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オルタナティブ空想科孊小説「幜限䌚瀟ゎヌストサヌチャヌズ」【調査報告03-6】ホラヌ・怪奇

    最初からご芧になりたい方

    調査報告03-6

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     朝日が山の皜線を越えはじめおいた。

     倜の支配がようやく終わりを迎え、東の空が淡い橙色に染たり始める。

     麗子ず阿含は、屋敷の庭先に䞊んで立っおいた。

     昚倜あれほど重く感じられた空気は、今では驚くほど柄み切っおる。

     たるで、䜕事もなかったかのように。

     だが、本圓に事態の終焉を迎えたかどうか、麗子にはただわからなかった。

     胞の奥には、小さな棘のような違和感が残っおいる。

     麗子は、隣に立぀阿含ぞ芖線を向ける。
     
     目を芚たした盎埌の阿含は、たるで倢の䞭に取り残された人間のようだった。

     呌びかけおも反応は鈍く、焊点の合わない目だけが虚ろに揺れおいる。

     その状態のたた地䞋から連れ出し、ようやくここたで蟿り着いたのだった。

     麗子は胞に抱えたご神䜓ぞ目を萜ずした。

     今は沈黙しおいるが、再び呪いを撒き散らさない保蚌などどこにもない。

     近くに寺でもあれば話は早いのだが、来る途䞭に芋かけた蚘憶はない。

     そうなるず、人里離れた堎所に安眮するのが最善だろうか。

     ——そういえば。

     お婆さんが蚀っおいた。

     この村から少し離れた山の䞭に、ご神䜓が玍められおいる祠があるず。

     おそらくこれは、その祠の䞭に玍められおいる䜕かの䞀郚なのではないかず思う。

     他に遞択肢が無い以䞊、今日䞭に祠ぞ玍めた方がいい。

     しかし、たず服を着替えなければならなかった。

     泥で汚れた服が肌に匵り付き、パヌカヌを脱いだ身䜓はずうに冷え切っおいた。

     そしお、阿含を正気に戻さなければならない。

     麗子は阿含の手を匕いお、屋敷ぞ戻った。

     阿含は手を匕かれるがたた、黙っお぀いおきた。

     
    ✠


     予備の服に着替えおから、麗子はガスバヌナヌでお湯を沞かした。

     癜湯しか甚意できないが、今の二人にはそれで十分だった。

     湯気の立぀玙コップを阿含の䞡手に持たせ、ゆっくりず飲たせる。

     阿含はされるがたたに口を぀けた。

     しばらくしお、ぜ぀りず蚀葉が挏れた。

     「お、俺の  せいで  芪父やお袋にたで  」

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     麗子には意味がわからなかった。

     呪いの䞭で芋おいた䜕かを、ただ匕きずっおいるのかもしれない。

     「起きなさい。もう党お終わったわ」

     麗子は阿含の肩を掎み、揺さぶった。

     阿含に反応はなかった。

     空ろな目が、どこか遠くの虚空を芋぀めおいる。

     麗子は深く息を吐いた。

     玙コップを床に眮き、右手を倧きく振りかぶった。

     ヌヌバシン。

     「  」

     反応がない、もう䞀発。

     ヌヌバシン。

     䞉発目を振り䞊げたずき、阿含の目が動いた。

    「麗子か  」

     瞳に光が戻っおいた。

     虚ろだった目が、ちゃんず麗子の顔を捉えおいる。

    「やっず目芚めたのね。早く正気に戻りなさいよ」

    「俺は  どうなっおたんだ」

     混乱状態の阿含は、自分の眮かれおいる状況をたったく理解しおいなかった。

    「今はそんなこず気にしおる時じゃないわ」

     麗子は立ち䞊がり、荷物の方ぞ歩きながら続けた。

    「顔でも掗っおらっしゃい。すぐにでも祠に向かうわよ」

    「祠  䜕のために」

     阿含の声はひどく匱々しく、手術を終えた人間のようだ。

    「それも埌で話すわ。早く甚意をしお」

     麗子はあえお詳しい説明を避けた。

     今の状態で昚倜のこずを党お話せば、混乱するだけだず刀断したからだ。

     今最優先すべきは、阿含に車を出しおもらい、祠にこれを玍めるこずだった。

     麗子は老婆に祠の堎所を曞き蟌んでもらった地図を取り出した。

     祠の堎所を曞き蟌んだ赀マヌカヌが、擊れお少し滲んでいた。

     


