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埌線 KUWADATE――新しい倧きな䌁お倉わるべきは「知性ある人々」のマむンドセット

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    第五章 コミュ・ノベル・ナニバヌス

    前線をお読みいただいた皆さんには、䜿われなくなった「遊䌑䞍動産空き箱」が、コンテンツずコミュニティの力、そしお䜙剰を分かち合う密教的なルヌルによっお、いかにしお熱狂を生む「䞀぀の面」ぞず生たれ倉わるかずいう䞀぀のシナリオを䞀緒に確認しおいただきたした。

    埌線である本皿から開いおくださった方は、よろしければぜひ前線で描いた「空き箱がシェア型曞店のようなコミュニティスペヌスぞず倉貌し、芳客が共犯者ぞず倉わっおいく仕掛けず仕組み」を、芗いおみおください。

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    前章たでで私たちは、共犯者を生む䞀぀の「面」をどう蚭蚈するかを芋おきたしたが、ここで私は䞀぀の決定的な「問い」に突き圓たりたす。

    ——その面がもし私たち䞉者だけの所有物にずどたるのなら、それは結局、䞀぀の閉じた面で終わっおしたうのではないか

    私は「面をやがお茪ぞず広げおいく」ず述べたのですが、䞀぀の面を、䜜り手から䜜り手ぞず「匱い぀ながり」で぀なげおいきながら、どこたでも広がっおいく䌁おぞず開いおいくには、いったいどうすればよいのか。

    本章でお話しするのは、その巚倧な問いに察する私なりの答え「コミュ・ノベル・ナニバヌスCNU」ずいう䞀぀のアむデアに぀いおです。

    「コミュ」ずはコミュニケヌションであり、コミュニティです。しかし、それはむンタヌネットの掲瀺板のように、誰でも自由に曞き蟌める無秩序な広堎を目指すものではありたせん。私たちが目指すのは、プロの䜜り手どうしが互いの䜜品に敬意を払いながら、现い橋を架け合っおいく「リスペクトの連鎖」です。

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    䜜家が自らの䜜品の暩利をしっかりず握ったたた、他者の䞖界ず緩やかに぀ながり、党䜓ずしお䞀぀の巚倧な物語宇宙を圢䜜っおいく――。

    そんな未だ誰も芋たこずのない小説の未来を仕組み化するために、私たちはたず、゚ンタヌテむンメントの䞖界が誇る「二぀の極端な成功䟋」から孊ばなければなりたせん。䞭倮集暩による「独占」か、あるいは、むンタヌネットが生んだ「完党な開攟」か。

    私たちが目指すべき「第䞉の道CNU」の茪郭を浮き圫りにするために、たずは䞖界を垭巻したあの巚倧な物語の仕組みから孊びたしょう。


    マヌベルが瀺した力ず、その限界

    「マヌベル・シネマティック・ナニバヌスMCU」をご存じの方は倚いず思いたす。映画『アむアンマン』に始たり『キャプテン・アメリカ』や『スパむダヌマン』ずいった数えきれないヒヌロヌたちが地続きの䞖界を共有し、ずきに亀わりながら巚倧な物語を玡いでいく壮倧な䜜品矀です。

    MCUが成し遂げたこずを本曞の文脈で蚀い盎すず、その凄さがいっそうはっきりず芋えおきたす。すなわちMCUは、あらゆる芳客を迎え入れる倚様な「入り口」をいく぀も甚意するこずで、䞀぀の䜜品のファンを別の䜜品のファンぞず次から次ぞず連鎖させおいく途方もない芏暡の「面」を珟実に぀くり䞊げおみせたのです。

    たずえば最新テクノロゞヌを描くSF奜きが『アむアンマン』から入り、サスペンス奜きが『キャプテン・アメリカ』に魅了され、コメディ奜きが『ガヌディアンズ・オブ・ギャラクシヌ』で笑うように、芳客は自分の奜みに合った入り口からごく自然にこの巚倧な「ナニバヌス」䞖界ぞず足を螏み入れるこずができたす。

    そしお特筆すべきは、その入り口の倚さを匷固に支えおいる圧倒的な䞖界芳の䜜り蟌みです。䞀぀ひず぀の䜜品が単䜓の゚ンタヌテむンメントずしお成立する高い完成床を持ちながらも、その背景にある架空の歎史やテクノロゞヌの倉遷、さらにはキャラクタヌ同士の现やかな因瞁に至るたでが極めお緻密に蚭蚈されおいたす。

    そのため芳客はあるヒヌロヌの映画で䞖界を知った埌、別の物語ぞず匕き蟌たれるたびに隠された文脈や䌏線を発芋し、やがおその党䜓像を远いかけずにはいられなくなりたす。

    䞀本の映画で登堎した脇圹が数幎埌に別の䜜品で䞻圹ずしお物語の䞭心に躍り出たり、䞀芋するず無関係に芋えた耇数の物語がある䞀点で鮮やかに䞀぀ぞず束ねられたりする芋事な仕掛けによっお、芳客の䜜品䞖界党䜓ぞの没入は際限なく深たっおいきたす。

    独立した点ず点が線になり、やがお広倧な面ぞず広がっおいくその緻密な䞖界芳の構築力こそが、芳客を驚かせ続ける巚倧な匕力ずなっおいるのです。

    しかし私が泚目したいのは、その茝かしい成功の裏偎にある䞀぀の「決定的な限界」のほうです。それは、このMCUずいう広倧な䞖界のすべおをたった䞀぀の巚倧䌁業ディズニヌが䞞ごず所有しおいるずいう事実です。

    どういうこずか説明をするず、この緻密に䜜り蟌たれたMCUの䞖界に新しい物語を付け加えるこずができるのは、原則ずしおその暩利を持぀䌁業ず、䌁業が認めたごく限られた䜜り手だけです。

    それは、ビゞネスの構造䞊圓然のこずではありたす。そしおそこから生たれる莫倧な利益も創䜜にた぀わる最終的な決定暩も、すべおは䞭倮集暩的に䞀点ぞず吞い䞊げられおいきたす。

    䞖界䞭の無数のファンが二次創䜜ずいう圢で自分なりの物語を内偎から育おようずしおも厳しく制限されおしたうため、MCUの䞖界は確かに広倧ですが、その広倧な土地のすべおにただ䞀人の地䞻がいる状態だず蚀えたす。

    MCUをここたでの芏暡に育お䞊げた立圹者である、プロデュヌサヌのケノィン・ファむギの卓越した手腕ず玠晎らしい仕事ぶりには、どれだけ称賛の蚀葉を送っおも足りたせん。しかし、そんな圌もたた巚倧䌁業に雇われた身であり、真の意味で自由に䜜品を぀くれるわけではありたせん。

    圌は、MCUずいう枠組みの内偎では絶倧な暩限ず自由を持っおいたすが、決しおその枠の倖に出るこずはできないのです。だからこそ圌は、MCUを䜜り続けるしかありたせんし、芳客がMCUから離れないようにあの手この手で匕き留め続けるしかありたせん。

    しかしそれを氞遠に続けるこずは珟実的には䞍可胜です。事実、映画『アベンゞャヌズ゚ンドゲヌム』においおMCUの熱狂は䞀぀の頂点を迎え、そしおそのピヌクはすでに過ぎ去っおしたいたした。

    私自身もそうであったように、倚くの芳客がそこである皮の達成感ず区切りを感じおしたったのです。個別のヒヌロヌを描く単独䜜品は珟圚でもヒットを蚘録するこずはありたすが、物語の䞻軞ずなるアベンゞャヌズずいう集合䜓ずしおの勢いがピヌクアりトしおしたったこずは吊めたせん。

    これは、本曞がここたで䞀貫しお目指しおきたものずはちょうど正反察の関係性です。私が目指しおいるのは「奪い合い」ではなく「分かち合い」であり、䟡倀を䞭倮に集めるのではなく、生たれた䜙剰を次々ず次ぞ回しおいくそういう゚コシステムです。

    だずすれば、私が本圓に手に入れたいのは、MCUが芋せおくれた倚様な入り口ず緻密な䞖界芳によっお「䞀぀の䞖界が無数のファンを生む力」のほうであっお、その䞖界を䞀人で囲い蟌む「独占」のほうでは断じおありたせん。

    そこで問いは、次の二通りになりたす。

    ——あの圧倒的な䞖界芳を構築する「力」だけを受け継ぎ、「独占」を手攟すこずははたしお可胜なのか

    ——特定の地䞻がいなくおも、䞀぀の物語䞖界を豊かに育おおいくこずなど本圓にできるのか

    ずいうこずです。

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    それでもなお、䞀぀の物語を継続させながら今も新しいファンを増やし続けようずするMCUのその姿勢の偉倧さは揺るぎたせんし、私たちがこのシステムから孊べる点は数倚く残されおいたす。その巚倧な功瞟をしっかりず認めたうえで、次の議論ぞず進みたしょう。


    初音ミクずいう発明

    埌者の、特定の地䞻がいなくおも䞀぀の物語䞖界を豊かに育おおいくこずは可胜なのかずいう問いに察する答えを、私たちはすでに知っおいたす。それも、ほかでもないこの日本で生たれた発明ずしおです。それが「初音ミク」です。その名であれば、誰しも䞀床は耳にしたこずがあるはずです。

    初音ミクは、音声合成の゜フトりェアずしお「クリプトン・フュヌチャヌ・メディア」ずいう䞀぀の䌚瀟から生たれたバヌチャルな歌い手です。この初音ミクの誕生がもたらした真のむノベヌションは、その音声技術よりもクリプトンが遞んだたった䞀぀の態床にありたした。それは、初音ミクずいう魅力的な「キャラクタヌの創䜜」を自瀟で囲い蟌んで独占するのではなく、思い切っお䞖の䞭ぞず開いたこずです。

    クリプトンは、ピアプロ・キャラクタヌ・ラむセンスず呌ばれる独自の利甚ルヌルを定めたした[48]。これによっお䞖界䞭の誰もが䞀定の玄束さえ守れば、初音ミクを䜿っお自由に楜曲を創䜜し、むラストを描き動画を制䜜しお発衚するこずができるようになったのです。結果ずしお䜕が起きたかず蚀えば、プロもアマチュアも区別なく䞖界䞭の無数の創䜜者たちが、いっせいに初音ミクを䜿っお自分の䜜品を぀くりはじめるようになったのです。

    䞀人の䜜り手が発衚した曲に別の誰かが絵を぀け、さらに別の誰かが螊りや動画を重ねおいく。こうしお自瀟のみで囲い蟌むこずを朔く手攟し䞖界ぞず開いたこずが、かえっお䞀瀟では逆立ちしおも生み出せなかったほどの途方もない創造の奔流を呌び蟌みたした。たった䞀぀の゜フトりェアを起点に、誰も予想しなかったほど巚倧で豊かな創䜜の゚コシステムが自然発生的に立ち䞊がっおいったのです。

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    ここで起きたむノベヌションの本質は、創䜜の担い手が䞀郚の専門家から文字どおり「誰でも」ぞず倧きく開かれたこずにありたす。か぀お、曲を぀くりそれを䞖に問うずいうこずは、レコヌド䌚瀟に認められたごく䞀握りのプロだけに蚱された特暩でしたが、初音ミクはその固く閉ざされおいた扉を無名の䞀個人にたで開け攟ちたした。

    名もなき若者が自宀のパ゜コンで぀くった䞀曲が、動画サむトを通じお䜕癟䞇もの人々の耳に届き、やがお䞀぀の時代を象城する名曲ずしお歌い継がれおいくずいう珟象が、珟実にいく぀も起こったのです。


    ガバナンスの先䟋たち

    誰のものでもない䞖界を芋事に運営しおみせた先䟋は、初音ミクだけではありたせん。たずえば「東方Project」ずいう䜜品矀がありたす。これは、ZUN氏ずいうたった䞀人の䜜り手が生み出した匟幕シュヌティングゲヌムの䞖界ですが、ZUN氏がその䞖界の二次創䜜に぀いおきわめお寛容なガむドラむンを瀺したこずで、同人サヌクルによる無数の掟生䜜品が生たれ、巚倧な文化圏を圢づくっおいたす[49]。

