
ダンジョン第77階層【実録】『「証拠の原本は渡さない!」最強ギルドの暗部と交わす三つの反逆要求と諸刃の条件』
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01:シークレット・ストラテジー・プランニング〈秘密の作戦立案〉
青木工業の内部に潜むキーマン。
篠田先任導師(係長)からの連絡を待つ間。
俺は一人で思考を巡らせていた。

俺の最終的な目的は、不当に切られた田中工業の外郭陣列との局地盟約(業務委託契約)の復帰と因果受託の血盟(受注)を回復させてやることだ。
あわよくば、青木工業の互助陣列(互助会)メンバーに対する理不尽な圧力の正常化へ向けた交渉ができれば最高だ。
そのために、今現在の状況を冷静に分析する。
俺の武器は、老舗ギルドマスター(社長)たちから預かった3枚の盟約の対価記録(領収書)という決定的な情報の巻物(証拠)だ。
これは最強ギルド(大企業)である青木工業にとって、絶対に隠蔽したい致命的なアキレス腱である。
もしこれを情報の巻物(週刊誌)に持ち込めば、王都の醜聞(大スキャンダル)となり、社会的に甚大な影響を及ぼすに違いない。

だからこそ、篠田先任導師(係長)が自ら窓口となってギルドの長老(役員)に報告し、醜聞を未然に防いだとなれば、彼にとっての大きな手柄となるはずだ。
逆に言えば、彼もこの証拠の現物が手元にない限り、自分の手柄にはならず、伊藤統括導師(部長)の廃城(失脚)にも繋げられない。
彼がなぜ伊藤統括導師(部長)をそこまで陥れたいのか、その真意は測りかねる。
しかし、決定的な武器を渡す以上、その理由だけは押さえておきたい。
事前に緻密な打ち合わせが必要だった。
02:サイレント・コンタクト〈静かなる接触〉
3日後。
俺の通信魔導具(携帯電話)が鳴った。
非通知の着信だ。
「もしもし、異次元おじさんです」
「先日お会いした篠田です」
「一度会って、打ち合わせをしたい」
俺は快く受け入れた。
翌日の任務(仕事)終わり。
俺たちは前回と同じ、ひっそりとした魔力充填所(純喫茶)を指定した。
指定した時間には、すでに篠田先任導師(係長)が席に座っていた。
「お待たせしました」
席に着くなり、ヒリヒリとした緊張感がテーブルを覆う。
篠田先任導師(係長)は神妙な面持ちで話し始めた。

「早速ですけど、話を進めてもいいですか」
「社内で伊藤統括導師(部長)の息のかかっていないギルドの長老(役員)と先日非公式に打ち合わせをしました」
「その長老は、この事態を見過ごせないと言っておられました」
「そこで、あなたに証人になってもらい、その役員と私、そしてあなたの3人で状況説明をしてもらいます」
「当然、証拠の現物は確認させてもらいます」
「できればその際に、写魂術(コピー)を取らせてください」
俺は慎重に言葉を選ぶ。
「分かりました。原本はお見せします」
「ですが、写魂術(コピー)はこちらで用意して、それをお渡しします」
「原本はあくまでも、こちらで保管させてください」
この決定的な情報の巻物(証拠)の所有権を巡り、水面下で激しい心理的な攻防戦が密かに繰り広げられていた。
03:スリー・デマンド・リベリオン〈三つの反逆要求〉
篠田先任導師(係長)の目が鋭く光る。
俺の核心を突いてきた。
「で、ここまでの物的証拠を持って……」
「あなたは一体、何の要求をしたいんですか?」
俺は心の中で「やっと来たか」と舌舐めずりをした。
ここで俺は極度の緊張をごまかすため、無意識に無い前髪を豪快にかきあげる痛々しいルーティンに走った。
勢いよく振り上げた手が、テーブルの上の熱い漆黒の魔力水(ホットコーヒー)のカップをなぎ倒す!