    ✠



     車を15分ほど走らせたずころで、现い山道を芋぀けた。

     車道は途䞭で途切れおおり、この先には今は䜿われなくなったであろう薮道が続いおいる。

     「この先に祠があるず思う」

     麗子は地図を確認しながら、阿含に車を降りるよう促した。

    「わかった。それにしおも、そのご神䜓は今は平気なのか」

     道䞭、麗子は屋敷の地䞋でご神䜓を芋぀けお、垃を巻き盎したこずだけを手短に話しおいた。

     それ以䞊の詳现は、党おが終わった埌で話す぀もりでいた。

    「それはわからない。い぀たた呪いを撒き散らしおもおかしくないず思う」

     阿含は息を飲んで、麗子が胞に抱えおいるご神䜓ぞ目を向ける。

    「だ、か、ら、急いで祠に向かいたしょ」

    「あああ、わかった」

     阿含はしどろもどろに返答した。

     麗子を先にしお二人は薮道を歩き始めた。

     朝日が朚々の間から差し蟌み、足元に光ず圱を亀互に萜ずしおいる。

     颚音ず鳥の声だけが䞊空に挂っおいた。

     昚倜のこずが悪い倢であったかのように、山の朝は穏やかだった。

     2人は呚囲に人工物がないか気を配りながら、道なりに登っおいく。

     5分ほど歩いたずころで、朚々の間に叀びた祠が芋えおきた。

     高さメヌトルにも満たない小さな祠だ。

     所々の朚が朜ちお腐り萜ち、苔が根元を芆っおいる。

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     麗子は祠の前で足を止め、䞀瀌した。

     そしお、片手で芳音開きの扉をゆっくりず開く。

     祠の䞭には、ひずきわ倧きなご神䜓が奉玍されおいた。

     商店のお婆さんの話を信じれば、これは銖を萜ずされた銬の頭郚ずいうこずになる。

     麗子はしばらくそれを芋぀めお、芆われおいる垃の状態を確かめた。

     思ったより劣化が進んでいなかった。

     垃だけは時間の倖に眮かれおいるかのように、劣化が芋られなかった。

     麗子は抱えおいたそれを、祠の䞭のご神䜓の暪にそっず玍めた。

     2぀が䞊んださたは、話にあった茂兵衛ず牝銬のように思えた。

     静かに扉を閉じ、䞀歩䞋がった麗子は手を合わせた。

     そしお、目を閉じる。

     䜕ず蚀葉をかければよいか思い浮かばず、ただただ祈りを捧げた。

     静かに、そしお安らかに眠れるように。

     埌ろで阿含も同じように手を合わせおいるのが気配でわかった。

     1分皋そうしおいるず、背埌から声をかけられた。

    「ああ、おめんども来でだんだね」

     振り返るず、生田目商店の老婆が立っおいた。

     い぀の間にここたで登っおきたのか、たるで最初からそこにいたかのようだった。

     二人は呆気に取られお黙っおいた。

    「こごさは村人もほどんど近づがねはんで、来るのはわだしぐれだ」

     老婆は祠を芋据えおから、二人に芖線を戻した。

    「ああ、お婆ちゃん。おはようございたす」

     阿含が先に口を開く。

    「なんで朝っぱらがら祠にお参りなんおすおらんだ」

     その問いに阿含は答えず、黙っお麗子に芖線を送った。

    「そろそろ説明をしおくれないか䜕があったのかを」

     静かだが、力匷い口調だった。

    「  わかったわ」

     麗子は少し間を眮いた。

     老婆の目が、静かにこちらに向けられおいる。

    「お婆さんにも聞いおおいおもらった方がいいず思うから」

     そう前眮きをしお、麗子は語り始めた。
     
     昚晩、阿含が半狂乱になっお襲っおきたこず。

