
夏の花に、終わらない約束を【3】
【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【最終話】
「でも葵に何もなくてよかったよー」
そう言いながら優香がルーのかかったご飯を頬張る。
あのあと、私たちは何とか山頂を登り切り、一晩泊まる予定の山小屋まで到着した。夏神くんたちと解散して、私と優香は夕食にカレーライスを食べていた。
「うん、ほんとにね」
私は頷く。本当は、何もなかったわけではなかった。足を捻って立てなかったのに、夏神くんが触れて痛みが消えた。その出来事を優香にうまく説明できる気がしなくて言っていなかった。
「透くん、めちゃめちゃ泣いてたよね」
「あはは。でも透くんも倒れずに無事に登り切れてよかったよね」
私が斜面から落ちたことに、透くんはひどく責任を感じて、何度も謝ってきた。透くんのせいだとは思っていなかった。どちらかと言えば、夏神くんの言うとおり私が頑張りすぎたのかもしれない。
「でももう、ほんとに疲れた。夜、恋バナをしたかったけど、もうそんな気力ない」
優香がつまらなそうに言う。
「うん。疲れたし、早く寝よ」
私たちは、カレーライスを食べ終えて、シャワー室へと向かった。
その夜、私はなかなか寝付けなかった。
今日あったことがぐるぐると頭を巡っている。特に、夏神くんのことが気になっていた。転落で確かに足を痛めたはずだった。けれど、夏神くんが触れたあと、痛みは消えていた。
ただの偶然なのか、夏神くんが何かをしたのか。考えても分からないのに、一度気になり始めると止まらなかった。身体は疲れているはずなのに、目ばかりが冴えていく。
隣からは優香の寝息が聞こえていた。
私は、優香を起こさないようにゆっくり起き上がった。そのまま音を立てずにそっと部屋を抜け出す。山小屋の中は、もうすっかり静かだった。
玄関を出ると、強い風が吹いていた。上着を着てくればよかったなと思いつつ、そのまま軒先に出る。
空を見上げると、満天の星が輝いていた。
「きれい」
思わず小さな声が出た。
軒先の木のベンチに座る。そのままぼんやりと、星を眺めていた。
しばらくして、がらがらと戸が開く音がした。振り返ると、目を丸くした夏神くんが立っている。
「え、夏神くん?」
「ちょっと、声大きいで」
静かに、と夏神くんが笑う。
「あ、ごめん」
「隣、座ってもええ?」
「あ、うん」
ベンチの端に座り直すと、隣に夏神くんが座った。
「こんな遅くに外出てええの?学級委員長」
夏神くんがちょっと揶揄うように言う。
「いや、よくはないんだけど......何だか目が冴えちゃって。夏神くんも?」
んー、と夏神くんは背伸びをする。
「そうやなあ。俺は、せっかく山に泊まってるし、星を見とこうかなあと思って」
「へえ、星好きなの?」
「うーん、まあ、そうかも」
夏神くんが黙って星を眺めるなんて、少し意外に思った。
「まあ、星座とかはあんまり詳しくないんやけどな。ていうか、葵ちゃん、半袖で寒くないん?」
「あー、ちょっとだけ外に出てすぐに戻ろうと思ってたから」
「これ、羽織っといて」
そう言って、夏神くんは長袖のパーカーを脱ぎ、肩にかけてくれた。
「あ、ごめん。ありがとう」
「気にすんなって」
そう笑って夏神くんはまた星空を見上げた。
黙って夜空を見上げる夏神くんの隣で、私はその横顔をこっそり見た。改めて近くで見ると、まつ毛は長く、グレーの目は透き通っていて星の光を映しているようだった。
きれいだと思った。
ふと、夏神くんがこちらに視線に気づいた。
「葵ちゃん、どないしたん?」
「あ、えっと。今日、ありがとうね。助けてくれて。……ちゃんとお礼を言えていなかったなって」
そう言うと、夏神くんはふっと微笑んだ。
「ええって。......でも、本当に気をつけてな」
「え?」
「葵ちゃんは頑張りすぎやと思うから。今日のもそうやし、学級委員長の仕事も、結構たくさん押し付けられとるみたいやし。困っとる人を放っておけんタイプやろ?」
夏神くんの言葉に、どきりとする。
押し付けられて無理やりやっているという感覚はなかった。けれど、困っている人を放っておけない、というのは心当たりがあった。
「うーん、そうかも。我慢してやってるわけじゃないけど」
「頑張るのはええことやけどさ、もうちょっと周りを頼ってみたら?」
「......そうだね」
もうちょっと周りを頼る。
その言葉を、私はすぐには受け取れなかった。その人の負担になっていないか心配になるし、任せたあとで不安になるくらいなら、自分でやった方が安心だった。
