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起業の教科書:エフェクチュエーションの5つの原則

    こんにちは、広瀬です。

    今回は、「起業の教科書」の核心ともいえるEffectuation理論について、その誕生秘話から5つの原則まで、具体的に掘り下げてご紹介します。

    Effectuationとは何か?

    Effectuationは、サラスヴァシー教授が2001年に論文発表した理論です。研究の過程で、アマゾンのジェフ・ベゾス、アップルの故スティーブ・ジョブズ、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソンといった、今では伝説的な起業家たちが、創業期にEffectuationの手法を無意識に実践していたことが明らかになりました。

    その後日本でも「エフェクチュエーション (【碩学舎/碩学叢書】)」、「エフェクチュアル アントレプレナーシップ(ナカニシヤ出版)」、「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」(ダイヤモンド社)」などの本が出版され、起業のみならず新規ビジネス立ち上げまで、幅広くEffectuationの効果が話題になり始めています。

    「将来を予測して緻密な計画を立てる」のではなく、「目の前にある資源で、今すぐできることから始める」という、一見すると直感的なこの思考法が、なぜ彼らのような成功した起業家に共通していたのでしょうか。

    サラスヴァシー教授はEffectuationについて、こう述べています。

    将来を予測するのではなく、自分がコントロールできる資源を使って、新しい未来を共同で創造する意思決定の方法。

    つまり、不確実性の高い現代において、手持ちの武器を最大限に活かし、行動しながら未来を創っていくための行動指針、それがEffectuationなのです。

    もう一つの思考法
    Causationとは何か?

    Effectuationを理解するには、その対極にある「Causation(コーゼーション)」という思考法を知る必要があります。

    Causationとは、「目的を達成するために、必要な資源を計画的に集めていく」という、私たちが慣れ親しんだアプローチです。

    例えば、企業が新規事業を立ち上げる際、「市場シェア30%を獲得する」という明確な目的を掲げ、それに必要な人員、予算、スケジュールを緻密に計画し、一つずつ実行していく。これはまさにCausation的なやり方です。

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    Causationモデル(筆者作)

    もっと身近な例で考えてみましょう。

    • Causation的思考で料理をする
      食べたい料理を決め、レシピを調べ、必要な食材をすべて揃えてから調理する。

    • Effectuation的思考で料理をする
      冷蔵庫にある食材を見て、「これとこれで何が作れるかな?」と考え、できる料理をその場で決めて作る。

    Causationは目的が明確で、不確実性が低い状況(例えば、旅行の計画を立てる時など)に適しています。しかし、未来がどうなるか予測できない起業や新規事業においては、完璧な計画は立てられません。

    だからこそ、不確実性が高い状況では、手持ちの資源から始め、行動しながら未来を創るEffectuation的なアプローチが効果的なのです。

    Effectuationモデル

    Effectuationをモデル化すると、以下のようになります。

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    Effectuationモデル
    (コース資料を抜粋し筆者が和訳と作図)

    このモデルでは、まず自分自身を棚卸しして、自分ができることを決め、知人に「自分ができること」がビジネスになるかどうか会話し、ビジネスになりそうであれば更に別の知人に協力者になってもらえないかどうか会話し、一緒にやってくれると約束できたら再度その知人の棚卸しや新たなゴールを模索し、このループを繰り返してビジネスを進めて行きます。

    Effectuationを支える5つの原則

    1.手中の鳥(Bird-in-Hand)

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    • ことわざ:手の中の一羽の鳥は、藪の中の二羽の価値がある。

    • 意味:自分は何者か? 何を知っているか? 誰を知っているか? 今持っている資源(=手中の鳥)を徹底的に棚卸しすることから始める原則。

    • 行動:「何ができるか?」を考え、そこからビジネスのアイデアを見つける。

    2.許容可能な損失(Affordable Loss)

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    • 意味:失敗を恐れて動けなくなるのではなく、もし失敗しても「これくらいなら許せる」と思える範囲の損失(時間、お金、労力)を設定して行動する原則。

    • 行動:完璧な成功を狙うのではなく、最悪のシナリオを受け入れ、小さく始めることを推奨します。

    3.クレイジーキルト(Crazy Quilt)

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    • 意味:柄や形の異なる布を縫い合わせてキルトを作るように、さまざまな人々(顧客、パートナー、協力者)と関係を築き、新たな可能性を創出する原則。

    • 行動:協力を仰ぎ、アイデアを共有することで、一人では成し得なかった未来を共同で創り出します。

    4.レモネード(Lemonade)

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    • ことわざ:人生でレモンを受け取ったら、レモネードを作ろう。

    • 意味:予測不可能な出来事、失敗、批判といった逆境を、悲観するのではなく、新たなチャンスや学びの機会として前向きに活用する原則。

    • 行動:予期せぬ状況を「不運」と捉えず、「次のステップへのヒント」として活かします。

    5.飛行機のパイロット(Pilot-in-the-Plane)

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    • 意味:飛行機のパイロットが、たとえ自動操縦中でも天候や機器のトラブルに備えて操縦桿を握っているように、不確実な状況下でも未来は自分たちの行動でコントロールできると考える原則。

    • 行動:危機的な状況でも、自分たちがコントロールできる範囲で最善を尽くし、道を切り開いていきます。

    各原則で使用しているロゴのような図は
    What is Effectuation? から引用しています。

    Effectuationプロセス

    5つの原則は、それぞれが独立しているのではなく、相互に絡み合いながら、Effectuationのプロセスを形成しています。

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    Effectuationプロセス
    (コース資料から抜粋)

    次回予告

    今回はEffectuationの全体像と5つの原則の概要をご紹介しました。次回は、これらの原則がどのように相互に関係し、具体的な行動につながるのかをさらに掘り下げていきます。今回の記事でEffectuationに少しでも興味を持っていただけたら、幸いです。

    次はこちらの記事をどうぞ。


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