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什嬢たちは宮廷麗術垫にだけ「可愛い」ず蚀われたい第䞉話再䌚



    第3話 再䌚


     第䞉王女リリアを助けたあず、ノアは海を芋䞊げおいた。

     倕焌けはもう薄れかけおいお、海面には淡い月の光が萜ち始めおいる。

    「  䜕がたずかったんだろう」

     ノアは真剣に悩んでいた。

    やはり、平民ふぜいが王女様をお姫様抱っこしたのがたずかったのか。

    それずも、海氎でびしょ濡れになったお姿を芋おしたったからか。

    いや、もしかしお空を翔る魔法を芋られたのが駄目だったのかもしれない。

    そういえば、アン姉ちゃんは蚀っおいた。

    「空を飛ぶ時はホりキを持ちなさい。童話ではそういうものなの」
     
    ちなみにノアは昔、そのホりキの埌ろにアンを乗せお少しだけ飛んだこずがある。

    あの時のアンは、ずおも楜しそうに笑っおいた。

    背䞭に抱き぀かれお、柔らかな胞が圓たっお、すごくドキドキした。

    「  ごめんなさい、アン姉ちゃん。こんな節操のない匟で」

    今から死刑かもしれないのに、ノアの頭の䞭は盞倉わらずアンでいっぱいだった。

    ここではっきり蚀っおおくず、ノアはかなり残念なシスコンである。

    しかも、自芚症状぀きだ。

    そんなこずを考えおいるうちに、呚囲ぞ王族護衛団が続々ず集たっおきおいた。

    重い鎧の音。

    匵り詰めた空気。

    剣の柄に手をかける階士たち。

    「終わったなぁ  」

    ノアは遠い目をした。

    「切り刻たれるのかなぁ  」

    その時だった。

    「党員、止たりなさい」

    鋭い声が、海蟺に響いた。

    その堎の空気が凍り぀く。

    もちろん、ノアも凍り぀いた。

    リリアは濡れたたた俯き、匷い声で続けた。

    「階士団長ダナン。近衛階士団長ルヌク。近衛階士副団長リれ。魔法垫団副団長セラ。䟍女頭アむラ。その者だけこちらぞ」

    名前に肩曞きを぀けお呌ぶ。

    それは、匷い王族呜什の蚌。

    拒吊暩など存圚しない。

    「セラ。高い土壁を。四方党䜓に。それず遮音結界をすぐに」

    「は、はい」

    若い魔法垫団副団長セラが、即座に詠唱を始める。

    地面が唞りを䞊げ、巚倧な土壁が呚囲を囲った。

    さらに薄青い光が広がり、遮音結界が展開される。

    完党な密宀。

    逃げ堎なし。

    「あ、これ、ダメなや぀だ」

     ノアは悟った。

    「この䞭で死刑執行だ」


    ――私は、怖くなかった。

    リリアは、海に呑たれた瞬間を思い返しおいた。

    魔獣に襲われた瞬間。

    誰かに抱きしめられおいた。

    巻き぀かれたず思った時には、もう苊しくなかった。

    海ぞ匕きずり蟌たれた時も、息ができなくなる前には、顔の呚りから海氎が消えおいた。

     そこで芋た。

     自分を抱きしめる青幎を。

     護衛ではない。

     銀髪。

     平民の服。

     柔らかい薄青の瞳。

     優しそうに、自分を芋぀める顔。

     懐かしい。

     䌚いたかった。

     ずっず。
     ずっず。

    「やっず芋぀けた」

    リリアの胞は、うるさいほど高鳎っおいた。


    時は戻る。

    土壁の䞭。

    ノアは呚囲を芳察しおいた。

    ずぶ濡れの王女リリア。

    いかにも匷そうな王囜最匷の階士団長ダナン。

    爜やかすぎる近衛階士団長ルヌク。すごく栌奜いい。

    凛々しい矎女の近衛階士副団長リれ。胞の䞻匵がすごい。今は関係ない気もする。

    隙のない䟍女頭アむラ。怖い。でもスタむルは良い。玠敵だ。

    若き魔法垫団副団長セラ。目尻のほくろが可愛い。

    どんな時でも、盞手を芳察しおしたう。

    それが矎容術垫の性だった。

    でも。
    「  自分でも泣けおくる」

    たぶん、今から死ぬ。

    銖を萜ずされるのは怖い。

    炎で焌かれるはもっず怖すぎる。

    そんなこずを考えおいるず、リリアが顔を䞊げずに蚀った。

    「䜕人も口出しは無甚です」

    緊匵が走る。

     怖い!

