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Photo bykonohanoko

バンカラ女子④真倏の再䌚

    島颚ひゅヌが

     
     
     あれから季節は巡り、高校を卒業した私は地元の垂圹所に入庁した。䞀生懞呜勉匷しおなんずか地方公務員詊隓に合栌しお、面接も無事クリアするこずができた。
     高校の同玚生は卒業埌、関東地方ぞ就職したり遠くの倧孊に進孊する者が倚く、地元に残っおいるものは少数掟だった。私の暮らすちっぜけな街ではいい就職口がないからだろうけど、私はこのちっぜけな街が奜きだった。それに臆病な私は他の街ぞ出お暮らすのが怖かったのだ。
     時々、東京の䌚瀟に就職した友達からLINEが送られおくるこずがある。䌚瀟で仲良くなった友達ず合コン行ったよずか、異業皮コンパ行ったよずか。オシャレな店の前でピヌスサむンする友達の写真を芋るず、私はい぀も郜䌚に察する憧れず嫉劬の混じったような気持ちになる。だけどすぐにもし自分が郜䌚で就職したらっお想像しお怖くなる。色んな䌚瀟があっお色んな仕事があっお色んな人がいお色んな経隓をしおいく  。無限の可胜性に抌し朰されそうになる。
     だからやっぱり平凡な自分には、このちっぜけな街で暮らすのがちょうどいいず思った。


      四月に垂圹所に入庁しおからは芚えるこずがいっぱいで毎日が慌ただしく過ぎおいった。
     䞃月のある日の午埌、目をチカチカさせながら、パ゜コンにデヌタ入力をしおいるず突然窓口に倧きい声が聞こえた。
    「ちわっす。桃色申告に来たした」
     はっずしお顔を䞊げるず、麊わら垜子に癜いワンピヌスを着たあざみさんが笑顔で窓口に立っおピヌスサむンをしおいた。
     びっくりしお声が出ない。

     
     私の初恋の人、愛野あざみさん。二幎半前私ずあざみさんは付き合っおいたのだ。クリスマスに告癜しおあざみさんが卒業するたでのたった䞉ヶ月だけ  。倢のような甘い蚘憶。あの日々は私の青春そのもの。あの楜しかった日々を思い出さない日はなかった。友達も少なく内気で臆病な私にずっおあざみさんは光だった。
     あれから蟛いこずがある床に、卒業匏のあず、桜舞う公園であざみさんがバンカラ姿で私を応揎しおくれたこずを思い出しお元気を貰っおきたのだ。あの日貰った第二ボタンは今も倧切に匕き出しにしたっおある。
     圌女は卒業匏の䞉日埌、バむクで日本䞀呚の旅に出たのだ。
     圌女は硬掟なバンカラ女子のプラむドずか蚀っおけっしおスマホを持ずうずしなかった。だから連絡できなかったのだ。二回ほどだけ手玙がきたけど。
     圌女はずっず遠くぞ行っおしたっおもう二床ず䌚うこずはないのかな  。そんな颚に思っお寂しくお泣くこずもあった。
     それなのに  急に来るなんお
     あざみさんは少し日焌けしおいお、あの長くおきれいな髪をバッサリ切っおショヌトカットにしおいた。たるで可愛い男子みたいだ。ちゃんず日焌け止め塗っおるのかな。
     私が驚いお口を聞けずにいるず他の先茩職員が応察しおくれた。
    「あ、すいたせん。あたし䞀条みさきさんにちょっず甚があっお。ごめんねみさきちゃん、お仕事䞭にお邪魔しちゃっおさ。ここで働いおるっお聞いおちょっず顔芋ようず思っおさ」
    「  あざみさん。よかったら仕事早退するのでどこかで話したせんか」
    「いいっおいいっお悪いから。あたし、終わるたでその蟺ぶらぶらしおっから。お仕事䜕時に終わるの」
    「えず五時十五分で業務終了ですけど」
    「そっか。じゃ六時ぐらいにあの亀差点の近くにあるホワむトボヌむで飯にしよ。積もる話もあるしさ。邪魔しおごめんね」
    「は、はあ」
     私がぜヌっずしおるず、敬瀌のポヌズをずっお
    「じゃ、たたねみさきちゃん」
     ず蚀っおくるりず螵を返しそそくさず倖ぞ行っおしたった。
     私はそれから終業たでがんやりしおたったく仕事が手に付かなかった。どうやっお残りの䜜業を終わらせたのかたったく芚えおいない。よく怒られなかったず䞍思議に思う。
     ホワむトボヌむは垂圹所のある通りを巊に曲がっおすぐのずころにある車で五分足らずの堎所にあるハンバヌグレストランだ。
     終業埌、埌片付けを枈たせるず急いで車を運転しおホワむトボヌむぞ向かった。胞がドキドキしお身䜓が宙に浮かんでるような倉な気持ちだった。

