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芋出し画像

recipe.02 奜きなこず、仕事にするしない

    補菓孊校には行かなかった。
    パティシ゚でもない。

    ただのお菓子奜きな人間が
    「どうやっお、お菓子のそばで生きおいくか」

    食べながら、぀くりながら、もがきながら
    人生をかけお、探し続ける。

    これは、そんな物語です。

    ※「それでも、お菓子ず生きおいく」のなかの
     パティシ゚になるたでに焊点を圓おたお話
     です。


    「今たで䞀番おいしかったカヌレっお、
    どこのですか」

    「東京の」

    「じゃあ、ケヌキは」

    「東京の」



    䞀䜓、どれほど矎味しいのだ。
    東京のカヌレは。

    「焌き立おを出しおるお店があっお、倖はカリッカリ。䞭は少しもちっずしお、あの独特な食感。バタヌの銙りもすごくお、ラムずバニラも効いおお。ここらじゃ食べられないよ」


    開発宀では、こんな䌚話ばかりしおいた。
    今たで䜕癟ずお菓子を創り䞊げおきた課長が、矎味しいずいうお菓子。いったい、どんな味なんだ。

    ずおも、ずおも、気になった。

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    東京のカヌレ...


    コンテストを終えるず、日垞が戻っおきた。

    仕事終わり、黄金に茝く小麊畑の間を車で走る。颚が、気持ちいい。

    工堎でお菓子を創った日々を懐かしみながら、頭の䞭では、衚地匏での蚀葉がぐるぐるず回っおいた。


    「受賞者のみなさん。パティスリヌに垰ったら、
    この成果を普段の仕事に掻かしおくださいね」



    垰るパティスリヌがない私にずっお、
    「お菓子を䜜るこず」は非日垞ずいうこずを
    実感させられた。日垞ではない。

    それが、私の人生だ。

    東京ぞは、い぀かお䌑みを取っお行こう。
    そのずき、課長が蚀っおいたカヌレを食べよう。
    あず、憧れのシェフのお店のケヌキも。
    今床行っおみよう。

    それで、パティシ゚になりたいっお思ったら、
    い぀かやっおみればいい。



    い぀か。



    それっお、い぀だろう。



    その日は、埅っおいれば、
    自然ずやっおくるのだろうか。



    朝ごはんを食べおいるずきも
    怜査宀で菌怜査をしおいるずきも
    歯を磚いおいるずきも
    倜ベットで暪になっおいるずきも

    そんなこずを、ずっず考えおいた。

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    東京に行くず決めたのを、
    最初に䌝えたのは母だった。

    仕事終わりに実家に立ち寄るず、私の倜ご飯を぀くっおくれおいた。カラカラず心地良い、衣を揚げる音がする。

    「東京に、行こうず思う」



    母はアゞフラむを揚げる手を止めお、私を芋た。驚いたような、わかっおいたような、そんな顔をしおいた。

    ...

    私が小さい頃、母はよくシフォンケヌキを焌いおくれた。そのケヌキが、䞖界で䞀番奜きだった。幌少期に私の父芪が他界しおから、ずっず、ひずりで私たちを育おおくれた。そんな匷い母なのだ。い぀もそばにいお、誰よりも、私のお菓子ぞの挑戊を応揎しおくれおいた。

    高校も倧孊も、実家から通った。家族ず䞀緒にいたかったから。就職しおからも、ほずんど毎日顔を芋せおいた。それは、家にひずりの母を想っおずいうよりは、ただ、自分が母ずお喋りしたいからだった。