    あるいは、SCP財団ずいう䞍思議な集団創䜜の詊みもありたす。これは、この䞖のものならぬ怪異や、超垞の存圚を収容し蚘録する架空の秘密機関を舞台にした共同の物語䞖界です。その最倧の特城は「クリ゚むティブ・コモンズ」ずいう仕組みを甚いるこずで、䞖界䞭の誰もがルヌルに埓いさえすれば
    、新しい怪異の蚘録をその䞖界に曞き加えられるずいう点にありたす。䜜者は特定の誰かではなく「みんな」なのです[50]。

    さらに海の向こうに目を転じれば「ワむルドカヌド」ずいう興味深い詊みもありたす。これは『氷ず炎の歌』で知られる、䜜家ゞョヌゞ・R・R・マヌティンらが線む共有䞖界を舞台にした小説のシリヌズであり、倚数の䜜家たちが䞀぀の同じ䞖界芳を共有しながら、それぞれの物語を曞き継いでいく、いわばモザむクのような小説矀です[51]。

    これらの詊みに共通しおいるのは、䞖界のすべおを誰かが独占するのではなく、参加のための共通のルヌルである「プロトコル」によっお運営されおいるずいう点です。

    その䞖界の土地たちは誰のものでもない代わりに、その䞖界に入っお創䜜するための守るべき玄束だけが明確に定められおいたす。そしお、こうした開かれた共有を、法的な裏偎からしっかりず支えおいるのが、先ほど名前を出した「クリ゚むティブ・コモンズ」ずいう仕組みです。

    これは、創䜜者が自らの䜜品に぀いお「ここたでは自由に䜿っおよい」ずいう条件を、あらかじめ明瀺しおおくための共有のための仕組みであり、むンタヌネット時代の文化を根っこのずころで支えおきた倧発明でもありたす。

    付け加えれば、この日本ずいう囜はこうした共有の文化を育おる土壌に、ずりわけ恵たれおいたす。幎に二床、数十䞇もの人々が䞀堂に䌚する同人誌の即売䌚に象城されるように、この囜には他者の生み出した䞖界を敬意をもっお借り受け、そこに自分の創意を重ねおいくずいう豊かな二次創䜜の文化がすでに深く根づいおいるからです。

    私が構想する「コミュ・ノベル・ナニバヌスCNU」は、䜕もない曎地にいちから築こうずしおいるのではなく、この䞖界にも誇りうる肥沃な土壌の䞊に、あらためお䞀粒の皮を蒔こうずするものです。䞀぀の物語䞖界を完党独占するのではなく、無数の䜜り手ず共に豊かに育おおいくこずは決しお倢物語ではなく、珟にいく぀もの堎所で実珟しおきた確かな珟実なのです。

    ただし、ここで明確にしおおかなければならないのは、私が受け継ぎたいのはこれらの先䟋が瀺した「囲い蟌たず䞖に開けば豊かさが返っおくる」ずいう粟神であっお、その手法をそのたた真䌌るこずではないずいう点です。

    私は初音ミクやSCP財団のように、誰もが自由に曞き蟌めるずいうかたちは遞びたせん。なぜなら私の目的は、今村氏の䜜品にも他のどの䜜家の䜜品にもけっしお傷を぀けないたた、出版業界の固く閉ざされた扉を少しず぀開いおいくこずにあるからです。

    䜕でもありの無法地垯にしおしたえば、既存の玠晎らしい䜜品の䞖界芳を壊しおしたう危険性がありたす。だからこそ私は、無制限に開くのではなくその開き方を厳密に絞り蟌みたす。

    そこで鍵ずなるのが珟実の歎史です。歎史ずいう誰もが共有する匷固な土台の䞊で、䜜家が別の䜜家の䜜品に蚱諟を埗たうえで小さな橋を架け合っおいく。そしおその連鎖が途切れないように仕組みずしお機胜させおいく。これこそがコミュ・ノベル・ナニバヌスずいう私の構想の出発点です。

    これが、ポスト資本䞻矩ぞの遷郜を実珟するための基盀であり、疲匊した「出版業界をどうにかする」ための基盀であり、ルネサンス以来倱われ぀぀あった知性の共同䜓を、二䞀䞖玀に甊らせるための基盀なのです。

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    第六章 ゚コシステムは、いかにしお持続するのか

    前章で私たちは、コミュ・ノベル・ナニバヌスずいうプロトコルを通じお、䞀぀の面を、䜜品から䜜品ぞず匱い぀ながりで数珠぀なぎに連なっおいく、開かれた䌁おぞず育おる道筋を芋おきたした。しかし正盎に申し䞊げれば、開かれた面がたった䞀぀だけ「ぜ぀ん」ず存圚しおいおも、それはただ「茪」にはなりたせん。

    私が本圓に目指しおいるのは、倚様なプレヌダヌがそれぞれに自分の面、すなわち独自のビゞネスモデルを立ち䞊げ、それらが匱い぀ながりで結ばれながら党䜓ずしおい぀たでも回り぀づける「䞀぀の倧きな生態系゚コシステム」を構築するこずです。

    ずころがここに、私がずっず匕っかかっおきた倧きな難所がありたす。

    ——MCUのような圧倒的な䞖界芳を構築する「力」だけを受け継ぎ、「独占」を手攟すこずははたしお可胜なのか

    この問いは、おそらく次の䞉぀の問いに分解する必芁がありたす。これらに察しお、有効な手立おを考えおいかなければなりたせん。

    第䞀に、どうすれば耇数の面が瀺し合わせたわけでもないのに、次々ず同時発生的に立ち䞊がっおくるのか。

    第二に、その䞀぀ひず぀がどうすれば䞀過性で終わらずに、持続可胜なビゞネスモデルずしお回り぀づけられるのか。

    そしお第䞉に、その党䜓が䞭倮にすべおを取り仕切る管理者を眮かないたた、䞀぀の゚コシステムずしお自埋的に持続しうるのか。

    ずいう䞉぀です。

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    この䞉぀の問いに察しお、私の単なる願望や粟神論ではなく、科孊の裏づけをもっお答えたいず考えおきたした。

    本章では、たずこの「面を茪にする」ずいう離れ業を珟実に日本でやっおのけた二぀の実䟋を芋おいきたす。そのうえで、その成功の背埌にある䞉぀の科孊の理論ぞず分け入っおいきたしょう。実蚌ず理論、その䞡方が揃っおはじめお、私たちが目指すラストワンマむルは確実に埋たるはずなのです。


    それは、すでにサッカヌで起きおいる

    本曞がここたでそうしおきたように、私は頭のなかに浮かんだ䌁おを包み隠さず共有したす。この本を曞いおいる2026幎7月、䞖界はワヌルドカップの熱狂の枊のただ䞭にありたす。地球䞊の実に倚くの囜々で、人々が䞀぀のボヌルの行方に䞀喜䞀憂しおいたす。

    なぜサッカヌは、これほどたでに䞖界を熱狂させるのでしょうか。それはサッカヌが䞖界䞀の競技人口を誇る、たさに囜を挙げたスポヌツだからです。

    囜際サッカヌ連盟、すなわちFIFAに加盟する囜や地域は211を数え、囜際連合の加盟囜数である193をも䞊回りたす[53]。その圱響力はもはや単なるスポヌツの枠にずどたらず、政治や囜家の嚁信、さらには地政孊にたで及ぶほどの巚倧な力を持぀にいたっおいたす。

    では、なぜサッカヌだけがこれほど広く䞖界の隅々にたで根を匵るこずができたのでしょうか。その理由の䞀぀は、逆説的にもその競技が持぀圧倒的な「単玔さ」にありたす。ボヌルが䞀぀あればどんな路地でも、どんな広堎でも、貧しい囜でも豊かな囜でもすぐに始めるこずができたす。

    第四章で私は、新しいものが倚数掟ぞ広がるには「入りやすさ」によっお「キャズム」ずいう深い谷を越えねばならないず述べたした。ずりもなおさずサッカヌは、参入の障壁がこの䞖で最も䜎いスポヌツの䞀぀なのです。

    そしおもう䞀぀、決定的な理由がありたす。䞖界䞭に数えきれないほどの地域クラブがそれぞれの土地に根を匵り、独自の熱狂を生み出しおいるずいう点です。぀たり䞖界のサッカヌの熱狂ずは、頂点にある䞀握りのスタヌたちの詊合だけから生たれおいるのではなく、無数の小さな「面」の集合䜓ずしお重局的に立ち䞊がっおいるのです。


    Jリヌグずいう蚭蚈思想

    この「地域に根ざした面の集合」ずいう発想を、䞀぀の明確な蚭蚈思想ずしおこの囜に導入したのがJリヌグでした。ここには私たちの䌁おにずっお孊ぶべきこずが、あたりにも倚く詰たっおいたす。

    Jリヌグが発足したのは1993幎のこずです。圓時わずか10クラブ、いわゆる「オリゞナル10」から始たったこのリヌグは、いたやJ1からJ3たでを合わせお60ものクラブを擁し、党囜40を超える郜道府県に広がる巚倧な生態系ぞず成長を遂げたした[54]。この壮倧な䌁おの初代チェアマンを務めたのが川淵䞉郎氏です。

    Jリヌグの蚭蚈思想の根幹には、「癟幎構想」ず呌ばれる遠倧なビゞョンがありたした。「地域に根ざしたスポヌツクラブを぀くり、スポヌツを通じお地域から日本を、そしお䞖界を幞せにする」ずいう理念です。

    目先の勝敗や興行収入ではなく、癟幎ずいう途方もなく長い時間軞でものを考える。これこそ、本曞が繰り返し説いおきた、目先の損埗を超えた「䞭長期的な合理性」であり、勝ち負けが氞遠に続いおいく、あの「無限ゲヌム」の思想――おっず、これは拙著『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』の第六章における、『䞖界最倧の䌁業や発明を生み出す「遊び」の正䜓』で取り䞊げたした。

    ――䞭長期合理的な自分の人生ずいう䜜品を長く楜しむために、私が心の奥底から自信をもっおお薊めできる抂念なので、簡単に説明しおおきたす。

    宗教孊者のゞェヌムズ・カヌスが提唱したこの抂念においお、誰かの勝利によっお終了する「有限ゲヌム」ずは異なり、無限ゲヌムには明確な終了の合図が存圚したせん[55]。私たちのキャリアや人生、そしお私が考える「ポスト資本䞻矩ぞの遷郜」や、「出版業界をなんずかする」ための今村氏ずの共犯関係もたた、すべおは終わりなき無限ゲヌムであるず蚀えたす。

    仕事を手段から目的ぞず転換し、自らの意志によっお真剣に遊ぶずき、そこには枯枇するこずのない内発的な゚ネルギヌが湧き䞊がりたす。これこそが、倖的環境に巊右されない真の自埋性を獲埗するための生存戊略であり、私たちが人生を賭けお、それでも楜しみながら掻動を続けおいくための最倧の原動力ずなりたす。これこそが私の考える「心躍る掻動」です。

    話をJリヌグに戻せば、この「癟幎構想」を珟実のものずしお支えたのは「地域密着」ずいう厳栌な原則でした。圓時の日本のプロスポヌツずいえば、プロ野球のように倧䌁業の名前をチヌム名に冠し、特定の䌁業が地域や利暩を囲い蟌むのが圓たり前でした。ずころがJリヌグは、そこからはっきりず䞀線を画したす。

    クラブは特定の䌁業のものではなく、あくたでその「地域」のものである。

    䞀぀ひず぀のクラブが、それぞれの土地に根を匵った自埋的な「面」ずしお振る舞う。これこそ、私が倢芋おいる倚様な面の集合䜓ずしおの゚コシステムの、鮮やかなプロトタむプにほかなりたせん。

    川淵氏の凄みは、その理念を蚀葉の䞀぀ひず぀にたで培底しお宿らせたずころにありたす。圌はリヌグを束ねるトップをあえお「チェアマン」ず呌び、クラブの本拠地を「ホヌムタりン」ず衚珟したした。そしお䜕より、クラブを応揎する人々を「ファン」ではなく「サポヌタヌ」ず定矩したのです。この蚀葉が広く瀟䌚に定着しおいった意味は極めお重倧です。

    芳客垭から消費するだけのファンではなく、クラブを自らの意志で支え、ずもに぀くり䞊げおいくサポヌタヌずいう存圚ぞの転換。これは、本曞が第二章から䞀貫しお論じおきた、ファン芳客を「共犯者」ぞず倉えおいくあの転回ず、寞分たがわず同じこずです。蚀葉によっお珟実を鮮やかに倉えおいく方法を、川淵氏は誰よりも深く理解しおいたのです。

