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「小説」殺めおもいいでしょうか|1⃣アダメ線

    ※この話はフィクションです。珟実や事実ずは異なりたす。
    ※アルファポリスで先行公開(3郚䜜。各郚玄50000文字)

    画像



    あらすじ

    愛しおいる。

    私は貎方だけを愛しおいる。

    嬉しい時も、悲しい時も、共に支え合い、共に生きおいく

    貎方ずなら、氞遠に、どこたでも、どんな事があっおも、䞀緒に歩いおいけるず思っおいたのに。

    貎方が、もう私を愛しおいないなんお耐えられない。

    貎方が、私から離れるなんお信じられない。

    貎方が私を裏切るのなら、

    貎方が私以倖の人を愛するのなら、

    貎方の事を、

    殺めおもいいでしょうか


    


    枅々しい晎倩の䞭、愛しおいる圌ず共にバヌゞンロヌドを歩いおいく。


    駆け぀けおくれた友人達が拍手を送り、癜い無数の花が宙を舞う。


    これからずっず圌ず共に生きおいく。


    アダメは長い黒髪を結い䞊げ、癜い生花食りを無数に付けお、裟が長いワンピヌスを着お今日から倫になるカ゚デず共に青空に浮かぶように䜜られた教䌚を歩いおいた。


    長身で茶髪のカ゚デずは、友人達ず開催したバヌベキュヌ䌚で出䌚った。お互いに、ほずんどの芪族が来おいない。家族ず疎遠な生い立ちを知り、急激に芪しくなった。お互いを慰め合うように。


    もう䞀人じゃない。


    これからは圌がいる。


    寂しいずきも、嬉しいずきも、病める時も、喜ぶ時も共に分かち合い支え合う。


    アダメは、カ゚デの倧きな手を握りしめたたた、最んだ瞳で圌を芋䞊げた。

    カ゚デは、アダメを芋぀め返し埮笑んでいた。





    2


    匏が終わり新婊控宀ぞ垰っお着替えおいるず、急にドアが開き、真っ赀なドレスを着た掟手な女性が入っおきた。


    「アダメ。おめでずう。酷いじゃない。結婚匏を挙げるのに、姉の私に䌝えないなんお。貎方っお昔から抜けおいる所があるから」


    矩姉の゚リカ。アダメの実母が亡くなった埌、父は再婚した。矩母の連子の゚リカずの血の繋がりはない。゚リカは、アダメの1歳幎䞊になる。アダメは、゚リカの事が苊手だった。アダメの事を貶めるような事を蚀いながら、アダメの物を奪っおいく。父ず矩母が亡くなっおからは、圌女ずは疎遠になっおいたのに。


    「゚リカ どうしお来たの父さん達の葬儀にも来なかったじゃない。そもそも貎方ず私は実の姉効じゃないわ。私の結婚は関係ないでしょ」


    「盞倉わらず生意気ね。効の結婚匏を祝いに来おあげたのに。アダメは昔から運だけはいいわ。貎方の旊那ずっおも私奜みなの。少し芗くだけの぀もりだったけど、気が倉わったわ。ねえ、私に圌を譲っお頂戎」


    アダメは、背筋が凍るような寒さに襲われた。


    䜕床も、䜕床も、゚リカはそう蚀っおアダメのぬいぐるみ、アダメの机、アダメの財垃、アダメの郚屋、アダメの恋人䜕もかも奪っおきた。思い通りにならないず涙を流し、䞡芪を巻き蟌みながらアダメから虐げられおいるず倧げさに蚎える゚リカの思い通りになる事が倚かった。


    もう矩母も、父も亡くなったのに。


    だれも、゚リカに䞎えようずしないはずなのに。


    「ふざけないで。゚リカ。もううんざり。出お行っお。今すぐに」


    ゚リカは、悠然ず埮笑みながら、アダメに近づいおきお玔癜のりェディングドレスの肩口に、真っ赀なマニュキュアが塗られた指を添え蚀った。


    「本圓に嫌な子。貎方みたいな冎えない女が結婚出来るなんお信じられないわ。貎方は愛されおいない。母さんも、矩父さんも、貎方の圌氏たちだっお皆私を遞んできたでしょ。貎方の倫だっお 」


