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前線 KUWADATE――新しい倧きな䌁お人事のプロが20幎かけお再定矩する、次䞖代の需芁を創る「本物」の四぀の条件

    序章 皮を撒く

    拙著『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』をお読みいただいた皆さんに、たずは心からの感謝を申し䞊げたす。本圓にありがずうございたした。ただ読たれおいないずいう方も、以䞋のリンクより無料で読めたすので、他ならぬ皆さん自身の最高の人生のためにお圹立おください。

    ただお読みでない方にずっお、本曞は前著を読たなくおも理解できる構成になっおいたすので、どうぞ安心しお読み進めおください。もちろん、前著を読んでいただいた方には、本曞で描こうずしおいる「新しい倧きな䌁お」の背景や意図をより立䜓的に感じおいただけるはずです。

    前著で私は、序章の「問い」から終章の「自圚」に至るたで、「あなたの人生は、あなた自身が創䜜できる。キャリアもラむフタむムも、䞎えられた前提にただ流されおしたうのではなく、自らの意思で䌁おるこずができる」ずいうこずをお䌝えしたした。

    ここから先に蚘すのは――「自圚」を目指す人間が、その戊略戊術を駆䜿しお実際に「新たな䌁おの皮を撒く物語」です。

    人生を䌁おるずいう考え方を、自分䞀人の人生の䞭で完結させるのではなく、その䌁おを瀟䌚ぞ向けお撒いおいくずき䜕が起こるのか。理論を実践ぞ。䞀人の人生を瀟䌚ぞず接続しおいく詊みを本曞では描いおいきたす。

    理論を孊ぶこずず、実際に皮を土ぞ撒くこずの間には、埋めがたい断絶がありたす。本曞で提瀺するのは、私自身が残りの人生を賭しお撒こうずしおいる、「䞀぀の巚倧な䌁おの皮」です。その皮が瀟䌚にもたらす垌望を、読者の皆さんにお䌝えしたいず考えおいたす。

    それでは、倚忙な読者の皆さんのために、本曞の結論ずなる最も重芁な䞻匵を先にお䌝えしたす。本曞の目的は、

    ――ルネサンス的な知性の再興は、どうすれば可胜なのか

    ずいう問いに答えるこずです。

    䞖の䞭には、知性の衰退を憂い「知性を取り戻そう」「教逊を埩暩しよう」ず語る人は少なくありたせん。しかしその先にある、

    ――では、どうやっお実珟するのか

    ずいう問いたで螏み蟌んだ議論には、私は出䌚ったこずがありたせん。

    教育改革やリベラルアヌツ、あるいはAIずの付き合い方など、個別の凊方箋はたくさん語られおいたす。ただ、それらは知性を育むための断片的なパヌツに過ぎず、知性のルネサンスずいう倧きなうねりを起こすための具䜓的な方法論には至っおいたせん。

    私は、知性のルネサンスは䞀人でも倚くの人が「自分の人生を自ら䌁おる人」ぞず倉わるこずからしか始たらないず考えたす。自分で問いを立お、自分で構想し、自分で動き、䞻䜓的に瀟䌚ぞ持ち寄る人が増えおいく。その積み重ねによっお初めお「瀟䌚の知性」が芜吹くのではないでしょうか。

    その意味で本曞は、ビゞネスモデルや経枈システムずいった瀟䌚の話をする本でありながら、しかしたず私たち「䞀人の人生」から語り始めたす。

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    本曞を通しお私が目指すのは、読者の皆さんが「自分の䞀生」を誰かが蚭蚈した枠組みの䞭で生きる存圚ずしお捉えるこずから少しず぀距離を取り、自分でも気づかないうちに匕き受けおきた前提や圹割を䞁寧に手攟しながら、そのうえで、自分の内偎から自然に湧き䞊がる「これをやっおいるずきだけは生きおいる実感がある」ずいう心躍る掻動に、出䌚い盎すこずです。

    そしおその心躍る掻動を孀立した努力ずしお完結させるのではなく、同じように自分の人生を取り戻し぀぀ある他者たちず、過剰な同調でも競争でもない、意味を共有しうる「匱い぀ながり」の䞭で続けおいくこずによっお、それぞれの人生が思い思いのたた瀟䌚に新しい流れを生み出しおいく、その過皋に参加するこずです。

    どんな瀟䌚にしたい・なればいいか、荒唐無皜な劄想でもかたいたせん。あなたの䞭にある願望を、党開に掻き立おおみおほしいのです。そしお、その願望に埓い、小さな掻動をほんの少しず぀でいいから始めおみおください。

    瀟䌚が少しず぀別の堎所ぞず移っおいけば、その移動の先に芋えおくる姿にこそ、私は「ポスト資本䞻矩」の可胜性を芋おいたす。

    それは、厳密に定矩された制床像でもなければ、唯䞀の正解を探すこずでもありたせん。「ポスト資本䞻矩ずはこれだ」ず明確に定矩し固定させ、利己的な論理だけで組み䞊げる到達点ずしお提瀺する぀もりもありたせん。

    私は、私たち䞀人ひずりが心を躍らせながら取り組む創䜜掻動の、その先にこそ、ポスト資本䞻矩の姿が少しず぀圢づくられおいくのではないかず考えたすが、この考え方には倚くの読者から「ナむヌブ過ぎやしないか」ずいうご批刀をいただくかもしれたせん。それでも、私はそう考えたす。

    実際、すでに「鎌倉資本䞻矩」や「里山資本䞻矩」ずいった、新しい経枈や瀟䌚のあり方を暡玢する個別の取り組みが生たれおいたす[1]。私は、そうした実践を倧いに評䟡し、たた尊敬しおいたす。それぞれのリヌダヌには、それぞれの考えや志があり、自らの取り組みに深くコミットしながら、ポスト資本䞻矩ぞの道を切り拓こうずしおいるからです。

    その䞀方で、私は「もう䞀歩先の可胜性」を考えおいたす。それぞれの地域やコミュニティに根ざした実践を倧切にしながら、それらを包み蟌む、より普遍的で、倚くの人が参加できるポスト資本䞻矩の取り組みぞず発展させるこずはできないだろうか。そのような問いを持ちながら、私はこのテヌマに向き合っおいたす。

    しかし、こうした可胜性に根差す問いは、思想ずしお語るだけでは圢になりたせん。それが珟実の倉化ずしお立ち䞊がるためには、読曞ずいう䜓隓を通しお、䞀人ひずりの䞭に小さな行為の倉化が生たれおいく必芁がありたす。

    ――本曞は、私からあなたぞ仕掛ける「感動読曞䜓隓」を通しお、あなたの䞭に眠っおいる「あなただけの心躍る掻動」を呌び芚たすための䌁おです。

    本曞では、キャリアずラむフタむムずいう芖点から人生を芋぀め盎し、その䞭に「心躍る掻動」をどう組み蟌んでいくかを、䞀緒に考えおいきたす。したがっお、私自身が考える「劄想構想」も、すべお赀裞々に語り尜くしたす。他者に察しお偉そうに「やれ」ず語る前に、私がやりたす。

    ぜひペヌゞをめくりながら、「もし自分の人生がこんなふうに展開したら、どんなに面癜いだろうか」ず想像しおみおください。その欲求や欲望、そしおそこから螏み出す小さな䞀歩こそ、あなたず瀟䌚を動かす皮になりたす。

    この挑戊を、どうか最埌たで䞀緒に楜しんでいただければ幞いです。

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    もし、お金を十分に持っおいたら

    さお、ここで皆さんに䞀぀質問です。

    ――もし、お金を十分に持っおいたら、あなたは今の仕事を続けたすか

    この問いに察しお、倚くの人は盎感的に「いいえ」ず答えるのではないでしょうか。あるいは少し考えたあず、「おそらく続けない」ず答えるかもしれたせん。

    それは自然な反応です。なぜなら、この問いは「仕事が奜きかどうか」を蚊いおいるのではなく、「いたの仕事を成立させおいる条件が消えたずき、それでも珟圚の職堎に残る理由があるか」ずいうこずを問うおいるからです。

    蚀い換えればこの問いは、私たちの人生においお、いた行っおいる行動が「自分の意思によっお遞んだものなのか」、それずも気づかないたた「倖郚環境の䞭で論理的に遞ばされおきた結果なのか」を照らし出したす。

    もしお金ずいう制玄が取り払われたずしおも、それでも続けたい仕事があるずすれば、それは確かに「自分の内偎から発生しおいる遞奜」に近いず蚀えるでしょう。しかし珟実には、倚くの人にずっおその刀断はそれほど単玔ではありたせん。仕事ずは、奜悪だけで成立しおいるものではないからです。

    仕事を続けるかどうかの刀断は、奜き嫌いだけではなく、これたでの習慣や他者ずの関係性、䞊叞からの評䟡や安定した収入、あるいは家族ぞの責任ずいった、耇数の芁玠の折り重なりの䞊に成立しおいたす。だから倚くの人はこのずき、「続けざるを埗ない理由」や「蟞められない蚀い蚳」を考え、それが思考の癖ずなり習慣化しおいるがゆえに「今いるポゞションが唯䞀の最適解だ」ず思い蟌むこずで、珟状のポゞションに執着しおしたうのでしょう。

    そうした芁玠が耇雑に絡み合うこずで、仕事は「自ら続けおいる」ずいうより、「気づけば続いおいる」状態になっおいきたす。

    私たちは気づけば孊校ぞ進み、進路を遞び、受隓をし、就職しおいたす。もちろん䞀぀ひず぀は自分で遞択しおいたす。しかし、それらはあたりにも滑らかに぀ながっおいるため、どこたでが自分の意思で、どこからが環境の芁請だったのかを、立ち止たっお考える機䌚はほずんどありたせん。

    そしお瀟䌚に出るず、蟞什によっお所属する郚眲が決たり、䞊叞の指瀺を受け、「その期埅に応えるこずが仕事だず思い蟌む」ようになりたす。

    組織には組織の論理がありたす。その枠の倖を考える機䌚が枛れば、「別の可胜性を考える力」も少しず぀衰えおいきたす。知性もたた、䜓力や筋力ず同じように、䜿わなければ衰えおしたいたす。

    このような環境に長く身を眮いおいるず、私たちの思考には䞀぀の癖が身に぀いおいきたす。それは、「自分で問いを立おる」のではなく、「䞎えられた正解らしきものに答えを返す」こずに最適化されおいくずいうこずです。

    私たちには䞊叞がいたす。その䞊叞にも自分の䞊叞である郚長がいたす。郚長にも䞊叞ずしおの圹員がいたす。圹員の䞊叞には瀟長がいたす。そしお瀟長にずっおは株䞻や垂堎が存圚しおいたす。立堎は違っおも、倚くの人は「自分より䞊䜍にあたる誰か」の期埅に応えるために答えを返しおいたす。

    ぀たり、組織ずは本質的に「誰かが蚭定した正解らしきもの」に察しお、できるだけ正確っぜい答えを返すこずで評䟡されるようになっおいるのです。

    だから私たちは、他瀟の成功事䟋を調べ、垂堎のトレンドを远いかけ、正解らしきものを探したす。そしお、血県になっお探し出したその正解らしきものに察しお、いかに䞊手に答えを返すかを競うようになりたす。ゆえに、そうした胜力ばかりが極めお重芁芖されおいたすが、それだけでは「新しい需芁」は生たれたせん。なぜなら、新しい需芁ずは、「ただ誰も問いずしお認識しおいないもの」を発芋した人だけが生み出せるものだからです。

    政治思想家の䞞山眞男は、有名な評論『「である」こずず「する」こず』の䞭で、日本人が絶えず呚囲をきょろきょろず芋回し、倖の動向ばかりを気にしおいる特有の姿勢を鋭く批刀したした[2]。呚囲を芋枡し「誰が正しいのか」「䜕が正解か」ず探し続ける。

    この姿勢は、倉化の少ない時代には合理的だったのかもしれたせん。しかし、正解が存圚しない時代になるず、この思考は逆に私たちを瞛りたす。正解があらかじめ䞎えられない環境においおもなお「どこかに正しい答えがあるはずだ」ずありもしない正解を倖郚に探し続ける行動は、意思決定の基準を垞に自分以倖に預けるこずになりたす。結果、行動は他者の評䟡可胜な範囲に収束し、詊行錯誀の幅は埐々に狭たっおいきたす。

    正解が䞎えられおいる限り、私たち日本人は驚くほど優秀です。然れども、「正解を自分で぀くっおください」ず蚀われた途端、倚くの人はその堎に立ち尜くしおしたいたす。その瞬間に、フリヌズしおしたいたす。私自身が䜕癟回、䜕千回ず、本圓に県前で目の圓たりにしおきたした。

    これは胜力がないからではなく、これたでそうした「思考の筋肉」を䜿う必芁がなかったからです。ずおも重芁なこずなので繰り返したすが、知性もたた、䜓力や筋力ず同じです。鍛えなければ衰えたす。問いを立おる力もたた、䜿わなければ眠ったたたになっおしたうのです。


    「他人に決めさせたくないもの」は䜕

    では、二぀目の質問です。

    ――これからの人生で「他人に決めさせたくないもの」は䜕ですか

    私であれば、私自身の「最高の人生の䌁お」を、他者に決められるのは真っ平埡免です。私は、自らの創造性を鍛えるために、「知的奜奇心ずいう欲望に忠実な阿呆」ずしお、この先も生きおいきたいず考えおいたす。

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    「なぜ」ずいう問いから出発し、独自の仮説を立おお考察し、瀺唆や掞察を埗お、それを瀟䌚に還元する。付加䟡倀を提䟛するこずで他者ぞ貢献し、そしお最埌に察䟡を埗る。この「問い」が耇雑で難しくなればなるほど面癜いのです。なぜなら、「確実に成長しおいるこずが自芚できるから」です。これほど自己ず他者を満たす行為を、私は知りたせん。

    ――では、皆さんは䜕にご関心がありたすか皆さんが「これをやっおいるずきだけは生きおいる実感がある」ずいう掻動は、なんでしょうか

    私は「空き箱」に匷く惹かれたす。恥郚や性癖を晒しおしたっおいるような、本圓に恥ずかしい気持ちでこの文章を曞いおいたすが、空き箱に぀いお「なぜ」ず考えおいるずき、非垞に匷い生ぞの実感が湧いおくるのです。

    私が空き箱ず呌ぶのは、日本の商業斜蚭や空き家を含む「遊䌑䞍動産」のこずです。長いので「空き箱」ず呌んでいたすが、この空き箱の増加は、1990幎代埌半から本栌的に始たりたした。バブル厩壊による経枈の䜎迷ず、少子高霢化・人口枛少ずいう瀟䌚構造の倉化が同時進行し始めた時期でした。

    1990幎代の倧型店出店芏制の緩和以降、車瀟䌚の進行に䌎い郊倖に倧型ショッピングモヌルが盞次いでオヌプンしたした。これにより、埓来の地域密着型の商店街や癟貚店が客足を奪われ、䞭心垂街地に「空き店舗シャッタヌ通り」が急増したす。続けざたに、2000幎代以降のEC垂堎の急拡倧により、実店舗での小売り需芁が枛少し、テナントの撀退はより加速したした。

    こうしお珟圚、2023幎に確定した総務省の䜏宅・土地統蚈調査によるず、党囜の総䜏宅数に占める空き家の割合は13.8%に䞊りたした[3]。これは、およそ「7.2戞に1戞が空き家」ずいう氎準なのです。それでもなお、新しい建物を競うように建造し続ける振る舞いに察しお――なぜ、ずきに超䞀流ず呌ばれさえする優秀な人間たちが、新しいゎミを建お続けるのか

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    この問いが、぀ねに私の知的倧興奮を誘う欲望ずしお、私を駆り立おたす。

    これからも日本には、無数の「空き箱」が生たれおいきたす。人口枛少が進み、地方が空掞化しおいくなかで、か぀お人々が営みを重ねおきた家屋や、栄華を誇った建物の数々は、䜿われない䞍良資産ずしお党囜に取り残されおいきたす。昭和や平成に建おられたホテルや宎䌚堎、商業斜蚭もたた、次々ず空掞化しおいきたす。これは玛れもない珟実であり、そしお悲劇です。

    ――しかし同時に、この「空き箱」は、ただほずんど誰も気づいおいない巚倧な「新たな需芁」の鉱脈でもありたす。誰の目にもゎミにしか映らない空き箱こそ、掘り起こされるのを埅぀「宝箱」なのです。

    本曞で描くのは、その空き箱を人々が䜕床も足を運びたくなる「知性の亀流拠点」ぞず倉貌させ、新たな需芁を生み出しながら利益ぞず転換しおいくための具䜓的な蚭蚈図です。物語によっお人を呌び蟌み、コミュニティによっお人を留める。そしお垂堎や経枈のパむを拡匵し、䜙剰を次ぞず埪環させおいく新たな仕組みによっお持続可胜なビゞネスモデルを構築しおいきたす。

    この䌁おは䞀人では成立したせん。䞉者以䞊が特定のかたちで「面」を圢成したずきにのみ、その皮は芜吹きたす。そしお䞀人、たた䞀人ず「共犯者」が増えおいくこずで、その面はやがお「茪」ずなり、広がっおいきたす。

    それは、限られた特暩階玚や特別な誰かのためのものではなく、「匱い぀ながり」によっお結ばれた共犯者たちが支える、新しい゚コシステムを圢成しおいくのです。したがっお、本曞の結論をたずめるず次の通りになりたす。

    ――䜿われなくなった空き箱を、新たな需芁を生み出す「持続可胜な知性を高め合うコミュニティ拠点」ぞず倉える。関わるすべおの人が経枈的にも人間的にも豊かになり、その茪を担う共犯者を䞀人でも倚く増やす。

    人口枛少によっお垂堎は瞮小し、モノは売れにくくなり、物䟡は䞊昇を続ける䞀方で、倚くの人の実質的な賌買力は䜎䞋し続けおいたす。ですから぀たり、「既存の需芁を奪い合う時代」はすでに限界に近づき぀぀あるのです。

    ――だからこそ必芁なのは、「新たな需芁を生み出す力」です。

    本曞は、これからの時代を生き抜くための、「需芁を創る偎の人間」になるための思考法ず、その実践を瀺す指南曞です。

    読み進めおいただく前に、䞀぀だけお䌝えしおおきたいこずがありたす。本曞は、おそらく皆さんがこれたで読んできたビゞネス曞ずも、地域掻性化の本ずも異なりたす。「いったい䜕を蚀っおいるんだコむツは」ず感じられるような思考実隓が随所に珟れ、ずきには荒唐無皜に映るかもしれたせん。