    Jリヌグの仕組みに組み蟌たれおいる芋事な埪環機胜も芋過ごせたせん。地元のクラブをサポヌタヌが熱心に応揎する。するず、クラブに人ずお金が集たり、いい遞手が育぀。クラブは経営的に自立し、そこで埗た「䜙剰」を、今床は新たな斜蚭の敎備や次の䞖代の指導者や遞手の育成ぞずふたたび投じる。生たれた䜙剰を奪い合うのではなく、次の成長ぞず回しおいく奜埪環こそ、埌ほど理論の面から詳しく述べるこの䌁おの心臓郚です。

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    䜙剰ならぬ「完党な䜙談」なのですが、これを曞いおいる私自身は、小孊校の䜎孊幎の頃「サッカヌの神様」ゞヌコに憧れ、来る日も来る日も鹿島アントラヌズのキャップを被っお過ごしおいた䞀人のサポヌタヌでした。皆さんは、いかがでしたか


    Bリヌグずいう奇跡

    サッカヌがれロから理想の生態系を築き䞊げた物語だずすれば、次に芋るバスケットボヌルは、ばらばらに分裂しおいたものをいかにしお䞀぀の茪ぞずたずめ䞊げたかずいう、別の教蚓に満ちた物語です。そしおこの物語は私たちの䌁おにずっお、サッカヌ以䞊に切実で重い意味を持っおいたす。

    いたでこそBリヌグずしお倧きな熱狂を生み出しおいる日本のバスケットボヌルですが、その道のりは決しお平坊ではありたせんでした。か぀お日本のバスケットボヌル界は、実業団を母䜓ずする「NBL」ず、プロ化を掚し進めた「bjリヌグ」ずいう二぀の組織に真っ二぀に分裂し、その察立は実に20幎以䞊にもわたっお続いおいたのです。それぞれの組織が抱えるしがらみや既埗暩益が、䞡者の統合を頑ずしお阻み続けおいたした。

    ――そしおその䞍毛な分裂は、぀いに取り返しの぀かない決定的な代償を招くこずになりたす。

    2014幎、FIBA囜際バスケットボヌル連盟は、䞀぀の囜に二぀のリヌグが䞊立したたたであるこずなどを理由に、日本バスケットボヌル協䌚に察しお「無期限の囜際資栌停止」ずいう、極めお重い凊分を䞋したした。

    これによっお日本代衚はオリンピックやワヌルドカップの予遞を含むあらゆる囜際舞台から締め出されおしたい、内茪の争いが結果ずしお囜党䜓を䞖界の舞台から切り離しおしたうずいう最悪の事態に陥ったのです。

    この絶䜓絶呜の窮地を救ったのが、翌2015幎にFIBAが蚭眮した特別な䜜業郚䌚「ゞャパン2024タスクフォヌス」であり、その舵取り圹ずしお癜矜の矢が立ったのが、ほかでもないJリヌグを創蚭した川淵䞉郎氏だったのです。このずき、川淵氏はすでに70代の埌半を迎えおいたした。

    ――川淵氏が瀺した打開策は、やはり驚くほど鮮やかなものでした。

    20幎ものあいだ、双方のしがらみが互いの「合䜵」を阻んできたのなら、合䜵などはじめから目指さない。その代わりに、既存の二぀のリヌグをいったんどちらも解散させ、すべおのクラブが新しく蚭立する「第䞉のリヌグ」ぞず、それぞれ自らの意思で合流する。誰かに匷いられた統合ではなく、党員がたっさらな新しい堎ぞ自発的に参加しおいくずいう方匏によっお、川淵氏は20幎来の膠着をわずかな期間で䞀気に打ち砎っおみせたのです。

    こうしお2015幎に新リヌグが蚭立されお囜際資栌停止も解陀され、翌2016幎にBリヌグは華々しく開幕を迎えたした[56]。その蚭蚈が、川淵氏自身が築き䞊げたJリヌグを鋳型ずしおいたこずは蚀うたでもありたせん。

    その埌、Bリヌグは千葉ゞェッツを率いた実業家の田慎二氏がチェアマンに就任し、その商業的な成長をさらに力匷く牜匕しおいくこずになりたす。

    ここに私は、極めお決定的な教蚓を芋出しおいたす。Jリヌグずいう先に成功した䞀぀の「面」が存圚しおいなければ、Bリヌグずいう次の「面」は生たれ埗なかったかもしれたせん。䞀぀の面が、次の面を生み出すための匷固な鋳型ずなる。面が茪ぞず広がっおいくその歎史的な転換を、私たちはこの日本のスポヌツ史のなかに芋お取るこずができるのです。

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    では、こうしたダむナミックな連鎖は、いったいいかなる仕組みによっお起こるのでしょうか。ここから、いよいよその背埌にある科孊の理論ぞず深く分け入っおいきたしょう。


    なぜ、面は同時発生的に増えおいくのか

    第䞀の疑問である「どうすれば耇数の面が瀺し合わせたわけでもないのに、次々ず同時発生的に立ち䞊がっおくるのか」ずいう問いに察しお、経枈孊の偎面から極めお鮮やかな答えを䞎えおくれるのが、W・ブラむアン・アヌサヌずいう経枈孊者の理論です。

    耇雑系の研究で名高いサンタフェ研究所においお、経枈孊プログラムの初代ディレクタヌを務め、シュンペヌタヌ賞やラグランゞュ賞にも茝いた耇雑系経枈孊の草分けである圌が、生涯をかけお論じたのが「収穫逓増おいぞう」ずいう抂念でした[57]。これは私たちがなんずなく信じ蟌んでいる䌝統的な経枈の垞識を根本から芆すものです。

    䌝統的な経枈孊は、長らく「収穫逓枛おいげん」の法則を前提ずしおきたした。䜕かを぀くれば぀くるほど埐々に割に合わなくなり、やがお経枈党䜓が䞀぀の萜ち着いた均衡状態ぞず収束しおいくずいう考え方です。

    ずころがアヌサヌは、゜フトりェアや半導䜓、医薬品、あるいはプラットフォヌムずいった知識を土台ずする産業においおは、これずたったく逆の珟象が起きるず指摘したした。すなわち「埗れば埗るほどさらに埗やすくなる」ずいう匷烈な正のフィヌドバックが働くずいうのです。

    具䜓的には、ある補品が早い段階でわずかでも倚くの人に䜿われはじめるず、その利甚者の倚さ自䜓がさらに新しい利甚者を呌び蟌み、優秀な開発者を匕き寄せ、補品がより良く改良されるこずでたた新たな利甚者を獲埗しおいくずいう連鎖を指したす。

    人は、広く䜿われおいるものほど安心しお遞びたすし、぀くり手もたた人が集たる堎所ぞず自然に吞い寄せられるため、この埪環はたるで雪だるたが坂を転がり萜ちおいくかのように非線圢に加速しおいくこずになりたす。

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    前節で芋た、BリヌグがJリヌグを匷固な鋳型ずしお生たれたずいう歎史的な珟象も、たさにこの理論によっお明確に説明するこずができたす。

    䞀぀の成功した面が、次の面を生み出すための呌び氎ずなり、増殖の連鎖が始たっおいくのです。だずすれば、私が最初に䞋呂でたった䞀぀の面を本気で立ち䞊げおみせるこずには、その単独の成功をはるかに超えた決定的な意味があるず蚀えたす。なぜなら、その最初のひず぀の成功事䟋が次の面を呌び、さらにたた次の面を呌ぶずいう、途方もない増殖の連鎖を起動させる最初の䞀抌しになりうるからです。

    ただしここでアヌサヌは、私たちに察しおきわめお重芁な譊告も残しおいたす。この収穫逓増のメカニズムをただ野攟しにしおおくず、それは「経路䟝存性」や「ロックむン」ず呌ばれる珟象を通じお、しばしば「勝者総取り」の構造ぞず暎走しおしたうずいう事実です。

    実際、たたたた早く普及したずいうだけの理由で、必ずしも最良ずは蚀えない芏栌が垂堎を完党に独占しおしたった事䟋は歎史䞊、枚挙にいずたがありたせん。そしおこの暎走が行き着く先にある「たった䞀぀の巚人がすべおの暩利を独占しおしたう状態」こそが、前章で確認したMCUの独占的な構造であり、珟代における巚倧IT䌁業による垂堎の寡占なのです。

    ぀たり、面を増殖させる匷力な゚ンゞンである収穫逓増は、それ自䜓が諞刃の剣だず蚀えたす。䜕の制埡もなく攟っおおけば、それは無数の面が咲き乱れる豊かな生態系ではなく、䞀人の巚人だけが君臚する荒涌ずした独占䞖界ぞず私たちを導いおしたいたす。

    だからこそ、この増殖の゚ンゞンを掻かしながらもそれが独占ぞず暎走するのを防ぎ、倚様な面が分散したたた共存し続けるための別の仕掛けがどうしおも必芁になりたす。その具䜓的な仕掛けを、私たちはこれから玹介する二぀の科孊の理論のなかに芋出しおいくこずになるのです。


    「䜙剰」を回す

    第二の問いは、「䞀぀ひず぀の面がなぜ䞀過性で終わらずに、持続可胜なビゞネスモデルずしお回り぀づけられるのか」ずいうものです。この問いに察しお、今床は物理孊の、それも熱力孊の偎から驚くべき瀺唆を䞎えおくれるのが、1977幎にノヌベル化孊賞を受賞したむリダ・プリゎゞンずいう化孊者です。

    プリゎゞンが打ち立おた「散逞構造」ずいう抂念を通しお、その䞖界を少しだけ芗いおみたしょう。圌によれば、この䞖に存圚する秩序だった構造にはたったく異なる二぀の皮類がありたす。

    䞀぀は、結晶のように倖界から切り離されお孀立しおいおも、そのたた存圚し぀づけられる「平衡構造」。もう䞀぀、それは枊や炎、あるいは私たち生呜䜓のように、倖界ずのあいだで゚ネルギヌや物質が絶え間なく流れ぀づけおいるあいだだけ、その姿を保぀こずができる「散逞構造」です[58]。

    䟋を挙げたすず、液䜓の局を䞋から熱しおいくずある枩床を境にしお、その液䜓のなかに「芏則正しい六角圢の察流パタヌン」が応然ず珟れたす。混沌のなかから秩序がひずりでに立ち䞊がる矎しい珟象ですが、この敎然ずした秩序は䞋からの熱の䟛絊が続いおいるあいだだけ存圚し、熱が冷めお゚ネルギヌの流れが止たるず跡圢もなく消え去っおしたいたす。

    私たちの身䜓もこれずたったく同じで、私たちは絶えず食べ、代謝し、排出するずいう䌑みない゚ネルギヌの亀換によっおのみ、身䜓ずいう極めお耇雑な秩序をかろうじお維持しおいたす。もしその流れを止めおしたえば、私たちの身䜓は完党な均衡状態、すなわち「死」ぞず行き着いおしたうのです。

    ここから私は、ビゞネスや゚コシステムが持続するための途方もない掞察を受け取りたす。それは、秩序をもった生きた構造を持続させるためには、決しお内郚に゚ネルギヌを溜め蟌んではならず、むしろ絶えず倖郚ず亀換し流し぀づけなければならないずいう事実です。

    これを私たちの䌁おである経枈掻動やビゞネスモデルに眮き換えたずき、構造を維持するための「゚ネルギヌ」に盞圓するものは䜕でしょうか。それこそが「資金」であり、そこから生たれる人々の「熱狂」や「創造性」です。

    埓来の資本䞻矩的なビゞネスにおいおは、利益ずいう䜙剰資金を内郚に溜め蟌んで䌁業ずいう枠組みを匷固にするこずが正解ずされおきたした。しかし、䞀぀の閉じた組織が資金を溜め蟌み倖界ずの亀換を止めおしたうこずは、熱力孊的に蚀えば完党な均衡状態ぞず向かうこずを意味したす。倉化の激しい珟代においお、内郚に゚ネルギヌを溜め蟌んだたた代謝を止めた硬盎的な組織はいずれ新しい䟡倀を生み出せなくなり、やがおシステムずしおの死を迎えたす。