「今日だってさ、何なら俺の上着を透に貸してもよかったのに。葵ちゃんが先に渡しちゃったから」
「いや、それだと夏神くんが風邪ひいちゃうし」
「俺、普段から傘を差さずに歩くんよ。前も見たことあるやろ?」
そういえば、最初に会ったとき、夏神くんはびしょびしょになって猫を探していた。
「え、あれ、毎回なの?雨の日はいつもびしょびしょで歩いてるってこと?」
「そうやで」
夏神くんは、歯を見せて笑った。
「ええ、それはそれで心配だよ。風邪引かないの?」
「うん。俺は健康体やから」
「......なんか、変わってるね」
「あー、その言い方は馬鹿にしとるやろ」
おかしくなって、私たちは顔を見合わせて笑った。
くしゅん、と夏神くんがくしゃみをする。
「ほら、健康体の夏神くんでも山の夜は寒いよ。そろそろ戻ろう」
「そうやな、明日もあるし」
私たちは立ち上がった。
「じゃあな、おやすみ」
「おやすみなさい」
私は、もう一度星を見上げてから、みんなが寝静まる部屋に戻った。
◇
窓を開けるとむしむしとした空気が流れ込んできた。
学校に行く前に部屋の空気を入れ替えようと思っただけなのに、灰色の空とじめっとした空気に、朝から気が滅入りそうになる。私は慌てて窓を閉めた。
身支度をして階段を降りると、玄関で蒼汰が靴を履いていた。
「蒼汰、おはよう」
「あ、姉ちゃん。おはよ」
「早いね、朝練?」
「そう。もうすぐ試合だから」
大きなエナメルバッグの横にあるバスケットボールが入った袋が目に入った。
「そっか。頑張って」
「うん。姉ちゃん、今日バイト?」
「そう。遅くなるから夕飯先に食べてて」
「わかった。行ってきます」
行ってらっしゃい、と言って弟の背中を見送った。また身長が伸びたかな、と思いつつ私はリビングを覗く。
リビングには誰もいなかった。お母さんはまだ寝てるんだろう。天気が悪い日が多いからか、最近は朝になっても起きてこない日が多い気がする。
「お母さん、行ってくるね」
二階の部屋にいる母に一応声をかけた。返事はなかったが、そのまま家を出た。
年次ハイキングから一カ月が過ぎ、六月も終わりに近づいていた。あと二週間ほどで期末テストがあり、それが終われば夏休みに入る。そろそろテスト勉強をしないと、と思いながら学校への道を急ぐ。
日は照っていないのに、じんわり汗をかいて嫌な気分になる。早く夏休みにならないかな、と思った。
「あ、葵さん、おはよう」
自転車置き場に自転車を止めていると、透くんに声をかけられた。
「おはよう、透くん」
ハイキングが終わってからも、私たちは四人でよく過ごしていた。お昼を一緒に食べたり、休み時間に少し話したり。透くんも、前より教室で顔を上げることが増えた気がする。
「今日、暑いよね。むしむししてるし」
私は手で顔を仰ぎながら言った。
「ね、期末テストも近いし」
「あー、そうだよね。そらそろ勉強しなきゃ。透くんはもう勉強を始めてるの?」
「あ、うん。一応」
「そっかあ、すごいなあ」
「全然だよ。それに葵さん、成績いいじゃん」
「そんなことないよ。テスト前は結構慌てるタイプだし」
「そうなんだ」
そう言いながら、透くんが立ち止まる。
「ん?どうかした?」
「あ、あのさ。よかったら放課後一緒に勉強しない?......あ、四人で!」
振り向くと、ちょっと透くんが恥ずかしそうな顔をして立っている。
「うん。いいね。みんなテストもあるし、一緒に勉強しよ」
「......よかった!ありがとう」
「全然だよ、むしろ誘ってくれてありがとう」
そうして、私たちは放課後に集まって勉強をすることになった。
「ここの文、どうやって訳すの?」
優香が透くんにテキストを見せる。
放課後、誰もいなくなった教室で、私たち四人は机を並べて課題をやっていた。
「あ、それはね。この単語がこういう意味だから......」
透くんは古文が得意で、優香に文章の意味をわかりやすく説明する。私は数学の問題集を解いていた。ちらりと目の前にいる夏神くんを見ると、英語のテキストを前に頭を抱えているようだった。
「夏神くん、英語苦手なの?」
私が声をかけると、彼は顔を上げた。
「ああ、うん。日本語と全然違うから違和感ばっかりや」
そう言って困ったように笑った。
ハイキングでの不思議な出来事は、その後も誰にも話さなかった。あれ以降不思議なことは起きていなかったし、私は夏神くんの前でもあの出来事には触れないようにしていた。
「どれどれ、ちょっと見せて」
私は夏神くんのテキストを覗き込む。