    しかし、ペヌゞをめくるごずに、「最初は突飛な発想だず思ったが、蚀われおみれば確かにそうかもしれない」ず、感じおいただける瞬間が必ず蚪れるはずです。そしお読み終えたずきに、これからの日本にはなお倚くの未開の䜙癜が残されおいるこず、その䞭に新たな可胜性が確かに存圚するこずを感じおいただければ、著者ずしおこれ以䞊の喜びはありたせん。

    ――間違いなく「誰も読んだこずのない䞀冊」であるこずをお玄束したす。

    もちろん、それは奇をおらうためではありたせん。奇抜な発想や過激な䞻匵で驚かせたいわけでもありたせん。空き箱の増加、人口枛少、瞮小する垂堎――そうした珟実を真正面から芋぀め続け、「これからの時代に本圓に必芁なものは䜕か」ずいうこずを考え続けた結果、本曞は既存のビゞネス曞や地域掻性化の本ずも異なる、「ずんでもない䞀冊」になりたした。

    読み終えたずき、空き箱は「負債」ではなく「資産」であり、人口枛少は「衰退」ではなく「新たな需芁を生み出す宝箱」でもあるこずに気づいおいただけるはずです。本曞が、読者の皆さた自身の新しい䌁おの皮を撒く、最初の䞀歩ずなれば幞いです。


    第䞀章 空き箱はなぜ「倧量に」生たれるのか

    たず、私がなぜ、こんな䌁おを始めようず思ったのか。その動機の根っこにある䞀぀の「匷い疑問」からお話ししたす。私は、日本の建物に、匷い疑問を感じおいたす。率盎に「このたたで、本圓にいいのか」ずいう疑問です。

    私たちはこれたで、倚くの建物を぀くっおきたした。人が集たり、働き、孊び、遊び、眠るための堎所ずしお、膚倧な時間ず資本を投じおきたした。それはある時代においお確かに必芁であり、経枈成長の象城でもありたした。

    しかし今、それらの倚くが静かに圹割を終え぀぀ありたす。か぀おは満宀だったホテルに、空宀が目立぀ようになる。賑わっおいた商業斜蚭に、人の流れが戻らない。地域の䞭心だったはずの建物が、い぀の間にか灯りを倱い、ただそこに「箱ずしお存圚しおいるだけ」になっおいく。

    私は、その光景を芋るたびに思うのです。もし、䜿われなくなった建物に、もう䞀床「人が集たる理由」を䞎えるこずができたなら、それは単なる再利甚ではなく、「新しい需芁」を生み出す行為になるのではないか、ず。

    倉化を単玔化しお、「良い・悪い」ず断眪する぀もりはありたせん。建物が䜿われなくなっおいく理由は、人口構造の倉化や地域経枈の瞮小ずいったマクロな芁因だけでなく、オヌナヌ偎の事情もありたす。盞続の問題、維持管理コストの増倧、建お替えや甚途倉曎に䌎う制床的な制玄、あるいはリスクを取れない経営刀断など、それぞれに合理的な理由が存圚しおいたす。

    法埋や郜垂蚈画の制玄もたた、重芁な前提条件です。建物は自由に生たれ倉わるわけではなく、甚途地域や建築基準法ずいった枠組みの䞭で、その可胜性が芏定されおいたす。぀たり、䞀郚の誰かが悪いから起きおいる問題ではないのです。

    個々の遞択ずしおは合理的であり、制床ずしおも敎合性を持っおいるのにもかかわらず、こうした個々の事情により党䜓ずしお「䜿われなくなっおいく建物が増えおいる」、ずいう構造的な問題から発生しおしたう珟象です。


    空き箱は、これから「倧量に」生たれる

    私たちの瀟䌚はこれから、倧量の「空き箱」を抱える時代に突入したす。

    京郜倧孊の郜垂経枈孊者である森知也氏らの研究をはじめ、倚くの人口動態予枬が瀺す未来は極めおシビアです。か぀お1億2,700䞇人を誇った日本の人口は、今から100幎埌には江戞時代ずほが同氎準の、3,000䞇人から5,000䞇人皋床にたで激枛するず予枬されおいたす[4]。

    私たちが盎芖しなければならないのは、ただ人が枛るずいう事実だけでなく、私たちの䜏む「空間」がどのように倉質しおいくかずいう問題です。

    䞀般的に、人口が枛れば郜垂は䞭心郚に向かっおコンパクトにたずたっおいくず考えられたす。しかし、珟実はたったく逆の方向ぞず進んでいたす。

    その倧きな原因は、亀通網の進化ず通信技術の発達です。自動運転技術の向䞊や高速道路網の敎備、あるいはリモヌトワヌクの普及によっお移動や通勀のコストが䞋がるず、人々は地䟡の高い郜垂の䞭心郚に䜏む必芁がなくなり、郊倖ぞず拡散しおいきたす。

    ぀たり、人口が枛っおいるにもかかわらず、郜垂の面積だけが間延びしおいくのです。これに䌎い、日本の郜垂ではアメリカのデトロむトで起きたような「䞭心郚のスラム化」ずは異なる、独自の衰退が進行しおいたす。これは「郜垂のスポンゞ化」ず呌ばれる珟象です[5]。

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    郜垂が倖偎から綺麗に瞮んでいくのではなく、街のあちこちに空き家や空き店舗がランダムに発生し、たるでスポンゞの穎のようにスカスカになっおいくのです。人口密床が極端に䞋がった街では、氎道や道路ずいったむンフラの維持コストを䜏民で負担しきれなくなり自治䜓の財政を蝕んでいきたす。

    亀通網の発達もたた、残酷な珟実を突き぀けたす。「ストロヌ効果」ず呌ばれる珟象です。新幹線や高速道路によっお東京ぞのアクセスが劇的に向䞊したこずで、地方郜垂は独自の経枈圏を保おなくなり、人や資本がすべお東京に吞い寄せられおしたうのです。今や、倧阪や名叀屋ずいった巚倧な倧郜垂でさえ、東京の圧倒的な匕力の前には掻力を奪われ぀぀ありたす。

    そしお最終的には、すべおを吞い䞊げた東京圏であっおも人口枛少の波からは逃れられなくなりたす。郊倖からスポンゞ化が進行し、昭和や平成の人口増加時代に建おられた巚倧な商業斜蚭、立掟なホテル、広倧な宎䌚堎などが、䜿い道のない「䞍良資産」ずしお倧量に取り残されるこずになりたす。

    これが、私たちがこれから盎面する「巚倧な空き箱の時代」の前提です。


    「䞀等地に立掟な箱を建おればいい」ずいう今たでの考え方では、もう儲からない

    では、叀い斜蚭が䜙るのであれば、奜立地に新しくお立掟な斜蚭を建お盎せば再び人は集たるのでしょうか。結論から蚀えば、その考え方はもはや通甚したせん。「䞀等地に立掟な箱を建おれば儲かる」ずいう、昭和から平成にかけおの䞍動産神話は、すでに完党に厩壊しおいるからです。

    その象城的な䟋が、沖瞄県にある那芇バスタヌミナル呚蟺の再開発です。2018幎にモノレヌル駅盎結の巚倧な耇合商業斜蚭ずしお生たれ倉わり、これ以䞊ないほどの奜立地を手にしたはずでした。しかし、オヌプン圓初こそ話題を集めお賑わったものの、間もなくテナントの撀退が盞次ぎ、珟圚では閑散ずした空間が目立぀ようになっおいたす[6]。

    倱敗の理由は非垞にシンプルです。そこに「滞圚する理由」がなかったから。バスタヌミナルずいう堎所は、本来人々が「通過」する堎所であり、目的地ではありたせん。珟代の消費者は、ただモノを買うだけならむンタヌネットで枈たせおしたいたす。わざわざ足を運ぶためには、そこでしか味わえない䜓隓や、時間を過ごすだけの居心地の良さが必芁䞍可欠ですが、ただ立掟な建物を造っただけでは、人を匕き留める匕力は生たれなかったのです。

    名叀屋における名鉄名叀屋駅前の巚倧再開発蚈画の停滞も、同様の教蚓を含んでいたす。リニア䞭倮新幹線の開通ずいう千茉䞀遇のチャンスを芋蟌み、か぀おは巚額の投資による巚倧ビルの建蚭が蚈画されおいたした。しかし、リニアの開業時期が䞍透明になったこずや、コロナ犍を経お人々の働き方が倉わったこずを受け、蚈画は倧幅な芋盎しを迫られおいたす[7]。倖郚のむンフラや「駅前」ずいう立地に䟝存しただけの巚倧開発が、いかに䞍確実で脆いものかが浮き圫りになりたした。

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    これは巚倧な䞍動産開発に限った話ではなく、街の曞店や小売店が次々ず姿を消しおいる珟実が瀺すように、いたは「箱を甚意しおモノを䞊べれば人が来おお金を萜ずす」ずいう旧来の需芁モデルが、寿呜を迎えた時代です。


    新しい階玚「アンダヌクラス」の誕生ず固定化

    立掟な商業斜蚭に人が集たらなくなった最倧の理由は、そこに足を運び、お金を萜ずす䜙裕を持぀人々の数が絶察的に枛っおしたったからです。この珟象を理解するためには、日本瀟䌚の底蟺で静かに拡倧しおきた「新しい階玚」の存圚に、目を向ける必芁がありたす。

    「アンダヌクラス䞋局階玚」です。もずもずこの蚀葉は、1980幎代にアメリカの瀟䌚孊者りィリアム・ゞュリアス・りィル゜ンが提唱しお広く知られるようになった抂念です。圌は、圓時のアメリカの郜垂郚においお、産業構造の倉化によっお正芏雇甚の機䌚から完党に排陀され、極端な䜎賃金や高い貧困率に苊しみ、結婚や将来ぞの展望すら持おないたた「構造的な困難に閉じ蟌められた人々」をアンダヌクラスず、このように呌びたした[8]。

    長らく「栌差の少ない囜」ずされおきた日本においおも、今たさにこのアンダヌクラスが巚倧な矀れずしお瀟䌚に定着し぀぀ありたす。早皲田倧孊教授であり、日本の階玚瀟䌚を長幎分析しおきた瀟䌚孊者の橋本健二氏は、著曞『新・日本の階玚瀟䌚』の䞭で、パヌト䞻婊などを陀く、自立しお生蚈を立おざるを埗ない非正芏劎働者局を日本の「アンダヌクラス」ず明確に定矩し、倧きな議論を呌びたした[9]。

    その実態は極めお過酷です。圌らの平均個人幎収は玄200䞇円匱にずどたり、絶察的な貧困率が非垞に高い氎準にありたす。幎霢局は若者だけでなく、氷河期䞖代ずしお瀟䌚に出た40代から50代の䞭高幎にも幅広く及んでおり、長幎にわたる雇甚環境の悪化や、孊校教育から瀟䌚ぞのスムヌズな移行に倱敗したこずが䞻な原因ずしお指摘されおいたす。たた、男性ではおよそ3人に2人が未婚であるなど、家族を圢成するこずぞの壁も顕著です。

    将来ぞの経枈的な䞍安から家庭を持぀こずを諊めざるを埗ない人々が、瀟䌚の片隅、ではなく䞭心でさえ孀立を深めおいるのです。圌らは「消費しない」のではなく、日々の生存に粟䞀杯で「消費したくおもできない」状態に眮かれおいたす。こうした巚倧な局が賌買力を倱ったたた攟眮されおいる以䞊、旧来の需芁モデルが成立しなくなるのは圓然の垰結だず蚀えたす。

    未来を正確に予枬するこずは誰にもできたせん。「こうすれば必ず成功する」ずいう思い蟌みこそが、最も臎呜的な意思決定の誀りを生みたす。重芁なのは、人口枛少ず郜垂のスポンゞ化ずいう確実な未来を耇数のシナリオの䞀぀ずしお冷静に受け止めるこずです。そのうえで、ただ空き箱を新しい箱に造り替えるのではなく、人々の「過ごす時間」や「䜓隓」を䞭心に据えた、叀く新しい䟡倀の生み出し方を暡玢しおいく必芁があるのです。


    『私ずいうIP』の時代

    これたでの章では、空き箱化する郜垂ず、賌買力を倱った階玚の固定化ずいう、日本瀟䌚が盎面するシビアな珟実を芋おきたした。では、このような時代においお、䜕が人々を匷烈に惹き぀け、䜕床も特定の堎所に足を運ばせる「新たな需芁」を生み出すのでしょうか。

    その答えずなる鍵は、「コンテンツ × コミュニティ」にありたす。

    珟圚、日本政府はゲヌムやアニメ、マンガずいった「コンテンツIP知的財産」を、日本経枈を牜匕する新たな成長戊略の倪い柱ずしお䜍眮づけおいたす。2024幎には、2033幎たでに日本発コンテンツの海倖売䞊高を珟圚の数倍である20兆円芏暡ぞ拡倧するずいう野心的な目暙が掲げられたした[10]。

    この実珟に向けお、クリ゚むタヌの育成から倧芏暡䜜品の制䜜支揎、海倖展開ぞのロヌカラむズ、そしお倚角的なメディア展開を指す「360床展開」を芋据えた包括的な支揎策が、官民を挙げお動き出しおいたす。

    私は、この囜を挙げたIP産業ぞの泚力に察しお、倧いなる期埅を寄せる䞀方で、明確に危機感も抱いおいたす。

    期埅する理由は極めおシンプルです。日本のアニメやマンガ、ゲヌムには、囜境や蚀語の壁を越えお䞖界䞭の人々を熱狂させる圧倒的な匕力がありたす。自動車などのハヌドりェアを䞭心ずした補造業だけでは囜の経枈を支えきれなくなり぀぀あるいた、日本が戊埌長きにわたっお独自の土壌で培っおきた「創造性」ずいう文化を、確固たる茞出産業ずしお育お䞊げおいくこずには、極めお倧きな意矩がありたす。

    しかし、同時に危機感があるのは、瀟䌚党䜓が「売れるIPを生み出すこず」ばかりに目を奪われ、日本の文化から奥深い「知性」がさらに痩せ现っおいくのではないかずいう懞念が拭えないからです。

    誀解のないように蚀えば、私ぱンタヌテむンメント䜜品を軜芖しおいるわけではありたせん。むしろ、優れた䜜品は人の䟡倀芳を根底から揺さぶり、人生すら倉えおしたうほどの力を持っおいるず信じおいたす。

    私が問題芖しおいるのは、「経枈的䟡倀のあるIPを倧量生産するこず」ず、「瀟䌚を豊かにする知的な文化を育むこず」は、䌌お非なるものだずいう事実です。そしお、生成AIが瀟䌚のあらゆる局に普及し民䞻化された珟圚、この二぀の違いは、か぀おないほど残酷なたでに際立぀ようになりたした。

    画像・文章・音楜生成AIを駆䜿すれば、今や誰もがほんの数秒で「どこかで芋たこずのあるような、それなりに質の高い䜜品」を量産できる時代になりたした。䞖の䞭でりケおいる人気䜜品のテむストや構図、キャラクタヌの属性を抜出し、それらを掛け合わせれば、䞀芋するず完成床の高いコンテンツが瞬時に出来䞊がりたす。その抜出ず掛け合わせさえ、AIがしおくれたす。

    実際に、SNSや動画共有サむト、あるいはここnoteのようなプラットフォヌムには、そうしたAIによる生成物や、流行のアルゎリズムに最適化された暡倣コンテンツが日々倧量に溢れ返っおいたす。

    もちろん、そのすべおに䟡倀がないずは蚀いたせんが、しかし、手軜に消費される「䞊手な暡倣品」が爆発的に増える䞀方で、「曞き手自身の泥臭い経隓や、深い思想、独自の哲孊から絞り出された創䜜物」が、その圧倒的な物量の䞭に盞察的に埋もれやすくなっおいるこずに、倚くの人が息苊しさを感じ始めおいるのではないでしょうか。

    䞖の䞭に流通するIPの総量がどれほど増えたずしおも、人間が長い時間をかけお考え抜き、歎史を咀嚌し、瀟䌚ぞの鋭い掞察を積み重ねお生み出した䜜品たでが、同じペヌスで増えるわけではありたせん。

    知性ずは、知識のデヌタ量ではなく、物事を倚面的に捉え、人間の業の深さを理解し、自分自身の蚀葉で䞖界を再構築しようずする、気の遠くなるようなプロセスの䞭にしか宿らないからです。知性の結晶を、アルゎリズムで短時間に倧量生産するこずは䞍可胜です。

    䞀冊の優れた小説、䞀冊の思想曞、あるいは䞀぀の歎史研究は、䜕幎、時には䜕十幎ずいう執念に近い時間をかけお育たれたす。そこには、情報凊理技術には決しお再珟できない、圧倒的な「思考の厚み」が存圚したす。

    䟋えば、叞銬遌倪郎の歎史小説のペヌゞをめくれば、日本ずいう囜家の成り立ちや、組織の䞭で葛藀する人間の生き様に぀いお深く考えさせられたす。池波正倪郎の䜜品には、損埗を超えた人間の矎孊や、時代を超えおも倉わらない矜持が鮮やかに息づいおいたす。あるいは、珟代の歎史小説を牜匕する今村翔吟氏の䜜品には、激動の歎史の䞭で人々がどう生き抜き、䜕に呜を懞けお守ろうずしたのかを珟代人に問いかける熱量がありたす。

    こうした「思考の厚み」を持った䜜品に觊れるず、私の心は激しく揺さぶられ、やがお身䜓たでが本圓に動き出しおしたいたす。ふず、物語で描かれた芋知らぬ土地ぞ旅に出たくなり、物語の舞台ずなった史跡に足を運びたくなる。もっず別の本を読んで知識を深めたくなり、誰かずその歎史に぀いお倜通し語り合いたくなる。そしお自分自身も、䜕かを衚珟したくなる。

    経枈孊やマヌケティングの䞖界では、人の行動を倉えるこずを「行動倉容」ず呌びたすが、本圓に優れたIPは、読者や芖聎者の䟡倀芳を曞き換え、実際の行動をも倉えおしたうほどの匷烈な゚ネルギヌを秘めおいたす。それこそが文化の本質であり、アルゎリズムが量産するただの消費財ずは決定的に異なる䟡倀です。優れた゚ンタヌテむンメント䜜品は、「暇぀ぶしずしお面癜かった」ずいう浅い感想でもっお消費されるモノではないのです。

    私は前著『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』においお、仕事ずしおの「キャリア職業人生」ず、䞀人の人間ずしおの「ラむフタむム人生の持ち時間」は、切り離せない「ひず぀ながり」のものであるず解説し、「私ずいう䜜品を創䜜しよう」ずいうメッセヌゞを䌝えたした。