    ぀たり「䜙剰を溜め蟌たずに次ぞ流しおいく」ずいうこずは、倫理的な矎談や道埳的な理想論ではなく、組織や゚コシステムずいう生きた環境の倉化に適応し、垞に新しい血液を巡らせお持続しおいくために䞍可欠なのです。

    前著で取り䞊げた哲孊「効果的な利他䞻矩」が説く惜しみない分かち合いや、密教が叀くから説いおきた䜙剰を巡らせるずいう思想が本質的に正しいずいうこずを、物理孊が構造的な芳点から裏付けおくれおいるず蚀えたす。自分で曞いおおいおなんですが、私はこの科孊ず人文孊の矎しい笊合に震えたす。

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    前節で芋たJリヌグのあの奜埪環がなぜ30幎以䞊も持続しおいるのかも、この理論によっお明確に説明が぀きたす。すでに説明した通り、各クラブは埗た䜙剰資金を内郚に溜め蟌んで䞀郚の人間のみで分配するのではなく、次の䞖代を担うアカデミヌの育成や地域瀟䌚ぞの還元ぞず絶えず流し぀づけたすた。資金ずいう゚ネルギヌを倖ぞ流すこずで、地域から新しい才胜を生み、圌らがたたサポヌタヌの熱狂を誘う。新たな゚ネルギヌが぀ねに埪環を぀づけるこずで、散逞構造ずしお力匷く回り぀づけるこずができおいたす。

    限られたパむを奪い合い、自陣に富を溜め蟌むだけの「閉じた面」はやがお平衡に達しお掻力を倱いたす。察照的に、生み出した䜙剰資金を次なる共犯者たちぞず淀みなく回し぀づける「開かれた面」であれば、垞に代謝を繰り返しながら生き残っおいくこずができるのです。これこそが、私たちがこれから立ち䞊げる「䞀぀ひず぀の面が持続可胜なビゞネスモデル」ずしお回転し぀づけるための、決しお揺らぐこずのない論理的な根拠ずなりたす。


    䞭倮集暩を持たない゚コシステムはいかにしお持続するのか

    そしお最埌に残るのが、最も難しい第䞉の問いです。「どうすれば䞭倮にすべおを取り仕切る絶察的な管理者を眮かなくおも、瀟䌚やコミュニティは䞀぀の゚コシステムずしお持続できるのか」。この困難な問いに察しお極めお明快な答えを提瀺したのが、2009幎に女性ずしお初めおノヌベル経枈孊賞を受賞した政治経枈孊者の゚リノア・オストロムです。圌女の受賞理由は『コモンズのガバナンス』ずいう蚘念碑的な著䜜における研究成果でした[59]。

    オストロムが真っ向から挑んだのは、長らく経枈孊や瀟䌚孊の䞖界で信じられおきた「コモンズの悲劇」ず呌ばれる根匷い垞識です。生態孊者のギャレット・ハヌディンが提唱したこの理論は、森や持堎や氎資源ずいった皆で共有する「資源コモンズ」は、人々が自分の利益だけを远い求めれば、いずれ必ず䜿い尜くされお枯枇しおしたうずいうものでした[60]。

    これを防ぐためには、資源を私有財産ずしお现かく分割しお垂堎メカニズムに委ねるか、あるいは囜家が䞊から匷暩的に䞀括管理するかのどちらかしかないず考えられおきたのです。

    しかしオストロムは、䞖界䞭に存圚する無数の実䟋を気の遠くなるほど䞹念に調べ䞊げ、この垞識に異を唱えたした。䜕癟幎ものあいだ共同で管理されおきたスむスのアルプスの攟牧地や、村の掟によっお山林や氎を分け合っおきた日本の入䌚いりあい地、地域の慣習に基づいお氎路を守り育おおきたスペむンの灌挑かんがいシステムなどの実蚌研究を通しお、圌女はコモンズの悲劇が決しお避けられない宿呜ではないこずを蚌明したのです。

    垂堎の競争でも囜家による匷暩的な統制でもない「第䞉の道」、すなわち資源を利甚する共同䜓自身による自埋的な自己統治によっお、共有資源は芋事に持続可胜な圢で管理できるず結論づけたした。

    では䜕癟幎も生き延びる自己統治の仕組みにはどのような共通点があるのでしょうか。オストロムの発芋を玐解くずそこには「八぀の重芁な蚭蚈原理」が存圚したす。

    それはたず、

    1. 資源を利甚できる境界ず利甚者を明確にするこずに始たり、

    2. 地域の実情に合った公平なルヌルを蚭けるこず、

    3. 利甚者自身がそのルヌル䜜りに参加するこず、

    4. 玄束が守られおいるかを互いに監芖し合うこず、

    5. 違反にはいきなり重い眰ではなく段階的な制裁を科すこず、

    6. 玛争を安く早く解決する仕組みを持぀こず、

    7. 利甚者の自治を倖郚の暩力が認めるこず、

    8. そしお最埌が倧芏暡な堎合にはそれらの仕組みが倚局的なガバナンスずしお構築されおいるこず

    ずいう八぀です。

    このなかで私がずりわけ心を動かされたのは、小さな自治の単䜍がより倧きな単䜍のなかに「入れ子状」に組み蟌たれ倚局的に運営されおいるずいう最埌の原理です。この入れ子状ずいう蚀葉は第四章で私が論じたものです。

    小さな面が、より倧きな茪のなかに幟重にも入れ子になっおいくずいう、䞭倮にただ䞀぀の絶察的な叞什塔を眮かずにそれぞれの階局が自治の責任を担いながら、党䜓ずしお䞀぀の調和を保぀仕組みです。オストロムが芋出したこの姿は、私が長幎思い描いおきた理想の゚コシステムの党䜓像です。

    実は、私たちの身近にもこの自己統治を芋事に実珟しおいる䟋がありたす。それが岐阜県の䞋呂枩泉です。䞋呂枩泉では半䞖玀ほど前、各旅通が独自に源泉を掘りすぎたこずで枩泉の枯枇危機に盎面したした。

    たさにコモンズの悲劇の始たりでしたが、地域の人々は源泉を䞀元的に保護しお適正に各旅通に配分する集䞭管理システムを、囜家や巚倧䌁業に頌るこずなく地域共同䜓自身の自己統治システムずしお独自に導入し、危機を乗り越えたした。これもたた資源の境界を定め盞互に監芖し合うずいう、オストロムの原理を芋事に䜓珟した実践䟋です[61]。

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    ――ここに至っお、これたで個別に語られおきた䞉぀の科孊的知芋が、歯車ずしお芋事なたでに結び぀いたのが、お分かりいただだけるでしょうか

    第䞀の科孊は、アヌサヌが提唱した「収穫逓増」の法則であり、参加者が増えるほど魅力が高たるずいう匷力な増殖の゚ンゞンを意味したす。しかしこの力は攟っおおけば、MCUや巚倧IT䌁業のような「勝者総取り」ずいう独占ぞず暎走しおしたう危うさを孕んでいたした。

    第二の科孊は、プリゎゞンが解き明かした「散逞構造」に基づく流れの法則であり、䞀぀ひず぀の面が資金や熱狂ずいう゚ネルギヌを内郚に溜め蟌たず次ぞず流し぀づけるこずで代謝を促し、組織の硬盎化ずシステムずしおの死を防ぐずいう持続の原理です。

    そしお、この収穫逓増の暎走を食い止めながらも、豊かな流れを維持するための匷固な噚ずなるのが、第䞉の科孊であるオストロムの「分散された自己統治」なのです。

    䞭倮の管理者がすべおの暩利を掌握するのではなく、無数の小さな自治の単䜍が入れ子状に分散しおそれぞれが責任を持っお統治を担う。この構造があるからこそ、収穫逓増ずいう匷倧な゚ネルギヌは䞀぀の巚人を生み出す代わりに、倚様な才胜が咲き乱れる豊かな生態系を育むこずができるのです。

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    こうした自己統治の原理を、私が取り組みたい「コミュ・ノベル・ナニバヌスCNU」ずいう創䜜のネットワヌクに圓おはめおみたす。この堎所においお私たちが共有するコモンズずは、䜜者ぞの敬意をもっお䜜品を傷぀けず、蚱諟を埗たうえで䜜品から䜜品ぞず现い橋を架け、それを次の䜜り手ぞず手枡しおいくずいうたった䞀぀の倧切な玄束事です。

    この玄束を参加するクリ゚むタヌたち自身が自埋的に守り、もし砎る者がいればコミュニティのなかで段階的な抑止力が働くように蚭蚈したす。私がこのプロゞェクトに「コミュ」ずいう名前を冠しおいるのは、決しお私自身が利益を独占する地䞻になりたいからではありたせん。私の䞀番の圹割は、オストロムが瀺した原理における「監芖者」ずしお、この倧切な玄束事ずコミュニティの境界を守るための匱い責任を真っ先に匕き受けるこずだからです。私が䞭倮に居座っお暩力を振るうためでは、断じおありたせん。

    「増殖の力アヌサヌ」ず「䞀぀ひず぀の面を生かし぀づける流れの法則プリゎゞン」、そしお「分散の知恵オストロム」。この䞉぀が揃っおはじめお面は独占ぞ堕するこずなく持続的な゚コシステム、すなわち「茪」ぞず育っおいくのです。


    面を担う、「賑わいを぀くる」倚様なプレヌダヌたち

    䞉぀の科孊によっお面が茪になる仕組みが理論ずしお明らかになりたした。ではその土台の䞊で、いったい誰がそれぞれの面を担っおいくのでしょうか。それは本曞の冒頭でも述べたずおり、これから集うプレヌダヌたちが共有すべきは同じビゞョンではなく「近い方向」だずいうこずです。

    Jリヌグの60ものクラブは、決しお现郚にいたるたで寞分たがわぬ同じビゞョンを共有しおいるわけではありたせん。それぞれのクラブがそれぞれの土地の事情のなかで、独自のやり方で経営しおいたす。圌らが共有しおいるのは地域から日本を、そしお䞖界を幞せにするずいう倧きな䞀぀の方向だけです。だからこそこれほど倚様な面がそれぞれの土地で、それぞれのビゞネスモデルをのびのびず築くこずができおいるのです。

    もし䞭倮が、たった䞀぀のビゞョンにのみ埓うよう党員に匷いおいたら、その倚様性はたちたち死んでいたでしょう。倚様性を排陀しおしたえば、生態系は痩せ现っおいきたす。䞀方で同じ方向ぞのゆるやかな結束、すなわち第䞉章で論じた「匱い぀ながり」こそが裟野をどこたでも広げおいくのです。

    この理解の䞊に立っお、私はこれからの局面でぜひずも参画しおいただきたい䜕人かの顔を思い描いおいたす。

    たずは、すべおが巚倧郜垂ぞ吞い寄せられおいく流れずは、たったく異なる疎らな空間や地方にこそ、人類の未来の垌望を芋いだそうずする『「颚の谷」ずいう垌望』の著者である安宅和人氏です。この構想は、本曞の䌁おが東京のような䞭心からではなく、䞋呂ずいう山あいの呚瞁の地から始たるこずず深く共通しおおり、こうした倧きな方向性を描き出せる知性には、ぜひ加わっおいただきたいず願っおいたす。

    そしお、PIVOTやReHacQずいった新しいビゞネスメディアの力も欠かせたせん。圌らには、賑わいを぀くっおほしい。䞖の䞭に埋もれおいる志ある倉人やリヌダヌたちを、テレビやタブレットの画面䞊に鮮やかに映し出し、その熱を瀟䌚の芏暡にたで増幅しおいく。これは第四章で論じた「沞隰」を、䞀぀の面のなかだけでなく瀟䌚党䜓の芏暡で匕き起こしおいく揎護射撃だず蚀えたす。こうしたメディアがこの䌁おに関わる倉人たちの姿を広く䞖に䌝えるこずで、その呚りには圌らに共鳎する共犯者が次々ず生たれ、熱狂が倧きく広がっおいくからです。プロセス゚コノミヌずも蚀えたすね。

    このようにしお倚様なリヌダヌがいわば量産され、その䞀人ひずりが自分のフォロワヌを生みそれぞれの面を立ち䞊げおいく。そしお、それらの面が「匱い぀ながり」でゆるやかに結ばれ、たがいに䜙剰を回し合う仕組みが、私の描く゚コシステムです。

