メインコンテンツへスキップ
見出し画像

「日本人でも日本語を教えられない」新米時代の自分へ。一歩を踏み出すための『日本語教師スタートセット』

    日本人なんだから、日本語を教えられる

    かつて、私はそう思い、日本語を教え始めました。

    現在は、日本語教師として12年が経ち、サイト「日本語教師のたまご」では、掲載している教材は10万ダウンロードを超え、170名以上の方に有料教材をご購入いただけるようになりました。

    しかし、私のスタートは、大変恥ずかしながら「日本語教師」と名乗ってはいけない様な状態でした。

    きっかけは、イギリス・ロンドンに住んでいた頃のことです。
    「日本語を教えてくれる人を探している」という話を耳にし、「ちょっとしたお小遣い稼ぎになればいいな」という、本当に軽い気持ちで引き受けたのです。自発的に「先生になりたい!」と思ったわけではありませんでした。

    初めて教えた人は、8歳と12歳の兄弟でした。おばあさんが日本人で、いわゆるクォーターのお子さんたちでした。
    相手は子どもだし、そんな難しい事は聞かれたり教えたりしなくて大丈夫だろうと思って始めました。

    12歳の上の子は、簡単な会話程度でしたら日本語で話ができました。
    しかし、8歳の下の子は、私が日本語で話しかけて理解はできるものの、返事はいつも英語でした。

    「どうしたらこの子が、日本語を話してくれるようになるか、分からない……」

    どう説明すればいいのか、どうレッスンを進めていったらいいのか、何が正解なのかが何も分からない、そんな状態でした。
    「私は日本人だし、子どもとだから、大丈夫」と思った、あの時の自分を本当に恥ずかしく思います。

    ヒヤリとした瞬間

    その兄弟は、毎週土曜日に3時間ほどロンドンにある日本人学校に通っていました。私の役目のひとつに、そこで出される宿題を一緒にするという事がありました。

    ある日のレッスン中、12歳の上の子から、小学校5年生の国語の教科書の内容について質問されました。

    「この言葉って、どういう時に使うの?」(確かこんな様な質問でした)

    それは、 日本人なら誰でも知っているし、当たり前のように使っている言葉でした。
    それなのに、いざ「どういう時に使う?」と聞かれた瞬間、すぐに答えられませんでした。

    「えっ……と、それはね……あれ? どうやって説明したらいいんだろう?」

    頭の中にはイメージが浮かんでいるのに、それを12歳の子どもに伝わる言葉にできない。言葉が喉まで出かかっているのに、適切な説明が出てこなかったのです。

    「私、日本人なのに、小学生5年生の国語に出てくる言葉すら、まともに説明できない」

    このとき痛感したのは、「自分が使えること」と「人に教えられること」は、全くの別だということです。
    外国の人(あるいは海外育ちの子ども)に日本語を教えるためには、ただ日本語が話せるだけではダメで、「日本語を教えるための、アプローチ(技術)」が必要なのだと、身を以て知りました。

    当時の私は、「ティーチャートーク(学習者に合わせた話し方)」も「語彙コントロール(使う言葉のレベル制限)」も、そして基本的なレッスンの流れなど、何も知りませんでした。
    何が正解かもわからないまま、ただ手探りで、毎回のレッスンをしていただけだったんです。

    この時の子ども達、そして親御さんには、謝りたい気持ちでいっぱいです。

    日本語教師になる

    その後、私は「日本語の奥深さ」に魅せられ、日本語教育能力検定試験に合格し、日本語教師養成講座も終了して「日本語教師」としての第一歩を踏み出しました。

    しかし、資格を取得したところで、また新たな壁が待ち受けていました。

    私は資格取得後すぐに2つの日本語学校で対面レッスンを始めたのですが、これが本当にハードでした。
    2つの学校で使う教科書が異なったため、私は最初から、2つのテキストの授業準備を同時に進めなければならなくなったのです。

    さらに、非常勤講師として働いていたため、 午前中はA校、午後はB校、といった具合に1日の中でレッスンが入り混じり、私の頭の中は常にぐちゃぐちゃでした。
    テキストが違えば、既習語彙も異なり、どっちの教科書で習っていた単語なのか、文法なのか、新米の私は、コントロールするのがとても大変でした。

    「1レッスンのために、何時間準備していたか」

    正直に言うと、計算したことすらありません。なぜなら、計算するのが恐ろしくなるほど、起きている時間すべてを準備に費やしていたからです。

    家にいる時はもちろん、通勤の移動中も、常に頭の中は次のレッスンのことでいっぱいでした。
    時には、電車の中で初級日本語テキスト『みんなの日本語』を広げ、「どうやって導入しようか……」と必死に考えていたこともありました。
    そして、挙句の果てには、レッスンをして失敗するという夢まで見ていました。

    1レッスン(1コマ)いくら、という形で働いていましたが、その1コマの裏には、その何倍、何十倍もの「見えない準備時間」が存在します。
    時給換算してしまったら、正直に言って「割に合わない」というのが、本音でした。

    それでも、私がこの仕事を辞めずに続けられた理由は、学習者さんたちがくれる「言葉」があったからです。

    「日本語で話せるようになりました!」
    「JLPT(日本語能力試験)に合格しました!」
    「日本人の友達ができたんです!」
    「昨日、日本語で買い物ができたんです!」など