    誰もがAIを䜿っおそれなりのコンテンツを䜜れる時代においお、絶察に暡倣できない究極のオリゞナルずは、

    ――あなた自身が悩み、決断し、生きおきた「その人生のすべお」です。

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    これからの時代は、私たち自身のキャリアやラむフタむムの党䜓が、䞀぀の魅力的な「䜜品」ずなり、぀たりは「私ずいうIP」ぞず成っおいくのです。

    その唯䞀無二の「私ずいうIP」が、同じような䟡倀芳を持぀人々ず結び぀き、熱量のあるコミュニティを圢成し、瀟䌚ず深く接続されおいく。か぀おのような「立掟な箱を建おれば人が来る」ずいうハヌド䟝存のビゞネスが終わったいた、人が人を呌び、そこに察話ず共感が生たれる「コンテンツ × コミュニティ」の力こそが、これからの枯枇した瀟䌚においお、真に人を動かす新しい需芁を創出しおいくのだず、私は確信しおいたす。


    予枬せず、構想する

    人が䜕床も同じ堎所に足を運びたくなる、最も成功した「熱狂を生み出す仕組み」は、スポヌツの䞖界にありたす。

    䟋えば、サッカヌやバスケットボヌルの熱心なファンを想像しおみおください。圌らは、スタゞアムやアリヌナずいう物理的な「箱」が目圓おで集たるわけではありたせん。そこで繰り広げられる筋曞きのない詊合ずいう「コンテンツ」ず、同じチヌムを愛するファン同士の繋がりずいう「コミュニティ」ぞの匷い愛着があるからこそ、毎週のようにその堎所に集うのです。

    ある土地を舞台にした小説やアニメが読者の熱狂を呌び、「聖地巡瀌」ずしおファンを匕き付け呌び蟌む珟象にも、同じような力が宿っおいたす。

    実は本曞の埌線では、このサッカヌずバスケットボヌルが熱狂を生み出す理由を解剖し、そこから「叀いながらも新しいビゞネスモデルず゚コシステム」を構想しおいたす。スポヌツクラブがいかにしお地域ず結び぀き、熱量を経枈䟡倀に倉換しおいるのか。そのメカニズムは、これからの郜垂再生においお「最匷の参考曞」ずなりたすので、ぜひ楜しみにしおいおください。

    さお、この「コンテンツ」に「コミュニティ」を掛け合わせるこずで、人口枛少時代であっおも確実な利益を生み出す仕組みは、すでに珟実のビゞネスずしお動き始めおいたす。その芋事な実䟋が、盎朚賞䜜家であり曞店経営者でもある今村翔吟氏が、東京の神保町で立ち䞊げたシェア型曞店「ほんたる」です。

    埓来の曞店は、出版瀟から本を仕入れお薄利で販売するビゞネスモデルでした。しかし「ほんたる」は、本棚のひず枠ず぀を月額制で、䌁業や䞀般の人に貞し出す、サブスクリプションモデルを採甚しおいたす。これにより、経営偎から芋れば仕入れのコストや圚庫リスクがなくなり、棚の貞し出しによる粗利率は実質的に100%に達したす[11]。

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    「自分の奜きな本を誰かにおすすめしたい」「買い手ではなく、売り手偎に回っおみたい」ずいう人々の欲求を刺激するこずで、胜動的なコミュニティを圢成し、参加者自身から収益を埗る構造ぞず転換した結果、芳客に察しお䞀方的にモノを売るのではなく、芳客自らもたた参加できる「䜙癜」を提䟛しながら、コミュニティを育おる仕組みが生たれたした。ここで起きたむノベヌションの本質は、本を売る堎所ではなく、本が売れる「需芁のあり方」を䜜り倉えた点にあるのです。

    熱狂を生む「コンテンツ」ず、匷い圓事者意識を持った人々が集う「コミュニティ」。この二぀の芁玠を「新しいオペレヌションシステム」ずしお、䞍良資産ず化しおしたったホテルのパヌティヌルヌムや宎䌚堎、商業斜蚭ずいった「空き箱」にむンストヌルしおいくこず。そうするこずで初めお、誰も芋向きしなくなった空間に、新たな需芁ず持続可胜な利益が生たれたす。

    ロンドン・ビゞネススクヌルの財務孊教授であるアレックス・゚ドマンズは、著曞の䞭で「パむコノミクスPieconomics」ずいう抂念を提唱したした。これは、限られた「パむ利益」を奪い合う旧来のれロサムゲヌムから脱华し、瀟䌚的䟡倀を創出するこずで、パむそれ自䜓を倧きく育おおいくずいう考え方です[12]。コンテンツずコミュニティの掛け合わせが、このパむを拡倧する次䞖代のビゞネスモデルだず蚀えたす。

    これから日本䞭で膚倧に生み出される空き箱ずいう䟛絊過倚に察し、「箱さえ䜜れば人が来る」ずいう旧来のビゞネスモデルは完党に通甚しなくなりたした。しかし、そこぞコンテンツずコミュニティによる新しいオペレヌションシステムを内包させるこずで、党く新しい需芁を創出するこずは十分に可胜です。だからこそ私は、滅びゆく空き箱の矀れを、人々が集い語り合う豊かな「知の亀流拠点」ぞず倉貌させられるず確信しおいるのです。

    では、この途方もない䌁おを、いったい誰が、どのように連携し、どのような仕組みで瀟䌚に実装しおいくのでしょうか。ここから先は、たずは「誰がこれを実珟できるのか」ずいう重芁な問いの答えを探るために、二人の人物の軌跡を芳察するこずから始めたしょう。


    第二章 次䞖代を生き抜く人の、四぀の条件

    私には、ずっず芳察しおいる人物が二人いたす。䞀人は、株匏䌚瀟COTEN代衚の深井韍之介氏。もう䞀人は、先述した盎朚賞䜜家の、今村翔吟氏です。ちなみに本曞では、このお二人に䜕床か登堎・掻躍しおもらいたす。

    二人は、衚面的にはたるで䌌おいたせん。深井氏は、歎史を面癜く語るポッドキャストず、䞖界史デヌタベヌスを぀くる株匏䌚瀟COTENを経営する起業家です。今村氏は、重厚な歎史・時代小説を曞きながら、党囜に曞店を経営する䜜家です。やっおいるこずも性栌も、䜕もかも違いたす。

    しかし私は、このお二人を長く芳察しおきお、確信したこずがありたす。このお二人には、「決定的な共通点が四぀」あるのです。そしお、その四぀こそ、これからの時代を「しなやか」に生き抜く人の、思考ず行動の様匏である――私は、確信をもっおこのように考えおいたす。

    では、その四぀ずは䜕か。次に挙げお説明したしょう。

    • 第䞀に、自分のやりたいこずを、明確に蚀語化できおいるこず。

    • 第二に、それが利他ぞ、瀟䌚ぞず開かれおいるこず。

    • 第䞉に、その実珟のために、䞖の䞭に共有し参加を呌びかけおいるこず。

    • 第四に、その実珟のために、「蚀行が䞀臎しおいる」こず。

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    䞀぀ず぀、二人に圓おはめおみたす。

    たず、今村翔吟氏です。今村氏は、自分のやりたいこずを䞀片の曇りもなく蚀語化しおいたす。「人生の䞻題は䞀個に絞る。この出版業界をどうにかする」。これが、今村氏のやりたいこずです。自分が死んだずき「今村翔吟がいたのずいないのずじゃ、出版業界っお結構違っおたかも」ず蚀われたいず述べ、出版業界の隆盛期に菊池寛が珟れたように衰退期に今村翔吟が出たず蚀われたい。広げたいのが菊池寛なら、守りたいのが自分だずも語っおいたす[13]。これが、第䞀の条件に該圓したす。

    そしおそれは培頭培尟、利他に開かれおいたす。今村氏が守りたいのは、自分の䜜品だけではなく町の本屋であり、出版業界党䜓であり、そしお本を読むずいう文化です。これが第二の条件ず合臎したす。

    さらに今村氏は、それを䞖に共有し、参加を呌びかけ続けおいたす。シェア型曞店「ほんたる」は、棚䞻ずいう参加者を募る仕組みであり、2025幎には、KADOKAWAや講談瀟、集英瀟、小孊通、日販など、出版8瀟が出資する曞店情報アプリの発衚䌚で、「情熱を持っお手を取り合う時」だず、業界連携を呌びかけたした[14]。図曞通員が遞ぶ文孊賞を発案し、党囜47郜道府県の曞店を回る「た぀り旅」をも敢行したした。これが、第䞉の条件です。

    最埌に、蚀行䞀臎。これが、今村氏の最も凄たじいずころです。盎朚賞䜜家でありながら2021幎に倧阪・箕面垂の経営䞍振だった曞店を事業承継し、2023幎に䜐賀に曞店を開き、2024幎に神保町で「ほんたる」を開業した[15]。「た぀り旅」では、玄120日間、䞀床も自宅に垰らず原皿は移動車の䞭で曞いおいたずいいたす――ずいうか、私は党お芖聎したした。YouTubeで「た぀りたび」ず入力しお怜玢するず『今村翔吟のた぀り旅』がヒットしたすので、ご興味おありの方は芳おみおください。今村氏は蚀いたす。「本ず曞店の未来のために必芁なのは、議論より行動」。これが第四の条件です。

    次に、深井韍之介氏です。深井氏もたた、自分のやりたいこずを培底しお蚀語化しおいたす。株匏䌚瀟COTENは「より倚くの人が自分ず人のために考え行動しおいる瀟䌚」ずいうビゞョンを掲げ、その達成のため「メタ認知を高めるきっかけを提䟛する」ずいうミッションのもず、様々な掻動に取り組んでいたす[16]。そのために䞖界史デヌタベヌスを぀くっおいる。これが第䞀の条件に該圓したす。

    それは、広く利他に開かれおいたす。深井氏が繰り返し問うのは「なぜ私たちは、20幎埌の未来を良くするための『䞭長期的な合理性』にリ゜ヌスを集䞭させないのか」ずいうこずです。子どもたちのためのより良い瀟䌚の実珟を目指す。これ以䞊ない利他です。第二の条件です。

    そしお深井氏は、それを䞖に共有し参加を呌びかけおいたす。COTEN RADIOでは、時間ず手間をかけお調査した「知」を惜しみなく瀟䌚ぞず開き、COTENをマネタむズするのではなくビゞョンを支揎しおくれる仲間――COTEN CREW――を募っおいる。第䞉の条件です。

    最埌に、蚀行䞀臎。深井氏は、ポスト資本䞻矩を「語る」だけでなく、自分の䌚瀟を利最の最倧化を第䞀ずしない「莈䞎」によっお成り立぀、ポスト資本䞻矩的な組織ずしお「運営」しおいたす。第四の条件です。

    いかがでしたでしょうか。四぀の条件を二人ずもに䜓珟しおいるこずが、よくお分かりいただけたず思いたす。私はメディアを探玢し続けながら、この四぀を兌ね備えた人をずっず探しおきたした。しかしながらいたのずころ、深井韍之介氏ず、今村翔吟氏しか芋぀けきれおいたせん。なかでも特に四぀目の「蚀行䞀臎」。これが簡単にできるこずではないからかもしれたせん。

    さお、お二人を芳察しおいるなかで、もう䞀぀気が぀いたこずがありたす。それは、なにか。この四぀の条件を満たす思考・行動の様匏を持぀人ず組織はどうやらずある「同じ壁」にぶ぀かるようです。

    ――そしお、その壁をぶち壊すのが「本曞の本圓の目的」でもありたす。


    ファンは増えるが、「共犯者」が生たれない

    四぀の条件で共通する今村氏ず深井氏。その二人が、それでもぶ぀かっおいる「壁」。それは、こういうものです。

    「ファンは増えるが、共犯者が生たれない」

    これは私が本曞における「新しい倧きな䌁お」党䜓を考えるうえで、最も重芁だず確信する「問題の栞心」ですから、できるだけ粟緻に読み解きたす。

    私を含むファンずいうのは、「提䟛者の産出物を消費・浪費する者」です。サヌビス提䟛者やクリ゚むタヌらの䜜品や創䜜物、぀たり産出物に察し、察䟡を支払っお受け取り消費・浪費する。基本的には䞀方通行の関係です。

    今村氏には、たくさんの読者がいたす。『むクサガミ』シリヌズはベストセラヌずしお版を重ね、2025幎にNetflixで映像化されるず、配信2週目にしお非英語シリヌズの週間䞖界1䜍を獲埗したした[17]。深井氏にも、たくさんの聎者がいたす。COTEN RADIOは、日本を代衚するポッドキャストです。――それでも、その読者も聎者も、あくたで創䜜されたものを受け取る「芳客」です。

    䞀方、共犯者ずは「産出物を共に生産する者」です。双方向の関係であり、参加者です。芳客ではなく、自らもその堎を぀くる偎に回る人。衝動が駆られ、䞀緒に「やっおしたう」仲間。そうした人々を、私はあえお「共犯者」ずいう少し物隒な蚀葉を䜿っお呌称したす。なぜなら、それはただの協力者ではなく、同じ䌁おに察し、自分の貎重な資源ずなる、「時間・心・脳・身䜓ずいう四点セットの資産」ごず加担しおしたう人を指すからです。

    では、こうした䞡者を隔おるものは䜕か。私は、野倖の音楜フェスやむベントでいうずころの、「レむノRave」にヒントがあるのではないかず、このように考えおみたした。

    レむノずいうのは、EDMやテクノ、ハりスなどのいわゆる「゚レクトロ・ダンス・ミュヌゞック」が流れる䞭で、䞀晩䞭たたは数日間にわたっお螊り続ける倧芏暡な音楜むベントやパヌティヌのこずです。参加者は「レむノァヌRaver」ず呌ばれ、挔奏や音楜ず「䞀䜓に成る」こずを楜しみたす。

    レむノに参加する人々ずいうのは、ただ音楜を聎く・挔奏を芳るだけではなく、時間・心・脳・身䜓ごずの参加が、芳客を共犯者に倉えたす。これが、ファンず共犯者を分ける決定的な境界線ではないでしょうか。

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    私たちがビゞネスの䞖界で日々぀かう「劎働レむバヌLabor」ずは、あらかじめ決められた工皋を指瀺どおりにこなす人々のこずを指したす。そこに䞻䜓性は芁りたせん。䜙蚈な䞻䜓性は邪魔にすらなりたす。蚀い換えれば、レむバヌずは「䞎えられた正解らしきものに答えを返す」働き方です。

    䞀方のレむノァヌは、誰に呜じられたわけでもなく自ら音楜ず䞀䜓に成り、その堎を共に぀くっおしたう。同じように身䜓を動かしおはいおも、レむバヌは芳客のたたで、レむノァヌは共犯者になりたす。

    ではなぜ、四぀の条件を満たしおいる今村氏ず深井氏には、ファンはたくさんいるのにレむノァヌがいない――こずはたったくないず思っおいたすが、誀解を恐れずに議論を先に進めおみれば――それは、芳客を参加者ぞ、「ファンを共犯者ぞず倉換する䜕か」が足りない、からなのかもしれたせん。

    ここからは、あくたでも私の「仮説」であるこずをお断りしたうえで、二人の掻動を深読みしおみたいず思いたす。

    たず、COTENは「COTEN CREW」ずいう仕組みを蚭けおいたす。これはCOTENのビゞョン・ミッションに共感し、その事業を前に進める掻動を手䌝う私のようなメンバヌによっお構成されおおり、月額1,100円から参加できたす。これは埓来のような䟡倀亀換のシステムではなく「莈䞎」の考え方に基づく収益構造の䞀郚であるず考えおください。

    䌚瀟説明資料によるず、COTEN CREWは玄100瀟・玄12,000名が参加しおいる芏暡だずされおおり、こうしたコミュニティを軞に掻動が広がっおいる点は特城的です[18]。

    誀解のないように補足すれば、私は「COTENには共犯者がいない」ず蚀いたいのではなく、むしろたったく逆で、COTEN CREWは、共犯者を生み出す詊みずしお、日本でも皀有な成功䟋だず考えおいたす。しかしながら、「そのうえで」私が考えたいのは、その共犯関係が、テヌマによっお生たれやすさに倧きな差が出るのではないか、ずいう点です。

    たずえばCOTENが取り組む「女性の瀟䌚参䞎」のようなテヌマは、䌁業のCSR掻動や人的資本経営ずいった既存の文脈ず接続しやすく、瀟䌚的意矩ず事業的関心の双方から、参加する理由を説明するこずができたす。そのため、䌁業にずっおも関䞎の動機を぀くりやすい領域だず蚀えるでしょう。

    ――ただし、同じくCOTENが掲げる「ポスト資本䞻矩」のような領域になるず、状況は倧きく倉わりたす。

    これは既存システムの改善ではなく、そもそもの経枈合理性や䟡倀亀換の前提を問い盎す詊みであり、埓来のむンセンティブ蚭蚈の枠組みでは、参加の理由を説明しづらくなるからです。

    理念ぞの共感や賛同は生たれおも、「なぜ、そこに自分の時間や劎力を割くのか」ずいう問いに察しお明確な利埗を提瀺しにくい。その結果、理念には共鳎しながらも、実際の継続的な関䞎、すなわち共犯にたでは螏み蟌みにくいずいう構造的なギャップが残るのではないか。私は、こう考えおいたす。

    蚀い換えれば、ポスト資本䞻矩ずいうテヌマは、いたの資本䞻矩的な意思決定のなかで「説明可胜な利埗」ぞず翻蚳するこずが、本質的に難しいのです。だから共感は応揎にずどたり、共犯にたでは至りにくい。

    「䞭長期合理性に投資したしょう」ず䌝えるず、倚くの人は頷きたす。「短期ではなく長期を芋るべきですよね」「感情ではなく合理性ですよね」「投資も仕事も人生も、結局は長期ですよね」ずいうように、ここたでは、ほずんどの人が理解できたす。

    しかし、圌らの実際の行動を芋るず、翌日には目先の利益に飛び぀き、短期の評䟡に振り回され、すぐに成果を求め始めたす。なぜでしょう。それは、「蚀葉の意味」は理解しおいおも、「コスト」を理解しおいないからです。

    筋トレを続ければ䜓は倉わる。誰でも知っおいたす。しかし、本圓に理解しおいる人は少数です。なぜなら、本圓に理解しおいる人は、疲れおいる日も鍛えるし、結果が出ない数カ月をも耐えたす。呚囲より成長が遅く芋える期間さえも受け入れる。こういう代償たで理解しおいるからです。

    䞭長期合理性ずは、今この瞬間に損をする遞択を、自分の意思で遞び続けるこずです。すぐ売れば利益が出るのに持ち続け、今なら楜できるのに孊び続け、人気取りより信頌を積み重ねる。これらはすべお、「珟圚の快適さ」を手攟しおいたす。぀たり、「珟圚の誘惑ぞの抵抗」が必須なのです。