    もちろん、note創䜜倧賞に関わるメディアの皆さたにも必ずご参画いただきたいず考えおおりたす。いかがでしょうか「構想レベルで私に勝おる人」は、いらっしゃいたしたでしょうか私は「いないんじゃないかな」ず思っおいたすが、果たしおどうなのでしょう。いずれにせよ、䞀緒になっお少しづ぀「新しい倧きな䌁お」を実装しながら、明るい未来を぀くっおいきたせんか䞍束者ですが、どうぞよろしくお願いしたす。

    もっずも、ここでも私は誠実でありたいず思いたす。いた名前を挙げた安宅氏もPIVOTもReHacQも圓然ながらこの䌁おに぀いおただ䜕䞀぀承諟などしおいたせん。これらはすべお、あくたで私の偎からの䞀方的な仮説であり、

    ――「身のほどを知らない誇倧劄想」です。・・・わっ。「ずっず知っずったわぁっ」ずいう倚くのお叱りが、怒号のように聎こえおきたした。

    しかし䜕よりもたず私自身が売れなければ、こうした話はそもそも始たりようがないずいう順番だけは、どうあっおも動かせたせん。それでもなお、私は「宣蚀構想の共有」だけは止たせん。可胜性は、口を閉ざしたたたでは氞遠にれロのたたです。無駄だからず諊めるのではなく、䜳いず信じるこずは蚀動で瀺す。それが、本曞を貫く私の構えなのです。


    「箱運営」の倩才戊略家、星野䜳路

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    そしお、この構想の物理的な拠点ずなる空き箱、ここでは運営䞭のホテルおよび、そこで䜿われなくなったパヌティルヌムや宎䌚堎の再生においお、私がどうしおもその参画を求めたい「最倧の面」がありたす。それが、星野䜳路氏率いる「星野リゟヌト」です。

    「有名な経営者だから」ずいう浅薄な理由で、この䞀節を割くのではありたせん。私がこの䌁おに星野リゟヌトの知芋を求めるのには、はっきりずした理論䞊の根拠がありたす。ここからはその根拠を簡単に説明しおいきたす。

    出発点ずなるのは、「傟いたホテルを蘇らせるずは、いったい䜕に成功するこずなのか」ずいう問いです。「それは経営を立お盎すこずだ」ず誰もが答えるでしょうが、では具䜓的に䜕をどうするこずなのでしょうか。

    コストを削るこずか、広告を増やすこずか。こうした問いに正面から答えるために、アメリカの経営コンサルタントであるフレッド・クロフォヌドずラむアン・マシュヌズによる『競争優䜍を実珟するファむブ・りェむ・ポゞショニング戊略』ずいう䞀冊の本を経由したす。この日本語版の翻蚳を監修したのが圓の星野䜳路氏であり、星野氏はこの理論をただ孊んだだけではなく、日本に持ち蟌み自瀟で䜿い倒しおきた人物なのです[62]。

    そのクロフォヌドずマシュヌズが膚倧な調査の末に蟿り着いた結論は、拍子抜けするほどシンプルでした。業皮や芏暡がどれだけ違っおも、䌁業が顧客に蚎えかけられる䟡倀の軞は突き詰めれば「たったの五぀しかない」ずいうものです。

    • 䞀぀目は、その䟡栌垯で顧客が期埅する品質を満たしおいるかずいう「補品」。

    • 二぀目は、安さではなくなぜこの倀段なのかが腑に萜ちる公正さを保おおいるかずいう「䟡栌」。

    • 䞉぀目は、欲しいず思った瞬間から手に入るたでの摩擊がどれだけ少ないかずいう「アクセス」。

    • 四぀目は、困ったずきに画䞀的なマニュアルではなくその人の事情に合わせお動いおもらえるかずいう「付加䟡倀サヌビス」。

    • そしお五぀目が、そこで過ごした時間を通じお自分は倧切にされおいるず感じられたかずいう「顧客䜓隓」です。

    この理論の栞心は、五぀の分類そのものではなく「5-4-3-3-3」ず呌ばれるその配点にありたす。䞀぀の軞で誰にも負けない「スコア5」を取り、もう䞀぀の軞で「スコア4」を取っお䞀歩抜け出し、残りの䞉぀は業界氎準の3で構わない。これが勝ち続ける䌁業に共通する配点だずいうのです。

    党郚の軞でスコア5を目指しおはいけたせん。なぜなら経営資源は有限だからです。䟡栌を培底的に䞋げれば原䟡を削るこずになり、補品の品質に跳ね返りたす。サヌビスを手厚くすれば人件費がかさみ、䟡栌の公正さに跳ね返りたす。すべおに投資すれば、すべおが䞭途半端に終わるのです。

    マヌケティングの䞖界的暩嚁であるフィリップ・コトラヌもこの理論を玹介する文脈で、二぀以䞊の軞で最高を狙う䌁業はかえっお最適以䞋に沈むず譊告しおいたす。圌が実䟋ずしお真っ先に挙げた䞖界最倧の小売業りォルマヌトは、䟡栌でスコア5を取り、品揃えでスコア4を取り残りの䞉぀はスコア3にずどめおいたす。トペタ自動車の売䞊をはるかに䞊回る芏暡の巚人が、顧客䜓隓や付加䟡倀サヌビスでの䞀番をあっさりず捚おおいるのです。

    ――぀たり、捚おるこずこそが戊略なのです。

    では、星野リゟヌトは䜕を捚お、どの軞に賭けたのでしょうか。星野氏は、顧客䜓隓でスコア5を、取り買いやすさでスコア4を取り、䟡栌ず付加䟡倀サヌビスず補品は、業界氎準の3スコアに保぀ず公蚀しおいたす。

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    泚目すべきは、星野氏がアクセスずいう軞を「立地の䟿利さ」さではなく「買いやす」さ、぀たり顧客が予玄に至るたでの摩擊の少なさずしお読み替えお運甚しおいる点です。理論を䞞呑みにせず自瀟の土俵に合わせお再定矩するこの読み替えの巧さこそが、教科曞を䜿い倒す名人の蚌です。

    䜓隓のスコア5は培底しおいたす。「星のや」はその堎所でしか成立しない過ごし方を斜蚭ごずに蚭蚈し、枩泉地に展開する「界」は地域の䌝統文化に觊れる「ご圓地楜」を党斜蚭で甚意しお、ただ枩泉に入っお矎味しいものを食べお垰るだけの滞圚には終わらせたせん。

    買いやすさのスコア4も本気です。オンラむン旅行代理店に集客を頌れば、高い手数料を取られ顧客ずの盎接の関係を倱うため、星野リゟヌトは自瀟ブランドず予玄システムに投資を続け、盎接予玄の比率をおよそ65ずいう業界屈指の氎準にたで匕き䞊げたした[63]。航空刞ず宿泊を自瀟サむトで盎接、組み合わせお賌入できるようにし、決枈では分割払いたで導入するこずで、立地は䞍䟿でも買うずきのストレスをなくしおいたす。

    そしお、残りのスコア3も決しお手を抜くこずはしたせん。スタッフは、フロントや客宀やレストランを暪断するマルチタスクで動き、顧客の状況を倚角的に把握したす。これは効率化であるず同時に、顧客䜓隓のスコア5を䞋から匷固に支える基盀ずなっおいるのです。スコア3を割ればそこが臎呜傷になりたす。顧客ずいうのは最悪の蚘憶だけは決しお忘れないからです。

    ここたでであれば優れたマヌケティングの講矩に過ぎたせんが、私が星野氏を招きたい本圓の理由はこの先にありたす。星野リゟヌトは新しいホテルを建おお倧きくなった䌚瀟ではなく、傟いた斜蚭を匕き受けお蘇らせるこずで倧きくなった䌚瀟だからです。

    星野氏は、1992幎に斜蚭を所有するこずを本業ずせず「運営の専門䌚瀟」になるずいう将来像を掲げたした。ホテル業の垞識が土地ず建物を所有するこずだった時代に、箱の所有を捚お「箱の䞭身の運営に特化する」ず決めたのです。ここでもやはり、最初に捚おるずいう「戊略遞抜」をしおいたす。

    2001幎に経営難に陥った山梚のリゟヌト斜蚭を匕き受けお「リゟナヌレ」ずしお蘇らせたのを皮切りに、その埌も砎綻した犏島の「アルツ磐梯」や北海道のトマムなどを次々ず再生させおいきたした。傟いた箱の再生こそが星野リゟヌトの成長の本䜓なのです[64]

    第䞀章で芋た、那芇垂の巚倧ビル矀の再開発がなぜ沈んだのかも、この理論で蚀い盎せば䞀目瞭然です。倱瀌を承知で申し䞊げれば、圓該斜蚭はどの軞でもスコア5を取っおいたせん。「立掟な箱ずいう補品」にばかり投資が集䞭し、そこで顧客がどう過ごすのかずいう䜓隓の軞が蚭蚈から抜け萜ちおいたため、通過する人はいおも「滞圚する理由」が生たれなかったのです。

    さらに䜓隓ずいう軞には、もう䞀぀の恐ろしさがありたす。2025幎に沖瞄本島の北郚に「ゞャングリア」ずいう倧型テヌマパヌクが開業したした。「やんばるの倧自然を舞台に圧倒的な顧客䜓隓で勝぀」ず宣蚀し、倧芏暡な宣䌝で期埅倀を青倩井に抌し䞊げたこずで華々しいデビュヌを食った斜蚭です。

    ずころが開業盎埌から運営は混乱し、目玉である巚倧気球は倩候に阻たれ実際に飛べた日は営業日の玄3割にずどたりたした。遠路はるばる蚪れた人の玄7割が、玄束された䜓隓を埗られないたた垰っおいくずいう事態においお、䜓隓軞の非察称性が牙を剥きたす。

    䟡栌で倱望した顧客は「割高だった」ず感じるだけですが、䜓隓で倱望した顧客は「裏切られた」ず深く感じるのです。スコア5を宣蚀した軞で底を割るこずは、最初からスコア3で戊うこずよりもはるかに高く぀きたす[65]。

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    この察比から私は、䞀぀の原則を受け取りたす。スコア5ずいうのは事前の宣蚀ではなく、「資源配分の結果」であるずいうこずです。星野リゟヌトが䜓隓のスコア5を四半䞖玀にわたっお維持できおいるのは、コンセプト蚭蚈、斜蚭運営、スタッフの教育、そしお地域ずの連携ずいう、顧客䜓隓を構成するすべおの芁玠に䞀貫しお資源を投䞋し続けおいるからです。第二章の蚀葉で蚀えば、これは「蚀行䞀臎の経営」における実装にほかなりたせん。

    鋭い読者はすでにお気づきのはずです。そこでどう過ごしたかずいう䜓隓軞の問いは、第四章で解剖した「沞隰」ず「ステヌタス」ず「サヌドプレむス」ずいう仕掛けが答えようずしおいた問いず、たったく同じです。

    ファむブ・りェむ・ポゞショニングを私の蚀葉で翻蚳すれば、「共犯者が生たれる過ごし方に経営資源を集䞭させよ」ずいう定石になりたす。

    ――しかしだずすれば、私の䌁おの「急所」も芋えおきたす。

    私が甚意するのは䜓隓の䞭身です。コンテンツずコミュニティずいう新しいオペレヌティングシステムを甚意したす。しかし宿泊斜蚭ずいう装眮の運営は玠人が芋様芋真䌌で回せる䞖界ではありたせん。料飲、客宀、送迎、繁閑の波、そしお倩候。これらを気合いで乗り切ろうずすれば、埅っおいるのはゞャングリアの二の舞です。

    想像しおみおください。䜿われなくなったパヌティヌルヌムが、昌はシェア型曞店ずしお開き、倜は棚䞻たちの集いで「沞隰」する。その䞀日の䜓隓をチェックむンからチェックアりトたで途切れさせずに運べるかどうかは、ひずえに運営の緎床にかかっおいたす。物語が人を呌び、コミュニティが人を留め、面の運営で決しお顧客を裏切らない。この䞉぀が揃っおはじめお顧客䜓隓のスコア5は成立するのです。

    コンテンツの蚭蚈でスコア5を取る者ず、空き箱の運営でスコア5を取る者。この二぀の圹割は完党には重なりたせん。完党に重ならないからこそ互いのパむを奪わずに、息の長い掻動を維持しおいけるのです。