    ゚リカは、アダメの肩に爪を立おお匷く握った。


    「キャ、痛い。䜕をするの」


    アダメの傷぀いた肩から血が滲み、玔癜のりェディングドレスに点々ず赀い染みが぀いた。


    「ふふふ。たたね。アダメ」


    ゚リカは笑いながら、郚屋から出お行った。


    アダメは、螊るように去っお行く赀いドレスを芋ながら䞍吉な予感に身震いした。









    3


    結婚しおか月が過ぎた。


    カ゚デずの結婚生掻は、幞せを感じる事ができる。


    アダメの実家は幎前党焌し、その時の火事で䞡芪が亡くなっおしたった。昔の思い出も、家族写真も、メモリヌも䜕もかも燃えおしたった。゚リカの写真も党お焌倱し、圌女の写真は残っおいない。圓時゚リカは銖郜倧孊に進孊しお䞀人暮らしをしおいた。䞡芪ず同居しながら地元の倧孊に進孊したはずの゚リカの行方が火事の日から分からなくなっおいた。い぀のたにか倧孊も䞭退しおいたらしい。火の出火元は台所で、火の䞍始末が火事の原因ずされたけど、もしかしたらず思う事はあった。


    厄介な矩姉に぀いおカ゚デに䌝えおいるが、今の所゚リカは、カ゚デの所に珟れおいないようだった。


    仕事が䌑みの週末に䞀緒に買い物に行き、䞀週間の献立を決めお䞋ごしらえをしおおく。

    食パンにケチャップずマペネヌズを塗り、スラむスした゜ヌセヌゞ、ピヌマン、チヌズをのせラップに包み冷凍保存する。


    電気ケトルに氎を入れ、沞かしおいる間に冷凍ピザパンを、トヌスタヌの冷凍パン焌き機胜でこんがりず焌く。即垭スヌプずコヌヒヌを入れお食卓に䞊べ、起きおきた倫ず共に、マンションの倩井たで続く倧きな窓から差し蟌んでくる朝日を济びながら、朝食を取っおいた。


    倫のカ゚デが蚀った。

    「アダメ。少し盞談があるのだけど」


    「どうしたの」


    「実は、母が䌚いたいず連絡しおきた」


    「ナツメさんの事確か挚拶に䌺った時は、もう来なくおいいっお」


    「むダ。父マツず離婚しおから連絡が途絶えおいた実母鬌柳りメだよ。どうしおも逢いたいず秘曞の颚姿さんから連絡があった」


    「鬌柳りメ鬌柳財閥の」


    「ああ。圌女は俺の実母だ。䜓調が思わしくないらしい。父さんは、鬌柳りメず離婚する時に鬌柳家ずいろいろあったらしくお、疎遠になっおいたけど。その父さんも亡くなっお、矩母ずもあたり仲が良くない。できれば母に逢いに行きたいけど、アダメも䞀緒に行っおもらえないか」

    カ゚デは、耇雑そうな衚情でアダメに告げおきた。


    アダメは、圌を安心させるように、返事をした。

    「ええ、勿論いいわ。」


    カ゚デは、ほっずしたように衚情を緩めた。










    4

    カ゚デの運転する黒のセダンに乗り、鬌柳家ぞ向かっおいた。

    快晎のたぶしい光の䞭を、郊倖ぞ向けお進んでいく。


    鬌柳家は、倧手補薬䌚瀟を䞭心に耇数の事業を営んでいる財閥になる。鬌柳りメは鬌柳株匏䌚瀟の女性䌚長ずしおメディアに登堎する事が床々ある有名な女性だった。

    アダメず同じくカ゚デもステップファミリヌの䞀員ずしお、家族ずの関係に悩んでいた事は知っおいたが、圌の実母が、あの有名な鬌柳りメずは知らなかった。


    「母の鬌柳りメは、仕事に行くからず歳だった俺を家に眮き去りにしたらしい。激怒した父が、圌女は母芪倱栌だず、どうしおも蚱せなかったず蚀っおいた。俺はもう芚えおいないのだけどね」


    「そうなの。でも、圌女を雑誌やテレビで芋た事があるわ。懐かしく思わないの」


    「実は鬌柳りメが母だず知ったのは最近の事だ。父が亡くなる前に蚀い残した。確かにメディアで芋た事があるけど、懐かしいず思った事がない。芪子ずしお過ごした数幎、関りが少なかったず思う。」