    「ありがとう」と直接言ってもらえ、世界中の様々な国の人たちと深く関わり、その人たちの人生が変わる瞬間に立ち会える。
    それは、他のどんな仕事では中々味わえない、日本語教師ならではのやりがいだと感じています。
    少なくとも、私が会社員の時は、感じられなかった喜びがありました。

    そんな感動に支えられて、私は気がつけば日本語教師になってから、12年(もうすぐ13年目)という時間が経っていました。

    あの頃の自分を救いたい

    私が新米時代、授業準備のなかで、地味に、でも、かなり時間を奪われていたものは、「イラスト(絵カード)探し」でした。

    日本語のレッスンにおいて、言葉を教えるときは「その言葉がどういう状況で、どんな場面で、誰が誰に向かって使うのか」という場面の意識がとても大切です。

    単に「りんご」の絵があればいいわけではなく、「困っている人に手を差し伸べている場面」や「目上の人に丁寧に許可を求めている場面」などが必要なのです。

    今でこそAIの技術が発展し、誰もが簡単に画像を生成できるようになりましたが、私が教師を始めた頃はありませんでした。

    インターネットにある、無料で使えるイラストや写真を探し、切り貼りしてくっつけ、どうにかこうにか「1つの場面がイメージできるイラスト」を自作していました。
    この「探して加工する作業」だけで、何時間も時間が経ってしまっていました。

    「あの頃の私のように、授業準備で疲弊している先生方を救いたい」

    その想いから、私は日本語教師が欲している「場面を意識したイラスト」をAI技術を駆使して、自身のサイト『日本語教師のたまご』で無料公開しています。

    結果、そのイラストやその他の教材は日本だけでなく、世界中の先生方が毎日のようにダウンロードしてくれており、気づけば累計10万ダウンロードを突破しました。さらに、有料教材は、これまでに170名以上の方にご購入いただきました。

    日本語教師スタートセット

    昨今、自由な働き方という観点から、オンライン日本語教師が密かに注目を集めている(?)ように感じており、オンライン日本語教師になりたいと思う方も増えたように思います。

    しかし、一方で、登録日本語教員試験が発足されるなどし、日本語教師養成講座の価格もかなり高くなってきています。
    また、修了するにも時間もかかってしまうため、「ちょっと始めたい」「まずは自分に合っているか知りたい」という方にとっては、ハードルが高く感じてしまっているようにも思えます。

    「日本語を教えるってどういうことだろう?」という純粋な興味の段階で、もっと手軽に、でも、土台となる部分を学べる所があったらいいなと思い始めました。

    そう考えて作ったのが、「日本語教師スタートセット」です。

    このセットは、文法の教え方を学ぶ内容ではありません。

    • 日本語を教えるとはどういうことなのか

    • レッスンはどのような流れで行うのか

    • 学習者さん主体のレッスンとはどういうことなのか

    • 練習には、どんな種類があるのか など

    日本語を教える立場になる方が持っておいてほしい心構えや、基本的なレッスンの流れや練習方法など、これを知らないで、レッスンを始めないでねという気持ちを込めて作成致しました。

    また、ただ、土台を固めるだけでなく、できるだけすぐに日本語を教えられるように、ゼロ初級者向けのテキストに基づいた、教え方やパワーポイント教材も含まれます。
    教え方を読み、対象のテキストを購入すれば(Amazon等で¥2,000程度)、ほぼ授業準備なしでもレッスンができるかと思います。

    「日本語を教えてみたい。でも、何から始めたらいいか分からない」
    そんな方のまずはスタートとして、ピッタリなセットとなっております。

    その後、もっと深く学びたいと感じたら、市販のテキストで勉強したり、登録日本語教員試験へチャレンジ、日本語教師養成講座を受講などしていくことが可能です。

    「売って終わり」ではなく、ここから繋がる

    ただ商品を「販売して終わり」ではなく、ここから繋がり、一人で悩む日本語教師を少しでも減らしたいと思っています。

    初めての授業を終えたとき。新しい学習者さんに出会ったとき。
    教壇に立ち続ける限り、先生たちの悩みやアップデートの必要性は、毎月、毎週のように生まれます。新米の先生が現場で一人で孤独に悩む時間を無くしていきたいと願っています。

    そこで、この『日本語教師スタートセット』は、「一度購入したら終わり」ではなく、その後もずっと日本語教師としての役立つ情報を受け取れる「継続的なサポートの仕組み」もあります。

    そのために、クリエイター向けの最先端の発信プラットフォームである『Substack(サブスタック)』を使った、新しいメルマガコミュニティを始動させました。

    このスタートセットを手にしてくださった方には、このSubstackを通じて、私のサイト『日本語教師のたまご』での役立ちそうな教材の共有や、練習の作り方など(現在、色々と考えております)を、メルマガとして、定期的にお届けし続けます。

    私が目指しているのは、単なる教材の販売者ではありません。
    皆さんが日本語教師としてデビューし、悩んだ時は、相談できる場所がある――そんな安心できる「帰る場所」を提供する事です。

    最後に

    この「日本語教師スタートセット」は、初めてロンドンで日本語を教え始めた時の私に送りたい内容でもあります。
    当時この内容を知っていれば、もっと違うアプローチができたと感じます。

    私が運営するサイト『日本語教師のたまご』では、新米時代の私が欲しかった「場面が伝わるイラスト教材」を大量に無料公開しています。
    ぜひ、教材作成で参考にして頂ければと思います。

    「日本語を教えてみたい」

    その思いを大切にしてほしいと思っています。
    最初の一歩を、私はこれからも全力で応援しています。


    あなたへのおすすめ