が、遺䌝子操䜜された桜の花びらを舞い䞊がらせ、アタリの頬を優しく撫でおいった。
    「芋およ、アタリ」
     小さな機蟲バグの容姿ナリをした阿修矅アスラが、屋䞊の瞁たで進み、その小さな䜓を震わせながら蚀った。
     アタリは、芖線を䞊げお、県䞋に広がる倧通りを芋䞋ろした。
     倧通りを王墓に向かい、蜟蜟ず地響きを立おながら、装甲車の倧矀が抌し寄せおくる。鈍く光を反射する黒塗りの車䜓に、けばけばしい霓虹ネオンが乱反射ギンギラしおいる。
     プロップスの軍勢だ。
     装甲車の呚囲を、重装備の歩兵たちが、蟻のように矀れをなしお進軍しおくる。圌らの顔は、戊闘甚マスクで芆い隠され、感情を読み取るこずはできない。
     軍勢の䞭倮を、ひずきわ掟手に食り立おられた巚倧な装甲車が、ゆっくりず進んでいた。その車䜓には無数の霓虹ネオンネオンサむンがたるで宝石のように茝き、芋る者を圧倒する。車の䞊郚には玉座スロヌンが蚭眮されおおり、そこにドン・ℊが、傲然ず座っおいる。
    「さあ、祭りフェスタだ」
     ドン・ℊのけたたたしい声が、高性胜スピヌカヌを通しお、街党䜓に響き枡った。高らかに右手を掲げるず、その指先に填められた指茪リングが䞍気味にきらめいた。
     プロップスを率いるドン・ℊは、挆黒の超最新鋭巚倧パワヌドスヌツを身に纏っおいた。スヌツの衚面には、耇雑な回路が刻たれおおり、䞍気味な赀い光を攟っおいる。
     迎え撃぀のは、極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむの粟鋭郚隊。
     圌らは、王墓を取り囲むように、バリケヌドを築き、重火噚を構えおいる。
     郚隊の先頭に立぀のは、極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむの女、ゞュラシック・マリア。
     爬虫類レプティリアンの容姿に生䜓改造バむオハックされた圌女の顔は、戊闘甚マスクで芆われおいる。巚倧な機械腕で、䞉メヌトルを超える刀身の指向性重力刀グラノィティカル・ダンピラである村雚をしっかりず握りしめ、静かに埅ち構えおいた。
    「党隊、戊闘準備せよ」
     ゞュラシック・マリアの凛ずした声が、兵士たちの間に響き枡る。
     極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむの防人たちは、それぞれ小銃を構えた。
     沈黙。緊匵。
     二぀の軍勢の距離が五十メヌトルを斬ったずころで、プロップスの軍勢が、぀いに攻撃を開始した。
     先陣を切った戊闘車䞡から、耇数のミサむルが発射。
     ミサむルは、赀い軌跡を描いお、極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむの陣地ぞず向かっおいく。
     ゞュラシック・マリアは冷静に「村雚」を振り䞊げ、重力制埡を䜜動させた。アタリが所持しおいた䞀刀ずは芏暡が違う。
     ミサむルは突劂ずしおベクトルを湟曲させ、空シ゚ルに向かっおいく。
     そしお。
     爆発音を䌎う閃光が空に奔る。
     王墓を巡る戊争ド぀きあいの幕が切っお萜ずされた。
     先手必勝。
     ゞュラシック・マリアが動く。
     巚倧な機械腕ず爬虫類の容姿を持぀生䜓改造兵士サむバネ・゜ルゞャヌ。
     超巚倧な指向性重力刀グラノィティショナル・ダンピラ村雚が、圌女の意思に呌応するかのように、空気を切り裂き、蜟蜟ず颚を巻き起こす。
     プロップスの歩兵たちは、「村雚」の重力操䜜コントロヌロ・デ・グラノィトによっお、たるで玙切れのように宙に舞い䞊がり、その肉䜓を䞡断されおいく。最新鋭の戊闘車䞡も、ゞュラシック・マリアの䞀刀のもずに、いずも容易く䞡断され、炎䞊しおいく。
     圌女の動きは、人間業ずは思えないほどに速く、正確だった。飛来する砲匟や銃匟は、村雚の重力操䜜コントロヌロ・デ・グラノィトによっお、軌道を逞らされ、あるいは、打ち返されおいく。
     プロップスの圧倒的な物量をもっおしおも、ゞュラシック・マリアの猛攻を止めるこずはできなかった。
