
近代化に抗う
これは2015年のインドネシアの記録である。
古い写真データを整理していたら、忘れていたはずの風景が突然よみがえった。
細かな旅の工程はもう覚えていない。どの町で撮ったのか曖昧な写真もある。ただ、その時に見た光景や人々の表情、その時強烈に感じたことは、十年の歳月を経ても鮮明に残っている。
これは旅の記録というより、写真から立ち上がる記憶の断片である。
ジャカルタから5時間
真っ先に立ち上がったのがバドゥイの村だった。
ジャカルタから5時間以上車を走らせた記憶がある。
インドネシアの森に、急速な近代化の外側で、祖先から受け継いだ暮らしを守り続けている民族「バドゥイ」がいると聞いて、居ても立ってもいられなくなった。
この地域はインドネシア国が彼らの昔ながらの生活を継続できるように保護をしているという。
チボレゲール駅で一息

この村の入り口「チボレゲール」駅にある像である。ここはバスターミナルの駅となっている。はるばる車に揺られてようやく辿り着いて安堵の気持ちになったため、よく覚えているのだろうか。
バドゥイが住む地域には内と外があり、私たち外国人が訪れることができるのは主に外バドゥイの地域である。この外バドゥイの人たちは、青い頭巾をかぶるのが特徴だ。
村へ続く道では、荷物を背負って歩く人々を何度も見かけた。民族の掟に従い、車を使わない暮らしをしているという。

このチボレゲール駅からは、およそ1時間半ほど山道を登り、バドゥイの村に着いた。