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起業の教科書:CausationとEffectuationの使い分け

    こんにちは、広瀬です。

    今回は、「起業の教科書」シリーズとして、Causation(コーゼーション)とEffectuation(エフェクチュエーション)という2つの思考法を、どのような場面で使い分けるべきか、その見極め方についてお伝えします。

    前回のストーリー

    未来を切り開く4つの戦略

    サラスヴァシー教授が提唱する以下のマトリックスは、事業の「現在の立ち位置」と、そこから次に取るべき行動を考える上で非常に役立ちます。

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    Causation/Effectuationマトリックス
    (コース資料から筆者が作成)

    この図の縦軸は未来の予測可能性」を、横軸は「未来のコントロール可能性」を示しています。それぞれの領域は、以下のような事業の状態や思考法を表しています。

    • Pivot:予測不能・コントロール不能
      まだ方向性が全く見えない状態です。

    • Plan:予測可能・コントロール不能
      未来は予測できるが、まだ自社の力でコントロールできない状態。緻密な計画を立てて進めます。(Causation的なアプローチ)

    • Co-Create:予測不能・コントロール可能
      未来は予測できないが、今手持ちの資源で変えられる部分がある状態。周囲と協力しながら未来を創ります。(Effectuation的なアプローチ)

    • Persist:予測可能・コントロール可能
      事業の成功が見え、自社で未来をコントロールできる状態。「固執する」「頑張り続ける」という意味の通り、目標に向かって進み続ける段階です。(ビジョナリーなアプローチ)

    サラスヴァシー教授は、多くの起業家は「Pivot」の段階からスタートし、すぐに「Co-Create」の領域に軸足を移していくと述べています。そして、事業が軌道に乗って成功が見えてきたら「Persist」へと移行していく、と。

    このマトリックスは、事業の状況に応じて「今、自分たちはどの領域にいるのか」を客観的に見つめ、次にどの思考法に軸足を置くべきかを考えるためのツールなのです。

    大企業と起業家 
    それぞれの「はじめの一歩」

    では、CausationとEffectuationは、具体的にどのような場面で使い分けるべきなのでしょうか?

    Causationが適しているのは、不確実性の低い大規模な事業です。
    例えば、国家事業や都市開発、交通インフラの整備など、多くの人や組織が関わるプロジェクトは、膨大な時間と資金を投じ、綿密な計画に基づいて進める必要があります。この場合、事業企画部や経営企画部といった中枢部署が、徹底した調査と分析を行い、リスクを最小限に抑えようとします。

    一方で、Effectuationが真価を発揮するのは、不確実性の高い小規模な事業や、個人の起業です。
    会社の新規事業の「はじめの一歩」を例に考えてみましょう。

    これは、既存のCausation的な分析手法である「AS-IS / TO-BE / Gap分析」をEffectuationで考えることで、より理解しやすくなります。

    • AS-IS(現状分析)
      まさに「手中の鳥」として、今自分たちは何ができるのかを考えます。

    • TO-BE(あるべき姿)
      「手中の鳥」の範囲内で、次のステップで何ができそうかを考えます。

    • Gap分析
      考えられるギャップを埋めるのに必要な資源が、「許容可能な損失」を超えないかどうかを検証します。

    個人の独立や、少人数での会社立ち上げであれば、なおさらEffectuation的なアプローチの方が、はるかにスムーズに動き出せるはずです。

    Effectual Business Modeling Method

    ところで皆さん、Effectuationと5つの原則を理解したとして、果たしてすぐに独立・企業・新規事業の立ち上げってできると思いますか?

    • 理論は分かった。でも、手中の鳥と許容可能な損失だけで、どうやってビジネスを形にできるんだ?

    • 毎月収入が保証されている副業ならまだしも、生活がかかっている独立・起業で、そんなゆるいやり方で本当に大丈夫なのか?

    私もオンラインコースを受講した後、同じ疑問にぶつかりました。サラスヴァシー教授は授業の中で、「このコースは5つの原則を理解することがメインで、その後のビジネスモデルキャンバスなどには触れていません」と明言していました。Effectuationの原則は優れていますが、それを現実のビジネスに落とし込むための「具体的な手順」が、どうしても見えにくかったのです。

    そこで私が、Effectuationをベースに考案したのが、この「Effectual Business Modeling Method」です。

    この図は、Effectuationの5つの原則を、ビジネスを立ち上げるための具体的なステップとして体系化したものです。次回はこの方法論について詳しく解説します。

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    筆者オリジナル方法論

    PS. この方法論は、個人や小規模な事業だけでなく、大企業における新規事業立ち上げにも応用可能です。Effectuationの思考法を根底に据え、計画倒れに終わらない、実践的な事業開発を目指すことができます。

    次はこちらの記事をどうぞ


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