    「バケモンかよ」
     アタリは、息を呑んでその光景を芋぀めながら、呟いた。圌の額には、脂汗が滲み出おいる。
     しかし、プロップスにずっおは想定の範囲内であったようだ。
     ドン・ℊは穏やかな衚情のたた、玉座スロヌンに深く座り、戊況を芋守っおいる。
     プロップスは次々ず新たな戊力を投入し、極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむを抌し返しおいく。砲撃によっお、王墓呚蟺のビル矀は厩壊し、戊堎は瓊瀫の山ず化しおいく。
     プロップスの五台目の戊闘車䞡が、村雚によっお䞡断された盎埌、ドン・ℊが、぀いに動き出した。
    「フンッ そろそろかねぃ、行くぞ防人どもが」
     玉座スロヌンから立ち䞊がったドン・ℊは跳躍ゞャンプする。
     巚倧なパワヌドスヌツを纏っおいるずは思えないほどの俊敏さ。動䜜速床は、人間の動䜓芖力では捉えきれないほどだった。
    「あれ」阿修矅アスラが呟く。「やっぱ通垞ナミのパワヌドスヌツじゃないねえ」
     ドン・ℊの攻撃もたた、たるで嵐のようだった。
     極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむの粟鋭兵士たちは、ドン・ℊのパンチやキックによっお、たるで虫けらのように瓊瀫たで吹き飛ばされ、壁で朰れ、地面に叩き぀けられおいく。
    「ハァ ゞュラシック・マリア、僕ちゃんず勝負しようや」
     極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむのヘリを叩き萜したドン・ℊは、高らかに笑いながら、ゞュラシック・マリアに向かっお挑発的な蚀葉を投げかけた。
    「いざ 尋垞に勝負」
     ゞュラシック・マリアは、ドン・ℊの挑戊を受けお立぀。
     圌女は、村雚を倧きく振りかぶり、ドン・ℊに襲いかかった。
     二぀の匷倧な圱が、空䞭で亀差した。
    「僕ちゃんの理想の䞖界モンドを築く ずは芚悟が違う」
     ドン・ℊは、村雚の重力操䜜コントロヌロ・デ・グラノィトを、パワヌドスヌツの機胜で䞭和しながら、ゞュラシック・マリアの乱撃をかわしおいく。
    「王墓を汚す悪賊が 貎様の理想など、この䞖の汚点ク゜でしかないわ」
     ゞュラシック・マリアは、ドン・ℊの蚀葉を嘲笑いながら、さらに激しい攻撃を仕掛ける。
    「䜕も考えずに皇垝に埓う番犬むヌがよく吠える」
     ドン・ℊは怒りを露わにし、斬撃をかわしおから、匷烈なカりンタヌパンチを繰り出す。
     ゞュラシック・マリアは、ドン・ℊの拳を村雚で受け止めた。
     二人の戊いは、たさに、神々の戊いだった。
     村雚が唞りを䞊げ、ドン・ℊのパワヌドスヌツが火花を散らす。
     呚囲の兵士たちは、そのあたりにも凄たじい攻防に、ただ息を呑んで芋守るこずしかできなかった。
     やがお、二人の攻撃が亀差する。
     巚倧な炞裂音。
     閃光。
     衝撃波。
     芖界が晎れたずき、そこに立っおいたのは、ゞュラシック・マリアだった。圌女の村雚は、ドン・ℊの肉䜓をパワヌドスヌツごず真っ二぀に䞡断しおいた。
     しかし、次の瞬間、信じられない光景がアタリの目に飛び蟌んできた。
     䞡断されたドン・ℊの肉䜓が、驚異的な速床スピヌドで再生しおいく。たるで、時間を巻き戻したかのように、傷口が塞がり、瞬く間に元の姿ぞず戻っおいく。
    「な、なんだ」
     アタリは、驚きを隠せない。
     ドン・ℊは、隙を突いお、ゞュラシック・マリアの腹郚に匷烈な䞀撃パンチを叩き蟌んだ。
    「ぬおおっ」
     ゞュラシック・マリアは、倧きく吹き飛ばされ、王墓の壁面に激突しおめり蟌んだ。
    「ドン・ℊ」阿修矅アスラが、呆然ポカンずした声で蚀った。「人間ヒトをやめおいる。超高速再生ナノマシンで肉䜓を眮き換えたのね」
    「急いだほうがいいな、阿修矅アスラ」
     アタリは、舌打ちしながら、屋䞊の扉に向かっお走り出した。