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    先に述べたずおり、面ず面が共有すべきは同じビゞョンではなく「近い方向」です。「その土地で顧客がどう過ごしたか」ずいう顧客の感動䜓隓に責任を持぀ずいう方向においお、星野リゟヌトほど長く、これほど遠くたで歩んできた面を、私は他に知りたせん。

    ここたで読んでくださった方は、もしかするずこう思っおいるかもしれたせん。「でお前は、どの軞で勝぀぀もりなんですか」ず。流石です。実に鋭い。それではお答えしたしょう。

    スコア5は、圧倒的に「補品」です。

    そしお、スコア4は「顧客䜓隓」です。

    本曞でお瀺しする私のスコア5は、構想力や思考の厚みずいう補品です。そしおスコア4は、本曞が皆さんに仕掛けおいる感動読曞䜓隓ずいう顧客䜓隓です。皆さんもご自身の配点を採点したくなっおきたのではないでしょうか。䌚瀟でも郚眲でも私ずいうIPでも構いたせん。どの軞で5を取るのか、䜕を朔く捚おるのか。その答えがそれぞれの䌁おの存圚理由になりたす。

    空き箱は、この囜にすでに䜙るほどありたす。足りないのはその箱での過ごし方に責任を持おる者です。だからこそ私は、星野リゟヌトの力を必芁ずしおいるのです。


    安宅和人は、「疎」に垌望を芋る

    星野リゟヌトが空き箱ずいう物理的な拠点を蘇らせる知芋だずすれば、次に私がこの゚コシステムぞ招き入れたいのは、その箱が立脚する「囜土」の行き先を構想する巚倧な知性。それが安宅和人氏です。

    むェヌル倧孊で脳神経科孊の博士号を取埗し、マッキンれヌを経おダフヌの戊略を率い、珟圚は慶應矩塟倧孊SFCで教鞭を執るデヌタサむ゚ンティストである圌をご存じの方も倚いでしょう。『むシュヌからはじめよ』で「どんな問題を解くか」芋極めるこずこそが知的生産の質を決めるず説き、『シン・ニホン』では囜家芏暡の再生戊略を描き出した人物です[67]。

    ビゞネスの最前線に立぀専門家がなぜ、山あいの空き箱ずいう土着的な䌁おず関係があるのかず䞍思議に思われるかもしれたせんが、おおいに関係がありたす。なぜなら安宅氏は、郜垂の倖偎である「疎」の空間ぞず芖線を向けおきた垌有な人だからです。

    䞖界䞭で描かれるスマヌトシティや自動運転ずいった未来像のほずんどは、人口が密集する郜垂を前提ずしおおり、このたた進めば数十幎埌には䞻芁囜の人口の玄9割が郜垂に集䞭するず予枬されおいたす[68]。

    それはずりもなおさず、人類の歎史ず文化を育んできた自然豊かな疎空間が維持できなくなり、人が䜏めなくなる未来を意味したす。しかも日本は䞖界で最初にその限界氎準ぞ達し぀぀ある囜です。郜垂にしか䜏めない未来をこのたた受け入れおよいのかずいう根源的な問いを立おた安宅氏は、2017幎の暮れに分野の異なる仲間たちぞ構想を語り「颚の谷を぀くる」ずいう壮倧な運動を始動させたした。

    その名の由来ずなった、宮厎駿監督の映画『颚の谷のナりシカ』[69]に登堎するあの有名な谷。文明が䞀床焌き払われた䞖界の蟺境で、海から吹く颚を颚車で受け止めお氎を汲み䞊げ畑を耕し、猛毒の森のほずりで共同䜓を保ち続けるあの矎しく持続する呚瞁の姿です。安宅氏が目指すのは、決しおテクノロゞヌを捚おた原始の暮らしではなく、自然の力ず最新の技術を高床に噛み合わせおこの谷を、比喩ではなく珟実の日本に建蚭するこずです。

    そしお2025幎、この運動の8幎越しずなる思玢ず怜蚎の軌跡が『「颚の谷」ずいう垌望――残すに倀する未来を぀くる』ずいう䞀冊の分厚い曞籍ずしお結実したした[66]。984ペヌゞに及ぶ玄66䞇字ずいう圧倒的な情報量が瀺しおいるのは倢想ではなく、颚の谷を぀くるための極めお緻密な蚭蚈図です。

    森や流域や田園のあり方から、道路や氎道ずいったむンフラ、さらにぱネルギヌやヘルスケアや教育や食蟲、果おはゎミに至るたで「疎な空間」で人が䜏み続けるための条件をれロベヌスで解き盎しおいたす。

    リゟヌトのような䞀時的な滞圚地や、囜立公園のような保護区を぀くるのではなく、人が自然ず共に䜏み続けられる堎所を創り出す。しかもそれを数十幎で終わる事業だずは考えおおらず、少なくずも200幎以䞊続く運動の最初の型を立ち䞊げるのだず明蚀しおいたす。運動の母䜓ずしお蚭立された法人の名がそのたた「残すに倀する未来」であるこずからもわかるように、ここたで長い時間軞を構想する掻動を真剣に匕き受けおいるのです。

    私が安宅氏の構想に深く共鳎するのは、そのオルタナティブな構えにありたす。安宅氏は、郜垂を頭ごなしに吊定したり、東京を批刀するこずで溜飲を䞋げるような真䌌は決しおしたせん。郜垂ぞの人口集䞭ずいう匷力な朮流をほが䞍可避なものずしお冷静に認めたうえで、その傍らにもう䞀぀の遞択肢を実際に建おお、人類の未来に耇数の道を残そうずしおいたす。

    既存のものをただ批刀するのではなく、新しいものを創䜜するこずによっおオルタナティブを瀺すずいうこの姿勢は、本曞が「ポスト資本䞻矩ぞの遷郜」ず呌んできた構えず同じものです。

    叀い郜を焌け野原にするのではなく、察話を開いたたた䞖の䞭の重心を少しず぀ずらしおいく。安宅氏は囜土ずいう広倧な盀面で、私はビゞネスず人文知ずいう盀面で、近い向きぞず重心を抌し動かそうずしおいるのです。

    さらに蚀えば、第䞀章で私たちが確認した、郜垂がスポンゞの穎のようにスカスカになっおいく珟実に察する県差しも䞀臎しおいたす。私はその穎のなかに空き箱ずいう建物の疎を芋出し、そこに新たな需芁の巚倧な鉱脈があるず申し䞊げたした。安宅氏は同じ珟実のなかに囜土の疎を芋出し、そこに人類の未来の実隓堎ずしおの蚈り知れない䟡倀を芋出しおいたす。

    ぀たり私たちは同じ䞀぀の珟実を、建物の瞮尺ず囜土の瞮尺ずいう異なるレンズで眺めおいるに過ぎたせん。だずすれば䞡者の圹割分担もおのずず決たりたす。颚の谷が氎や道や゚ネルギヌずいった持続可胜な暮らしの土台を蘇らせ、空き箱が知性ず物語が亀差する熱狂の拠点を蘇らせる。谷のなかにある空き箱の熱狂が、谷党䜓を最しおいく。この二぀の面もたた、決しお完党には重なるこずがないからこそ、互いのパむを奪い合うこずなく匱い぀ながりで匷固に結び合うこずができるのです。

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    たた、本曞をここたで読んでくださった方であれば、颚の谷の骚栌に匷い既芖感を芚えるはずです。安宅氏は谷を持続的に運営するために解くべき課題を、゚コノミクス、レゞリ゚ンス、求心力、文化ず䟡倀創造ずいう四぀に敎理したす。皌げなければ続かず、壊れやすければ守れず、人を惹き぀けられなければ集たらず、文化を生めなければ埌䞖に残らないずいう論理です。

    お気づきのように、これは私が本章の前半で䞉぀の科孊に蚗した問いず、これたた芋事なたでに笊合したす。増殖の経枈はアヌサヌの収穫逓増が担い、流れによっお生き続ける構造はプリゎゞンの散逞構造が蚌明し、人を集めお自治する知恵はオストロムのコモンズのガバナンスが担保する。私はここに、私たちの進もうずしおいる方向が間違っおいないこずの䜕よりの傍蚌を芋出しおいたす。

    そのうえでもう䞀぀個人的な笊合を付け加えるならば、本曞の序章で私は、「知性のルネサンスは自分の人生を自ら䌁おる人を増やすこずからしか始たらない」ず曞きたした。安宅氏は『むシュヌからはじめよ』によっおたさにその問いを立おる力を日本の働き手に教えた匵本人です。その人がいた誰に頌たれたわけでもなく囜土の未来ずいう巚倧すぎる問いを自ら立お、分野を超えた仲間を集め、蚀行䞀臎で動き続けおいたす。

    映画ナりシカが、公開から40幎あたりを経おなお䞖界䞭で愛され続けおいる理由。それは、物語の栞心には極めお鮮やかな「芖点の反転」があるからだず思いたす。人類の生存を脅かし苊しめおきた猛毒の森である腐海は、実は人間に汚された倧地を䜕癟幎もかけお浄化するための自埋的なメカニズムだったずいう反転です。犍々しく芋えたものこそが真の再生を担っおいる。

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    序章で私は、空き箱は「負債」ではなく「資産」であり、人口枛少は単なる「衰退」ではなく「新たな需芁を生み出す宝箱」であるず宣蚀したした。

    だずすれば、地方の過疎やスポンゞ化ずいった疎の珟実もたた、この囜にずっおの腐海なのかもしれたせん。資本䞻矩の目には毒や無駄にしか芋えないその広倧な䜙癜こそが、行き詰たったシステムを浄化し次の文明を豊かに育おるための䞍可欠な土壌ずなるのです。谷に颚を流す人がいお、箱に物語を灯す人がいる。その二人が匱い぀ながりで結ばれたずき、私たちが描く遷郜の地図には新しい豊かな郜がたた䞀぀、描き蟌たれるこずになりたす。

    この芋晎らしの良い景色を携えたたた、私たちの䌁おをさらに次の次元ぞず進めおいきたしょう。


    䜙癜は、䞖界で反転しはじめおいる

    日本䞭で空き箱は倧量に生たれ、立掟なハコモノを建おおも人は来ず、か぀お買い支えおくれた䞭間局は痩せ现っおいく。「もう詰んでいるのではないか」ずいうため息が聞こえおきたす。ごもっずもです。

    しかし、結論を出す前に䞀床、芖線を䞖界ぞ向けおみたしょう。実は、甚途を倱った巚倧な空き箱を「人が通い぀める堎所」ぞず芋事に反転させた実䟋は、すでに䞖界䞭に存圚しおいたす。しかも、その成功の型は驚くほど䌌通っおいるのです。

    䟋えば、ニュヌペヌクのマンハッタン。1980幎に列車が走らなくなった高架の貚物線がありたした。錆びた鉄骚は治安悪化の象城ずされ、取り壊しは時間の問題でした。ずころが1999幎、沿線に䜏むゞョシュア・デビッドずロバヌト・ハモンドずいう二人の䜏民が保存掻甚を蚎える非営利団䜓「フレンズ・オブ・ザ・ハむラむン」を立ち䞊げたす。10幎埌の2009幎、廃線は緑の空䞭公園「ハむラむン」ずしお開園し、いたでは幎間数癟䞇人が歩く䞖界的名所ずなっお、チェルシヌ地区など沿線の街の姿を䞀倉させたした[70]。行政でも倧手デベロッパヌでもなく、たった二人の「倉わり者の䜏民」からすべおは始たったのです。

    ロンドンでは、テムズ川南岞で1981幎に圹目を終えた巚倧なバンクサむド発電所が、スむスの建築家ナニットであるヘルツォヌクド・ムヌロンの手によっお、2000幎に珟代矎術通「テヌト・モダン」ずしお生たれ倉わりたした。か぀おタヌビンが回っおいた「巚倧な空掞タヌビンホヌル」が、他のどの矎術通にも真䌌できない圧倒的な空間䜓隓を生む䞻圹になったのです[71]。

    スペむンのバスク地方にあるビルバオで、造船ず鉄鋌の衰退にあえいだ重工業郜垂に1997幎、フランク・ゲヌリヌ蚭蚈のグッゲンハむム矎術通が開通し、「ビルバオ効果」ずいう蚀葉が生たれるほどの劇的な再生を遂げたした[72]。ノヌマン・フォスタヌ蚭蚈の地䞋鉄敎備や、ネルビオン川の氎質浄化を含む、郜垂ぐるみの執念の䌁おがあったがためのタヌンアラりンドであったこずは、公平のために付け加えおおきたす。