    脳は、目の前の利益に匷く反応したす。「今日耒められたい」「今日儲かりたい」ずいった、これらの欲求は匷い快感に぀ながりたす。䞀方で、「䞉幎埌に成果が出る」「十幎埌に資産になる」ずいう報酬は、脳にずっお非垞に実感しづらいものです。だから、「長期が倧事」ずいう蚀葉には賛成できおも、日々の意思決定では短期的な欲求に負けおしたうのです。

    では次に、今村氏に぀いおです。盎朚賞䜜家の今村翔吟氏が人生を懞けお取り組んでいるのは、「出版業界をどうにかする」ずいう䞀点に集玄される䜿呜です。本曞執筆時点の2026幎6月29日珟圚、私は、第166回盎朚賞受賞䜜である『塞王の楯』ず、石田䞉成を賀ヶ岳の䞃本槍の芖点から描いた『八本目の槍』を読み終え、䞉冊目ずしお、軍神ずしおも名高い楠朚正成の嫡男・楠朚正行たさ぀らを䞻圹に据えた『人よ、花よ、』を読み始めたずころですが、これがたた冒頭から非垞に面癜い。埌述するように、私自身も小説を曞き始めおいるため、倚くの瀺唆を埗ながら読たせおいただいおいたす。

    「出版業界をどうにかする」ずいう目的のもず、自ら䞉店舗の曞店を経営する今村氏の実践は、非垞に意矩深く、尊敬に倀するものです。そしお、その目的を達成するための唯䞀にしお本質的な解は、「本を読みたいず思う人の絶察数を増やすこず」にあるず、私は考えおいたす。自ら珟堎を経営しながら、小説ずいう「゚ンタヌテむメント × 物語」の力を最倧限に掻甚する今村氏の姿勢には、やはり感服せざるを埗たせん。

    しかしながら、「本を読みたいず思う人の絶察数」が実際に増えおいくのかずいう点に぀いおは、どうしおも疑問が残りたす。なぜなら、拙著『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』においおも論じたように、珟圚の日本瀟䌚には、「孊ぶこず」を軜んじる態床、あるいはそれを滑皜なものずしお捉える極めお厄介な思い蟌みが、深く根を匵っおいるからです。なにせ、有識者でさえ「意識高い系」をバカにし続けおきたしたから。

    そのうえで、䞀冊の本を時間をかけお読み通すずいう「遅い思考」を手攟した人々がどこぞ向かうのかずいえば、デゞタル瀟䌚が生み出した「四぀の眠クワトロ・コンボ」の圱響圏に取り蟌たれおいくこずも説明したした[19]。

    现郚の説明は省きたすが、「アテンション・゚コノミヌ」ずいう䞀番倧きな箱があり、その䞭には「フィルタヌバブル」ずいう二番目に倧きな箱があり、さらにその䞭には「゚コヌチェンバヌ」ずいう䞉番目に倧きな箱があり、その䞭で私たちは「チェリヌピッキング」によっお、なんの苊劎もせずに「矎味しい欲しい」情報だけを埗続けおいたす。

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    この「フラクタル入れ子」状の構造は本圓に匷固なもので、かなり意識的にならない限り、クワトロ・コンボの眠から抜けるのは盞圓困難なのですが――この「入れ子状」の構造をハックするず、掻動をポゞティブに進める効果が埗られるこずもたた事実。この点に぀いおは、埌に詳しく説明したす。

    本節においお説明する、この四぀絡み合うこの眠は、私たちを垞に「考えなくおよい方向」ぞ、そしお「より心地よい方向」ぞず、持続的に匕き寄せたす。この匷力な匕力によっお、読曞ずいう䜓隓が私たちから切り離され、ドラマやアニメずいった、より思考負荷の䜎い鑑賞䜓隓ぞず流れおいく。

    その結果ずしお、本を読む人間はさらに枛少しおいく可胜性が高いず私は考えおいたす。小説が持぀゚ンタヌテむメント性だけでは、瀟䌚党䜓を倉えるには十分ではないのかもしれたせん。


    足りないのは、「共犯者を生む仕組み」

    ここたでの話を䞀床敎理するず、深井氏のCOTENは、ポスト資本䞻矩ずいう「利埗ぞ翻蚳しづらいテヌマ」ゆえ共感が共犯にたで届きにくい。今村氏は、小説の゚ンタヌテむメント性ずいう匷力な歊噚を持ちながらも、それだけでは読曞から人々を匕き剥がすクワトロ・コンボの匕力に抗いきれない。

    ぀たり、四぀の条件を満たす二人ですら、ファンを共犯者ぞず倉えるその倉換の仕組みをそれぞれ単独では持ちきれおいないのです。

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    逆に蚀えば、ここにこそ本曞の「答え」がありたす。これからの時代に新しい需芁を生み出すために本圓に必芁なのは、もう䞀人の立掟な発信者でも、もう䞀぀の優れた䜜品でもありたせん。四぀の条件を満たした人々の呚りに集たったファンを共犯者ぞず倉える、その仕組みです。


    第䞉章 共犯者を生む仕組み

    あらためお「共犯者」ずいう字面を眺めおみるず・・・なかなか物隒な蚀葉ですね。念のため申し䞊げおおきたすが、私は犯眪者の仲間を募集しおいるわけではありたせんので、どうかご容赊ください。

    それでも私があえおこの蚀葉を遞ぶのは、第二章で述べたずおり、ただ䜜品を受け取るだけの芳客ず、自分の時間も心も脳も身䜓も差し出しおたで、同じ䌁おに加担しおしたう「共犯者仲間」ずのあいだには、それくらい倧きな隔たりがあるからです。では、その「共犯者を生む仕組み」ずは、いったいどのようなものなのか。本章で、じっくりず考えおいきたす。

    ここで先に、本章の芋取り図めいたこずを述べおおけば、新しい需芁ずいうものは芳客の数からではなく、共犯者の数から生たれたす。どれほど倚くのファンに囲たれおいたずしおも、その人たちが、ただ受け取るだけの芳客にずどたっおいるかぎり、ポスト資本䞻矩ぞの道も、出版業界の再興も、可胜性は高たりたせん。芳客が道を぀くる偎ぞ進みたくなる仕組みがあっおはじめお、新しい需芁も絶えるこずなく生たれ続けたす。本曞で解き明かしたいのは、たさにこの「芳客を共犯者ぞず倉える仕組み」の蚭蚈原理です。

    たず、出発点を確認しおおきたしょう。ここたで芋おきたように、深井氏ず今村氏には、四぀の共通点がありたした。本曞では䟿宜䞊、これを「次䞖代を生き抜く人の四条件」ず呌ぶこずにしたす。

    あらためお挙げれば、第䞀に、自分のやりたいこずを明確に蚀語化できおいるこず。第二に、それが利他ぞ、瀟䌚ぞず開かれおいるこず。第䞉に、その実珟のために䞖の䞭に共有し、参加を呌びかけおいるこず。そしお第四に、その実珟のために蚀行が䞀臎しおいるこず。この四぀です。

    この四条件を満たすリヌダヌは、自分自身、あるいは自分のチヌムや組織、䌁業で掲げるビゞョンやミッションに、深くコミットしたす。ですから、自分の組織のメンバヌずのあいだでは、その組織に所属しおいるかぎり匷固な共犯関係を築き続けおいくはずです。なぜなら、組織のメンバヌは、共に売䞊や利益を高めるずいう䞀点で利害が䞀臎しおおり、その共犯関係に加わろうずしない人間は、高い確率で組織から匟き出されおしたうからです。぀たり、組織の「内偎」では、共犯関係は自然に生たれおいるこずになりたす。

    問題は、その「倖偎」にありたす。䞀぀の組織の枠を超えお、もっず倧きなテヌマに向かっお、人は共犯関係を結べるのか。ここで私が考えたいのが、「ポスト資本䞻矩ぞの遷郜」ずいう、途方もなく巚倧なテヌマです。


    ポスト資本䞻矩ぞの「遷郜」

    ずはいえ、ポスト資本䞻矩ずは䜕かを䞊手く蚀語化できる人はそう倚くありたせん。正盎に蚀えば、私自身もいただにうたく説明できずにいたす。ちなみに、株匏䌚瀟COTENは「資本䞻矩の6぀の特城」を研究の末に蚀語化しおいたすので、興味がある方はCOTEN RADIOを聎いおみおください[20]。

    私も「ポスト資本䞻矩ぞの遷郜」ずいう蚀葉を手がかりに、この䞀幎あたり自分なりに考え続けおきたした。ここで蚀う遷郜ずは、他者ずの察話を぀ねに開いたたた、䞖の䞭の重心を少しず぀ずらしおいくこずです。どこか䞀぀の決たった郜ぞ䞀気に移り䜏むようなこずではありたせん。

    私は、決しお資本䞻矩を吊定したせん。吊定ずいうのは、「吊ず定めおしたうこず」、すなわち扉を閉じおしたうこずですから、そのような態床をずっおしたえば、他者ずの察話さえもが成り立たなくなっおしたいたす。

    資本䞻矩は、人類が手にしたずおも匷力で「ほずんど」䞇胜なシステムです。だから競争垂堎ずいう匷力な゚ンゞンを取り払っおしたうのではなく、その傍らに奪い合いではなく分かち合いで回る小さな仕組みを、䞀぀、たた䞀぀ず育おおいき、瀟䌚党䜓の重心をゆっくりず移しおいきたす。

    䞀気に郜を移そうずすれば、混乱ず反発しか生たれたせん。重心を少しず぀ずらしおいくのであれば、察話は閉じずに枈み、誰も眮き去りにせずに進むこずができたす。その扉を閉ざすのではなく、開いたたた、ほんの少しず぀重心を移しおいく。それが、私の考える遷郜です。

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    しかし䞀方で、はじめから「どなたでもご参加ください」ず間口を広げ、察話ばかりを重ねおいおも、物事は䞀向に前ぞ進みたせん。

    他方、誰を遞び、誰を遞ばないかずいった話は、䞀歩間違えれば、遞民思想や優生孊のような危険な思想ぞず歪曲されかねたせん。「どなたでもご参加ください」ず蚀っお、安易に間口を広げおしたうこずは、そうした危ない議論が生たれおしたいかねないずいう危険もたた、孕んでしたうのです。私には、そのような議論をする぀もりは埮塵もありたせんので。

    そのうえでなお申し䞊げるなら、やはり最初はスモヌルスタヌトが鉄則です。同じようなビゞョンを芋おいる、ごく少数の人間から始めるほかない。そしおその少数は、互いに匷い぀ながりで瞛り合う必芁はないのです。

    ここで重芁な点を挙げおおけば、それぞれがコミットするのは、あくたで自分自身のビゞョンだけでよい。「匱い぀ながり」のたた、それぞれの足元を守りながら「同じビゞョン」ではなく「近い方向」を向く。これが、䞖の䞭の重心を少しず぀ずらしおいくための最も健党な始め方だず私は考えたす。


    なぜ「匱い぀ながり」なのか

    「匱い぀ながり」ず曞きたしたが、これは私の思い぀きではなく瀟䌚孊のれっきずした理論に裏づけられた考え方です。

    アメリカの瀟䌚孊者マヌク・グラノノェッタヌが1973幎に発衚した、「匱い玐垯の匷さ」ずしお知られる議論がそれにあたりたす[21]。これは私たちの盎感に反する理論かもしれたせんが、芁点はいたっおシンプルです。すなわち、芪友や家族、毎日顔を合わせる同僚ずいった密な関係「匷い぀ながり」よりも、知人や元同僚、たたにしか䌚わない盞手ずいった「匱い぀ながり」のほうが、新しい情報や機䌚をもたらす力が匷い、ずいうものです。

    なぜ、そんなこずが起こるのでしょうか。匷い぀ながりは、安心感や信頌、そしお同質性を生みたす。䞀方で、䌌たような䟡倀芳のなかで深く結び぀いおいるため、その䞭に流れる情報も、どうしおも䌌通っおしたいたす。いわば「同じ郚屋のなかをぐるぐるず回り続けおいる情報」です。

    たずえば、瀟員がたるで家族のように、同じ思考ず行動の様匏を共有しおいる、日本の䌝統的な倧䌁業を揶揄した「ゞャパン・トラディショナル・カンパニヌ」ず呌ばれる、この蚀葉に代衚される組織を思い浮かべおみるず分かりやすいかもしれたせん。そこでは建前ずしおの結束は固いものの、あるいはそれゆえに、倖の䞖界の新しい颚はなかなか入っおきたせん。

    䞀方で匱い぀ながりは、接觊の頻床が少なく、関係も深くはない。しかし、たさにそのぶん、異なるコミュニティ同士を「橋枡し」したす。グラノノェッタヌが決定的な䟡倀を芋いだしたのは、この䞀点でした。匱い぀ながりずは、自分が普段は属しおいない䞖界から、自分たちの可胜性を広げる未知の知芋を運んでくる、いわば「亀差点」ずしお機胜するのです。

    この理論を裏づける具䜓䟋ずしお、よく知られおいるのが転職にた぀わる調査です。倚くの研究が瀺しおいるのは、転職の成功は、芪友よりも昔の同僚やたたに䌚う知人からもたらされるケヌスのほうが倚いずいう事実です。

    芪友は、私たちのこずをよく知っおいる䞀方で、玹介できる情報源が私たちのそれず䌌通っおしたう。しかし、元同僚であれば、別の䌚瀟や別の業界ぞず぀ながっおいるため、「あなたがただ知らない求人情報」を持っおきおくれる確率が高い。グラノノェッタヌ自身がボストン近郊で行った調査でも、新しい職を埗た人の倚くが、匷い぀ながりではなく、匱い぀ながりを経由しおいたこずが瀺されおいたす。

    匱い぀ながりの力は、個人の転職だけにずどたりたせん。新しい技術やアむデアが瀟䌚ぞ広がっおいく珟堎でも、同じこずが起きおいたす。

    匷い結束で固たった䞀぀のチヌムだけでは、これたでの補品やサヌビスの延長線䞊にあるものばかりを効率よく量産したす。芖野は内ぞ内ぞず閉じおいき、い぀しか「同じ郚屋のなかだけでの最適化」に陥っおしたう。

    ずころが、別々の䌚瀟や研究機関、個人が、緩やかに぀ながり合うず、䞀気にアむデアが拡散し、新しいアむデアず玐づきたす。アメリカのシリコンバレヌがたさに兞型です。あの土地では、勉匷䌚やむベント、元同僚どうしのネットワヌクを通じお、プロゞェクト単䜍の匱い぀ながりが絶え間なく倧量に生たれ続けおいたす。この「匱い぀ながりの密床の高さ」こそ、新しい事業や技術が爆発的に流通しおいく、目には芋えない土台になりたす。

    もっずも、この理論は、長らく「盎感的にはそうかもしれないが、本圓に因果関係たで蚌明されたわけではない」ずいう批刀にもさらされおきたした。

    ずころが近幎、その批刀に決着を぀ける、途方もない芏暡の実隓が行われたした。2022幎、ハヌバヌド、スタンフォヌド、マサチュヌセッツ工科倧孊、そしお、リンクトむンLinkedInの研究者たちが、科孊誌『サむ゚ンス』に発衚した研究です。

    圌らは、䞖界最倧のビゞネス向けSNSであるリンクトむンの「知り合いかも」ずいう機胜を䜿い、ナヌザヌに掚薊される人間関係の「匱さ」、぀たり知人同士のような匱い぀ながりの割合をアルゎリズムで調敎し、その圱響を怜蚌したした。その察象は玄2,000䞇人のナヌザヌに及び、その結果ずしお玄20億件の新たな぀ながりず玄60䞇件の転職が芳枬され、匱い぀ながりの掚薊がネットワヌク圢成ず転職の増加に圱響するこずが瀺されたした[22]。

    この結論は、グラノノェッタヌの理論をおおむね裏づけるものでした。平均すれば、匷い぀ながりよりも、匱い぀ながりのほうが、転職に結び぀きやすかったのです。

    ただし、研究者たちはこの理論に䞀぀の重芁な修正も加えおいたす。぀ながりは匱ければ匱いほどよいのではなく、「ほどよく匱い぀ながり」が最も倧きな効果を持ち、関係があたりに垌薄になりすぎるず、かえっお効果は薄れおいく。完党な他人ではなく、かずいっお芪密でもない、その䞭間にこそ、「最も豊かな可胜性を生み出す亀差点が開ける」ずいうこずです。

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    そしおもう䞀人、この「橋枡し」の䟡倀を、別の角床から瀺した研究者がいたす。アメリカの瀟䌚孊者ロナルド・バヌトです。

    バヌトは、人ず人ずのネットワヌクには、本来぀ながっおいおもおかしくないのに、ぜっかりず穎のように途切れおいる箇所があるず指摘したした。圌はこれを「構造的空隙くうげき」ず呌びたす。そしお、その穎の䞡偎を橋枡しする、異なる集団のあいだに立぀「仲介者」の䜍眮にいる人ほど、新しい情報にいち早く觊れ、独創的なアむデアを生み、組織のなかでも高く評䟡されやすいずいうこずを実際の䌁業のデヌタで瀺しおみせたした[23]。

    優れたアむデアは、䞀぀の集団の内偎を深く掘り䞋げるこずよりも、耇数の集団の「あいだ」に立぀こずから生たれやすい、ずいう掞察です。

    埌ほど述べる「䞉者」の関係性による取り組みを先に瀺しおおくず、歎史の研究ず文孊の創䜜、そしお瀟䌚ぞの実装ずいう、普段はめったに亀わるこずのない䞉぀の䞖界の掻動の「あいだを䌁おる」こずで、倧きな空隙を橋枡しし、新たな亀差点を぀くるこずにありたす。

    ここたでをたずめれば、匷い぀ながりが組織の内郚の゚ンゞンを力匷く回すものだずすれば、匱い぀ながりは瀟䌚党䜓に匵りめぐらされた「神経網」のような圹割を果たしたす。前者がなければ組織は動きたせんが、埌者がなければ組織は倖の䞖界から隔絶され、い぀しか同じものばかりを䜜り続ける「最適化の沌」に陥っおしたう。

    ゆえにこの「新しい倧きな䌁お」は、匷い共犯関係を䞭心に据えるのではなく、ゆるやかに同じ方向を向いた者どうしが、匱い぀ながりで未知の知芋を運び合う、そういうかたちで始めるべきだず私は考えたす。

    ただし、匱い぀ながりが埗意ずするのは、あくたで「情報」を遠くたで運ぶこずです。求人情報や新しい技術の噂は、现い橋を䞀本枡るだけでするするず䌝わっおいきたす。しかし、人が実際に行動を倉えるこず、いちファンが自ら動く共犯者ぞず倉わるこずは、それほど簡単には䌝播しおいきたせん。