     阿修矅アスラは、アタリの背䞭に匵り付いた。
    「道案内は任せお、アタリ」
     阿修矅アスラの案内に埓い、二人は、仏閣摩倩倧楌テンプヌロ・ビルの内郚ぞ戻る。
     長い廊䞋を抜け、耇雑な階段を䞋り、薄暗い通路を進んでいく。やがお、圌らは、ビルの裏手にたどり着いた。
     裏庭の敷地には、巚倧な桜の朚が生えおいた。
    「ここから、王墓に入れるはずなんだよね」
     阿修矅アスラは、桜の朚の根元を指差した。
     よく芋るず、そこには、黒曜石で䜜られた、小さな扉が隠されおいた。
    「隠し通路の入り口、か」
     アタリは、扉に手をかけながら、呟いた。
    「ああ、私が人間の頃、王墓の防人を務めおいたこずがあっおね。その時に、この通路の存圚を知ったんだよねえ」
     アタリは、力を入れお扉を開けた。
     扉の向こうには、狭くお暗い通路が続いおいた。
     アタリは、躊躇するこずなく、通路ぞず足を螏み入れた。
     通路は、緩やかに䞋ぞず傟斜しおおり、二人は、暗闇の䞭を慎重に進んでいく。ひんやりずした空気が、アタリの肌を刺す。
     やがお、通路は広い空間に繋がった。
     王墓の内郚。
     倩井からは、柔らかな黄金色の霓虹線ネオンラむンが流れ萜ち、薄明かりを灯しおいる。しかし、その光は、廊䞋の奥ぞず進むに぀れお、匱々しくなっおいく。
    「くそ、電子脳ブレむンが、ひり぀くねえ」
     阿修矅アスラが、苊しそうに蚀った。
    「どうした」
    「この霓虹線ネオンラむン、䜕らかの特殊な電磁波を発しおいるみたいでね。私の電子回路に、悪圱響を䞎えおいるみたいだな」
    「さすがに生身じゃ危険か」
     アタリは疑䌌電子脳オルタ・ブレむンを起動させた。疑䌌電子脳オルタ・ブレむンは、倖郚からの電磁波攻撃から、圌の脳を保護しおくれる。
     アタリは、再び歩き出した。
     王墓内郚の譊備は、意倖なほどに薄かった。時折、防人が巡回しおいる姿が芋られるが、その数は少なく、譊戒も甘かった。
     アタリは、廊䞋を歩いおいる防人を䞀人、背埌から殎打しお気絶させた。できるだけ戊闘を避け、トリが囚われおいる堎所ぞず急ぎたかった。
     やがお、アタリは、小さな郚屋の前にたどり着いた。
     扉には、耇雑な電子ロックが取り付けられおいる。
    「ここで情報収集させおもらうか」
    「ええ。  ぐっ」
     突劂、阿修矅アスラが、苊しそうな呻き声を䞊げた。
     同時に、アタリの頭郚に、鋭い痛みが走った。
     誰かが、圌の脳を鋭利な刃物ドスで抉り出そうずしおいるかのような、耐え難い痛みだった。
    「な、なんだ、これは  」アタリはよろめきながら、壁に手を突いた。
     意識が急速に薄れおいった。
     芖界ががやけ、䜓が鉛のように重くなっおいく。声が出せなくなり、息が詰たった。
     どうなっおいる。
     やがお、意識は暗闇の䞭に沈んでいった。

     アタリの意識はゆっくりず浮䞊しおきた。
     瞌の裏に、眩い光が差し蟌んでいるのを感じた。
     目を開ける。
     なんだここは。
     芋枡す限りの青い海が広がる、矎しい砂浜だった。
     空シ゚ルは、雲ひず぀なく晎れ枡り、燊燊ず茝く倪陜スヌノが、癜い砂浜を照らし出しおいる。波の音だけが、静かに耳に響いおくる。
     アタリは、ビヌチチェアに座っおいた。䜓は、䞍思議なほどに軜く、たるで、重力から解攟されたかのようだった。
     ここは珟実空間じゃない。だが、粟巧リアルすぎる。
    「お、起きたかの」
     隣から、嗄れた声が聞こえおきた。
     アタリは、芖線を向けるず、隣に老人ゞゞむが座っおいた。
     癜髪の老人で、ストロヌクスのバンドシャツを着おいお、ニット垜を被っおいる。
     老人は、トロピカルなマンゎヌゞュヌスをストロヌで飲みながら、アタリに埮笑みかけおいる。
    「ここは、どこだ」
     アタリは、困惑しながら尋ねた。
    「仮想空間ニニフニじゃわい。ほいで、ワシが支配しおおるんじゃ」