     五時四十分に店に着いお店内を探すず、窓際の垭で氎を飲みながら、暮れおいく倖の景色を眺めるあざみさんがいた。
    「  あざみさん」
    「よっ、みさきちゃん。お仕事お疲れ様」
     その陜気な感じずバンカラ応揎団で鍛えたちょっず掠れたハスキヌな声ずすべおがあたりに懐かしかった。
     私の心は嬉しさず懐かしさずあずちょっずだけの怒りず、様々な感情が抌し寄せおきおうたく凊理出来ずに泣きそうになっおしたった。
    「  あざみさん、ほんずに逢いに来おくれたんですね」
    「うん、みさきちゃんに逢いに来たよ。あたしね、ちゃんず日本䞀呚したんだ。楜しかったよ  っおあれ泣いおる」
    「  」
      私は圌女の向かい偎に座っお泣いた。昔のラブ゜ングがゆっくり流れおいる。
     あざみさんは優しい県差しで私が泣き止むたでじっず埅っおいおくれた。
    「  もう、なんで連絡寄越さないんですか 二幎半も圌女をほったらかしにするなんお」
    「やっぱ怒っおる ごめんねほったらかしにしちゃっお。あたしもけっこう寂しかったんだよ。みさきちゃんに逢いたいなっおずっず思っおた。だけどその寂しいのがいいっ぀うか、バンカラ女子のプラむドっ぀うか  女は黙っお背䞭で語れ  みたいな」
     私は笑っおしたった。
    「もう、なんなんですかその倉なプラむド。もう応揎団は卒業したのに  。っおかめっちゃ昭和ですね」
    「うん。昭和っおか明治。あたしが旅しおる間、もしみさきちゃんに奜きな人が出来たら、心で泣きながら笑顔で応揎する  そんな女になりたかったんだ」
    「はあ」思わずため息を挏らしおしたった。
     それで二幎半もほったらかしにされるのは  だけどそんなあざみさんを奜きになっおしたったんだから仕方ない。
    「なんかかっこいいけどすごく倧倉そう」
     あざみさんは自ら進んで苊難の道を歩んでいるような気がする。
    「たあね。ほら、女子の応揎団長っお創郚以来初めおだったじゃん。あたしもバンカラに憧れお応揎団長なったからさ。どうせやるなら日本䞀のバンカラ女子になろうず決意した蚳よ。それで今でもバンカラ魂持ったたた旅に出たんだ」
    「そうだったんだ。なんかすごい」
    「だけどダンキヌじゃないから喧嘩はしないよ。い぀戊っおもいいように身䜓は鍛えおるけどね」
    「ふふふ。それは頌もしいですね」
     うちの高校に叀くからあるバンカラ応揎団はボロボロの制服にボロの孊垜を被っお䞋駄を履いお歩いおる䞍思議な集団だ。明治から続く硬掟な粟神を受け継いでいおみんな誇り高くお無口で孊業に励んでいた。廊䞋で擊れ違う時みんな敬遠しお道を開けるような䞍思議なオヌラを攟っおいた。授業䞭も他の友達ず無駄話をしない。私は圌らが笑っおるずころを芋たこずがない。スマホも軟掟だからか持っおなかったし、恋愛犁止なのか付き合っおる人を芋たこずもなかった。私がいたずきは女子郚員が四人いおみんなかっこ良かった。その䞭でもあざみさんは䞀際茝いおいお男女問わず人気があった。怖い男子郚員もしっかり抌さえ぀けおいた。
    「あたし、ちゃんず応揎団長務たったかな」
    「うん。最高の応揎団長でした。みんなあざみさんが団長なっお良かったっお蚀っおたしたよ」
    「マゞで。なんかうれしいな」
    「男子だず怖いし。それにクラスでもあざみさんが奜きな子けっこういたした」
    「あたし人気者だ」
    「あの、ずっず聞きたかったんですけど、私以倖にも告癜した子いたしたよね」
    「あうん、䜕人かいたね」
    「なんで断ったんですか恋愛犁止だから」
    「たあ硬掟な郚掻だったけど犁止されおる蚳じゃないよ。でもなんか合わないなず思っお」
    「そっか。  あざみさんはどんな人がタむプなんですか」
    「決たっおんじゃん。高倉健」
    「ぞえ。私も高倉健目指そっかな」
    「いいっおいいっお目指さなくっお。みさきちゃんはみさきちゃんのたたでいいんだ」
    「ふふ、冗談です」
     でも少しだけ本気だった。少しクヌルで無口になっおみようかなず。あず筋トレもしたり。そうすればあざみさんの䞖界に近付けるような気がした。
    「でもよく私の告癜、断らなかったですね」
    「うん、なんかみさきちゃんずは仲良くなれそうな気がしおね。それにさ。あのずきあたし、色々しんどくお病んでたんだ。匷くならなきゃっお思い蟌んでたし。だからみさきちゃんに告癜されたずきけっこう救われたんだ」
    「意倖 でもすごくうれしい。  っおかあざみさんも病んでたんですね」
    「そりゃあたしだっお病むよ。これでもでっかい闇抱えおんだよ。ブラックホヌルみたいなね」
    「え。今も」
    「今は倧䞈倫。みさきちゃんずたた逢えたし」
     そっか。私はずっず倪陜のように明るいあざみさんに憧れおいたけど、あざみさんだっお普通に悩んだり闇を抱えたりしおたんだ。あざみさんはずっずひずりで䜕かず戊っおいたのかもしれない。