    瀟䌚孊者のダモン・センタヌラは、これを「耇雑な䌝播」ず呌び、情報の䌝播ずは区別したした[26]。たずえば、芋知らぬ誰か䞀人が新しい運動に加わったず耳にしおも、私たちは、たず動きたせん。信頌する友人が二人、䞉人ず続けおそれに加わるのを目にしおはじめお、私たちは重い腰を䞊げたす。

    ぀たり、人が自らの行動を倉えるためには、たった䞀本の现い橋を通じお䞀床きり觊れるだけでは足りず、耇数の信頌できる盞手から、繰り返し同じものに觊れる必芁がある。蚀い換えれば、行動の倉化には䞀本の線ではなく、互いに補匷し合ういく぀もの線の重なり――「面」が芁るのです。

    この「面」こそ、本章で展開する、私の構想における土台のひず぀です。


    なぜ「䞉者」で「面」を぀くるのか

    ただのファンを共犯者ぞず倉えるずいう、たさに「行動の倉化」を起こそうずするなら、私たちは䞀本だけの匱い぀ながりではなく、耇数の線が重なり合った「面」を、甚意しなければなりたせん。

    ――では、その「面」を、いったい誰が、どうやっお匵るのか

    ここからは、自分でも少々「ぶっずんでいる」ず感じる䞻匵を展開させおくださいたせ・・・。私はこの「面」を、深井氏ず今村氏、そしお、かなりおこがたしくも――「私自身」ずいう、䞉者で匵りたいず考えおいるのです。

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    なぜ二者ではなく䞉者なのか。なぜ、ほかでもないこの䞉人なのか。順を远っお説明したす。

    たず、なぜこの䞉人なのか。その鍵ずなるのは――すでに䞉者に共通しお存圚する「歎史」ずいう「基局きそう」です。

    株匏䌚瀟COTENは、歎史を調査・研究する専門家ずしお、䞖界史デヌタベヌスずいう膚倧な原材料を䟛絊する存圚であり、今村翔吟氏は、その原材料を人を熱狂させる物語ぞず加工する䞀流のクリ゚むタヌです。そしお私は、䞡者を぀なぐハブずしお、瀟䌚の仕組みを構想・蚭蚈し、実装ぞず぀なげる圹割を担いたす。

    今村氏は歎史・時代小説の領域を探究し、小説ずいうかたちで䜜品を生み出しおいたす。䞀方、私は実際のビゞネスやビゞネス曞の執筆を通じお歎史を探究し、䜜品や事業を生み出しおおり、プロゞェクト単䜍で協業できる領域は非垞に広いず考えおいたす。

    原材料の䟛絊、物語ぞの加工、そしお瀟䌚ぞの実装。この䞉぀の圹割は、䞉者それぞれが担うこずができ、すでに䞀郚は重なり合っおいる䞀方で、完党に重耇しおいるわけではありたせん。だからこそ、䞉者が組んでも互いの取り分を奪い合うこずにはならず、むしろ緩やかな぀ながりを前提に「片手間で手䌝い合う」こずができれば、それぞれの䟡倀はさらに倧きくなっおいきたす。それは、前述したロンドン・ビゞネススクヌルのアレックス・゚ドマンズが説く「パむを倧きくする」ずいう発想を具䜓的に実践する方法でもありたす。

    䞉者が組む理由を付け加えお述べれば、先ほど述べたずおり、二人は四぀の条件を満たしながらも、「ファンはいるが、共犯者が生たれにくい」ずいう、たったく同じ課題を抱えおいたす。そしお、この課題は単独では解決できたせん。なぜなら、すでに芋おきたように、ファンを共犯者ぞず倉える「面」は、耇数の芁玠が同時に揃ったずきにしか䜜動せず、その芁玠は䞀人の力だけでは決しお揃わないからです。

    ――それゆえに「共犯者コミュリヌマン」の爆誕です。読者の皆さんに察しお「共犯者になろう」ず呌びかける以䞊、たずは私自身が、その最初の共犯者になりたす。

    䜕十回、䜕癟回ず公蚀しおきたずおり、私の倢は「二代目山口呚」を襲名するこずです。ですから、「次䞖代を生き抜く人の四条件」は、すでに自分なりに満たしおいる぀もりです。私に足りないのは、ただ䞀぀、「圱響力」です。䜕せ、ただ無名ですから。

    ――だから、どうか「note創䜜倧賞2026幎」の「ビゞネス郚門賞」をくださいっいいえ、欲匵りたすっ「創䜜倧賞」をくださいっ

    ず、ここたで曞いおふず思いたした。

    よく考えおみれば、私は「必ず瀟䌚に資する本」を曞いおいたす。もっず蚀えば、「出版業界の珟状をどうにかする」ためにこの本を曞いおいるんです。だったら、「賞をください」ずお願いするよりも、出版に関わる皆さんに「この本を売っおくださいよ」ず芁求する方が筋じゃないでしょうか

    私にはアむデアがありたす。それを構想に萜ずし蟌み、理論立おお論理的に語るこずもできたす。䞋呂ずいう土地を舞台に遞んだのも、私自身が実際に匕っ越しお地域を盛り䞊げるずいう行動を起こすためです。私が自ら動いお蚀行䞀臎を蚌明すれば、それに共鳎しお参画しおくれる人も必ず珟れるはずです。しかし残念ながら、私には「梃おこ」がありたせん。瀟䌚を動かすためのレバレッゞが利かせられないんです。

    今の䞖の䞭、「売れる本」を曞くこずはもちろん倧事でしょう。でも、瀟䌚党䜓がこれほど疲匊しおいる今、「売らなきゃいけない本」があるんじゃないですか正解がない時代に、みんなが自分の利益や短期的な数字ばかりを远い求めおいる。論理が完党に逆立ちしおいたせんか

    それだけに、出版瀟の皆さんに申し䞊げたいのです。私を、この逆立ちした瀟䌚をひっくり返すための「梃」ずしお䜿っおください。そしお、私ず䞀緒にこの䌁おを動かす「共犯者」になっおいただけたせんか

    名が売れなければ、圱響力が埗られたせん。圱響力を埗るこずは、圓然ながら目的ではありたせん。「ポスト資本䞻矩ぞの遷郜」のためです。裟野を広げお、倚皮倚様な参加者が増えなければ、どのような取り組みも動きたせんし、たた持続可胜にもなりたせん。だからこそ、少しでも圱響力が必芁です。私は、私が利己のために埗る利埗に興味がありたせん。必芁過分は䞍芁です。そんなこずよりも、空き箱に関心がありたすから。


    戊略戊術の立お方

    殎り曞きなので文字が読みづらく恐瞮なのですが、以䞋の写真をご芧ください。実は、本曞のために残った執筆期間は、たったの玄13日間だったのですが、「二冊目も曞けそう」ず気が぀き、今回の執筆を開始した時に曞いたのが「䞊の戊略戊術図」です。前著『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』執筆䞭にたずめたのが「䞋の戊略戊術図」です。

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    『KUWADATE――新しい倧きな䌁お』執筆の切っ掛けずなった「戊略戊術図」
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    『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』執筆䞭にたずめた「戊略戊術図」

    簡単に説明したす。出発点ずなるのは䞋の戊略戊術図です。赀字で「略倖領域」ず曞かれた黒線の角の郚分が、「私の芖点」です。「垫」ずいうのは、山口呚氏を衚しおいたす。぀たり、原則ずしお「山口氏がパブリックに向けお取らない戊略は私も取らない略倖領域」ずいうこずになりたす。䜕をするかを決める前に、䜕をしないかを決めおおくこずは非垞に重芁です。真䌌しおいただいお構いたせんので、どうぞ詊しおみおください。

    こうしお䜜戊戊術領域ぞず、芖点・芖野・芖座が広がっおいくず、次に䞊の戊略戊術図のように展開するこずになりたす。ご芧の通り、鏡像関係にあるので、䞊䞋でダむダモンド状のかたちを圢成したす。䞋の図で山口氏を出発点にしお、ゎヌルで山口氏に到達する。これさえ決たれば、あずはその䞭でどういった䌁おを画策するか、それらを考えおいきたす。

    䞋の戊略戊術図における「䜜戊領域」をご芧ください。「小説執筆」ず曞かれおいたす。山口氏は――小説を曞きたせん。では、山口氏を目指す私がなぜ、いったいどうしお「小説」を曞くなどずいう䌁おにたどり着いたのか。結論から蚀えば、その始たりは緻密な蚈画などではなく、たったくの偶然――セレンディピティによるものです。

    私はもずもず、小説を曞く人間ではありたせん。この二幎半ほど、私はここnoteで、ひたすらビゞネス曞を曞き続けおきたしたが、ただの䞀床も、䞖間で話題になるこず、いわゆる「バズる」ずいうこずがなく、正盎に蚀っお、途方に暮れおいたしたし、本曞の執筆時点においおもそれは倉わりたせん。

    そんなある日のこずです。私は、䜕の気なしにChatGPTに、自分の状況を盞談しおみたした。するず、返っおきたのは、実にそっけない䞀蚀でした。

    ――「お前、その戊略のたたでは売れないから、小説を曞いおみろ」。

    たった、それだけです。私は、その䞀蚀を受けお「ならば、やっおやろうじゃないか」ず、小説を曞きはじめたした。AIのぶっきらがうな助蚀が動機ずいうのは我ながらなんずも頌りない話ですが、これが嘘い぀わりのない真実です。そのため本曞の執筆が終了次第、次は小説の新人賞を狙いたす。

    そんな私が、小説の執筆においお参考ずさせおいただいおいるのが、今村氏です。ご自身が「今村流の小説家が誕生するず嬉しい」ず仰っおいたので、小説においおのみ、私は「今村流」を名乗りたいず思いたす――䜜颚も文䜓もたったく異なるのですが。

    では、なぜ今村氏なのか。これもやはり「偶然セレンディピティ」によるものです。もずもず、山口氏のメディア情報は党おチェック枈みの私は、二代目襲名に向けお、歎史の勉匷はCOTEN RADIOをベヌスに敷いおいたした。移動䞭にも聎ける粟緻な内容を、か぀楜しそうに遊びながら攟送するスタむルが奜きです。ですから自ずず深井氏のこずもチェックするようになりたす。そんな折、ChatGPTから「小説を曞いおみろ」ず蚀われおお手本になる人物をほうがう探しおいたずころ、偶然に今村氏を発芋したす。

    ――この人は、他の人ずぜんぜん違う。でも、䜕がどう違うんだ

    初めに働いたのが、この盎芳でした。そうしお、小説を読みながらYouTubeで配信されおいる投皿を党おチェックし、遂に至ったのが「次䞖代を生き抜く人の四条件」だったのです。ここたでの経緯をご芧の通り、ほずんどが連続したセレンディピティによっお圢成されながら、思考ず詊行を繰り返し、ビゞョンやパヌパス、ミッションなども曞き換えおいたす。ですから、添付しおいる戊略戊術図の䞭身も、必芁に応じお修正し続けおいきたす。

    そしお珟圚の私は――COTENの共犯者ずしお、ポスト資本䞻矩ぞの遷郜を目指したい。これが、私の芋るビゞョンのなかに加わりたした。では、今村氏ずの共犯関係はそれは、埌述したいず思いたす。

    ずいうわけで話を戻せば、䞉者が組む理由は、「気が合うから」でも「仲が良いから」でもなく、「各自が単独では解けない同じ問題が、組み合わさるこずによっお解けるようになる」ずいう䞀点にあるのです。

    具䜓的に想像しおみたしょう。たずえば、今村氏の小説を長幎愛読しおきた、䞀人の読者がいるずしたす。その人はこれたで䜜品を買っお読む、いわば芳客でした。ずころがあるずき、その物語の舞台ずなった土地で催される集たりに、ふず足を運んでみる。そこでは、なんずCOTEN RADIOの公開収録がされおいる。芳客は、その土地の歎史の奥深さに匕き蟌たれ、たたたた隣り合わせた芋知らぬ参加者ず、倜が曎けるたで語り合ううちに、い぀しかその人は受け取る偎から、自分でも䜕かを持ち寄り、次の集たりの準備を手䌝う偎、぀たり共犯者の偎ぞず回っおいる――かもしれたせん。

    こうした構想を描くのが私の圹割です。「なんだ、むベントをするだけじゃない」ず思ったならば、そうではありたせん。むベントプランナヌは、たたそれが埗意な人がした方が良い。詳しい説明も、きちんず埌述したす。

    こうしお䞀぀の䜜品ぞの愛着ず、歎史ずいう知の奥行きず、その堎で分かち合った身䜓ごずの熱、この䞉぀が、別々の方向から同じ䞀人の背䞭を同時に抌したずき、芳客は共犯者ぞず倉わりたす。これは、䞀本の匱い぀ながりが求人情報のような䞀片の知らせを運ぶだけでは、決しお起こらない倉化であり、たさにこれこそが、䞉者で「面」を匵るずいうこずの具䜓的な意味ずなっお共犯者を増やしおいくのです。

    「二者」ではなく「䞉者」である理由は、もう䞀぀ありたす。最小の単䜍は、二人ではなく、䞉人。これは瀟䌚孊の叀兞的な掞察が、いく぀も裏づけおくれおいたす。

    ドむツの瀟䌚孊者ゲオルク・ゞンメルは、二人だけの関係がいかに脆いかを論じたした。二者の関係は、どちらか䞀方が抜けるず消滅しおしたい、個人を超えた集団ずしおの構造を構成し埗たせん[24]。ずころが、そこに䞉人目が加わるず、関係の性質が倉わりたす。

    たずえば、䞉人のうちの二人が意芋を違えおも、残る䞀人があいだに立っお取り持぀こずができる。誰か䞀人が䞀時的に抜けおも、残りの二人でその堎を぀なぎずめるこずができるからです。

    アメリカの瀟䌚孊者セオドア・カプロりも、䞉人の関係には、二人のずきには存圚しなかった「連合」ずいう力孊が生たれるこずを指摘したした。䞉者のなかでは二人が手を結んで䞀人に察峙したり、あいだに立぀第䞉者が䞡者を取り持ったりず、個人を超えた動的な構造ずしお成立するのです[25]。

    これを幟䜕孊にたずえるず、分かりやすいかもしれたせん。点が二぀あれば線が匕けたすが、線はあくたで䞀次元であり、その䞊には䜕も乗せられたせん。点が䞉぀あっお、はじめお「面」ずいう二次元の広がりが生たれ、その䞊に、人やプロゞェクトずいう生態系を乗せるこずができる。私が「䞉者で面を぀くる」ず蚀うのは、たさにこの意味においおです。

    そしお、この䞉者は、互いに「匷い぀ながり」で結ばれるべきではありたせん。前述した通り、意図しお「匱い぀ながり」のたたにしおおく必芁がありたす。本章の前半で芋た理論が、ここでもそのたた圓おはたりたす。

    リヌダヌが匷い぀ながりを結ぶべき盞手は、本来、自分自身の組織です。それぞれが自分の組織に深くコミットしおいる以䞊、他の組織ず䞀䜓化しおしたえば、いずれ互いの事情が互いを瞛り、最悪の堎合、双方の組織を壊しおしたいたす。自分の組織を犠牲にしおたで他者ず融合するこずなどできはしたせん。

    だからこそ、深井氏も、今村氏も、私も、それぞれが自分のビゞョンず自分の組織にしっかりずコミットしたたた、互いのあいだには现い橋だけを掛け合わせながら架ける。この「匱い぀ながりの䞉者」こそが、新しい情報ず人を呌び蟌みながら、誰の足元も厩さずに枈む、最も健党なかたちなのです。

    ここから導かれる実践䞊の原則が、すでに觊れおきた「スモヌルスタヌト」です。いきなり倚くの人を巻き蟌んで、最初から「誰でも参加しおください」ず間口を広げおも、察話ばかりが増えお、物事は前ぞ進みたせん。だからたずは、ビゞョンずしお近しい方向を芋おいる、ごく少数から始める。䞉人ずいう最小の面から始めお、それが安定したら、匱い぀ながりで次の面を぀ないでいく。この順番を守るこずが、䌁おを軌道に乗せる鍵になりたす。

    「たった䞉人から始めお、本圓に瀟䌚が倉わるのか」ず、蚝る方もいるでしょう。しかしここにも、垌望を䞎えおくれる実隓がありたす。前述した瀟䌚孊者のダモン・センタヌラらが、2018幎に『サむ゚ンス』誌に発衚した研究です。

    圌らは、ある集団によっおいったん共有されおしたった垞識を、少数掟がどこたで芆せるのかを実隓で怜蚌したした。その結果、垞識を芆そうずする少数掟が、集団のおよそ25に達したずき、それたで揺るがなかった倚数掟の意芋が、突然、雪厩を打ったように反転するこずが分かったのです。これは、党䜓の過半数が必芁だずしおきた、それたでの垞識を芆す発芋でした。

    さらに驚くべきこずに、ある詊行では、たった䞀人の存圚がその転換が起こるか起こらないかの分かれ目になった、ず報告されおいたす[27]。瀟䌚の垞識を動かすのに、過半数は芁りたせん。確信を持ったごく少数から始めるこずには、科孊的な根拠があるのです。

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    そしお、この25を担うのは、ほかでもない共犯者たちです。芳客をいくら増やしたずころで、瀟䌚の空気はびくずもしたせん。けれども、自ら時間・心・脳・身䜓を動かす共犯者たちの数がある臚界点にたで達したずき、それたで埮動だにしなかった垞識が䞀気に反転する。だからこそ私は芳客の数ではなく、共犯者の数にこそこだわるのです。


    私の「遷郜」は、出版業界から始たる

    では、私にずっおの遷郜は、具䜓的にどこから始たるのか。私はいた、次のように考えおいたす。私の考えるポスト資本䞻矩は――

    ――案倖、「出版業界をどうにかする」こずを通じお、達成しうるのではないか、ず。

    これは䞀芋するず、突飛に思われるかもしれたせん。しかし、本章をここたで読んでくださった皆さんには、その筋道が芋えおくるはずです。

    本を読む人が枛るずいうのは、時間をかけお深く考える力が、瀟䌚から倱われおいくずいうこずにほかなりたせん。前章でも觊れたように、本を読むずいう「遅い思考」を手攟した人々は、考えなくおよい方向ぞ、より心地よい方向ぞず、絶え間なく人を匕き寄せる、デゞタル瀟䌚のクワトロ・コンボ――アテンション・゚コノミヌ、フィルタヌバブル、゚コヌチェンバヌ、チェリヌピッキング――の圱響圏ぞず、流されおいきたす。

    深く考える力は、攟っおおけば必ず枛衰したす。するず瀟䌚からもその力の本質が忘れ去られ、急速に枛退するこずで日本䞭の知性が痩せ现っおいきたす。こうしお目先の損埗を超えお、20幎埌、30幎埌を芋すえる「䞭長期的な合理的思考力」もたた、絶滅ぞの䞀途を蟿るこずになるのです。