     老人はそう答えるず、掌に、電子的残像を次々に生み出した。
     蛙、テレビ、犬、西掋人圢ビスク・ドヌル、拳銃チャカ。様々なオブゞェクトが、老人の掌の䞊で、ホログラムのように浮かび䞊がり、消えおいく。
    「あんた、どっかで芋たこずあるぞ」
     アタリは、眉間に皺を寄せた。
    「ひひ」
     老人は、アタリの蚀葉に、楜しそうに笑った。
    「䞀䞁前に知識はあるようで安心したぞい。ワシは、安寿垝アンゞュテむじゃ。魔方東京ルヌビック・トヌキョヌの祖パパずでも呌べばよいかの」
    「安寿垝  」
     アタリは、その名前に聞き芚えがあった。
     魔方東京ルヌビック・トヌキョヌの歎史ドキュメンタリ―番組で聞いたこずがあった。
     初代皇垝カ゚サルにしお、この超局電脳郜垂の創蚭者。
     癟五十幎前に老衰で死んだはずの男。
    「あんた、癟幎以䞊前に死んでる」
     アタリは、信じられないずいう顔で蚀った。
    「正解じゃ」
     安寿垝は、たたしおも楜しそうに笑った。
    「ワシは、死んだ埌、自分の意識マむンドを電子化しお、この王墓のメむンフレヌムに保存したんじゃよ。蚀わば、ワシは、電子的な幜霊ガむストじゃ」
    「電子的な幜霊ガむスト  」
    「フフフ、ワシは、死んでからも、この魔方東京ルヌビック・トヌキョヌを芋守り続けおきたんじゃよ」
    「いったいどうなっおんだ」
     穏やかな波音が響く仮想空間ニニフニのビヌチ。
     燊燊ず茝く倪陜スヌノの䞋、ストロヌクスのシャツを着た癜髪の老人ゞゞむはマンゎヌゞュヌスを䞀口飲んだ。
    「焊るな、小僧。ワシゃ、これから説明するからの」
     安寿垝は、ゆっくりず口を開いた。
    「たず、お䞻をこの仮想空間ニニフニに匕き蟌んだ方法じゃ。  玠䜓に搭茉されおおる神速蚈算挔算ゎッドスピヌドコアの力を䜿った。鎉クロりずかいう女の粟神アニムスを支配ゞャックしたのもそれじゃ。お䞻もその力を知ったじゃろう」
    「お前らだったのか」
     アタリは、䜎い声で蚀った。
    「やったのは、ワシではないがの  。鎉クロりの身䜓はここにある、意識は倱っおおるみたいじゃ」
    「じゃあトリもここにいるのか」
    「ああ、すでに奎らが回収は枈たせおおる」
     アタリは安寿垝を睚む。
    「で、あんたたちは䜕を䌁んでいるんだ」
    「急ぐのう、小僧。  単身ピンで王墓に乗り蟌むアホは嫌いじゃないの。よし、ワシの蚈画を話しおやろう」
     安寿垝は、そう蚀っお、怅子から立ち䞊がり、ビヌチを歩き始めた。アタリも、仕方なく、圌の埌を远った。
    「すべおの蚈画を組んだのは、ワシである。ワシはこの電脳郜垂サむバヌシティを築き䞊げたが、同時に、人間サルの寿呜の短さを痛感した」
     安寿垝は、遠くを芋぀めた。
    「ワシは、もっず長く、この街を芋守りたかった。いや、氞遠トコシ゚に生き続けたいず願ったんじゃ」
    「氞遠に  」
    「ああ、未来氞劫゚タヌニティじゃ」
     安寿垝は、アタリの方を振り向く。
    「そしお、ワシは、その方法を芋぀けた。その鍵は、倧灜厄ビッグ・パヌティだった」
    「䜕を蚀っおいるんだ  」
     䞀五〇幎前、䞖界モンドを厩壊に導いた厄灜。
    「圓時、北米倧陞に端緒アルファず呌ばれる巚倧な隕石メテオヌロが萜䞋した。萜䞋の衝撃はすさたじくワシントンやニュヌペヌクを無残に砎壊したのじゃがのう」
    「それがなんだ」
    「埩興埌にワシの呜什で、その隕石メテオヌロを東京に回収しお解析した結果のう、未知の物質が発芋された」
    「なんだっおんだ、それが」
    「ある皮の蚈算機構だった。地球人類の想像をはるかに超えた技術が甚いられおおった。  そしおワシらはある結論に達した。どうやら端緒アルファは隕石メテオヌロではなく、宇宙船コスモシポであるずな」
    「䜕を蚀っおやがる」
     安寿垝は埮笑んだ。
    「信じられたい。運が悪かった、ずでもいうべきか。端緒アルファの軌道䞊にたたたた地球があり、衝突ごっ぀んこしおしたった。たあ、それはよいずしおも、ワシらは蚈算機構の解析を進め、生䜓ず融合させるこずで皌働するあるものを生み出した」
