だいじょうぶ百葉箱 34 透 明
だいじょうぶ
透明人間
なら今日は
いつもの夜道
泣いて帰れる
福永フクロウさんの「第7回フクロウ賞」に参加します。
中二病おじさん
……フッ。
透明になるとは、姿を消すことではない。
他者の視線という呪縛から、ほんの一夜だけ解放されることだ。
いつもの道。
いつもの街灯。
いつもの帰り道。
変わったのは世界ではない。
「今日は泣いてもいい」と、自分に許したことだけだ。
誰にも見つからず、
誰にも「どうしたの?」と訊かれず、
涙を拭う必要さえない。
透明人間とはつまり――
悲しみを隠さなくていい者の名なのだ。
……もっとも、古典的設定では服は透明にならん。
ゆえに完全なる透明化を求めるなら……
全裸である。
ツンデレ姉さん
……あんたねえ。
せっかくそこまで
いい感じに「人の目から自由になる夜」とか語ってたのに。
なんで最後に全裸で帰らせるのよ。
でもまあ……
「今日は」ってところ、私は好きよ。
毎日泣きたいわけじゃない。
透明になりたい人生でもない。
今日だけは、誰にも見られず泣いて帰りたい。
そういう夜って、たぶんあるから。
……だから服くらい着せときなさい。
透明になる設定で。
つづく