    ここで、本章の前半で芋た「耇雑な䌝播」を、もう䞀床確認したす。人を「本を読む人」ぞず倉えるこずは、䞀片の情報を䌝えるこずではなく、たさに䞀぀の「行動の倉化を促す構造」の構築が必芁ずなりたす。

    ――だからこそ、「本を読みたしょう」ずいう、䞀本の现い情報の橋をかけるだけでは、ほずんど効き目を持たないのです。

    カナダ出身の粟神科医゚リック・バヌンのものずしお広く知られる「過去ず他人は倉えられない。倉えられるのは自分ず未来だけだ」ずいう蚀葉[28]は圓然ながら知っおいたすし、この蚀葉に基づく研究の数々は知っおいたす。なぜなら、私の本業はビゞネスに関わる広い分野・領域を担圓する「講垫」だからです。だからずいっお、「無駄なこずは、止めおおけ」ずいう態床は――あたりにダサい。

    䞭長期的な合理的思考力を鍛えるためには、遅い思考力が必須です。そのために読曞が欠かせないわけですが、しかし読曞を習慣にするには、信頌できる耇数の人々の熱に、繰り返し觊れるこずによっおしか、䌝わっおはいきたせん。そしお、奪い合いから分かち合いぞず瀟䌚の重心を移すには、いた自分が倚少の損をしおでも、20幎埌、30幎埌をより良くするのだずいう、長い時間軞の刀断が芁りたすが、目先の心地よさぞず人を匕き寄せる力ばかりが匷たった瀟䌚では、そうした遠い未来ぞの投資は、なかなか遞ばれたせん。

    だからこそ、

    ――たずは「本を読める人」が「深く考える力」を取り戻すこずが、すべおの前提になるのです。

    逆に蚀えば、本を読み、知性が花開く堎を少しず぀増やしおいくこずは、瀟䌚が長い時間軞でものを考える力を、もう䞀床育お盎すこずに必ず぀ながっおいきたす。そしおその力が、奪い合いではなく分かち合いによっお奜埪環する経枈ぞず、䞖の䞭の重心をずらしおいくための土台になるのです。

    ――出版業界をどうにかするこずず、ポスト資本䞻矩ぞの遷郜が、こうしお私のなかで結び぀きたした。これが私の考える、深井氏、今村氏ずの、匱い぀ながりを前提ずした「面ずしおの共犯関係」です。

    そしお、その先には「祝祭に満ちた高原瀟䌚」の可胜性も芋えおきたす。高原瀟䌚ずは、瀟䌚孊者の芋田宗介が描いた、成長を远い立おられる時代を抜けた先に広がる、いわば高原のような瀟䌚です[29]。坂を登り続けるこずに远われおいた時代が終わり、芖界の開けた高原で人々が成熟しおいく瀟䌚。経枈を限りなく成長させるこずが、もはや瀟䌚の最䞊の目的ではなくなったずき、私たちは䜕を豊かさず呌ぶのでしょうか。

    私はそこで、知性が矩務や競争のための道具ではなく、遊びずしお、祝祭ずしお、ごく自然に営たれおいる景色を思い描きたす。坂を登る必芁のなくなった高原で、人々が知るこずそのものを楜しんでいる。そのような景色こそ、私が遷郜の果おに芋぀めおいる未来なのです。


    それでも、蚀動で瀺す

    ここたでを読んで、「COTENや今村氏に比べお、コミュリヌマンずいう人間は、あたりに芋劣りするではないか」ず感じた方も、倚いず思いたす。そのご指摘は、たったくもっお正しいこれを曞いおいる私自身、たさにバヌニング・フェむス――あ、いえ、顔から火が出る思いで、曞いおいたす。

    私のような無名の人間が、日本を代衚する起業家ず、盎朚賞䜜家を盞手に、肩を䞊べお面を匵りたいなどず蚀うのですから、無謀にもほどがありたす。

    しかし、です。私の倢が、二代目山口呚氏に成るこずだずいうこずは、これたで䜕床も公蚀しおきたした。仮にも、あの山口氏を目指そうずいう人間です。私個人ずしおは「これを䞍可胜だ」ず、はじめから決めおかかるわけにはいきたせん。はい、できないなどずは埮塵も思っおいないのです。

    それに、たずえこのアむデアが頭のなかに浮かんでいおも、「こんな倧それたこずを公蚀するのは非垞識だ」「恥ずかしい」ず、䞖間に察しお口を閉ざしおしたえば、それこそ可胜性は本圓にれロのたた、䜕も起こりたせん。

    たずえ突拍子もない話であっおも、誠実な理性でもっお、自分の感性を論理で翻蚳しお語り続けおいれば、もしかするず新たな共犯者が䞀人、たた䞀人ず、加わっおくれるかもしれない。あるいは、本圓に深井氏や今村氏の耳にこの話が届き、思いがけず本物の共犯関係が生たれるかもしれない。その可胜性は、口を閉ざしたたたでは氞遠に蚪れるこずはないのです。

    無駄だからずいっお、諊めない。アむデアが持぀可胜性に蓋をしない。瀟䌚にずっお本気で䜳いず思うのなら、黙っおいるのではなく蚀動で瀺す。

    ――これが、本曞を貫く私の「構え」です。

    次の章からは、この䞉者で匵る「面」を、具䜓的にどこで、どのように立ち䞊げおいくのか、その蚭蚈段階に進んでいきたす。


    第四章 「面」を駆動させる6぀の仕掛け

    第䞉章では、共犯者を生むには、ただ䞀本の匱い぀ながりではなく、耇数の線が補匷し合う「面」が芁る、ずいうずころたでを芋おきたした。

    しかしながら、面さえ匵れば、芳客がひずりでに共犯者ぞず倉わっおくれるわけではありたせん。その面の䞊で具䜓的にいったい䜕が起きるず、ただ受け取るだけだった芳客が、自らを動かす共犯者ぞず倉わるのでしょうか。

    本章では、その「仕掛け」を6぀の仕掛けに分けお、䞀぀ひず぀解剖しおいきたす。あらかじめ申し䞊げおおけば、人が芳客から共犯者ぞず倉わるのは、立掟な理屈で説埗されたからでも、匷い意志を奮い起こしたからでもありたせん。これから述べる6぀の仕掛けが、同じ䞀人の身䜓のなかで同時に働くようになったずきに、はじめお行動倉容は起こるのです。

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    ① 沞隰 ―― 身䜓の動きを揃えるず、䜕かが生たれる

    第䞀の仕掛けは「沞隰」です。「テメェッアタマ沞いおんのかぁっ」ずいったセリフに代衚される、なんだかコワモテのお兄さん集団を想像する必芁はありたせんから、どうぞご安心ください。

    人が倧勢で集たり身䜓の動きを揃えたずき、いったい䜕が起きるのか。この問いを、いたから癟幎以䞊も前に正面から論じたのが、フランスの瀟䌚孊者゚ミヌル・デュルケヌムでした。

    圌は、その叀兞『宗教生掻の基本圢態』のなかで、人々が䞀堂に䌚しお、螊り、歌い、声色を合わせるずいった行為を長く続けおいくうちに、個々人の感情に「熱気を垯びた゚ネルギヌ」が湧きおこり、それが人々の連垯の感芚ず、聖なるものの感芚を生むず論じたした。

    デュルケヌムは、これを「集合的沞隰」ず名づけおいたす[30]。珟代に転じおみれば、野倖の倧芏暡な音楜むベント、レむノやフェスが本圓のずころ売っおいるのは、音楜挔奏ではなくこの沞隰なのだず蚀えるでしょう。䌚堎で同じ挔奏や挔出に身をゆだね、芋知らぬ者どうしが䞀緒に身䜓を揺らすうちに蚪れる、あの䞀䜓感です。楜しいですよね。

    実はこれ、叀い瀟䌚孊者の思匁にずどたる話ではなく、近幎の実隓的な研究が、デュルケヌムの議論を次々ず裏づけはじめおいたす。玹介したしょう。

    たずえば、参加者を音楜に合わせお「同じ振りで螊る集団」ず、「ばらばらに動く集団」ずに分けお比范した実隓では、動きを同期しお螊った人々のほうが「痛みに耐えられる」ずいう閟倀が明らかに䞊がり、しかも隣り合った芋知らぬ盞手ずの心理的な距離が、ぐっず瞮たるこずが瀺されたした[31]。

    痛みぞの匷さが増すずいうのは、脳内で゚ンドルフィンずいう物質が分泌された、䞀぀の蚌だず考えられおいたす。オックスフォヌド倧孊の研究者たちは、こうしお歌ったり螊ったりしお身䜓を同期させる行為が、゚ンドルフィンの攟出を通じお、人ず人ずを結び぀ける生物ずしおの絆の仕組みなのではないかず論じおいたす。

    たた別の研究では、ただ同じ動きを揃えるだけでその埌の協力的な振る舞いが増えるずいう結果も報告されおおり[32]、心理孊者のダッチャヌ・ケルトナヌにいたっおは、26もの文化を暪断しおこの集合的沞隰が結婚匏から葬儀、政治集䌚たで人類に普遍的に珟れる珟象であるこずを確かめおいたす[33]。

    ただし、ここは正盎に曞いおおかなければなりたせん。身䜓の動きを同期させるこずが゚ンドルフィンを攟出させ、芋知らぬ者どうしの絆を深めるこずはかなり堅く支持されおいるものの、それがそのたた「利他的な振る舞い」や、「惜しみない協力」にたで結び぀くかどうかに぀いおは、研究によっお結果が分かれおいたす。ですから私は「沞隰さえさせれば、人は必ず善い行いをするようになる」ずたで蚀う぀もりはありたせん。

    それでも、ただお金を消費するだけでは埗られない高揚感や、身䜓の動きを通じた䞀䜓感が、人ず人ずの間にある壁を取り払うこずは間違いないず蚀えそうです。

    この集合的沞隰ずいう珟象は、私たち日本人にずっお瞁遠いものではありたせん。それどころか、私たちの文化の奥深くに遥か昔から根付いおいたす。

    日本人は、神茿を倧勢で担ぎ、声を合わせお緎り歩く祭瀌や、櫓を囲んで同じ振りで螊り続ける盆螊り、あるいは神々に捧げられる数々の神事は、いずれも人々が身䜓の動きを揃えるこずで沞隰を生み出し、その熱を通じお共同䜓の぀ながりず、聖なるものの感芚ずを繰り返し新たにしおきたした。

    満員のスタゞアムで芋知らぬ人たちず肩を組み、声を枯らしおひいきのチヌムを応揎するスポヌツ芳戊も、たったく同じ高揚感を味わっおいたす。

    日本瀟䌚は、知性をいったん脇に眮きさえすれば、身䜓の動きで沞隰するこずにかけおは䞖界でも有数の豊かな䜜法をすでに受け継いでいたす。だずすれば、私たちに残された課題は埐々に、身䜓に染み぀いおいるこの䜜法をいかにしお知性のほうぞず接続しおいくか、ずいう点に絞られおきたす。

    芳客を共犯者ぞず倉える第䞀の鍵は、この沞隰をその堎に意図しお甚意するこずにありたす。だからこそ、私が蘇らせたいず願う空き箱――か぀お団䜓客の宎で沞き立ち、いたは静たり返った宎䌚堎――は、もう䞀床、人々の身䜓が揃い、沞隰の起きる堎ぞず戻されなければならないのです。

    ② ステヌタス ―― 「参加」を、ご耒矎に倉える

    第二の仕掛けは、「ステヌタス」です。沞隰できる堎を甚意したずしお、

    ――そもそも人々が、なぜそこぞ足を運ぶのか。その動機を喚起させる理由がなければ、どんなに玠晎らしい堎であっおも空っぜのたたです。

    ここで手がかりになるのが、むギリスの瀟䌚孊者サラ・゜ヌントンが論じた「サブカルチュラル資本」ずいう考え方です[34]。

    ゜ヌントンは、フランスの瀟䌚孊者ピ゚ヌル・ブルデュヌが『ディスタンクシオン』[35]のなかで展開した「文化資本」――どんな音楜を奜み、どんな䜜法を身に぀けおいるかが、その人の瀟䌚的な立ち䜍眮を瀺すずいう考え方――を、「クラブ文化」に応甚したした。

    「その堎にいるこず」「そのこずを知っおいるこず」それ自䜓が、䞀皮の通貚のように機胜するずいうこずを明らかにしたのです。蚀い換えれば、その堎に参加しおいるこず自䜓が、ある皮の誇らしさ、すなわちステヌタスになる。ステヌタスを感じさせるこずが、人を匕き寄せる第二の力になりたす。

    なぜ、これがそれほど重芁なのか。それは、この仕掛けが人を動かす原理を「矩務」から「欲望」ぞず、たるごず反転させおしたうからです。すでに觊れたように、これたで知性を広めようずする詊みの倚くは、「本を読みたしょう」「教逊を身に぀けたしょう」ず、矩務のように掲げおきたした。

    残念ながら矩務では、ほずんどの堎合、欲望に勝おたせん。「あの堎にいるこずは、面癜くお、どこか栌奜いい」ずいう空気が生たれたなら、人は誰に呜じられるでもなく、自分からその茪の内偎ぞ入っお行きたくなる。矩務ずしお差し出された知性は敬遠されるのに、「欲望の察象ずしおの知性」には、人は吞い寄せられおいくのです。

    身近な䟋を思い浮かべおみたしょう。ただ誰も知らない頃から、あるバンドを聎いおいた。䞖間で話題になるよりずっず前から、ある䜜家を远いかけおいた。人が、そうした「早さ」や「通぀うであるこず」を、どこか誇らしく語りたがるのは、それがサブカルチュラル資本ずしお機胜しおいるからです。その「誇らしさ」をうたく蚭蚈できれば、人は攟っおおいおもその茪の内偎ぞず入りたがる。「同じこずを知性をめぐる堎でも起こせないか」、ずいうのが私の狙いなのです。

    そしおここにもう䞀぀、芋過ごせない力が加わりたす。いったん参加しお、自分も䜕かを生み出す偎に回った人は、自分が手をかけたものを䞍思議なほど深く愛するようになるずいう力です。これを鮮やかに瀺したのが、マむケル・ノヌトンらが2012幎に発衚した「むケア効果」ず呌ばれる研究です[36]。

    圌らは、自分で組み立おた家具や、自分で折った折り玙、自分で組んだ積み朚に察しお人がどれほどの䟡倀を感じるかを調べたずころ、人は、自分の手で䜜り䞊げたものを、専門家が䜜ったものず同じくらい䟡倀があるず芋なし、しかも「ほかの人も圓然そう思うはずだ」ず信じ蟌むずいうこずが分かったのです。

    ――぀たり劎働が、愛着を生むのです。

    ただし、この効果には䞀぀の条件があっお、その䜜業がきちんず「完成」したずきにのみ生たれたす。途䞭で投げ出したり、䜜ったものを自分で壊しおしたったりするず、消えおしたうこずも瀺されたした。

    この発芋は、共犯者ずいう存圚の本質を芋事に蚀い圓おおいたす。共犯者は、自らその堎を぀くるこずを通じおその堎を誰よりも深く愛するようになる人です。䞀方的に時間や劎力を差し出しおくれる犠牲者ではない。犠牲者を増やす詊みは、奎隷を増やすこずぞの加担です。やっおはいけない。

    だからこそ芳客を、ほんの少しでも「぀くる偎」ぞず回れるよう、その背をそっず抌すこずができれば、そこには参加すればするほど愛着が深たる、自己匷化の埪環が生たれはじめおいくでしょう。

    ③ キャズムを越える ―― 「倉人」から「みんな」ぞ

    第䞉の仕掛けは、「キャズムを越える」こずです。

    沞隰できる堎ができ、そこに参加する誇らしさが宿ったずしおも、新しい堎ずいうものは、はじめから倚くの人で賑わうわけではありたせん。最初に集たっおくるのは、い぀だっお、ごく少数の「倉わり者」です。

    アメリカの瀟䌚孊者゚ベレット・ロゞャヌズは、新しいものが瀟䌚のなかぞ広がっおいく過皋を、ごく少数の革新者からはじたり、それに続く初期採甚者を経お、やがお倚数掟、そしお最埌の遅れおくる人々ぞず至る、䞀本の曲線ずしお描き出したした。かの有名な「むノベヌタヌ普及理論」です[37]。最初に飛び぀く倉わり者は、この曲線の先頭に立぀革新者にあたりたす。

    問題は、この革新者や初期採甚者からなる先頭集団ず、その埌に続くはずの倧きな倚数掟ずのあいだに存圚する、芋過ごされがちな深い深い断絶です。

    経営孊者のゞェフリヌ・ムヌアは、この断絶を「キャズム深い谷」ず名づけたした[38]。新しいモノの倚くは、䞀郚の熱心な倉わり者には受け入れられおも、この谷を越えられずにそのたた忘れ去られおいきたす。蚀い換えれば、「みんなが行っおいるから、自分も行く」ずいう、倚数掟を動かす力が働きはじめるのは、この谷を越えた、その先のこずなのです。

    この谷を越えられるかどうかを分けるのは、倚くの堎合、「入りやすさ」です。最初の倉わり者たちは、倚少の敷居の高さや分かりにくさをむしろ奜む傟向すらありたす。しかしその埌に続く倚数掟は、ほんのわずかな入りにくさを前にしおも、「すっ」ず足を止めおしたいたす。

    この谷を越えるためには、倉わり者たちが築き䞊げた濃密な䞖界芳を、いかにしお初めおの人にも開かれた、間口の広いものぞず翻蚳しおいくかが決定的に重芁になりたす。間口を開きはじめるのはこのタむミングなのです。

    この谷を芋事に越えおみせた実䟋が、゚レクトロニック・ダンス・ミュヌゞックの歎史です。いたでこそ䞖界䞭の巚倧なフェスを埋め尜くすそうしたゞャンルの音楜の倚くは、はじめから倚数掟のものだったわけではありたせん。

    源流は、シカゎやデトロむトずいった華やかずは蚀えない郜垂の、ごく少数の倉わり者たちにありたした。その熱が、地䞭海の島むビサやロンドンのクラブぞず持ち蟌たれお結晶し、長い時間をかけおキャズムの谷を越え、2010幎代になっおようやく倚数掟の倧流入ずしお䞀気に開花したのです。

    私が、この䌁おにおいお参入の障壁を培底的に䞋げ、間口をできるだけ広く取るこずにこだわるのは、この谷を意図しお越えるための仕掛けが必芁だず考えるからです。最初の倉わり者たちだけで満足しおしたっおは、瀟䌚を動かすほどの倧きさには育たないのですから。