「あ、ここが間違えてるよ」
「え、どれ」
私が説明をしていると、隣から「さすが!透くん!」と優香の声が聞こえた。
「いや、そんなことないよ」
透くんが恥ずかしそうにしている。
「透くんの説明、分かりやすくてとってもいい。国語の先生を目指してるんだっけ?」
「あ、うん。中学校の国語の教員を目指していて。中学の先生にお世話になったから、僕もあんな先生になりたいって思ったんだ。だから大学も教員免許が取れるところに行こうと思ってる」
「へえ。透、すごいなあ」
夏神くんが大きく頷く。
「そんなことないよ」
透くんは少し照れていたけれど、さっきの言葉には迷いがなさそうだった。
「みんなは?大学とか、将来のこととか決めてるの?」
透くんが尋ねる。
「私は小さい頃から看護師になりたくて、大学も看護学校に行くつもり」
優香が言った。
「優香ちゃんも、ちゃんと夢があるんやなあ」
すごい、と夏神くんが頷く。
「看護師のお母さんの背中を見て育ったからね。そういう陽くんは?」
「うーん、俺は大学には行かへんかなあ」
「そうなの?何かやりたい仕事とかあるの?」
優香が聞き返す。
「家の仕事を継ぐ予定やねん」
「へえ、そうなんだ」
「まあ、まだ見習いやけどな」
夏神くんはいつものように明るく笑った。
みんな、それぞれに先のことを考えている。その中で、私だけが何も決まっていなかった。
「葵ちゃんは何かやりたいこととかあるん?」
夏神くんに聞かれて、胸の奥が小さく縮む。
「あ、私は......」
どう言おうか迷ったところで、チャイムが鳴った。時計を見ると、バイトの時間が迫っている。
「あ、ごめん。私、このあと用事があったの忘れてた。今日はここで」
急いで鞄に教材を詰める。
「そうなんや、葵ちゃん、忙しいなあ」
「また明日ね。葵さん」
「ばいばいー気を付けて」
私は三人に手を振って、逃げるように教室を後にした。
「今日も一日、よろしくお願いいたします」
巫女正装に着替えて、本殿で手を合わせる。いつもどおり、仕事に取り掛かった。
平日の午後で、今日も参拝客が少なそうだったので、授与所でのお守りの受け渡しは槙田さんに任せて、境内の掃除をすることにした。本殿のまわりを中心に小石や落ちてきた葉を集めていると、不意に声をかけられた。
「あの」
「はい」
振り向いて、固まった。
そこに立っていたのは、夏神くんだった。
「あ、やっぱり。葵ちゃんや。そうかと思うてん。でも違ったらあかんから、控えめに声かけた」
そう嬉しそうに話す。
「夏神くん......なんでここに?」
「なんで、って」
うーんと、夏神くんは少し考えるようにしてから、困ったように笑った。
「家の近くやから、ちょっと寄ってみただけなんやけど......」
それから、私の恰好を見る。
「それ、似合ってんな。巫女さんのアルバイトしてるん?」
神社で巫女装束を着て、掃除をしている。もう、言い逃れはできなかった。
「あーえーっと.....うん」
私はしどろもどろになりながら、私は頷いた。
「へえ、すごいなあ。あれ、でもバイトって、してもよかったんやっけ?」
夏神くんが首を傾げる。ひやりと、変な汗が出た気がした。
「あ、あの。もし、時間があったらでいいんだけど、バイトが終わってから話さない?六時半には終わるんだけど」
そう言うと、夏神くんは一瞬、目を丸くしたが、すぐに微笑み、
「ええで。神社の前で待っとるわ」と答えた。
仕事終わり。宮司さんへのいつもの報告を済ませて、社務所を出た。
ひとつ深呼吸をする。
この後、夏神くんに会って、アルバイトのことを正直に話すつもりだった。境内で話した後、階段を下りていく夏神くんの背中を見て、なんだか、この人なら秘密を守ってくれそうな気がしていた。
階段を降り、自転車置き場に向かう。夏神くんがしゃがみ込んでいるのが見える。目線の先には、白猫がいた。
「陽くん、お待たせ」
「あ、葵ちゃん。おつかれー」
地面に寝転がってお腹を出している白猫を撫でながら夏神くんがこちらに気が付いた。
「ごめんね、待たせちゃって。あ、猫も一緒にいたんだ」
「おう。家がこの辺だから、歩いてたみたい」
猫は気持ちよさそうに目を細めている。
「へえ......ねえ、私も撫でていい?」
「ええよ。ほら、こっち」
夏神くんが少し横に移動して手招きをした。
夏神くんの横にしゃがんで、猫のお腹をゆっくり撫でた。そうすると、白猫はゆっくり目を開けて、こちらを少し不思議そうに一瞥した後、また目を閉じた。夏神くんがふふ、と笑う。
「やっぱり葵ちゃんのこと、気にいっとるみたい」
