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ただ、つたえたかっただけ(前編)《夫が脳梗塞(脳卒中)に。妻のリアルな葛藤日記》

    はじめに

    みなさん、
    和泉大輝の妻、花菜です

    数ある記事の中から「リハビリはゲーム感覚で!」をお読みいただき、ありがとうございます

    また、「ただだけ」シリーズにも興味をお持ちいただいたこと、とても嬉しく思っております

    こちらはサイドストーリーとして、
    本編では伝えきれなかった妻の心情や、あの日の真実を描いております

    花菜の正直な胸の内を綴っているため、
    一部、お見苦しい点があるかもしれませんが、
    一夜にして患者家族となったリアルな姿をそのまま書き記しております
    何卒ご容赦いただけますと幸いです

    では、どうぞ!(´▽`)




    ただ、つたえたかっただけ(前編)


    初めて立てた時の動画を 繰り返しみている

    理学療法士に 2人がかりで支えられている

    「お父さん がんばってますよー」
    2人が言った


    うん すごく頑張ってる

    普段 そんな顔みせること
    なかったもんね

    それだけ辛いこと
    してるんだよね

    「右手をバンザイしてみてください」

    理学療法士に声をかけられて
    大輝の肩が ゆっくりと持ち上がっていく


    「もっと上!!」
    看護師のかけ声に

    大輝は 歯を食いしばって応えた


    肘は大きく曲がっていたけれど
    指先は 確かに頭の上を 越えていた


    顔をゆがめて 必死に右手を上げ続けている
    その手は震えて
    今にも落ちそうだった

    それでも ほんの少しずつ
    上へと伸びていく



    「手を振ってみてください」
    「顔もお願いしまーす」


    手を振りながら 顔を上げた大輝の表情には

    一瞬だけど 笑顔が光った


    ありがとう
    心配させないようにしてくれてたのかな

    そんな大輝を 誇りに思うよ



    グラグラする頭
    どんどん下がってくる右手……

    「もっと 手をうえにあげるには
    どうしたらいいかなあ」


    大輝は 確かにこう言った

    「手を上にあげる?」
    「上?手?」


    「……あ いいですよ 1回楽にしてもらって」


    ……



    そばにいた 医療者たちには

    大輝の思いは 届かなかった

    手が痛かったんじゃない
    手が だるかったんじゃない

    夫がみていたのは
    未来なのに……


    言われるまま 腕をおろした



    思ったことを 伝えられないのは
    辛いって
    言っていた

    頑張って話した言葉が
    理解されずに 消えていく……


    でも
    伝えることを 諦めないで欲しい

    理解してもらうことを 諦めないで!



    後編に続きます


    👉 シリーズの全話目次はこちら


     
     
     
    45歳で脳幹梗塞になり、重度の両麻痺を負うという超激レア症例。現在はリハビリにゲーム感覚で挑戦し、悪戦苦闘中 闘病の中で試される、自身の覚悟、夫婦の愛、そして家族の絆・・ 実際にリハビリをしながら描く、ほぼ実話、涙あり笑いありの小説風闘病記をご覧下さい

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