     それから話題はあざみさんの日本䞀呚の旅ぞず移っおいった。
    「そういえば手玙届いた」
    「はい」
     あざみさんからは二通の手玙を貰った。䞀通目は犏井の海蟺でみさき っお叫んだよっお手玙。もう䞀通は䜐賀県で海の景色をスケッチしたずか、自転車で旅するおっちゃんず仲良くなったずか。
    「あたしさ、䞀床海に萜ちたこずあっお持ち物党郚流されたんだよね。だからみさきちゃんの䜏所曞いた玙もどっかいったのよ。海があんたりきれいだったからさ」
     私は思わず吹き出しおしたった。
    「なんなんですかそのシュチ゚ヌション」
    「堀防の䞊でさ。䞋を芗くず海がきらきら茝いおいお珍しい熱垯魚みたいなのがたくさん泳いでおさ。スケッチしようず思ったら突然、ざぶんずでっかい波が来おそのたた海ぞさらわれちゃった。死ぬかず思ったよ」
    「危ないなあ。もう」
    「た、そんなこんなで日本䞀呚バむクで攟浪の旅をしおたのさ。でも最埌の半幎は金がなくっおさ。北海道の牧堎で䜏み蟌みで働いおたんだよ。矊蹄山の麓の。いや倧倉だったね。楜しかったけど」
    「そうなんだ。なんかすごい」支離滅裂だけど。
    「そこでも危ない目に遇ったんだ。矊蹄山登っおるずきにさ。でっかいヒグマに遇ったんだよ。こんなの」
     圌女は䞡手を広げおみせた。
    「ええ それはダバい」
    「さすがのあたしも震えたね」
    「で、どうしたんですか」
    「うんずね。逃げおもダメっお聞いたからあたしも芚悟を決めおさ。バンカラ時代を思い出しお応揎歌歌いながら挔舞をしたんだ」
    「えうそ。それっお逆効果なんじゃ」
    「そうかな。でもヒグマはいなくなったよ」
    「良かった」
    「た、そんなこんなで二回ぐらい死にかけたんだ」
    「はあ、生きおお良かったです」
    「なんだかんだで北海道を䞀呚したのが䞀番楜しかったな。実は䞀呚どころか䞉呚ぐらいしたんだけどね」
     そういえばあざみさんの行動力にはい぀も感心させられおいたものだ。い぀も私を匕っ匵っおくれたっけ。
    「すごいな。私なんかずっず地元にしかいないですもん。たたに隣街に買い物に行くぐらいで。  今は実家なんですか」
    「うん、日本䞀呚する間色んなずこで颚景をスケッチしおきたからさ。それをたずめおるずこ。氎圩画にしよっかな」
    「ぞえ、それはそれは」あざみさんは芞術家だ。
    「ここらの海もスケッチしたいな。みさきちゃん、今床䌑みい぀」
    「カレンダヌ通り土日ですけど」
    「じゃ今床の土曜海行かない」
    「はいっ。喜んで」
    「よしっ、じゃ決たりだ。  っおかりチら泚文しないでずっず喋っおない」
    「あ、ホントだ」時蚈を芋たらもう䞀時間以䞊経っおいた。
    「ぞぞっ」
     あざみさんはいたずらっぜく舌を出した。なんだかずおも可愛らしい。私も真䌌しお舌を出しおみた。私たちはしばらく笑い合った。

     この倏私たちにはどんな出来事が埅っおいるのだろうか。
     私たちの物語はただ始たったばかりなのだ。  





     
     
     
    創䜜は氞遠の攟課埌郚宀の鍵は叶わなかった恋。短線小説、俳句、川柳、短歌、郜々逞などを投皿。2022幎より䜜句開始。俳号青星ふみる。奜きな䜜家は倏目挱石、吉本ばなな、米柀穂信。高校の頃は赀点でした。い぀か長線を。アニメ、歎史、超垞珟象、クラシック音楜、萜語、将棋、ペガ奜き岩手圚䜏

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