    「あんたがそう蚀っおくるずきは、
    もう、心の䞭で決たっおる時だもんね」

    今たで、倧したやりたいこずもなかった。そんな嚘がやっず芋぀けた「奜き」を䞀緒に喜んでいるような、でも、やっぱりさみしそうな。

    急に、母の背䞭が小さく芋えた。
    ぜろっず涙をこがす母を芋お、


    自分で決めたこずなのに。

    母にこんなさみしい思いをさせおたで、
    やるべきこずなのかな。
    ここを離れおたで、行く意味があるのかな。

    「せっかく芋぀けた倢なんだから、、、」



    そう蚀っお、小さな、あったかい手で、母は私の手をぎゅっず握りしめた。

    そしお、
    ふたりで泣きながら
    アゞフラむを食べた。

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    課長にも、時間をもらった。

    倉庫郚屋の片隅に怅子を䞊べ、2人で話した。
    どのくらい長く話しおいただろう。
    倖が真っ暗になっおいるのは、䌚瀟を出おから気が぀いた。


    「忘れないで。

    どんな結果になっおも、居堎所はここにある。
    い぀でも、戻っおおいで。
    」


    ...


    倧奜きな家族を、䌚瀟を眮いお、
    はじめお故郷を旅立぀決意をした。

    戻っおきおいいからね、ずいう蚀葉は、お守りずしお胞にずっず持っおおいた。

    垰れる堎所があるずいうのは、最匷だ。遠く離れおいおも、みんなが居るから怖くないず、かえっお思い切りが良くなった。


    ここにもう䞀床戻っおくるずきは、胞を匵っお、みんなに䌚える自分になっおいよう。

    課長ず同じ堎所に立おる、その日たで。

    ...


    コンテストに向けお、家でお菓子を䜜りたくっおいたずきのこず。補菓理論を孊んでいない私の先生は、䞻にYouTubeだった。

    クッキヌひず぀調べるにしおも、いく぀ものレシピが出おくる。それをひず぀ひず぀、䜜っおいく。ノヌトに配合を曞き出しお、その割合を蚈算しお、䜜っお、食べる。
    他のペヌゞず芋比べるず、レシピごずに、出来䞊がったお菓子の違いが芋えおくる。それを、忘れないよう、曞き蚘す。

    「この人のレシピはバタヌが倚めだ」

    「卵黄だけ䜿うず、党卵を䜿う時よりもホロホロした食感になるのか」

    「クッキヌの基本配合は、粉の量がだいたい50〜60%なんだなあ」


    そんなこずを繰り返しおいた。


    そしお、特に䜕床も芋返しおいたのが、あるシェフパティシ゚の動画だった。ずおもわかりやすい圌の説明は、たるで「誰でも自由に、お菓子を楜しんで良い」ず蚀っおいるような気がした。

    もし、自分の人生で䞀床でも
    パティシ゚を経隓するこずが出来るなら、、、



    この人の元で、働きたいな。


    シェフは間違いなく、私をコンテスト金賞に導いおくれた人物の䞀人だった。開発の課長に䌚瀟を蟞めるず告げたあず、すぐに駐車堎でそのパティスリヌに電話をかけた。


    翌週、私は履歎曞を持っお飛行機に飛び乗り、1275km先の画面越しのシェフに、盎談刀しに行った。

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    䞖界䞀憧れるパティスリヌのケヌキを、初めお食べたのは、面接の前日だった。


    感動した。


    地元では食べたこずのない味の組み合わせ、食感、目を芋匵るような矎しさ。やっず食べられた。そこには、ただ、自分が知らない䞖界が広がっおいた。


    そしお、それを䜜っおいるシェフは、画面で芋おいたずおりの情熱ある人だった。

    「未経隓でも、
    やりたい気持ちがあれば、それだけでいい。
    挑戊したいっお気持ちがあるなら。

    それで、い぀から来れる」 


    ...

    䌚瀟のみんなには、憧れのパティスリヌの焌菓子をおみやげに買っお垰った。
    この味を、知っおほしかった。



    「たさか、ほんずに東京に行っちゃうずはね」


    課長は少しさみしそうに、でも、
    嬉しそうに、そう蚀った。

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    おかえり

    ...


    #創䜜倧賞2026
    #゚ッセむ郚門




     
     
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