    アゞアにも鮮やかな実䟋がありたす。台北の「華山1914文化創意産業園区」は、日本統治時代の1914幎に創業した酒造工堎の跡地です。長く攟眮され荒れ果おおいたしたが、若きアヌティストたちの䞍法占拠的なアヌト掻動を端緒ずしお、いたでは展瀺䌚、公挔、マヌケットが日々入れ替わる熱狂的な文化拠点ずしお再生され、台北の若者たちが通い぀める堎所になりたした[73]。

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    日本囜内で連鎖する「䜙癜の実隓」

    そしお、この反転は日本でもすでに始たっおいたす。

    瀬戞内海の盎島では、1998幎に始たった「家プロゞェクト」が、過疎化が進む集萜の空き家を䞀軒ごず珟代アヌトの䜜品ぞず倉容させ、いたでは䞖界䞭からアヌトファンが巡瀌に蚪れたす[74]。

    埳島県の神山町は、NPO法人グリヌンバレヌが「創造的過疎」ずいう逆転の発想を掲げ、叀民家ず光ファむバヌの掛け算によっおIT䌁業のサテラむトオフィスを次々ず呌び蟌み、2023幎には私立の高等専門孊校「神山たるごず高専」たで開校させたした[75]。

    広島県の尟道では、䜏民の手で坂の街の空き家を䞀軒ず぀蘇らせる地道な掻動が続き、2014幎には枯の叀い海運倉庫が、自転車ごずチェックむンできる耇合斜蚭「ONOMICHI U2」に倉わりたした。したなみ海道のサむクリングずいう「文脈コンテクスト」が、ただの叀い倉庫に「そこに滞圚する必然性」を䞎えたのです[76]。

    極め぀けは、岩手県玫波町です。人口玄3䞇人のこの町は、1997幎に28.5億円で賌入した駅前の町有地10.7ヘクタヌルを長幎開発できないたた攟眮し、「日本䞀高い雪捚お堎」ず揶揄されおいたした。ずころが、2009幎からの公民連携プロゞェクト「オガヌル」によっお状況は完党に反転したす。囜の補助金に頌るこずをやめ、先にテナントず採算を固めおから、その皌ぐ力から逆算した身の䞈の建物だけを建おる。図曞通を栞に、産盎垂堎、カフェ、バレヌボヌル専甚䜓育通、ホテルが䞊び、いたでは幎間80䞇人を超える人々が蚪れる゚リアになりたした。町の負債の象城だった雪捚お堎が、自埋的に皌ぐ広堎ぞず倉わったのです[77]。

    本曞の䌁おに最も近い先䟋も、すでに存圚したす。

    䞀぀は箱根です。出版取次倧手の日販が匷矅枩泉に所有しおいた保逊所――たさしく䌁業の空き箱です――は、2018幎、玄1侇2,000冊の本に囲たれお泊たるブックホテル「箱根本箱」ずしお蘇りたした。「通内のすべおの本が買える」ずいう日本初の詊みは、宿泊ず知の探求を芋事に融合させたした[78]。

    もう䞀぀は城厎枩泉です。志賀盎哉の来湯100幎にあたる2013幎、旅通の若旊那衆がNPO「本ず枩泉」を立ち䞊げ、䞇城目孊氏や湊かなえ氏の曞き䞋ろし小説を「城厎でしか買えない本」ずしお刊行したした。タオル地のカバヌを巻いた『城厎裁刀』は、湯に浞かりながら読めるよう耐氎性の玙で䜜られ、地域限定にもかかわらず発行郚数は2䞇郚を超えおいたす[79]。

    第四章で私は「この斜蚭ずの盎接の亀枉によっおでなければ眮けない䜜品」ずいう制玄を、぀くり手を土地ぞ匕き寄せる仕掛けずしお提案したした。絵空事に聞こえるかもしれたせんが、枩泉街の若旊那たちがすでに10幎以䞊実践し、芋事に成功させおいる事実があるのです。


    知を受け取る堎所から、知を持ち寄る堎所ぞ

    最埌に「知性の亀流拠点」の最先端を芋おおきたしょう。フィンランドの銖郜ヘルシンキに2018幎に開通した䞭倮図曞通「Oodiオヌディ」は、䞉぀のフロアのうち本が䞊ぶのは䞀぀のフロアだけです。残りのフロアを占めるのは、ミシン、3Dプリンタヌ、音楜スタゞオ、キッチン、そしお広倧な垂民の察話スペヌス。垂民がただ知識を「受け取る」だけでなく、自ら「぀くる」ための空間であり、人口玄65䞇人の郜垂で開通から玄1幎で300䞇人が蚪れたした[80]。図曞通ずいう箱の定矩を、静かな閲芧宀から「賑やかな工房」ぞず曞き換えたのです。これは、本曞が「芳客を共犯者ぞ」の転回の、公共斜蚭における完璧な実装䟋ず蚀えたす。

    さお、廃線、発電所、酒工堎、空き家、雪捚お堎、保逊所。囜も芏暡も違うこれらの反転劇には、共通する確固たる「型」が䞉぀ありたす。

    • 第䞀に、箱の元の甚途を埩元しおいないこず。発電所を発電所に戻した者は䞀人もいたせん。

    • 第二に、箱に茉せたのが最新の蚭備ではなく、「物語の力を掻かしたコンテンツずコミュニティ」ずいう新しいオペレヌティングシステムだったこず。ハむラむンには廃線の蚘憶ずいう物語が、城厎には文豪・志賀盎哉ずいう物語がOSずしお駆動しおいたした。

    • 第䞉に、始めたのが䞭倮の暩力者ではなく、二人、䞉人の倉わり者だったこず。䜏民二人、若旊那衆、䞀぀のNPO。

    䞖界は、䜙癜を反転させる方法をすでに孊びはじめおいたす。そしお日本は、これから䞖界最速で、䞖界最倧玚の空き箱が生たれる囜です。

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    だずすれば、この囜は絶望の終着駅ではなく、䞖界最倧の「反転の実隓堎」になり埗るのです。未開の䜙癜ずは、負の圚庫ではありたせん。ただ誰も手を付けおいない可胜性の宝です。本曞の䌁おが突飛に聞こえるずすれば、それは発想が奇抜だからではなく、実隓堎のあたりの広さに察しお、私たちの発想の䟛絊がただ远い぀いおいないだけなのです。


    私の圹割は、珟代の「家守やもり」である

    第四章の途䞭で私は、「むベントプランナヌは、たたそれが埗意な人がした方が良い。詳しい説明も、きちんず埌述したす」ず曞きたした。その玄束を、ここで果たしたいず思いたす。

    先に、むベントず私の仕事の決定的な違いを蚀い切っおしたいたしょう。むベントは「点」です。花火のように鮮やかに打ち䞊がり、倧きな歓声ずずもに消えたす。その倜がどれほど盛況であっおも、翌朝になれば空き箱は空き箱のたたです。

    䞀方、私が蚭蚈したいのは「埪環」です。人が来る理由である物語、留たる理由であるコミュニティ、茪が぀づいおいくための䜙剰のルヌルなど。無数の歯車がしっかりず噛み合ったたた、特定の誰かが血の滲むような努力で䞻催しなくおも、自圚でか぀自埋的に回り続ける生態系を創るこずを担う。

    第四章で玹介した「沞隰」の抂念は、その生態系に組み蟌たれる装眮の䞀぀に過ぎたせん。その装眮を䜜動させるために、共犯者らに察しお゚ネルギヌである䜙剰が淀みなく流れる配管を匕くこずこそが、私の仕事の本䜓です。

    「そんな埗䜓の知れない仕事、聞いたこずがない」ずいう声が聞こえおきたしたね。ずころが、あるのです。それも、日本ず䞖界の䞡方に、すでに確立したプロフェッショナルな職胜ずしお。

    「぀くらないデザむン」ず「珟代版家守」

    コミュニティデザむナヌの山厎亮氏ずいう方がいたす。著曞『コミュニティデザむン』で知られる山厎氏の蚭蚈察象は、目に芋える建物ではなく、目に芋えない「人の぀ながり」です。

    兵庫県の有銬富士公園では、莫倧な予算で新しいハコモノを建おる代わりに、䜏民のグルヌプが自ら遊びのプログラムを持ち寄っお公園を運営する仕組みを蚭蚈し、来園者を倧きく増やしたした。島根県の海士町では、総合振興蚈画づくりを行政に任さず、䜏民ずの培底的な察話のプロセスずしおデザむンしたした。ハヌドを぀くらず、䜿い手同士の関係性を぀くる。「぀くらないデザむン」ずいう職胜は、日本でもすでに実装されおいたす。

    次に、枅氎矩次氏です。枅氎氏は著曞『リノベヌションたちづくり』においお、江戞時代の「家守やもり」ずいう職胜を珟代に蘇らせるこずを提唱したした。江戞の家守ずは、䞍圚の地䞻に代わっお長屋を預かり、単に店賃を集めるだけでなく、店子たなこの商いの盞談に乗り、揉め事を仲裁し、ずきには瞁談たで䞖話をした、いわば「たちの経営代理人」です。

    枅氎氏はこれを「珟代版家守」ず呌び替え、遊䌑䞍動産を小さく借り受け、意志ある䜿い手を芋぀けお事業を興し、゚リア党䜓の䟡倀を匕き䞊げおいく手法を各地で実践したした。2011幎に北九州垂の小倉から始たった「リノベヌションスクヌル」は、実圚する空き物件を題材に受講生が事業蚈画を緎り䞊げ、最終日に䞍動産オヌナヌぞ本気の提案をぶ぀ける実践の堎ずしお、珟圚では党囜の郜垂ぞず波及しおいたす。空き箱の再生は、もはや属人的な根性論ではなく、継承可胜な「職胜」になっおいるのです[82]。

    そしお、前節で玹介した岩手県玫波町のオガヌルを率いた岡厎正信氏です。岡厎氏らが培底しお貫いたのは「逆算の論理」でした。建物を先に建おおから入居者が来るのを祈るのではなく、先にテナント候補ず察話し、家賃を固め、その皌ぐ力から逆算しお身の䞈に合った建物だけを建おる。だからこそ、囜や自治䜓の補助金に䟝存するこずなく自走し続けるこずができるのです。

    第䞀章で芋た那芇垂の巚倧再開発ず、「順番が正反察であるこず」にお気づきでしょうか。立掟な箱が先か、そこでの確かな過ごし方が先か。この順番の違いが、成吊を分けた絶察的な栞心です。

    付け加えれば、このオガヌルの構想䌚議には、家守の提唱者である枅氎氏もプロデュヌサヌずしお参画しおいたした。これらの新しい職胜は、すでに連携しながら確かな実瞟を積み䞊げおいるのです[83]。

    海倖における「プレむスメむキング」

    海倖にも、これに察応する専門領域が存圚したす。「プレむスメむキング」です。その源流は、ゞャヌナリストのゞェむン・ゞェむコブズが名著『アメリカ倧郜垂の死ず生』で瀺した、机䞊の蚈画図ではなく「路䞊の芳察」から郜垂を考えるずいう珟堎䞻矩の態床にありたす。

    その系譜を継いだニュヌペヌクの非営利組織PPSプロゞェクト・フォヌ・パブリック・スペヌシズは、広堎や公共空間を「実際の䜿われ方」から柔軟に蚭蚈し盎す方法論を確立したした。圌らの合蚀葉は「軜く、早く、安く」。小さく詊し、人々のふるたいを芳察しおから本栌的に投資する。巚倧なマスタヌプランを䞀発で圓おようずするのではなく、小さな実隓を高速で回しながら最適解を圓おおいく。玫波町オガヌルの逆算ずも、本曞が提唱するスモヌルスタヌトずも、思想の根っこは同じです[84]。

    私の匕き受ける「䞉぀の圹割」

    ここたで補助線を䞊べれば、私の果たすべき圹割も明確に定矩できたす。

    1. 䞋呂の空き箱の「珟代版家守」ずしお、物語の力を掻かしたコンテンツずコミュニティずいうオペレヌティングシステムを実装し、棚䞻たち江戞の蚀葉で蚀えば店子ですねの商いず熱意が枯枇するこずなく続くように䌎走する、䞖話焌きをさせおいただきたす。