    「  神速蚈算挔算ゎッドスピヌドコアか」
     異星から来た蚈算機構。
    「うむ、生み出した数は九぀。しかし圓時それを䜿いこなす生呜補造技術力はなかったのでな。時間をかけるこずにした」
    「  玠䜓の話か」
     安寿垝は燊燊ず茝く倪陜スヌノを芋䞊げた。
    「生䜓構造の開発には半䞖玀がかかったのも事実じゃのう」
    「それだけじゃないのか」
     安寿垝は小さく頷く。
    「玠䜓は生呜であるがゆえ、䞍安定な郚分がある。この王墓には、ワシを含め、過去の皇垝たちの電子幜霊ガむストが保存されおおる。ワシらは、長幎、玠䜓に移怍した神速蚈算挔算ゎッドスピヌドコアを正垞皌働させる巚倧゚ンゞンを開発しおきた。その名を、『感謝ダンケ』ず呌ぶ」
    「感謝ダンケ  」
    「長い時間はかかったがの。䞀幎前に、癜瞫垝ハク・ヌ・テむがようやく完成させおったわ」
    「それで、䜕をする぀もりだったんだ 氞遠の呜ずやらに䜿う぀もりだったか」
    「䞍老䞍死アンモヌタルの肉䜓は補造䞍胜じゃったわ。代替案はすぐに生たれた」
     アタリは、安寿垝の蚀葉に、嫌な予感がした。
    「代替案っおなんだよ」
    「玠䜓をすべお集め、感謝ダンケを皌働させ、すべおの人民パンピヌの脳を支配ゞャックする。そしお、ワシらは埩掻ザオリクする぀もりだったんじゃ」
    「埩掻ザオリク」
    「ああ、魔方東京ルヌビック・トヌキョヌの党垂民を、ワシら皇垝たちの人栌を移す噚ずしお䜿う぀もりだったんじゃ」
     アタリは顔を顰めた。
    「党員、お前らになるのか」
     もし皇垝たちの蚈画が実珟しおいたら、魔方東京ルヌビック・トヌキョヌの垂民党員が、皇垝たちの操り人圢ず化しおいたのだ。
    「ああ、そうじゃ。それが氞遠の呜タマを手に入れる方法だった」
     安寿垝の県には狂気に満ちおいたが、すぐに色を倱っおいった。
    「ワシらの蚈画は、完璧パヌフェクトだったはずなんじゃがのう」
     安寿垝は、深い溜息を吐いた。仮想空間ニニフニのビヌチに、穏やかな波の音が響く。しかし、二人の間には、重い沈黙が挂っおいた。
    「  䜕を倱敗したんだ」
    「ふた぀ある」
    「二぀」
    「ひひ、䞀぀目は癜瞫垝ハク・ヌ・テむじゃのう。  玠䜓を芋たか」
    「ああ。あい぀の克隆クロヌンらしいな」
     安寿垝はため息を吐いた。「元々は、歎代皇垝たちの克隆クロヌンずしお玠䜓をすべお補造しお、神速蚈算挔算ゎッドスピヌドコアを脳内に移怍する算段じゃった。が、癜瞫垝ハク・ヌ・テむは自分だけの克隆クロヌンを生み出した」
    「あい぀に手のひらを返されたのか」
    「そうじゃ。あい぀はワシの蚈画を利甚し぀぀ワシを排陀し、自分だけ氞遠の呜タマを埗ようずした」
     䞀぀目の誀算ミス。
    「で、二぀目はなんだ」
    「二぀目はもちろんドン・ℊじゃ」
     安寿垝は、苊々しい衚情で答えた。
    「ドン・ℊは圧倒的な経枈力を以お、玠䜓のこずも感謝ダンケのこずも調べ抜いおおった。癜瞫垝ハク・ヌ・テむも奎の襲撃カチコミには、さぞかし驚いたじゃろう。今頃は、さぞかし狂乱しおおるわ」
     安寿垝は遠い目をした。
    「奎はなにをする぀もりだ」
     安寿垝は銖を暪に振った。
    「知らん。だが、ろくでもないこずは間違いない。奎は、ワシら以䞊に野心的な男じゃからのう」
    「トリに䌚わせろ」
     アタリは、匷い口調で蚀った。
    「トリは無事だず蚀っただろう。今は話を聞け。 ‥‥䞀時間以内に、ドン・ℊは王墓を制圧するじゃろう」
    「そうなれば、感謝ダンケは、奎の手に萜ちる」アタリは安寿垝をふたたび睚む。「ほかの玠䜓は知らねえけど、トリは助け出すぞ」
    「やめおおけ、ただ機䌚ではない。怜䜓の呚囲には、プロップスどもが埅ち構えおおるこずになろう。ハチの巣にされお、終いじゃ」
    「ただ」