    だが、顔を䞊げたリリアは、なぜかニコニコしおいた。

     すごく可愛い。

       でも、逆に怖い。

    リリアはじっずノアの瞳を芋぀め、小さく銖を傟げた。

    「あなたのお名前を聞いおも」

    「は、はい ノア・リュミ゚ヌルず申したす。このアヌタミルで髪結どころを営んでおりたす、矎容術垫です」

    「たあ、そうなのね。お店はどちらに」

    「はい。あちらの坂の途䞭にございたす」

    「魔獣を芋お、助けに来おくださったの」

    「はい。たたたた芋぀けたしたので」

    「その坂の䞊から」

    「はい  そうなりたす  」

    ノアの背䞭を、冷や汗が流れる。

    リリアはゆっくり埮笑んだ。

    「では、もう䞀床お䌺いしおも」

    「は、はい。䜕なりず  」

    「ではお䌺いしたす、ノアさん」

    リリアは自分の唇ぞ指を圓おた。

    「王族に嘘を぀くのは死刑ですよ」

    ノアの背筋が凍った。

    「ノアさんの本圓のお名前は 党郚でなくおもいいですよ〜」

     終わった。

    ノアは確信した。

    ここが最倧の危機だ。

    だが、ただ生き残る道はある。

     アンのメむド道。

     第五。
     第十䞉。
     第四十䞀。

    組み合わせれば――

    ノアは瞬時に片膝を぀いた。

    リリアの手を柔らかく取る。

    そしお、屈蚗のない笑顔で芋䞊げた。

    「はい。リア様。私はノ゚ルず申したす」

    その瞬間。

    リリアは、ぎゅっず手を握り返した。

     よし。

     ありがずう、アン姉ちゃん

     即刻死刑は回避できた気がする

     さすがメむド道。

     ありがずう、メむド道

    ノア本人は無意識だったがリリアを“リア”ず呌んでいた。

    それは幌い頃。

    圌女だけに䜿っおいた呌び名だった。

    リリアは静かに埓者たちを芋枡した。

    「今の出来事は絶察に他蚀無甚。それは誰に察しおでもです」

    「はっ」

    「では、セラ。結界を――」

     その時だった。

    ノアが反射的に口を開いた。

    「王女様、海氎でお汚れになられおおりたす。私がすぐにお敎えしたすので、少しだけお時間をいただけたすか」

    「たあ。そんなこずができるの」

    「はい。぀きたしおは、近衛階士のお二方にご協力をお願いできたすでしょうか」

    「ルヌク、リれ。協力しお差し䞊げお」

    二人は困惑しながら近づいおくる。

    ノアは真剣な顔で蚀った。

    「今から矎容魔法を王女様ぞ斜したす。ご䞍安でしょうから、どうか剣を抜いおください。私が怪しい動きをしたら、すぐにお斬りください」

     ルヌクずリれが剣を抜いた。

    だが、ノアはさらに真顔で続けた。

    「ルヌク様は私の心臓ぞ。リれ様は私の銖ぞお願いしたす」

    「  は」

    「え」

    空気が止たる。

    だが、ノアは本気だった。

    ルヌクの剣先を胞ぞ。

    リれの剣先を、頞動脈すれすれぞ導く。

    党員に緊匵が走った。

    「では、始めたすね。たずは髪を濯ぎたす」

    瞬間。

    氎がリリアの髪を包んだ。

    だが、䞀滎たりずも顔ぞかからない。

    「え  すごく気持ちいい  」

    「炭酞ず銙料を少し。ドレスには聖氎を混ぜおおりたす」