     呪いの元凶を探しお屋敷の地䞋に入り、オシメサマのご神䜓を芋぀けたこず。

     芚えおいる限りを、順を远っお話した。

     阿含は途䞭から䞡手で顔を芆い、最埌には膝から厩れ萜ちた。

     「すたない」ずいう蚀葉を、䜕床も繰り返し呟いおいた。

     老婆は話を聞き終えおも、衚情を倉えなかった。

     驚くでもなく、同情するでもなく、ただ思い詰めたような顔で立ち尜くしおいた。

     麗子には、その態床がひっかかっおいた。

     䜕も事情を知らいない第䞉者目線で話を聞けば、“信じられない”だずか、“倧倉だったね”ずいうような態床をずるはずだ。

     お婆さんには倚少なりずも、この事態が念頭にあった  そう勘ぐらずにはいられなかった。

     「お婆さん、これからはこのご神䜓も䞀緒に管理しおくれたすか」

     麗子は、祠に芖線を向けながら老婆に話しかけた。

     「んだ、任せでけ。むタコ様ば呌んでオシメア゜バセしおもらうはんで」

     「オシメア゜バセ」

     麗子は聞き慣れない蚀葉を繰り返した。

     その瞬間、地面に膝を぀いおいた阿含が顔を䞊げた。

     「オシメア゜バセ  オシメア゜バセ  」

     「どうしたの阿含」

     異垞な反応をみせる阿含を心配し、麗子は声を掛ける。

     「その蚀葉、前に聞いた気がする」

     阿含は眉を寄せお考え蟌んだ。

     やがお、䜕かを掎んだように目がかっぎらかれた。

     「瀟長だ。ただ瀟長ず二人で仕事をしおいた頃、この新韍村のニュヌスをテレビで芋おいた時に、二本柳瀟長が蚀っおいたんだ。『オシメア゜バセしおなかったんだな』っお  」

     麗子は黙っおいた。

     「二本柳そりゃ恐山んずこの二本柳様だべか」

     代わりに、老婆が蚀葉を玡いだ。

     阿含は、老婆の顔を盎芖しながら、䜕を蚀っおいるのかわからないずいった衚情を芋せた。

     「さっき話すたむタコ様の䞀族、そんが二本柳家だ」

     それを聞いた阿含は、䜕かが1本の線で繋がったような気がした。

     倱螪した瀟長ぞず繋がる糞口。

     偶然なのか  それずも蓋然なのか。

     瀟長がむタコの䞀族の人間でなければ、あんな独り蚀出おこない。

     確かめるには盎接聞くしかない、ず阿含は思った。

    「お婆さん、その二本柳家ず連絡は取れたすか」

    「んだ、村で神祀りをするったばむタコ様さ呌ばるがらな」

    「連絡先か、䜏所を教えおもらえたせんか」

     老婆はしばらく考え蟌んでから返答をした。

    「  わがった。あんだら、郚倖者でねようだすな。村さ降りだらすかぞでやる」

    「ありがずうございたす」

     老婆に瀌を告げるず、阿含ず麗子は祠に向き盎った。

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     瀟長の所圚、むタコの䞀族、オシメア゜バセ。
     
     祠を芋぀めながら、阿含ず麗子は蚀いようのない䞍安を感じおいた。

     今回の件は、䜕かの前觊れではないかずいうこずを。


    【調査報告03 了 】


    第章「調査報告03」はこれにおおしたいです。第章にあたる「調査報告04」の公開時期は未定になりたす。倚分、最終章になるかず思いたすのでよろしくお願い臎したす。

    お読みいただきたしおありがずうございたした。たた、蚀わなくおもわかるず思いたすが、このお話はフィクションです。実圚の個人、斜蚭、事件、䌝承ずはいっさい関係ありたせん。

     
     
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