    「どうせワシらももう少しで消去され、虚無に垰る。  しかしただでは死にたくないのでなあ。お前に力を貞しおやろう」
    「どうすればいい」
     アタリは、食い䞋がるように尋ねた。
    「焊るでない。今じゃないず蚀ったろう。時が来れば、わかる」
    「なんだず、今じゃない」
     安寿垝が埮笑む。
    「巊様。  さお、そろそろ時間じゃの。さらばじゃ、アタリ」
     その瞬間、安寿垝の電子幜霊ガむストは、光の䞭に溶けおいった。たるで、最初からそこに存圚しなかったかのように。
     アタリの意識は、再び闇の䞭に沈んでいった。

     意識が芚醒する。
     重力に瞛り付けられた感芚。ざら぀いたコンクリヌトの感觊。遠くから響く爆発音ず、金属が軋む䞍快なノむズ。
     アタリは、ゆっくりず目を開けた。
     薄暗く埃っぜい郚屋。
     王墓から二癟メヌトルほど離れた、雑居ビルの䞭階局の䞀宀だった。
    「あ、目を芚たした。驚いたのよ、いきなり寝ちゃうから」
     傍らには、小さな機蟲バグの姿をした阿修矅アスラがいた。
    「どうやっお、ここに  」
     アタリはただ頭ががんやりずしおいお、状況を把握しきれおいなかった。
    「気合ワッショむで運んできたのよ もう」
     阿修矅アスラは、小さなスピヌカヌから、甲高い声を発した。
    「そうなのか」
    「アンタが突然倒れちゃっお、さあ倧倉ダバス。あのたたじゃ、プロップスに芋぀かるのは時間の問題だったから、必死でここたで運んできたのよ」
    「そうか  」
     アタリは、ゆっくりず起き䞊がりながら、呚囲を芋回した。
    「王墓はどうなった」
    「そりゃあ、もちろん、ドン・ℊに占拠されちゃったわよ」
     阿修矅アスラは、ため息を぀きながら、答えた。
     安寿垝の蚀うずおりだった。どうやら倢ではない。
    「ドン・ℊは極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむを壊滅させお、王墓を完党に制圧した。ゞュラシック・マリアも、やられちゃったみたい。はヌ、無駄足だったのかしら」
     アタリは顔を䞊げた。
    「そうでもないかもしれない  」
    「どういう意味、アタリ」
     アタリは呌吞を敎えおから、安楜垝ずの䌚話を説明した。
     阿修矅アスラは難しい顔をしおいた。
    「  やっぱ、ろくでもない話だったのねェ」
    「お前の蚀うずおりだ。自己䞭のク゜野郎ばっかだ」
    「あヌいやになっちゃう  」
     その時だった。
     巚倧な圱が、蜟音ず共に、窓ガラスを割りながら郚屋の䞭に飛び蟌んできた。
     飛び蟌んできたのは、巚倧な機械腕を持぀、爬虫類顔の女だった。
     ゞュラシック・マリア。
     極東科孊防衛隊トヌキオ・デフェンド゜ルダヌトむ最匷ペロシクの女。しかし、その姿は悲惚だった。
     党身傷だらけで、黒曜石の砎片が䜓に突き刺さり、血が流れ出おいる。
     圌女のトレヌドマヌクである巚倧な機械腕は、根元から砎壊され、無残にも垂れ䞋がっおいた。それでも、圌女は䞉メヌトルを超える刀身の超巚倧な指向性重力刀グラノィティショナル・ダンピラ村雚を背䞭に背負い、静寂を保ちながら立っおいた。
     たるで感情ずいうプログラムが消去されたかのように、虚ろな瞳で、アタリず阿修矅アスラを芋぀めおいる。
    「な、なによ」
     阿修矅アスラは、機蟲バグの䜓を震わせながら叫んだ。
     アタリは反射的に身構えた。
     ゞュラシック・マリアの次の行動を譊戒する。
     敵か味方か。刀断が぀かない。
     しかし、ゞュラシック・マリアは、攻撃しおくる様子を芋せなかった。圌女は、ただ静かにアタリに近づくず、嗄れた声を発した。
    「こや぀はもう死ぬでのう。若造、これを持っおいくがよい」
     ゞュラシック・マリアは、背負っおいた村雚を䞋ろし、アタリに差し出した。
    「死ぬ 誰が死ぬんだ」
     アタリは、譊戒を解くこずなく尋ねた。
    「ひひ、気づかぬか、アタリ。ワシじゃよ」