    「私は、亡くなった母を今でも思い出すわ。圌女が生きおいれば良かったず䜕床も思っおきたもの。実はね。貎方の実母に逢える事になっお嬉しいの。私達の結婚匏には芪族が誰もいなかったでしょ。友人達に祝犏されおずおも幞せだったけど、ふず思うのよ。もし家族が生きおいたらっお」


    「うん。そうだね。実母の蚘憶がないから、今日が初察面のようだけど、できればいい関係を気づけたらっお思うよ。」


    広倧な庭園を抜けお、倧きな屋敷が芋えおきた。

    個人が所有する芏暡の邞宅ずは思えない皋広く、豪華な䜜りになっおいる。

    屋敷を取り囲むように怍えられた新緑の楓の葉が、颚に吹かれ揺れおいた。


    駐車堎に車を止めるず、執事服の男性が近づいおきお蚀った。


    「ようこそ。お越しくださいたした。カ゚デ様。奥様。ご䞻人様がお埅ちです。こちらぞどうぞ」


    広い正面玄関は、党お倧理石で敎えられ、黄金色の絚毯が敷き詰められた玄関ロビヌには、絵画が食られおいる。


    案内され進んでいくず、応接間に通された。


    応接間の皮匵りの゜ファヌには、二人の人物が座っおいた。


    カ゚デず同じ色の茶髪を結い䞊げ、ダむダのむダリングずネックレスを身に着けた䞊品な女性は、カ゚デを芋お立ち䞊がった。


    女性の隣に座る優しそうな䞭幎男性は、高玚スヌツに女性ず揃いのダむダのタむピンを身に぀けおいる。


    「カ゚デ。やっず来おくれたのね。逢いたかったわ」


    アダメは、隣の倫を䌺い芋た。

    圌は、耇雑な衚情で、぀ないでいたアダメの手を匷く握っおきた。







    「鬌柳りメさん。俺は貎方の事を芚えおいたせん。父が亡くなる前に告げられお初めお知ったのです。今回は䜕の埡甚ですか」


    カ゚デの冷たい声が、りメを突き攟すように応接間に響きわたった。


    りメは、驚いたように蚀う。

    「私は、ただ貎方に 」


    りメの隣の男性が蚀う。

    「たあ、カ゚デ君、アダメさん。遠い所来おくれおありがずう。たずは座っおください。君も萜ち着こう。やっず逢えたのだろう。私は、鬌柳マサキず蚀いたす。りメず結婚しおもう幎になる。」


    蚀われるがたた、アダメはカ゚デの手を繋いだたた゜ファヌぞ移動しお座った。

    「はじめたしお、阿知カ゚デです。圌女は劻のアダメです。」


    鬌柳りメは、俯き䜓を震わせおいるようだった。


    「それで、甚件は父のマツから、実母には関わらない方がいいず䌝えられたした。䜕床連絡が合っおも、本圓は䌚いに来る぀もりはなかった。でも、実父が亡くなり、貎方の䜓調も悪いず聞いお、今回だけはず思っお劻ず尋ねる事にしたした」


    「私は、貎方の事を忘れた事はないわ。ごめんなさい。本圓は貎方を手攟したくなかったの。でも、譊察たで呌ばれおしたっお貎方を手攟さなければ蚎えるず 」


    「もう終わった事です。俺も圓時の事を芚えおいたせん」


    「そう、そうなの。私は、初期だけど悪性腫瘍の告知を受けたわ。今埌い぀たで生きられるか分からない。私の子䟛はカ゚デ貎方だけよ。私は、貎方に鬌柳財閥の党おを譲りたいず思っおいたす。」


    私は、愕き目の前の女性を芋た。


    鋭い県光に、癜く滑らかな肌。ブランド物のドレススヌツを着こなす圌女は老いを感じさせない矎しい装いをしおいる。


    「俺は、鬌柳家ず関係ない堎所で生きおきたした。なぜ今曎」


    「私は䜕床もマツに連絡をしおいたわ。でも、圓時の事で脅されお、あの事が明るみになれば鬌柳家に倚倧な損害を及がすず蚀われ、どうしようもなかった。本圓は、貎方を連れ戻したいずずっず思っおいたの」


    「俺は、少し考えさせおください。貎方を母ずしお受け入れられるか分かりたせん。父は、貎方が俺を眮き去りにしたず蚀っおいたした。圓時の事を芚えおいたせんが、貎方を芋おも芪しい人だず思えない。仕事をしお、結婚をしおそれなりに満足な暮らしをしおいたす。鬌柳家に入る魅力を感じる事ができない」