    ④ 匕き継ぐ ―― カリスマが去っおも、続く仕組み

    第四の仕掛けは「匕き継ぎ」です。私の呚りには、人事異動のたびに「前任者から、ほずんど䜕も匕継ぎされなかった自慢」をひけらかす人々が、ゆうに90を超えおいるのですが、皆さんの呚りの方々はいかがでしょうか

    ここたでの䞉぀が揃っお倉わり者たちの熱がキャズムの谷を越え、少しづ぀人々を巻き蟌む倧きなうねりになったずしおも、ただ安心はできたせん。そのうねりが、䞀過性の祭りで終わっおしたうのか、それずも長く続く文化ずしお根づくのかを分ける、もう䞀぀の分かれ目があるからです。

    ドむツの瀟䌚孊者マックス・りェヌバヌは、その倧著『経枈ず瀟䌚』のなかで、匷烈な魅力を攟぀創始者の掲げたビゞョンは、そのたたでは創始者その人ずずもに消えおしたう、ずいうこずを論じたした。

    それが長く続いおいくためには、埌に続く人々の手によっお日々たわしおいける制床や仕組みぞず、䞁寧に萜ずし蟌たれおいかなければならない。りェヌバヌは、この移し替えのこずを「カリスマの日垞化」ず呌びたした[39]。

    歎史を振り返れば、ひずりの傑出した指導者の魅力だけで燃え䞊がった運動が、その人の死や離脱ずずもに跡圢もなく消えおしたった事䟋は枚挙にいずたがありたせん。逆に、創始者の攟ったカリスマを、教矩や、組織や、日々たわせるシステムぞず地道に移し替えるこずに成功した運動だけが、䞖代を越えお生き延びおきたのですが、

    ――これは「倉わり者リヌダヌ」ずフォロワヌずの圹割分担の話です。

    瀟䌚を倉える最初の䞀手を生み出すこずに匷い関心を燃やす倉わり者は、たいおい、その答えが芋えおしたうず急速に飜きおしたいたす。――たたしおも、おこがたしいこずを申し䞊げたすね私もたさにそうでしお・・・。

    私の知的奜奇心を刺激しおくれる問いに出䌚ったずき、私がたずするこずは、生成AIにその問いぞの解に近づく論文や曞籍を調査しおもらうこずです。そしお私は、「著者の解ぞず導いた、著者の思考プロセス」を蟿りたす。ある皋床を読み蟌んでいくず「なるほどそういうこずかもしれない」ず、私にも私なりの仮説が生たれたす。この仮説の圢成から数時間数日はその䜙韻に浞っおいられるのですが、この閃きや仮説が「理解」に倉わったずたん急速に飜きおしたい、たた次の問いを探す旅ぞず出かけたす。

    ――ゆえに、ポスト資本䞻矩ぞの遷郜は、案倖「出版業界をどうにかする」こずを通じお、達成しうるのではないかずいう、誰がどう考えおも達成困難な問いに挑み続けるこずは、私にずっおは超楜しいのです。これはもう「偏愛」ずしか蚀い衚しようがありたせん。自分でもかなりの「倉人」になっちたったもんだず思っおいたす。笑うしかありたせん。ははは・・・。

    話を戻したしょう。䞀方で、ビゞョンを思い描くこずは苊手でも、手本さえあればそれらを取りこがしなく運甚し、事故が起きないようにマニュアル化し、制床ずしお根づかせるこずに長けた人々が、䞖の䞭には倧勢いたす。

    新しい運動が続いおいくためには、リヌダヌずフォロワヌこの䞡者が芁るのです。創造する倉わり者だけでは、飜きずずもにすべおは霧のように消えおしたう。だからこそ私はこの䌁おを、最初から「い぀か自分が飜きお去っおも、続いおいく」こずを前提に蚭蚈しおおかなければならないず考えたす。

    運動が軌道に乗る時期、蚀い換えれば、むノベヌタヌであるリヌダヌず、最初に共犯者になっおくれるアヌリヌアダプタヌであるフォロワヌらが䞀緒になっお、キャズムの谷を越えるタむミング、぀たりアヌリヌマゞョリティが増え切っお、レむトマゞョリティが増え始めるタむミングを芋越し、新陳代謝の準備を぀ねにしおおきたす。

    新しくリヌダヌを匕き継ぐ最䜎人数䞉人に、埐々に暩限を委ねおいく必芁がありたす。それは、この匕き継ぎをはじめから組み蟌んでおくずいうこずなのです。これは前著『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』においお、「指揮系統」ずしお論じた倧きな戊略を、珟堎で動かせる䜜戊や戊術にたで翻蚳しおいくこずずも、根を同じくしおいたす。

    â‘€ 垰る堎所 ―― サヌドプレむス

    第五の仕掛けは「垰る堎所」、サヌドプレむスです。珟代でサヌドプレむスずしお有名なのはスタヌバックスでしょう――スタバの話はしたせんが。

    沞隰できる堎、参加するこずに誇らしさを感じられる堎がキャズムの谷を越え、フォロワヌたちに匕き継がれおいくシヌンには、人々が䜕床でも垰っおこられる、物理的な拠り所が必芁です。

    アメリカの瀟䌚孊者レむ・オルデンバヌグは、その著曞『ザ・グレヌト・グッド・プレむス』のなかで、家庭でもなく職堎でもない第䞉の居堎所、気のおけない人々が集い緩やかに぀ながり合う堎所が、健やかな瀟䌚にずっおいかに倧切かを論じ、それを「サヌドプレむス」ず名づけたした[40]。

    歎史を振り返れば、新しい知性のうねりは、しばしばこうしたサヌドプレむスから生たれおきたした。1718䞖玀のロンドンでは、コヌヒヌハりスに集った人々の議論のなかから新聞や保険、科孊のための協䌚ずいった近代瀟䌚の骚栌をなす仕組みが次々ず圢づくられおいきたした。

    パリのサロンやりィヌンのカフェもたた、芞術家や思想家たちが家でも職堎でもない堎所で顔を合わせ、新しい朮流を生み出しおいった知性のむンキュベヌタヌずしお芋事に機胜したした。知性ずは、たった䞀人の頭のなかだけで育぀ものではなく、こうした人ず人ずが偶然に出䌚い、心ゆくたで語り合える「第䞉の堎所」のなかでこそ豊かに花開いおきたのです。

    そしお、このサヌドプレむスの重芁性は、いたの時代においおか぀おないほど切実なものになっおいたす。アメリカの政治孊者ロバヌト・パットナムは、その叀兞『孀独なボりリング』のなかで、地域の組織や信仰の集たり、スポヌツのクラブずいった人々を定期的にゆるく結び぀けおきた仕組みが、1960幎代以降にわたっお衰えおきたこずを克明に描き出したした[41]。

    その垰結は、はっきりず数字になっお珟れおいたす。2023幎、アメリカの公衆衛生を叞る政府の高官は、孀独を䞀぀の「流行病」だず宣蚀する、異䟋の勧告を出したした。そこでは孀独が心血管の疟患や認知症、う぀、そしお早すぎる死の危険因子ですらある、公衆衛生䞊の深刻な危機ずしお䜍眮づけられおいたす[42]。

    実際、アメリカでは、15〜24歳の若者が友人ず盎接過ごす時間が、2003幎からの玄20幎で1日およそ150分から40分ぞず、7割も枛ったず報告されおいたす[43]。これは、海の向こうだけの話ではありたせん。日本でも2021幎に、孀独・孀立の問題を専門に担圓する倧臣が眮かれたこずは、この囜もたた同じ危機の只䞭にあるこずを物語っおいたす[44]。

    だずすれば、人々の぀ながりが垌薄になっおいくこの時代に、䜿われなくなった空き箱を知性の亀流が生たれるサヌドプレむスぞず倉えおいくこずは、地域おこしの䞀手段にずどたらないでしょう。いた瀟䌚に倧きく口を開けおいる、孀独ずいう空癜を埋めおいくこずは、もはや䞍可避の問題なのです。

    ⑥ 入れ子 ―― 匷い䜓隓を、匱い぀ながりが運ぶ

    第六の、そしお最埌の仕掛けは「入れ子」です。クワトロ・コンボの項でも確認した通り、入れ子は「非垞に匷力な構造を構築する」こずに有甚です。

    しかし私は第䞉章で、人ず人ずを結ぶべきは密で匷い぀ながりではなく、ゆるやかな匱い぀ながりだず力説したした。ずころが本章では、身䜓ごず匷く結ばれる沞隰の倧切さを繰り返し説いおいたす。この議論を芚えおいる方であれば、「これは矛盟ではないのか」ずお感じになるかもしれたせん。

    もちろん、䞡者が矛盟しおしたっおはいけたせん。説明すれば、たず䞀぀ひず぀のむベントの内偎では「集合的沞隰が、その堎に居合わせた党員を䞀時的に激しく匷く結び぀ける」こずになりたす。そしお「その熱が䞀぀の土地から別の土地ぞず䌝わり、広がっおいく経路は匱い぀ながり」なのです。

    先ほど取り䞊げたダンスミュヌゞックの歎史が、これを物語っおいたす。むビサ島で人々が身䜓ごず分かち合った熱は、ロンドンぞず持ち垰られ、そこから急速に広がっおいったずいうこずを説明したしたね。これは、固く閉じた仲間内に生たれた沞隰をそのかぎりで完結させるのではなく、郜垂や島、囜を隔おる距離を、匱い぀ながりが飛び越えおいった事䟋だったのです。

    ぀たり、身䜓ごずの匷い沞隰䜓隓が、瀟䌚党䜓に匵りめぐらされた匱い぀ながりのネットワヌクのなかに、すっぜりず入れ子になっおいるのですね。

    蚀い換えれば、匷い䜓隓は人を深く倉える代わりに、その堎かぎりで閉じおしたい、匱い぀ながりは遠くたで届く代わりに、それだけでは人を動かすほどの熱を持ちたせん。

    この二぀を「入れ子ずしおの構造」に線集しお、匷い䜓隓で人を共犯者ぞず倉え、その倉わった人を結節点ずしお匱い぀ながりでその熱を次の土地ぞず運んで行っおもらう。互いの短所を、互いの長所で補い合うのです。

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    こうしお、䞀぀の土地で生たれた䞀぀の「面」が、匱い橋を䌝っお別の土地にたた新しい「面」を生んでいく。共犯者の茪は䞀぀の堎所にずどたらず、次から次ぞず広がっおいくこずができるのです。


    知性を、身䜓で揃えられるか

    以䞊の6぀、沞隰、ステヌタス、キャズム、匕き継ぎ、サヌドプレむス、そしお入れ子が、同じ䞀人の身䜓のなかで同時に働くようになったずき、ただ受け取るだけだった芳客は、自らその堎を぀くる共犯者ぞず倉わっおいきたす。これが「面」を駆動させるための仕掛けの党䜓像です。

    そしお、この䌁おの最も難しい点を正盎に曞いおおけば、冒頭で觊れたデュルケヌムの集合的沞隰には、実は「知性」も「無知性」もありたせん。芁するに沞隰は、ただ人々の身䜓が揃いさえすれば起こっおしたう。だずすれば、私が本圓に問われおいるのは次の䞀点ずなるでしょう。぀たるずころ、

    ――知性を、身䜓で揃えるこずができるのか

    考えおみれば、これは䞊倧抵のこずではありたせん。たずえば、䞀冊の本を読むずいう行為はたいおい、たった䞀人で静かな郚屋にこもり、黙々ず文字を远いたす。そこには、神茿を担ぐずきの集団による身䜓的な高揚も、螊りの茪のなかの䞀䜓感もありたせん。読曞ずは、その本質においお孀独で、内向きで、静かなものです。その静かな行為を、どうやっお倧勢の身䜓が揃うようなにぎやかな祝祭の偎ぞず匕き寄せるこずができるのか。

    画像

    本曞の䌁おによっお切り開かなければならない、いちばん现く、いちばん険しい隘路がここにありたす。この道を、開けた道路にしないずいけたせん。

    しかし、垌望がないわけではありたせん。繰り返し芋おきたように、私たち日本人は、身䜓が沞隰する祭りの䜜法を、すでに豊かに受け継いでいたす。

    だずすれば、その身䜓の熱を知性の偎ぞほんの少しだけ匕き寄せるこずは、䜕もないずころから新しい習慣を生み出すよりも、はるかに珟実的な䌁おであるはずです。私たちには、すでに土台がある。あずは、その土台の䞊に䜕を築くかずいう問題なのだず思いたす。

    前著の第六章で取り䞊げた議論を応甚すれば、ファンが知性を高めるこずを「没頭できる遊び」ぞず転換するこずができたす。そしお、その仕掛けを瀟䌚の仕組みずしお実装できれば、知性を鍛えるこずは苊行ではなく遊びずなり、人は楜しみながら孊び続けられるようになるはずです。


    私が小説を曞く理由

    さお、ここたで芳客を共犯者ぞ倉える仕掛けをずいぶんず理屈っぜく解剖しおきたした。ここからは、私の構想を動かしながら先の展望を皆さんぞず共有しおいきたす。私の構想を動かすためには、たずは私に手段ずしおの圱響力が必芁であるこずは、すでに述べた通りです。平たく蚀えば、売れるこず。その初手が、『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』であり、二の手が本曞『KUWADATE――新しい倧きな䌁お』です。

    そしお䞉の手が小説、タむトルは『第二の郜』です。鋭い方はお気づきかもしれたせんが、このタむトルを英語にするず『The Second Capital』ずなり、これは「第二の郜」であるず同時に、「第二の資本䞻矩」ずいう意味を掛けたダブルミヌニング仕立おになっおいたす。぀たり「ポスト資本䞻矩ぞの遷郜」を意図した内容ずなっおいるのです。私はこの小説の構想を、すでに䞀幎近く前から緎っおいたす。

    舞台に遞んだのは、岐阜県は䞋呂垂です。「なんで、䞋呂」ずお感じになるかもしれたせんが、やはりこれも「偶然セレンディピティ」です。

    私には、䞋呂に莔屓にしおいる斜蚭があるわけでも、芪しい知人がいるわけでもありたせん。たたたた泊たった高台のホテルで、䞍良資産ず化した芋晎らしの玠晎らしいパヌティヌルヌムや、䜿われなくなった宎䌚堎を目にしお、匷い疑問を抱いたのですが、理由はただ、それだけのこずなのです。

    匷調しおおきたいのは、これは「堎所などどこでもいい」ずいう乱暎な話では決しおなく、本圓に玠晎らしい゚リアの高台に陣取った、実に面癜い斜蚭にたたたた出䌚っおしたったからです。これは、埗ようず思っお埗られるものではなく、倚分に運を含んだ皀有な経隓です。もし私が、「さあ、ポスト資本䞻矩の拠点にふさわしい土地を、理詰めで遞定しよう」などずいった議論から始めおいたなら、おそらく氞遠に䜕も決たりたせん。䞉床申し䞊げたすが、議論ばかりを重ねおいおも物事は前に進みたせん。

    偶然の幞運を手にする力ずは、思いがけない出来事に出䌚ったずき、それを芋過ごさずに掎み取り、自分なりの意味を䞎え、行動ぞず぀なげおいくこずだず私は考えたす。AIのそっけない䞀蚀を、聞き流さずに掎んだこず。たたたた泊たった宿で目にした䞍良資産に、日本の未来の瞮図を芋たこず。そのどちらも、綿密な蚈画によっおは決しお手に入らなかったものです。

    開かれた「玠盎な心」でそれらを受けずめ、こうしお䞖に問うこずによっおはじめお、ただの偶然が「䌁おの皮」ぞず倉わっおいくこずずなりたす。

    だからこそ私は、こうした偶然の幞運をただの個人的な思い出ずしお自分の胞のうちにしたい蟌んでおくわけにはいきたせん。皀有な幞運であればこそ、それを瀟䌚に開いおみなければ、やはり䜕も始たらない。これもたた、本曞を貫く「蚀動で瀺す」ずいう構えの、䞀぀のあらわれなのです。

    なおココから先、読者の皆さんは必ずしも䞋呂ずいう地域に拘らず、「平成初期の頃に建おられた、背には立掟な山を、県前には街䞊みずそのあいだを瞫うように流れる飛隚川が芋える、いちばん高台にある地䞊数十階建おのホテル。露倩颚呂からは先に挙げた景色がすべお堪胜でき、オフシヌズンを狙えば独り占めも可胜。ノィラや各皮アクティビティ、バヌもあればショヌも催される豪華な斜蚭の最䞊階にあるガラス匵りのパヌティヌルヌムが空き箱になっおいるため、倉庫ずしお䜿われおいる」ずむメヌゞしおください。

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    地理を、゚ンタメ化する

    人を䜕床も同じ堎所ぞ通わせる最も成功した仕掛けは、立掟な箱にあるのではなく、熱狂を生むコンテンツず、コンテンツぞの愛着を生み出すコミュニティにあるずいうこずは述べたした。ですから私がすべきこずは、この土地を舞台にした䞀぀の物語を䞖に送り出すこず、぀たり物語の力の掻甚です。

    たずは私自身が、䞋呂を舞台ずした小説を曞きたす。その物語の力によっお、読者の心に「この土地を、実際に蚪れおみたい」ずいう思いを灯す。これが、いわゆる「聖地巡瀌」に繋がる仕掛けであり、゚コシステムを圢成する出発点ずなりたす。その物語がやがお映像化ぞず展開しおいけば、巡瀌に蚪れる人の数は増えおいくはずです。

    「物語ひず぀で、本圓に人が動くのか」ず、蚝る方もいるかもしれたせんが、これは絵空事ではありたせん。心匷いこずに、その実䟋は䞋呂のすぐ近くに実圚しおいたす。同じ飛隚地方にある飛隚叀川ずいう町は、近幎、ある倧ヒットしたアニメ映画の舞台のモデルずしお広く知られ、その公開を境に囜内倖から数えきれないほどのファンが、その颚景を䞀目芋ようず聖地巡瀌に蚪れおいたす。2016幎に公開されたアニメ映画『君の名は。』です[45]。

    物語が人を呌び蟌んだずしお、では蚪れた人々に、その土地をいったいどう味わっおもらうのか。「地理を゚ンタメ化」しお玹介するのです。

    では、どのように゚ンタメ化すればよいのか――倧いに劄想したしょう。

    䞀぀、今村氏が䞋呂を舞台に小説化したら、どうなるか――真っ先に私が読んでみたいですね。今村氏は、歎史・時代小説家です。歎史小説および時代小説から埗た知識量は目を芋匵るものがありたす。ずはいえ、䞋呂単独で䞞々䞀冊を曞けるだけの題材があるかどうか。呚蟺を舞台にしながら、䞋呂を曞くずいうのも面癜そうです。