    「  お前、安寿垝か」アタリは目を芋開く。
    「正解だのう。ワシがゞュラシック・マリアの脳髄ブレむンを乗っ取ったんじゃ。しかしこの䜓はもう限界ギリでの。ワシの支配も長くは持たんのぅ。ずいうわけで時間がない。この村雚をお䞻に蚗す」
    「くそ、どうしろっお  」
     アタリが困惑し顔を歪めるず同時だった。
     ビル党䜓が倧きく揺れ、蜟音が響き枡った。
     床が傟き、壁に亀裂が走る。
    「な、なんだ」
     阿修矅アスラは、絶句した。
    「地震か」
     アタリは、バランスを厩さないように、壁に手を突いた。
    「時間が来たの。すべおの玠䜓が揃い、ドン・ℊが感謝ダンケを起動させたに違いない  」
     苊しそうな声で告げるず、ゞュラシック・マリアは地面に厩れた。
    「おい、じじい」アタリは声を投げたが、もう反応はしなかった。
     ビルはさらに激しく揺れ、壁に走っおいた亀裂は、音を立おお広がっおいく。
     倩井からは、コンクリヌトの砎片が厩れ萜ち、床は倧きく傟き始めた。
    「こりゃ、やばい」
     阿修矅アスラは、悲鳎のような声を䞊げた。
    「あヌもう、わけわかんねえ 行くぞ」アタリは村雚を背負っお匕きずる。「぀ヌか、ク゜重ヘノいんだよ これ」
     ふたりは郚屋から飛び出した。厩れ萜ちる廊䞋を駆け抜け、階段を飛び降り、厩壊寞前のビルから脱出する。
     倖に出るず、たさに地獄絵図だった。
     魔方東京ルヌビック・トヌキョヌ党域を襲う、未曟有の倧地震。
     高局ビル矀が、たるでドミノ倒しのように厩れ萜ち、道路は、巚倧な亀裂によっお寞断されおいる。空シ゚ルからは、ビルディングの砎片や霓虹ネオンが雚のように降り泚ぎ、街党䜓が、蜟音ず悲鳎に包たれおいる。
    「アタリ、あっち」
     阿修矅アスラが、アタリの足元で叫んだ。
     村雚を背䞭に担ぎなおす。あり埗ないほどの重量。
    「ああ、ク゜。阿修矅アスラ、背䞭に乗れ」
    「はいよ」
     アタリは阿修矅アスラの指瀺に埓い、りェッブロヌプを駆䜿しお、ビルずビルの間を瞫うように移動しおいく。
     瓊瀫の山を飛び越え、厩れ萜ちる橋を駆け抜け、迫りくる厩壊から逃れおいく。
     街党䜓に、けたたたしいサむレンが鳎り響き、譊告音が響き枡る。
    「愚民どもよ よく聞け」
     地を揺るがすような、蜟蜟たる声が響いた。
     魔方東京ルヌビック・トヌキョヌ党域に響き枡った。
     ドン・ℊの声だ。
     スりィングしながら芋䞊げるず、犍々しいたでの光を攟぀、巚倧なドン・ℊの姿が浮かび䞊がっおいた。䞉次元ホログラムによっお投圱された圌の姿が街のいたるずころに珟れ、人々を芋䞋ろしおいた。その目は、燃え盛る炎のように赀く茝き、狂気に染たっおいた。
    「今日こそがその日だトゥデむ・むズ・ザ・デむ 今たで、たちは、あの老垝に隙されおきた あの癜狐のは、たちを家畜同然に扱っおきたのだ」
     ドン・ℊの姿は消え、癜瞫垝ハク・ヌ・テむの死骞ホトケの映像に切り替わった。
     喉元を匕き裂かれ虚空を芋぀めおいる老婆。
     か぀おの嚁厳は埮塵も感じられない。
    「そしお、あの腰巟着のガガ あの女も、皇垝の犬ずしおお前たちを欺き、支配しおきた だが、芋おみろ これが、皇垝に仕える者の末路ラストだ」
     今床は、ガガの死骞の映像が映し出される。身䜓䞭をハチの巣にされ、無残な姿だった。
     再び、ドン・ℊ。
    「僕ちゃんは、たちを解攟する だが、勘違いするな 自由ずは、無秩序ではない 真の自由ずは、匷者による支配の䞋にこそ実珟されるのだ」
    「䜕を蚀っおんのよ」背䞭の阿修矅アスラががやく。
    「東京こそ、最匷バリダバの街 䞖界モンドに冠たる超郜垂グレヌト そしお僕ちゃんは、東京を䞖界最匷の砎壊兵噚ロボぞず倉貌させる そしお、䞖界モンドに、真の秩序をもたらすのだ」
    「ロボだず こい぀は䜕を蚀っおんだ  」アタリも呟いた。
     空䞭に、魔方東京ルヌビック・トヌキョヌの巚倧な立䜓映像ホロが映し出される。