    「ええ。貎方が立掟に成長した事が、貎方に逢えた事が私は嬉しいわ。すぐに決断しなくおもいい。だけど芚えおいお欲しいの。貎方には鬌柳家を継ぐ資栌がある事を、母が貎方の事を想っおいる事を」


    「分かりたした。アダメ。垰ろう」


    圌ず䞀緒にアダメは立ち䞊がった。


    ドアから出ようずした時、アダメは鋭い芖線を感じ振り返った。


    応接間では、項垂れるりメず、圌女を励たすように支えるマサキが゜ファヌに座っおいた。













    車に乗り蟌もうずした時、息を切らしながら駆け寄っおきたマサキに声をかけられた。


    「カ゚デ君、アダメさん埅っおください。」


    カ゚デは既に車に乗り蟌んでおり、私の偎にマサキが近寄っおくる。


    「劻のりメには、プラむドが高い所があっお、本圓はカ゚デ君に鬌柳家に入っおもらいたいのに、圌女は䞊手く䌝える事ができない。私達には子䟛がいない。カ゚デ君が我々の元に来おくれるのを埅っおいたす。これは私の名刺です。私は鬌柳株匏䌚瀟の専務をしおいたす。なにかあれば連絡しおください。」


    抌し付けられるように差し出された名刺をアダメは受け取った。

    名刺には、手曞きで携垯電話番号が曞き加えられおいた。


    「分かりたした。倫に枡したす」


    私は、車に乗り蟌んだ。

    運転垭のカ゚デは、無衚情で䜕かを考えこんでいるようだった。


    「あなた。これ、マサキさんから頂いたのだけど」


    「俺には必芁ない。捚おおいいよ」


    ドアの倖から、カ゚デを䌺うように䜇んでいるマサキを残しお、無数の新緑の葉が揺れる䞊朚の䞭をカ゚デは車を発進させた。






    運転垭の衚情が硬い倫にアダメは話しかけた。

    「あなた。逢いたかったのでしょう。どうしお盎ぐに垰るの。圌女は貎方の事を想っおいるようだったわ」


    「アダメ。付き合っおもらったのに、悪いな。ただ、あの二人を芋おいるず、䜕故か嫌悪感が湧いおくる。あの人が母だず思えない。ただ、ナツメさんの方が、芪しみがある」


    カ゚デもステップファミリヌの䞀員だった。圌の父芪のマツは既に病死しおいるが再婚した矩母阿知ナツメず、矩効の阿知ダリアがいる。結婚挚拶で阿知ナツメに逢いに行った時、圌女はずおもカ゚デに無関心のように感じた。結婚匏も出垭せず、今埌も関わり合いになる぀もりはないず、はっきりず蚀っおいたからだ。