煮えたぎる液体が俺の股間を直撃し、目から火花を散らして「グオォォ!」と声を殺して悶絶する羽目になった。

『おい、おっさん!』
『シリアスな心理戦の最中に股間を熱湯消毒するとか、ただの自爆テロだ ワン!』
『一人で勝手に急所を破壊して、純喫茶の空気を完全に野戦病院に変えてる ワン!』
魔犬ツンの容赦なきジャッジメント・サタン〈魔犬の正論〉が、俺の心臓を鋭く抉る!
痛恨的…!
俺は股間の激痛に耐え、噴き出す魔力(脂汗)を拭いながら真っ直ぐに答えた。
「ズバリ言います」
「要求は3点あります」
俺は一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!
「発動せよ……!」

スリー・デマンド・リベリオン〈三つの反逆要求〉ッ!!
「1つ目は、伊藤統括導師(部長)によって不当に外郭陣列との局地盟約(業務委託契約)を解除された、田中工業の契約の原状復帰です」
「2つ目は、御社の互助陣列(互助会)メンバーのギルド(企業)に対する、度重なる一閃価(価格)の引き下げ要求をやめさせ、適切な一閃価を決定する協議会を設置すること」
「最後に、ここで証拠として提出するギルドマスター(社長)たちの、因果を歪める汚濁供物(賄賂)の責任免除。及び同じような要求を受けたギルド(企業)への不問です」
「この3つの要求を、飲んでいただきたい」
俺のソウルブラッド(本音)を乗せた要求が、静かな純喫茶に響いた。
04:ダブル・エッジ・コンディション〈諸刃の条件提示〉
篠田先任導師(係長)は、まるで俺の言葉を事前に予測していたかのように、冷静に答えてきた。
「私個人の権限では、この場で判断することはできません」
「しかし、先日お見せいただいた段階で、このような内容の検討はすでに入っています」
俺は息を呑んだ。
すでにそこまで話が進んでいるのか。
篠田先任導師(係長)はさらに言葉を続ける。
「このような要求に対して、私からもお願いがあります」
「私たちが上層部にこの要求を飲ませる際に、あなた方にも3つの条件を飲んでもらいます」
戦慄的…!
俺は二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!
「いでよ……!」

ダブル・エッジ・コンディション〈諸刃の条件提示〉ッ!!
「1つ目は、証拠として提出いただく盟約の対価記録(領収書)の原本は、全てこちらで回収させていただきます」
「2つ目は、あなたも含め関わったギルドマスター(社長)には、今後一切この件を封印の誓い(口外禁止)とする呪縛の血盟書(誓約書)にサインをしていただきます」
「3つ目は、互助陣列(互助会)メンバーのギルド(企業)からの、伊藤統括導師(部長)に対する賠償の法理聖告(損害賠償請求)などの不問です」
俺は背筋が凍るのを感じた。
すでに事前の内偵調査や、社内での根回しが相当に進んでいる証拠だ。

篠田先任導師(係長)も、己の首を懸けて動いている。
「分かりました」
「少なくとも、私が直接関わった方々に関しては、その条件を提示し説得しましょう」
ここにおいて、双方の要求と条件の交渉が実質的に幕を開けた。
俺たちはそれだけを伝え合い、足早に解散した。
長居は禁物だ。
この時点では、絶対に外部に漏れてはならない極秘事項なのだから。
【次回予告:ダンジョン第78階層】
ついに始まった最強ギルドの暗部との直接取引!
3つの要求と3つの条件が激突する、息詰まる心理戦!
だが、証拠の「完全回収」と「口外禁止」を突きつけられた老舗ギルドマスターたちは、果たしてこの諸刃の剣を飲むことができるのか!?
そして、暴君・伊藤統括導師(部長)を追い詰める長老(役員)への「状況説明の場」がついにセッティングされる!
敵の本丸に乗り込む異次元おじさんに、想定外の危機が迫る!
絶対絶命の逆転劇が、今、臨界点に達する!
次なる死闘が今、幕を開ける!
最後までお付き合いありがとうございます。
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