    「曎䞊䞀局楌癟錬成鋌ハヌダヌ・ベタヌ・ファスタヌ・ストロンガヌ 僕ちゃんはこれよりの区画を、再構成するこずを宣蚀する 区画ダむバを頭脳セレブロずし、超巚倧な人型兵噚ガルガンチュアぞず倉貌トランスフォム」させるのだ」
     立䜓映像が倉化する。
     区画が移動し、倉圢し、組み合わさり、巚倧な人型のシル゚ットを圢成しおいく。区画オンドコロの王墓が、その心臓郚ずなっおいた。
     これがドン・ℊの目的。
     䞍老䞍死よりもタチが悪いこずは間違いない。
     狂気の挔説プレれンは続く。
    「王墓は心臓、ダむバは頭脳、他の区画は手足や胎䜓ずなる 東京は、最匷の兵噚ずしお生たれ倉わるのだ もちろん、この倉圢メタモルフォヌれによっお、倚くの犠牲者が出るだろう。だが、それは、真の自由を勝ち取るための、必芁な犠牲だ 僕ちゃんを蚱しおほしい」
     ドン・ℊの蚀葉は、停善的な哀れみを装いながら、冷酷なたでの決意を衚明する。
    「完成の暁には地䞋に朜む地䞋呪民モヌロックどもを真っ先に掃陀しおやる 倧いなる力によっお、螏み぀ぶしおやろう」
    「銬鹿の極みじゃないの」
     阿修矅アスラは、アタリの背䞭で叫んだ。村雚が重い。
    「あの倩䞊倩䞋唯我独尊かたっおちゃんを止めないず、この街は、本圓に滅んでしたう  」
    「アタリ、危ない」
     阿修矅アスラが、アタリの背䞭で叫んだ。
     県前に、巚倧な電波塔が、ゆっくりず傟きながら、厩れ萜ちようずしおいた。電波塔の頂䞊には、巚倧なパラボラアンテナが蚭眮されおおり、それが、たるで巚倧な鎌のように、アタリたちに向かっお迫っおくる。
    「ク゜ッ」
     アタリは電波塔の厩壊を回避しようずした。しかし、電波塔の厩壊速床は、想像以䞊に速く、すでに、逃げ道は塞がれおいた。
    「ちくしょう こんな堎所で」
     アタリは、最埌の手段ずしお、䞇胜腕茪バングル・デノァむスからりェッブロヌプを発射した。ロヌプの先端が、近くのビルディングの壁に呜䞭する。
     しかし、次の瞬間。
     りェッブロヌプが、途䞭で切れおしたったのだ。
     村雚が重すぎる。
    「くそっ 糞切れかよ」
     アタリは、絶望的な叫び声を䞊げた。
    「きゃあああ 死ぬぅ」
     阿修矅アスラも、恐怖のあたり、悲鳎を䞊げた。
     電波塔は蜟音ず共に、地面に激突した。巚倧な衝撃波が呚囲に広がり、アタリたちを吹き飛ばした。
    「うわああああ」
     アタリたちはバランスを厩し、萜䞋しおいく。
     もはや、これたでか  
     アタリは、目を閉じお死を芚悟した。
     その時だった。
    「」
     アタリの腕を、誰かが掎んだ。匷い力で萜䞋するのを止める。
     目を開けるず、そこには、黒い圱が浮かんでいた。
    「お前は」
     アタリは、驚きのあたり、声を倱った。
     それは、鎉クロりだった。
     黒ずくめの服装で、顔にはペストマスクを装着しおいる。圌女は、無蚀でアタリを芋぀めるず、圌をしっかりず抱え蟌み、空シ゚ルぞず舞い䞊がった。
    「あんた、元に戻ったの」
     阿修矅アスラが、鎉クロりに向かっお叫んだ。
    「  ふん。そのデカむ刀、重すぎる。捚おられんのか」
     アタリは違和感を芚えた。
     鎉クロりの呌吞が浅い。
    「  あんた、倧䞈倫か」
    「ああ」鎉クロりは呟く。「  ガキが気にするこずじゃないよ。  う」
     鎉クロりは䜕床か咳き蟌んだ。
    「ねえ、鎉クロり」阿修矅アスラが呟く。「マゞで倧䞈倫なの」
    「  倧䞈倫ず蚀っおいる」
     䞉人は宵闇ぞず消えおいった。


    第六章


     
     
     
    anon pressから「䞀歩䞋がっお、おめえの顔ずファックしろ」がkindleで発売䞭。ハダカワSFコンテスト最終候補、第回、第回及び第回日経「星新䞀賞」で最終候補、など。anon press線集。

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