
リハビリはゲーム感覚で!23:プレゼント《脳梗塞(脳卒中)の“前向き”闘病記 小説風》
第一話はこちらからご覧ください
はじめに
ある朝、突然倒れた和泉大輝(45歳・会社員)。
診断は、脳幹部の梗塞。
体は動かず、声も出ず、世界は一変した。
動かない体に問いかけ、挑み続けた日々。
しかし、左手はピクリとも動かず、
ついに大輝は左手を手放すことを決意した。
本作は、実際の経験をもとにしています。
※本編には、病気、身体の麻痺、生命への不安などセンシティブな描写が含まれます。
心身に負担を感じる可能性のある方は、無理のない範囲でお読みください。
🧠この話には、別記事で医学的見地からの解説を後日追加予定です。物語とあわせて読むことで、脳梗塞の理解がより深まります。ぜひご確認ください。
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脳卒中の経験や知識を分かち合う場を広げています
それでは、本編をどうぞ。
第三部 希望か終焉か ― 七日間の挑戦と門出の春
第23話 「プレゼント」
2025年3月16日
昨日、左手は見限った。
悲しさはある。
けれど、受け入れるしかない。
だから今日からは気持ちを切り替えて、右手のリハビリに全力を注ぐ。
そんな中、作業療法士の増岡さんとのリハビリが始まった。
今日のメニューは、風船を使ったバレー。
使うのはもちろん、右手一本だ。
ゆっくりした風船の動きに合わせて腕を伸ばす。
腕を最大限に伸ばして、ギリギリ届く場所に来る風船を、なんとか返しながら、
20回ほどラリーが続いた。
「いいですね、和泉さん。かなり安定してきましたよ」
確かに、少しずつ右手は反応してきている。
最近は肩も上がるようになり、
ついに、バンザイもできるようになった。
けれど、左手のリハビリメニューは一度も出てこない。
(まあ、そうやろな。左手は全然動かん。やっぱり右手を鍛えるのが正解なんや)
そんなふうに、昨日の自分と答え合わせをしていた。

午後。
さっきのリハビリの疲れもあり、少しうとうとしていた。
幼い頃の三女・心菜ミナが小さな箱を差し出して、にっこりと笑っている。
「心菜ミナは左手いらなくなったから、パパにあげる。これで左手動くようになるね」
「え、ほんまにええんか?心菜ミナの左手なくなるやん」
「心菜ミナは新しい左手があるから、もうこれはいらないの。だから大丈夫!あげるね」
「ありがとう、嬉しいわ!」
「動かし方は、こうだよっ!」
「・・・おお、ほんまに動いたやん!よっしゃー!」

にっこりと笑う心菜ミナの笑顔があまりにもまぶしくて、目覚めたときに思わず左手に力を込めた。