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【温泉ファンタジー】Sa・Ga3 温泉の覇者 第28話 冷凍食品

    スパロウは、氷の秘湯に足首まで浸かっていた。
    まだ足首だけだった。
    それなのに、顔はすでに決戦後のようになっている。

    スパロウ
    「……これは、秘湯なのか?」

    スパ子
    「自分で入るって言ったんでしょ。」

    スパロウ
    「言ったが、これは違う。」

    パー美
    「太郎くん、足しか入ってないよ〜。」

    スパロウ
    「足しか入ってないから喋れてるんだよ。」

    スパ子
    「そこまでなの?」

    スパロウ
    「そこまでだ。」

    メカの寒冷地作業ユニットは、氷の秘湯の少し離れた場所に停まっていた。
    上部中央に接続されたメカの顔が、青白い水面をじっと見ている。サーチライトが黒い岩と青い氷を照らし、周囲の温度や水質を測定していた。

    メカ
    「液体成分ヲ解析中。」

    ぺーすけ
    「凍っていない理由が気になりますね。」

    スパ子
    「太郎よりそっち?」

    ぺーすけ
    「現時点では、秘湯の方が興味深いです。」

    スパロウ
    「おい。」

    パー美
    「おにぃ、ブレないね〜。」

    メカ
    「解析結果。ブライン凍結ニ近イ性質ヲ確認。」

    スパ子
    「ぶらいん、何?」

    メカ
    「ブライン。高濃度塩水デス。低温デモ凍結シニクイ性質ヲ持チマス。」

    スパ子
    「それが凍らない理由?」

    メカ
    「推定デス。ブライン凍結ハ、高濃度塩水ヲ用イタ急速冷却技術デス。」

    スパ子
    「急速冷却?」

    メカ
    「冷凍食品等ニ利用サレマス。」

    スパ子
    「冷凍食品!?」

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    スパロウ
    「俺を何に入れてるんだよ!」

    ぺーすけはしゃがみ込み、氷の秘湯の水面を見た。

    ぺーすけ
    「なるほど。これは温泉というより、高濃度塩水湖に近いですね。」

    メカ
    「肯定。」

    スパ子
    「温泉要素どこ行ったのよ。」

    雪
    「秘湯です。」

    スパ子
    「便利な言葉ね。」

    お雪さんは、寒冷地作業ユニットの陰に隠れたまま、秘湯から距離を取っていた。もこもこの着ぐるみの中でも、十分寒そうにしている。

    雪
    「近づくだけで冷えます。」

    スパ子
    「雪女でしょ。」

    雪
    「冷たいものは冷たいです。」

    パー美
    「お雪さんもブレないね〜。」

    スパロウは足首を水の中で少し動かした。
    青白い水面が、かすかに揺れる。

    スパロウ
    「最初は冷たいと思ったんだが……。」

    スパ子
    「思ったんじゃなくて、冷たいのよ。」

    スパロウ
    「いや、なんか変だ。冷たいはずなのに、熱い。」

    パー美
    「え、温まってきたの?」

    ぺーすけ
    「違います。」

    早かった。

    ぺーすけ
    「極低温による痛覚反応ですね。熱く感じているだけで、実際に温まっているわけではありません。」

    スパロウ
    「痛いくらい熱いぜ。」

    ぺーすけ
    「極低温火傷に近い反応です。」

    スパ子
    「言い方!」

    メカ
    「太郎ノ足部表面温度、低下中。」

    スパロウ
    「それを聞かされる側の気持ちも考えてくれ。」

    メカ
    「事実デス。」

    スパ子
    「太郎、冷凍食品になりかけてるわよ。」

    スパロウ
    「やめろ。急に腹が減るだろ。」

    スパ子
    「余裕あるじゃない。」

    スパロウ
    「ない!」

    パー美は水面を覗き込んだ。

    パー美
    「これ、足だけでそんな感じなら、全身入ったらどうなるの?」

    ぺーすけ
    「かなり危険でしょうね。」

    スパロウ
    「だよな。」

    ぺーすけ
    「ただし、足先だけで大会への耐性が得られるとも思えません。」

    スパロウ
    「だよな、じゃない方のだよなだ。」

    スパ子
    「少なくとも、足首で終わりにはできないわね。」

    スパロウ
    「もう十分じゃないか?」

    スパ子
    「どこが?」

    スパロウ
    「俺は氷の秘湯に入った。」

    スパ子
    「足首までね。」

    スパロウ
    「入ったことに変わりはない。」

    スパ子
    「変わるわよ。」

    スパロウは、ゆっくりと足を引き上げようとした。

    スパ子
    「太郎。」

    その声は、妙に静かだった。
    スパロウの動きが止まる。

    スパロウ
    「……何だ?」

    スパ子
    「3分。」

    スパロウ
    「何?」

    スパ子は腕を組んだまま、氷の秘湯に足を浸けているスパロウを見下ろした。

    スパ子
    「いつも3分待たなきゃダメなんでしょ?」

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    第27話 氷の秘湯   目次   第29話 雪女は見た

     
     
     
    DERAです。 ガンダムやMSについて、好きな機体や勝手な仮説を書いていきます。 走る前から何かがズレるマラソン日記、普通なら流すところに引っかかる雑談、温泉に3分入ると強くなる男の創作ファンタジーを書いています。

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