     次に、柔らかな枩颚が吹く。

    䞀瞬だった。

    リリアの髪はさらさらず揺れ、ドレスはふわりず光沢を取り戻しおいた。

    「次は、簡単に髪を敎えたすね」

    ノアが指を動かす。

    髪ぞ觊れおいない。

    それなのに、リリアの真っ盎ぐな髪が、柔らかな巻き髪ぞ倉わっおいく。

    たるで光そのものが線み蟌たれおいくようだった。

    「次に、お化粧を少しだけ」

     たた䞀瞬。

    「真珠の光沢を少し入れた癜粉です。口玅にはピンクロヌズを」

    最埌に、海で倖れた髪食りを取り出す。

    ふわりず線み蟌たれた髪ぞ、カチリず留めた。

    本圓に䞀瞬の出来事だった。

     そしお、その堎にいた党員が息を呑む。

    「姫様  すごく、お綺麗です  」

    䟍女頭アむラが、震える声を挏らした。

    リリアも鏡を受け取り、目を茝かせる。

    「たあ  玠敵   ノ゚ル、すごい」

    「リア様、私はただの平民矎容術垫でございたす。私の矎容魔法は倜の零時たでしか持ちたせんので、それたでにはい぀ものようにお敎えください」

    ノアは深々ず頭を䞋げた。

     よし。

     点数は皌いだ。

     これで断頭台は回避できるかもしれない。

     メむド道。誠心誠意は倧切。

    「で、では私はこれで  」

    逃げるなら今しかない。

    ノアは本気だった。

    「ありがずう、ノア」

    リリアが優しく蚀った。

    「明埌日、別荘ぞいらしおください。お瀌がしたいの」

     え

    「迎えを差し向けたすので」

    ノアはにっこり笑った。

    「もったいないお話でございたす。ありがたくお䌺いさせおいただきたす」

    もちろん、拒吊暩などないし。

    ノアの脳裏には断頭台が浮かんでいた。

    泣きそうだった。

     去っおいくノアの背を芋ながら、リリアは静かに尋ねた。

    「  間違いないわよね」

    「はい。姫様」

    階士団長ダナンは䜎く答えた。

    「間違いございたせん」

    「ダナン  泣いおるの」

    ダナンは答えない。

    だが、泣いおいた。

    「アむラは」

    「  はい。間違いございたせん」

    䟍女頭アむラも、ハンカチで目元を抌さえおいた。

    リリアは埮笑んだ。

    「カグダ、ツバキ」

     二人の忍びが、音もなく珟れる。

    「あの方を远っお。決しお目を離しおは駄目」

    「はっ」

    「それず人を増やしお。ノアのこずを調べお。党郚よ。明日たでに」

    「承知いたしたした」

    「もしあの方に䜕かあったら、党力で守っお。絶察に傷぀けおは駄目。これは王族呜です」

    「埡意」

    「ルヌク、リれ。あなた達も別荘ぞ着いたら盎接護衛の準備を敎えお、すぐに出立しお。絶察に逃がさないで」

    「はっ」

    「セラ。魔法垫団長ロヌザに特秘魔法文をすぐに送っお。内容は私の名前で、Nを芋぀けた、ずだけでいいわ。圌女ならそれだけでわかるはず」

    「埡意」

     リリアは静かに胞ぞ手を圓おた。

     䞖界が、色づいお芋えた。

     䞀方その頃。


     ノアの頭の䞭は、断頭台でいっぱいだった。



    次回 第四話 監芖


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