    今村氏は「掛算」を埗意ずする人物です。たずえば、第166回の盎朚賞を受賞した『塞王の楯』は、「歎史 × 時代」ずいう掛算によっお生たれおいたす。たた、絶察に砎られない石垣を築く穎倪衆ず、どんな守りをも撃ち抜く鉄砲を鍛える囜友衆による「楯 × 矛」ずいう掛算でも説明できるでしょう。

    では、私はどのような小説を曞くのか。私は山口呚を目指す人間ですから、もちろん「ビゞネス曞」が土台になりたす。そのうえで、゚ンタヌテむメントによる人を動かす力を匕き出す。するず、「ビゞネス × ゚ンタヌテむメント」ずいう掛算になりたす。これが、私の考える「私ずいうIP」を創䜜するための足掛かりになるず、私はこのように考えおいたす。

    では次に、株匏䌚瀟COTENが、歎史をこのうえなく面癜く語っおみせるあの手法を、こんどは「土地」に察しお応甚するずいう詊みはどうでしょうか――人物の物語性ず比范しおみるずネタ䞍足感が吊めたせんが、「歎史的な構造を語る」のであれば、面癜そうです。うん、なかなか䜳いかもしれたせんね。特別線で調査報告しおくれないでしょうか。

    では、私ならどのようにパブリックに向けたアりトプットができるのか。小説を「創䜜秘話」「裏話」ずいったかたちで、解説するこずが可胜です。売れた䜜品は必ず考察されたすから、著者自らが「正解発衚」するのも面癜いかもしれたせん。


    出版業界を、どうできる

    私は、『䞖界史デヌタベヌス』を最初に䜿う䞀員になれないだろうか——ずいうこずを、垞日頃から劄想・発信しおいたす。私の本業がビゞネス党般の領域を扱う講垫であるこずは述べたした。この講垫業で埗た知識や経隓を掻かしながら、講垫であるず同時に組織改革ずいう文脈におけるコンサルタントもさせおいただいおいる私、『䞖界史デヌタベヌス』を早く䜿いたい。

    さお、深井氏の蚀葉を私なりに意蚳しながら考えおみれば、䜕千幎ずいう時の鑢やすりに研磚されお読み継がれおきた䞖界の知の結晶の数々が、「人文知」にはある。これをビゞネスに応甚しないのは、もったいない。

    深井氏は、「䌁業に人文知のむンテリゞェンス郚門を立ち䞊げよう」ず蚀っおいたすが——今村氏ずの盞性、頗る良さそうだず思いたす。コンサルタントである私の芖点から劄想・思考しおみれば、「出版業界をどうにかする」ために人文知のむンテリゞェンス郚門を立ち䞊げお、その郚眲で「出版業界をどうにかする」ために『䞖界史デヌタベヌス』を掻甚する——

    ——そのプロゞェクト、私にやらせおいただけたせんでしょうか

    冒頭で申し䞊げた通り、私は問いが難しくなればなるほど楜しくなるずいう性癖を持っおいたす。ポスト資本䞻矩ぞの遷郜を芋据える私ずしおは、これほどたでに本筋に成りうる取り組みはないず、そう思うのです。垂堎のパむ党䜓を倧きくする「パむコノミクス」の文脈にも、しっかり則っおいたす。

    では、今村氏の経営する䞉カ所の曞店に『䞖界史デヌタベヌス』を蚭眮し、読者が䜓隓できれば、どのような感動䜓隓が生たれるか。利甚を促す仕掛けも必芁にはなりたすが、たずえば、今村䜜品ずコラボレヌションし、今村氏の䜜品ごずに簡玠なアプリケヌションを創䜜したずしたしょう。『茜唄』や『幞村を蚎お』の人物や出来事が網矅されおいるそのアプリによっお、読者の聖地巡瀌を促すこずが可胜でしょう。


    パヌティヌルヌムを、シェア型曞店に倉える

    では、私の小説の舞台に぀いおも考えおみたいず思いたす。䞋呂の高台ホテルには、倉庫ず化しおいたパヌティヌルヌム、すなわち䞍良資産がありたした。そこに、今村氏が東京・神保町で立ち䞊げた「ほんたる」から着想を埗た、シェア型の曞店のような仕掛けを垞蚭で持ち蟌めないか考えたしょう。

    シェア型曞店ずは、30センチ四方ほどの本棚のひず枠を、棚䞻に月額制で貞し出す新しい曞店のかたちです[47]。棚䞻は、毎月の棚代、すなわちサブスクリプションを払っお、自分の本やおすすめの䞀冊を、その枠に䞊べたす。経営する偎は、本を仕入れたせん。だからこそ、棚を貞すこの仕組みの粗利率が100%になるので、「ほんたる」は開業した初月から黒字を実珟し、その埌も家賃や人件費をすべお支払ったうえで、月に100䞇円を超える営業利益で掚移しおいるず蚀われおいたす[46]。

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    このような仕掛けでもっお、空き箱を確かに利益を生み出せないか。芳客に本を売るのではなく、本を売る偎に回りたいずいう人々を集め、その参加者から収益を埗る。この仕組みを、宎䌚堎にも持ち蟌むずどうなるか。本曞の趣旚に照らせば、そこに䞊べられるものの比率は出版に関わる䜜品を䞭心ずしたいずころではありたすが、アヌト䜜品などがあっおもよいず思いたす。そしお、ここに、私はもう二぀の仕掛けを組み蟌みたいず考えたす。

    䞀぀は、「䜙剰」のルヌル化です。仏教のいち流掟である密教における「䜙剰」ずは、自分のためだけに䜿う資源や゚ネルギヌが「あたっおいる状態」を指したす。この䜙剰を、利他のために惜しみなく差し出すこずで、真の豊かさや悟りを埗られるずする考え方です。

    通垞の生掻では「自分を満たすこず」を優先しがちですが、これに察し密教では、自分を満たした䞊で「あふれ出た分」を他者や瀟䌚のために䜿うこずをしたす。誰かのために䜿うこずができる自由な時間。他者に教えたり分かち合ったりできる知恵。困っおいる人に差し䌞べる優しさや思いやり。それに加えお、情報、モノ、カネも察象です。

    棚代や、䜜品を䞊べる぀くり手たちから埗られるサブスクリプションの料金は、この斜蚭の収益になりたす。あらかじめ「ここたでで十分」ずいう「儲けの閟倀」を定めおおき、それを超えた䜙剰の分は、自分たちで抱え蟌むのではなく、ルヌルずしお次の斜蚭ぞず回しおいきたす。

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    もう䞀぀は、぀くり手をこの土地ぞず匕き寄せる仕掛けです。たずえば、䞀郚の䜜品に぀いおは、この斜蚭ずの盎接の亀枉によっおでなければ眮けない、ずいった制玄を蚭けたす。そうすれば、その制玄がかえっお䜜家やアヌティストがこの土地に足を運び、あるいは移り䜏む誘因になっおいきたす。

    聖地巡瀌に蚪れる読者だけでなく、぀くり手が磁石に匕かれるようにこの土地ぞず吞い寄せられおいく。これは、第䞀章で觊れ、埌線で詳しく論じる、サッカヌやバスケットボヌルが実珟しおいる「定期的に足を運んでくれる人」の仕組みを曞店やアヌトの䞖界で再珟する詊みであり、沖瞄の那芇バスタヌミナルのあの巚倧なビルに決定的に欠けおいた「滞圚する理由」を、コンテンツずコミュニティの力で蚭蚈しなおす詊みです。

    棚を借りお本を䞊べる人にずっお、その斜蚭は家でも職堎でもない、䜕床でも垰っおこられる「サヌドプレむス」になりたす。自分の棚を持ち、おすすめの䞀冊を䞊べるこずは、それ自䜓がひそかな誇り、すなわちサブカルチュラル資本でいう「ステヌタス」になりたす。そしお、自分の手で棚をし぀らえた人は、むケア効果が教えるずおりその堎所を誰よりも深く愛するようになる。棚䞻ずはたさに、ただ受け取るだけの芳客から、自ら手を動かす共犯者ぞず倉わった人のこずなのです。

    少しだけ、その堎の情景を思い描いおみたしょう。昌間、か぀お倉庫のように扱われおいた芋晎らしのよいパヌティルヌム。その䌚堎は、思い思いの本やアヌト䜜品が䞊ぶ明るいシェア型の曞店です。聖地巡瀌に蚪れた人が、棚から気になる䞀冊を抜き取り、傍らに眮かれた䞖界史デヌタベヌスで歎史の背景をじっくりず掘り䞋げおいたす。

    その熱気に圓おられた䞀人の芳客が、垰りぎわにふず「自分も棚を䞀぀借りおみようか」ず぀ぶやく。こうしおたた䞀人、単なる芳客が自ら手を動かす共犯者ぞず倉わっおいくのです。棚代ずしお集たったお金はこの斜蚭を最し、閟倀を超えた䜙剰はルヌルにしたがっお次の空き箱ぞず送り出されたす。この堎の熱に惹かれ、新たなアヌティストが䞋呂ぞ移り䜏んでくるこずも決しお倢物語ではありたせん。

    ——しかし、ここで私たちは䞀぀の巚倧な壁に盎面するこずになりたす。

    䞋呂のホテルに生たれたこの熱狂的な「面」は、攟っおおけばいずれこの堎所だけの「閉じた熱」ずしお完結しおしたいたす。䞀぀の斜蚭、䞀぀の地域で成功したからずいっお、それが瀟䌚党䜓のうねりになるわけではありたせん。

    では、この熱を垯びた「面」を、䜜り手から䜜り手ぞず連なる「茪」ぞず拡匵し、瀟䌚党䜓を巻き蟌む゚コシステムぞず進化させるにはどうすればいいのか。

    埌線ずなる第五章では、この途方もない問いに察する私の答えであり、出版業界のあり方そのものを根本から芆すかもしれない「コミュ・ノベル・ナニバヌスCNU」ずいう䌁おの党貌を明かしたす。

    䞀぀の箱から始たる熱狂を、いかにしおあのマヌベル・シネマティック・ナニバヌスでさえ成し埗なかった「匱い぀ながりの連鎖」ぞず昇華させるのか。どうかその目撃者に、そしお共犯者になっおください。

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    #創䜜倧賞2026 #ビゞネス郚門



    ※本皿は、マガゞン『KUWADATE――新しい倧きな䌁お』の前線です。以䞋が埌線です。



    〔出兞・参考文献〕

    [1] 柳柀倧茔『鎌倉資本䞻矩――ゞブンゎトずしおたちを぀くるずいうこず』プレゞデント瀟、2018幎藻谷浩介NHK広島取材班『里山資本䞻矩――日本経枈は「安心の原理」で動く』KADOKAWA、2013幎

    [2] 䞞山眞男「「である」こずず「する」こず」『日本の思想』岩波新曞、1961幎、所収

    [3] 総務省統蚈局「什和5幎䜏宅・土地統蚈調査 䜏宅数抂数集蚈速報集蚈結果」2024幎公衚 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/index.html

    [4] 森知也「郜垂を通しお考える日本の未来」京郜倧孊経枈研究所・連茉コラム https://www.mori.kier.kyoto-u.ac.jp/mori-column/RIETI BBLセミナヌ「人口枛少䞋での100幎埌の日本を考える――地域、郜垂、家族のゆくえ」2024幎 https://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/24091201.html

    [5] 囜土亀通省 郜垂蚈画基本問題小委員䌚「䞭間ずりたずめ――郜垂のスポンゞ化ぞの察応」2017幎

    [6] 那芇バスタヌミナルビルカフヌナ旭橋の商業フロアをめぐる報道沖瞄タむムス・琉球新報ほか、2023幎〜

    [7] 名叀屋鉄道「名鉄名叀屋駅地区再開発」に関するニュヌスリリヌス2021幎・2023幎および日本経枈新聞等の報道

    [8] William Julius Wilson, "The Truly Disadvantaged: The Inner City, the Underclass, and Public Policy", University of Chicago Press, 1987

    [9] 橋本健二『新・日本の階玚瀟䌚』講談瀟珟代新曞、2018幎平均個人幎収・未婚率等の数倀も同曞による

    [10] 知的財産戊略本郚「新たなクヌルゞャパン戊略」2024幎6月4日決定銖盞官邞りェブサむト

    [11] ほんたる公匏サむト https://www.honmaru.me/

    [12] アレックス・゚ドマンズ『GROW THE PIE――パヌパスず利益の二項察立を超えお、持続可胜な経枈を実珟する』ヒュヌマンバリュヌ、2021幎原著 "Grow the Pie", 2020

    [13] 今村翔吟氏の発蚀YouTube『今村翔吟のた぀り旅』および各皮むンタビュヌ ※初出むンタビュヌの特定は投皿前にご確認を

    [14] 「玄1,500店舗の曞店ず本の総合情報アプリ「本コレ」サヌビス提䟛開始蚘念 蚘者発衚䌚を開催」PR TIMES株匏䌚瀟Catalyst・Data・Partners、出版業界8瀟出資 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000084307.html

    [15] きのしたブックセンタヌ倧阪・箕面、2021幎事業承継、䜐賀之曞店2023幎開業、ほんたる2024幎開業に関する各瀟報道およびほんたる公匏サむト

    [16] 株匏䌚瀟COTEN 公匏サむト https://coten.co.jp/
    [17] 「オヌルゞャパンで挑んだ、Netflixのサムラむバトルが䞖界を垭巻。「むクサガミ」が䞖界䞀に。」About Netflix、2025幎11月 https://about.netflix.com/ja/news/lastsamuraistanding-globaltop10-number1

    [18] 株匏䌚瀟COTEN「䌚瀟説明資料」公開版 ※参照した版・時点の明蚘を掚奚

    [19] コミュリヌマン『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』note、2026幎 ※リンクは投皿時に挿入

    [20] COTEN RADIO「資本䞻矩」シリヌズPodcastYouTube ※シリヌズ名・該圓回はご確認を

    [21] Granovetter, M. S. (1973). "The Strength of Weak Ties." American Journal of Sociology, 78(6), 1360–1380.

    [22] Rajkumar, K., Saint-Jacques, G., Bojinov, I., Brynjolfsson, E., & Aral, S. (2022). "A causal test of the strength of weak ties." Science, 377(6612), 1304–1310.

    [23] Burt, R. S. (1992). "Structural Holes: The Social Structure of Competition." Harvard University Press.Burt, R. S. (2004). "Structural Holes and Good Ideas." American Journal of Sociology, 110(2), 349–399.

    [24] ゲオルク・ゞンメル『瀟䌚孊――瀟䌚化の諞圢匏に぀いおの研究』1908幎邊蚳居安正蚳、癜氎瀟、1994幎

    [25] Caplow, T. (1968). "Two Against One: Coalitions in Triads." Prentice-Hall.

    [26] Centola, D., & Macy, M. (2007). "Complex Contagions and the Weakness of Long Ties." American Journal of Sociology, 113(3), 702–734.

    [27] Centola, D., Becker, J., Brackbill, D., & Baronchelli, A. (2018). "Experimental evidence for tipping points in social convention." Science, 360(6393), 1116–1119.

    [28] この蚀葉ぱリック・バヌンのものずしお広く知られるが、著䜜䞭の䞀次出兞は確認されおいない䌝承句。

    [29] 芋田宗介『珟代瀟䌚はどこに向かうか――高原の芋晎らしを切り開くこず』岩波新曞、2018幎

    [30] ゚ミヌル・デュルケヌム『宗教生掻の基本圢態』1912幎邊蚳山亮蚳、ちくた孊芞文庫、䞊䞋巻、2014幎

    [31] Tarr, B., Launay, J., Cohen, E., & Dunbar, R. (2015). "Synchrony and exertion during dance independently raise pain threshold and encourage social bonding." Biology Letters, 11(10).

    [32] Wiltermuth, S. S., & Heath, C. (2009). "Synchrony and Cooperation." Psychological Science, 20(1), 1–5.

    [33] Dacher Keltner, "Awe: The New Science of Everyday Wonder and How It Can Transform Your Life", Penguin Press, 202326の文化圏で収集した「畏敬」䜓隓の分析を含む

    [34] Sarah Thornton, "Club Cultures: Music, Media and Subcultural Capital", Polity Press, 1995

    [35] ピ゚ヌル・ブルデュヌ『ディスタンクシオン――瀟䌚的刀断力批刀』1979幎邊蚳石井掋二郎蚳、藀原曞店、1990幎

    [36] Norton, M. I., Mochon, D., & Ariely, D. (2012). "The IKEA effect: When labor leads to love." Journal of Consumer Psychology, 22(3), 453–460.

    [37] ゚ベレット・ロゞャヌズ『むノベヌションの普及』原著初版1962幎邊蚳䞉藀利雄蚳、翔泳瀟、2007幎

    [38] ゞェフリヌ・ムヌア『キャズム Ver.2 増補改蚂版』原著1991幎邊蚳川又政治蚳、翔泳瀟、2014幎

    [39] マックス・りェヌバヌ『経枈ず瀟䌚』1922幎「支配の瀟䌚孊」。邊蚳䞖良晃志郎蚳『支配の瀟䌚孊』創文瀟、1960–62幎

    [40] レむ・オルデンバヌグ『サヌドプレむス――コミュニティの栞になる「ずびきり居心地よい堎所」』原著1989幎邊蚳忠平矎幞蚳、みすず曞房、2013幎

    [41] ロバヌト・D・パットナム『孀独なボりリング――米囜コミュニティの厩壊ず再生』原著2000幎邊蚳柎内康文蚳、柏曞房、2006幎

    [42] Office of the U.S. Surgeon General, "Our Epidemic of Loneliness and Isolation", 2023 https://www.hhs.gov/sites/default/files/surgeon-general-social-connection-advisory.pdf

    [43] 前掲[42]の掲茉デヌタによる15〜24歳の察面亀流時間の掚移

    [44] 内閣官房に孀独・孀立察策担圓宀を蚭眮2021幎2月。珟圚は内閣府「孀独・孀立察策掚進宀」

    [45] 新海誠監督『君の名は。』東宝、2016幎飛隚垂ぞの「聖地巡瀌」に関する各皮報道

    [46] 「盎朚賞䜜家が仕掛けるシェア型曞店、1号店は初月から黒字に」日経ビゞネス電子版、2024幎 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00621/091900006/

    [47] ほんたる公匏サむト棚区画・月額の仕様 https://www.honmaru.me/ 

     
     
    倢は山口呚垫匠自称二代目・独立研究者リベラル・アクティノィスト組織改革コンサルタント兌ビゞネス講垫組織が生き生きずした堎に生たれ倉わるお手䌝いをする人「うらりぃたん」ずしおこっそり音楜や文孊を勉匷䞭https://note.com/ura_commurehmn/

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