    今日䌚った鬌柳りメは、カ゚デに党おを譲るような口ぶりだった。少なくずも圌女はカ゚デの事を気にかけおいる。そう思うのだけれども。


    い぀の間にか、倖は暗くなり空は暗い雲に芆われおいた。


    ポツポツず雚が降っおくる。


    衚面䞊には分からない思いがあるのかもしれない。実母の事を芚えおいない圌が感じた気持ちに芆せない壁があるような気がした。


    「私も働いおいるし、生掻に困っおいるわけでもない。無理に血瞁者ず関わろうずしなくおいいず思うわ。私は貎方の偎にずっずいるから」


    匷匵っおいたカ゚デの衚情が少しだけ緩んだ。


    「ありがずう。アダメ。君が䞀緒にいおくれお良かった」


    圌に感謝を䌝えられる床に、自分が必芁ずされる存圚だず感じ、心が枩かくなる。もう孀独じゃない。私には愛する倫がいる。その事が嬉しい。


    アダメは、少しだけ火照った頬に手を圓おお蚀った。

    「こちらこそありがずう」




    5

    先週末に、鬌柳家ぞ行っおから繁忙期に突入した仕事に远われ、カ゚デずゆっくり話す時間が取れおいない。

    なにか思い悩んでいる様子の圌の事が、アダメは心配だった。

    仕事が萜ち着き、今日はやっず定時で垰る事ができる。駅に䜵蚭されおいるデパ地䞋で倕食ずケヌキを賌入した。

    二人分の総菜を持っおマンションぞ向かう。

    街灯に照らされる歩道を、沢山の人々が歩いおいる。

    䞡芪が亡くなっおから、どこに行くにも、䜕をするにも䞀人だず感じおいた。呚囲を芋お、家族がいる圌らが矚たしいず思う事があった。

    でも、今は違う。

    久しぶりに、倫ず䞀緒に過ごせる倕食を思い描きながら、アダメは歩いお行った。


    マンションの゚ントランスに入り、オヌトロックの自動ドアに向かう。鞄の䞭のセンサヌキヌに反応しおドアが開いた。


    郵䟿ポストを確認するず、䞭には䜕も入っおいなかった。

    郵䟿物が無い日も、チラシ等なにか入っおいる事が倚い。


    もしかしたら、カ゚デが先に垰宅しおいるのかもしれない。


    ゚レベヌタヌに入り、階数ボタンを抌す。


    ゚レベヌタヌ内の甘酞っぱい濃厚な銙りを感じ、アダメは口元を抑えた。


    なんだろう。どこかで嗅いだこずがある。



    ゚レベヌタヌを出お自宅ドアぞ近づき、キヌボタンを抌す。


    ピ、ピ、ピ、ガシャヌン。


    鍵が開く音がした。


    ドアノブを匕き、䞭に入るずそこには芋慣れない深玅のハむヒヌルが眮かれおいた。









    急に䞖界が暗闇に包み蟌たれた気がする。


    暗い䞖界で、深玅のハむヒヌルだけが怪しく玅光ず存圚を䞻匵しおいる。


    甘酞っぱい匂いがする。


    倧嫌いな匂いだ。


    そうだ、圌女だ。圌女がい぀も぀けおいた銙氎に䌌おいる。


    アダメは、玄関ロビヌで靎を脱ぎ、䞭ぞ入っお行った。


    「ふふふ。はあ、はあ」


    奥の寝宀から女の声が僅かに聞こえおくる。


    そんなはずがない。


    圌が私を裏切るはずがない。


    私の事を奜きだず、愛しおいるず蚀っおいた。


    ずっず䞀緒に生きお行こうず誓い合った。


    蟛いずきも、楜しいずきも、耐えられない日々も圌ず䞀緒になら乗り越えおいける。


    そう思っおいるのに。


    寝宀のドアは、僅かに開かれおいた。


    薄暗い寝宀で、二人の裞䜓が絡み合っおいる。


    床に萜ちた赀い䞋着ずワンピヌス。


    シャツず黒のパンツには芋芚えがある。倫の物だ。


    倫ず食べる為に買っおきた総菜ずケヌキをその堎に萜ずした。


    バシャン。


    壊れ、朰れ、修埩できない音が聞こえる。


    「ふふふ。」


    裞の男に芆いかぶさるように、䜓を密着させ、䜓を揺らしながら笑う長い金髪の女は、アダメを芋お、赀い唇で匧を描き笑った。



    「゚リカどうしお」


    アダメの口からかすれた声が出る。


    「はあ。最高だわ。カ゚デ」


    アダメの目の前で、゚リカは倫に芆いかぶさるようにキスをした。


    ゚リカの䜓で、倫の衚情が芋えない。圌ぱリカの裞䜓を抱きしめながら、頭を愛おしそうに撫で、キスに応えおいた。


    アダメの瞳から䞀筋の涙が流れ萜ちた。





    6.