「そうなの?」
「うん。嫌いな奴だったら、爪を出して嫌がる」
「ええ。そうなんだ」
「きっと葵ちゃんが優しい子ってわかるんやろうな」
思わず夏神くんの顔を見る。優しい表情で、猫を撫でていた。
自転車を押しながら河川敷の道を歩く。隣には夏神くんが猫を抱いて歩いている。「途中まで送るよ」と言われて、帰り道を少しだけ一緒に歩くことになった。
「あのね、さっき気づいたと思うんだけど、私はあの神社でアルバイトをさせてもらってるんだ」
「うん」
夏神くんは、何でもないように頷いた。
「......あの、秘密にしてくれる?」
そう言うと、夏神くんは立ち止まった。
「え、ええんやけど、なんで言ったらだめなん?」
やっぱり、校則でアルバイトが禁止されていることを彼は知らないようだった。
「あ、本当はね、だめなの。校則で」
そう言うと、夏神くんは、ああ、と納得したような顔で頷いた。
「わかった。言わへんよ」
その言い方があまりにあっさりしていて、少しだけ肩の力が抜けた。
「......でも、なんでわざわざ禁止されとるのに、アルバイトなんかしとるん?」
夏神くんが猫を抱き直す。白猫はにゃあ、と小さく鳴いた。
私はひとつ息を吐いた。
「......これも、言わないって約束してくれる?」
夏神くんの顔を見ると、彼はさっきまでの軽い笑い方を少しだけ引っ込めた。
「大丈夫やで。俺、意外と口硬いねん」
「ありがとう」
どこから話せばいいのか、少し迷った。
「あのね。私の家、母子家庭なんだ。二年前に父が家を出て行って、それからお母さんが調子を崩しちゃって」
言葉にすると、思いの外、息が苦しかった。
「お父さんから毎月、お金は振り込まれているみたいなんだけど、それだけで家の中が元に戻るわけじゃないから。弟もまだ中学生だし、お母さんもあまり働けないし」
もう一度、息をつく。
「誰かが大丈夫にしてくれるのを待つより、自分で動いた方が早い気がして。それで、アルバイトを始めたの」
夏神くんは黙って私の話を聞いていた。
「私が稼げる金額なんて、大したことないんだけどね。でも、弟にはなんにも気にせずに暮らしてほしいんだ」
そう言ってから、少し笑う。
「だからね、高校を卒業したら働くつもり」
「え」
夏神くんが小さく声を上げた。
「大学には行かへんってこと?」
「うん。どのみち無理だよ」
「……葵ちゃんは、大学には行きたくないの?」
「......うーん。どうなんだろ......もう考えないようにしてたかも」
私は笑って言った。笑った方が、軽く聞こえると思った。
「そっか」
夏神くんが呟く。
少し重い話をしすぎたかもしれない。そう思って謝ろうとしたとき、先に夏神くんが口を開いた。
「葵ちゃんてさ」
「うん?」
少し考えている様子の夏神くんに声をかける。
「なんか、好きなこととか、やりたいこととか、ないの?」
「好きなこととか、やりたいこと?」
「うん。例えば透は本を読むのが好きで、国語の教師になりたい。優香ちゃんは、看護師になりたい。そういうの、葵ちゃんにもある?」
夏神くんの言葉に、少し考えた。
好きなこととか、やりたいこと。ぱっと思い浮かぶものは何もなかった。
「......家族を楽にしてあげたい、とかかな」
そう言うと、夏神くんは静かに笑った。
「葵ちゃん、それもええと思うで。でもな、家族のことを葵ちゃんが全部背負う必要はないと思うで。もっと自分の好きなことを優先してもええんやない?」
夏神くんの言葉にはっとした。けれど、家の玄関に置かれた蒼汰のバスケットボールの袋や、朝になっても起きてこなかった母のことが頭に浮かんだ。
今の状況でそんなのできるわけないじゃん、そう思った。
「......夏神くんにはわかんないよ」
私は下を向いたまま言った。夏神くんの目を見れなかった。
「え、なんて?」
夏神くんが聞き返す。
「......ごめん。ここまで送ってくれてありがとうね。また明日」
私はそのまま顔を上げずに急いで自転車にまたがった。
「え、あ、うん。気をつけてな」
後ろから夏神くんの声が聞こえたが、振り返らずに家路についた。
自転車のペダルを強く漕ぐ。八つ当たりしてしまった、と思った。けれど、今日初めて家の事情を少し話しただけの夏神くんに「自分の好きなことを優先して」と言われても、どうしても素直には受け取れなかった。
自分のことなのに、自分の好きなことややりたいことが分からない。優香や透くん、夏神くんにはちゃんと向かう先がある。そのことが少しだけ羨ましかったのだと、認めたくないままに思った。