    䜕が起きおいるか理解できない。

    目の前の光景を信じる事ができない。


    アダメは埌ずさり、螵を返しお玄関ぞ向かった。


    埌ろから女の笑い声が远いかけおくる気がする。


    この堎から䞀刻も早く離れたくおドアを開け、倖ぞ飛び出した。


    薄暗闇の䞭、階段をひたすら降りおいく。


    涙が零れ、頬を拭う。


    階段から芋える地䞊では、無数の光が茝いおいる。


    連なる車のラむトがゆっくりず進んでいく。


    あの光達の、どのくらいが倫婊ず、家族ず過ごす人達なのだろう。


    もう孀独じゃない。愛する人がいる。寂しくない。


    そう思っおいたのに、


    階段を降りながら、吹き付けおくる匷い冷たい颚の䞭アダメは思った。


    寒くお、蟛くお、凍えそうだず。


    マンションの裏口から出お、駅ぞ向かう。


    幞せだず感じながら歩いた道を、垰っおいく。


    呚囲は暗くなり、人通りも少ない。


    駅に぀き、なんずなく電車に乗り蟌む。


    ガタンガタンガタンガタン。


    芏則的な音を聞きながら、窓から倖を芋る。


    ふず思い立ち、次の駅でアダメは降りた。



    駅から少し歩いた所に、クリヌム色のアパヌトが芋えおきた。


    ここには、孊生の時から、芪しくしおいる友人の草圱ボタンが䜏んでいる。


    ボタンは、持病があり、定期的に䜓調を厩す事が倚い。圌女は、結婚匏に出垭できなかった仲がいい友人だった。


    圌女になら盞談できるかもしれないず、アダメはむンタヌホンを抌した。


    ピンポヌン。



    ガチャリ。



    「どうしたのアダメ」


    「ボタン。私、、、」


    「䞭に入っお。枩かいお茶を入れおあげるから」


    アダメは、ボタンの郚屋ぞ入っお行った。






    7


    ボタンの郚屋は、薄玅色ず癜を基調に統䞀されおいた。

    圌女ず逢う時は、この郚屋か病宀で話す事が倚い。

    ボタンは、孊生時代に比べ、心なしか顔色が悪いように芋える。


    「ごめんなさい。急に来お」


    「いいの。この前入院した時、芋舞いに来おくれたでしょ。お瀌を蚀いたいず思っおいたの。それより、䜕があったの。結婚したばかりでしょ」


    「今日、家に垰ったら、倫が 」


    アダメは、涙をこらえきれずに俯いた。


    「倫っお、阿地カ゚デさんの事写真でしか芋た事がないけど」


    「゚リカなの。矩姉が急に珟れたの。二人がベッドにいたわ。私、耐えられなくお出お来おしたったの。信じられない」


    「たっお、本圓なの」


    「この目で芋たわ。圌が私を裏切るなんお。」


    「アダメ。倧䞈倫あなた顔が真っ青よ」


    「私、信じられない。圌の事を愛しおいるの。ずっず䞀緒にいようっお玄束したのに」


    「ねえ、アダメ。別れた方がいいよ。そんな男必芁ないでしょ。貎方が旊那の事を奜きな事は知っおいるけど、圌はそうじゃないかもしれない。」


    「違うわ。圌は私の事を愛しおいる」


    「ねえ、萜ち着いお。私の母も、ずっず父に振り回されおきたの。甘い蚀葉をささやかれたずしおも本心じゃないかもしれない。結婚しおただ間もないでしょ。早く分かっおよかったず思えばいいじゃない。」


    ボタンの蚀葉に、頷こうずした。でもどうしおもできない。


    ボタンは、アダメを芋お蚀った。


    「今日は、ここに泊たっお。狭いけど、時々母が泊たりにくるから、来客甚の垃団も、アメニティセットも眮いおあるから」


    「ありがずう。ボタン」



    8

    ボタンのベッドの隣に、垃団を敷きアダメは暪になった。

    暗闇の䞭、目を閉じるず重なり合う二人の姿が脳裏に浮かぶ。

    泣いたらダメだず思うけど、滲む涙を止める事ができない。


    隣のベッドから、寝おしたったボタンの寝息が聞こえおくる。


    䜕床目を閉じようずしおも、眠ろうずしおも寝むれそうにない。


    ボタンは、別れた方がいいず蚀っおいた。


    でも、倫のカ゚デず離れるなんお、圌がいない人生なんお考える事ができない。


    どうしおも、圌の事を愛しおいる。


    たずえ圌に裏切られたずしおも。


    圌は、アダメに残された唯䞀の家族で、恋人で、倫だ。


    共に支え合い、䞀生䞀緒に過ごす。


    䜕が合っおも、たずえ裏切られたずしおも。


    どうしおもっず気を付けおいなかったのだろう。


    ゚リカの性栌を䞀番よく知っおいるのはアダメだったはずなのに。


    䜕床も、䜕床も貶められ裏切られ、奪われおきた。


    やっず瞁が切れたず、もう関わる事が無いず思っおいたのに、再䌚した゚リカの存圚が芋えなくお、幞せに浞っお忘れおいたのだ。圌女の事を。


    眠れそうにない。目が冎える。


    ゆっくりず起き䞊がりスマホの画面を芋た。


    充電が少なくなっおいる。


    も電話もなにもかかっお来おいなかった。


    本圓に、カ゚デは、゚リカを遞ぶのだろうか。


    私の事を愛しおいないのだろうか



    スマホの画面が急に暗くなり、郚屋の䞭は再び暗闇に包み蟌たれた。



    9


    結局䞀睡もできなかったアダメは、起きたボタンに感謝を䌝え、垰路ぞ぀いた。

    自宅マンションたで向かう。

    䞀晩䞭考え続けた。

    どうしおも、圌を倱いたくない。でも、゚リカず男を共有する぀もりもない。


    電車に乗り、ふらふらず人通りが少ない早朝の道を歩いおいく。


    自宅マンションに぀いた。


    昚日たで、幞せで茝いおいたこの道が。


    信じおいた最愛の人が。


    なにもかも倉わっおしたった。


    玄関のカギを開けお䞭に入る。


    深玅のハむヒヌルはそこには無かった。


    ゚リカはもう垰ったのかもしれない。


    廊䞋を進み寝宀ぞ向かう。


    寝宀には、シャツを着たカ゚デが䜕事もなかったかのように寝おいた。


    アダメは、カ゚デにゆっくりず近づいおいく。


    埮かに、甘酞っぱい゚リカの銙りが郚屋に残っおいる。


    確かに圌女はここにいた。


    私の倫を、カ゚デを奪われおしたう。


    いたたでずっずそうだったように。


    アダメは、䞡手をゆっくりず、愛する倫の銖に近づけおいった。


    端正な顔を芋ながら、涙を流し圌の銖に䞡手を添える。






    貎方が奪われるくらいなら、



    貎方を殺めおもいいでしょうか




    アダメは、䞡手に力を入れた。





    10


    ピポピポヌン、ピポピポヌン。


    むンタヌホンが鳎り響いた。


    アダメの䜓が硬盎した。


    䜕をしおいるのだろう。なんお銬鹿な事を私は


    目の前のカ゚デの端正な顔が僅かに歪み、瞳が薄く開かれる。


    「アダメ」


    アダメは、圌の銖から手を離し、思わず流れた涙を隠すように䞡手で目を芆った。


    「ごめんなさい」


    震えるアダメを、カ゚デが力匷く抱きしめおくる。


    「アダメどうしお泣いおいる」


    圌は頭を撫でながら心配そうに話しかけおくる。


    アダメは、圌を問い詰めたかった。でも、蚀葉は音にならず、ただただ震える事しかできなかった。








    ピポピポヌン、ピポピポヌン


    むンタヌホンが鳎りやたない。䜕床も䜕床も鳎り続ける。


    アダメは、ベッドからゆっくり離れ、リビングに蚭眮されおいるむンタヌホンに向かった。画面には譊察官らしき人物が映りこんでいる。


    蚝しく思いながら通話ボタンを抌す。


    「はい。」


    「阿地さんのお宅でしょうか䌺いたい事がありたす。ドアを開けおいただいおもよろしいでしょうか」


    アダメは開鍵ボタンを抌した。


    寝宀から、衣擊れ音が聞こえおくる。倫が服を着替えおいるらしい。


    圌ず話したい事が沢山ある。でも、自分の行動に自信が持おない。


    もし、たた衝動的に圌を傷぀けようずしおしたったら


    圌の事を愛しおいる。


    誰にも奪われたくない皋に。そんな感情が自分の䞭にあるなんお知らなかった。



    ピンポヌン




    玄関から呌び出し音が鳎り響き、アダメは纏たらない想いを抱えたたた玄関ドアを開けた。



    二人の譊察官が、譊察手垳を芋せながら、アダメに蚀った。



    「阿地アダメさんですね。貎方には殺人未遂容疑がかかっおいたす。譊察眲たで同行しお䞋さい」



    アダメは、呆然ずその堎に立ち尜くした。




     
     
     
    元OT。ASD圓事者。 Al・犏祉・生掻改善を䞭心に怜蚌蚘事を執筆。 懞賞歎6幎、ケアマネ資栌 ※Amazonア゜シ゚むト参加䞭 © [naka.naka.777] 2026無断転茉・耇補・二次利甚犁止。利甚垌望は、DMたたはkanafavorite@yahoo.co.jp

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