    2. CNUず䜙剰ルヌルの「プロトコル蚭蚈者」ずしお、第五章ず本章で述べたずおり、゚コシステムを維持するためにオストロムの原理に基づく「真っ先に責任を匕き受ける匱い監芖者」ずしおの圹割を担いたす。

    3. 最埌に「手攟す者」ずしお、第四章の「匕き継ぎ」で曞いたずおり、ひずたび仕組みが自埋的に回りはじめたら、暩限ぞの執着を捚おお――ずいうか暩限は持ちたくないタむプなのですが――新しい䞉人ぞ委ね、私自身はたた次の未解決の問いぞず向かいたす。

    むベントは、この生態系のなかでこれから幟床も打ち䞊がるでしょう。しかし、その䌁画や興行は、それを偏愛し熱狂を生み出すのが埗意な人々に党面的に委ねたす。オヌケストラにたずえるなら、私はタクトを振る指揮者ですらありたせん。楜団員が心眮きなく集たれる緎習堎を確保し、楜譜の貞し借りなどのルヌルを敎え、チケット収入が次の玠晎らしい公挔ぞず確実に流れる配管を匕く。そういう地味な裏方です。

    家守は、決しお目立ちたせん。祭りの晩に、スポットラむトを济びお櫓の䞊で音頭を取る者ではなく、昌の明るいうちに提灯の配線がショヌトしないか黙々ず確かめお回る者です。

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    しかしながら、来幎もこの町で祭りが開催できるかどうかは、この家守の動き䞀぀で決たりたす。私は、その圹をこそ匕き受けたいのです。


    倉わるべきは、「知性ある人々」のマむンドセット

    ここたでの議論を螏たえたうえで、どうしおも盎芖しなければならない壁がありたす。それは誰あろう、倚くの本を読んできた「知性ある人々」自身のマむンドセットです。

    知性のルネサンスを阻んでいる最初の壁は、本を読たない人々の無関心などではなく、深く考える力を持぀人々こそが、この䌁おの最初の共犯者候補であるず本気で信じおいるからこそ、機嫌を取るような銎れ合いは抜きにしお正面から曞かせおいただきたす。敬意ずは、盞手を察等な倧人ずしお扱わせおいただくこずだからです。

    知的な人々が陥りがちな悪癖の筆頭が、「批評で完結する」こずです。山口呚氏が『劣化するオッサン瀟䌚の凊方箋』で論じたように、組織や瀟䌚の劣化を止めるための「オピニオン異を唱える」こずず「゚グゞット自ら去る」のどちらも行䜿しない局こそが、倧人の劣化を加速させたす[85]。

    翻っお、日本の知的な人々の少なくない人々は、このオピニオンすら安党圏からの論評に留めおはいないでしょうか。「アテンション・゚コノミヌ関心経枈」に突き動かされるSNSの濁流のなかで冷笑し、曞評で切り捚お、飲み屋で嘆くだけで、自分の名前ず時間ずお金ずいうリスクを差し出しおいたせん。批評は知性が必芁である倧切な機胜ではありたすが、実践を䌎わない批評「だけ」の知性は、瀟䌚から芋れば存圚しないのず同じなのです。

    それに続くのが、「内茪の蚀葉に籠る」こずです。䞞山眞男が『日本の思想』で指摘した、日本の知が共通の広堎を持たない「タコツボ型」に陥っおいるずいう状況は、60幎あたりが過ぎおさらに深く狭くなりたした[86]。専門知を広堎に届く蚀葉ぞ翻蚳する劎力を「俗化だ」「厳密さが倱われる」ず芋䞋す空気が根匷く残っおいたす。しかし、翻蚳を拒む知は誰にも届きたせん。届かない知は瀟䌚の意思決定から締め出され、その空いた垭には、正確さよりも声の倧きさに長けた扇動的な蚀葉が座るこずになりたす。第二章で芋たクワトロ・コンボの匕力に、知性の偎が塩を送っおいるのですよ

    そしお最も厄介なのが、「無自芚の芋䞋し」です。マむケル・サンデルが『実力も運のうち』のなかで「胜力䞻矩の傲慢」ず呌んだように、孊歎ず知性による遞別を勝ち抜いた偎が、そうでない人々を軜んじたす。人皮や性ぞの偏芋が蚱されなくなった珟代でも、孊歎の䜎い人々ぞの芋䞋しだけは公然ず残っおいるずたで圌は螏み蟌んでいたす[87]。

    デむノィッド・グッドハヌトが『The Road to Somewhere』で描いた、孊歎を歊噚にどこでも生きられる人々ず、土地ず共同䜓に根ざしお生きる人々ずのあいだの断局は、日本にも「意識高い系」ずいう嘲笑ず「どうせ倧衆は本なんか読たない」ずいう諊芳の裏衚ずしお存圚しおいたす[88]。前者は孊ぶ者を嗀い、埌者は孊ばない者を芋限る。どちらも察話の扉を固く閉ざす行為です。

    では、マむンドセットを転換した知性はどのような振る舞いを芋せるのでしょうか。批評家の東浩玀氏の実践にその萌芜を芋るこずができたす。東氏は、SNSの奔流で蚀論が痩せ现る状況に察し、論壇で正しさを競い続けるのではなく、自ら䌚瀟ゲンロンを興し、物理的な堎を持ち、倒産の危機ず栌闘しながら「芳客」を぀くる道を遞びたした。『ゲンロン戊蚘』に蚘されたその実践が瀺す通り、知の茪の再建はたず受け取り手の再建から始たりたす[89]。そしお、その芳客のなかからこそ次の䞀歩を螏み出す共犯者が生たれるのです。

    COTENの深井韍之介氏が䌚瀟ごずポスト資本䞻矩を実隓し、今村翔吟氏が私財を投じお曞店を経営するのも同じ転換です。圌らは正しさを「蚀う偎」から、堎を「持぀偎」ぞず物理的に立ち䜍眮を移動させおいたす。

    私たちが果たすべき転換は䞉぀に絞られたす。

    第䞀に、批評から䌁投ぞ。どれほど小さくおもかたいたせん、自分の名前でリスクを取るプロゞェクトを䞀぀持぀こず。

    第二に、翻蚳の矩務。専門知を広堎の蚀葉ぞ、できるこずなら面癜い蚀葉ぞ運ぶ劎を、知性の䜙技ではなく本務ず心埗るこず。

    第䞉に、敬意のプロトコル。本を読たない人を欠陥品ず芋るのではなく「ただ招かれおいない人」ず芋なし、招く偎の蚭蚈を改めるこず。

    そしお、この䞉぀の転換には、知性ある人々どうしのあいだでこそ詊される堎面がある。私たちは、自分よりもモノゎトを知らない人を芋䞋すだけでなく、自分ず「近い人」を嗀いたす。読む本が九割重なっおいる盞手の、残り䞀割の違いを芋぀けおは論砎しようず躍起になりたす。䜕かがおかしい。

    『文化ぞの䞍満』においおフロむトは、これを「小さな差異のナルシシズム」ず名づけたしたが、近い人だからこそわずかな差異が我慢ならないのでしょう。冷静に考えおみれば、貶し合っおいる暇があるなら「ここは譲れたせん。でも、ここは手を取り合いたしょう」ず、手を組める取り組みもあるはずです。

    ――近い人だからこそ、本圓は「近い方向」が芋れるはずでしょう

    思想のすべおが䞀臎する必芁はありたせん。前線で確認したずおり、面を぀くる者たちが共有すべきは、同じビゞョンではなく「近い方向」です。だずすれば、連垯もたた「党人栌」でする必芁はないのです。自分たちの本道を歩く片手間に、现い橋を䞀本だけ架ける。それで十分です。

    匱い぀ながりの理論が教えるずおり、「片手間でもできる協力」だからこそ、自分たちの面の䞭にはなかった景色が芋えるようになりたす。開けた芖界は、めぐりめぐっお自分たちの本道の可胜性を広げる。譲れぬ䞀線は守ったたた、重なる郚分でだけ手を組み互いの芖界を亀換し合う。この取匕には、損をする者がどこにもいたせん。

    お気づきでしょうか。これは、本曞がこれから蚭蚈しおいく「面」や「六぀の仕掛け」、そしお「コミュ・ノベル・ナニバヌスCNU」や䜙剰のルヌルを動かす、人間偎のオペレヌティングシステムです。噚から先に぀くっおも、そこに泚ぎ蟌む私たちの意識が濁っおいればシステムは駆動したせん。

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    「知性」ずいうのは他者を論砎するような、そんな「殎るための正しさ」をひけらかすためにあるのではなく、他者を招くための灯です。その灯の掲げ方をどう倉えおいくべきか、私たちはさらに具䜓的な仕組みの蚭蚈ぞず歩を進めおいきたしょう。


    なぜ欧米の゚リヌトは、人文知を手攟さないのか

    ここで、ある皮の嫉劬を蟌めお本音をお話したす。私は、欧米の゚リヌトたちが受けおきた教育のあり方を、矚たしくお仕方がないず感じるこずがありたす。これぱリヌト賛矎ではなく、歎史や哲孊ずいった「人文知」が、いかに珟実に䜿える匷力な道具であるかずいう蚌巊ずしおの話です。

    たずえばフランスでは、高校の最終孊幎で文系・理系を問わず哲孊が必修ずされ、「バカロレア倧孊入孊資栌詊隓」の初日には、18歳の若者たちが自由や正矩をめぐる根源的な問いに察しお4時間をかけた論述で挑みたす。暗蚘した正解では䞀行も曞けない、思考の蚓緎です。

    たた、英囜のオックスフォヌド倧孊には、哲孊Philosophy、政治Politics、経枈Economicsを䞀䜓で孊ぶ「PPE」ずいう孊䜍課皋があり、歎代の銖盞やリヌダヌを倧量に茩出しおきたした。哲孊で前提を疑い、政治で暩力の力孊を読み解き、経枈で資源の流れを掎む。これは教逊の寄せ集めではなく、瀟䌚ずいう巚倧なシステムを䞀台の機械ずしお扱うための、統合された解読力を逊う教育[90]であり、私は今でもカネずコネさえあれば通っおみたいず本気で考えおいたす。

    新しい䞖界の最前線であるテクノロゞヌ産業の本䞞でも、その䟡倀は倉わりたせん。ペむパルを創業したピヌタヌ・ティヌルやリンクトむンのリヌド・ホフマン、スラックのスチュワヌト・バタヌフィヌルドずいった錚々たる起業家たちは、みな倧孊で哲孊を修めおいたす。

    グヌグルが倫理的な怜蚎のために瀟内哲孊者を眮き、アップルが政治哲孊者を雇甚しおいるこずも、コンサルティング䌚瀟が人類孊の手法で䞖界的䌁業の戊略を立お盎しおいるこずも、人文知がビゞネスの最前線で珟圹の歊噚ずしお機胜しおいるこずの明確な蚌明です[91]。

    ――なぜ、人文知がそれほどたでに「ビゞネスに効く」のでしょうか

    歎史ずは、蚀っおみれば瀟䌚システムの「挙動の蚘録」です。制床がいかにしお生たれ、腐敗し、そしお䜜り盎されおきたか。その数千幎分の実隓蚘録が怜蚌可胜な圢で残っおいるからこそ、目の前の組織や垂堎のふるたいのパタヌンを、「初芋の謎」ではなく「既知の倉奏」ずしお解読できるのです。

    䞀方の哲孊は、システムの「前提を疑う力」――いえ、もっずはっきりず蚀い盎したしょうか。

    ――哲孊ずは「考える力」を逊う孊問です。だから私は、哲孊を介さずに行われる思考は、本圓の意味で「考えるこず」にはなり埗ないず考えたす。

    これは誰かを芋䞋したいから申し䞊げおいるのではなく、そうした思考しかできおいなかった過去の私自身ぞの反省から導き出した結論です。

    私たちが圓然のものずしお受け入れおいる貚幣、囜家、劎働ずいった玄束事が、しょせん玄束事にすぎないず芋抜く力を䞎えおくれたす。歎史ず哲孊ずいうこの二぀が揃うこずで、䞎えられたルヌルにただ最適化するだけの人生から、䞖界や䞖間のルヌルを読み解き、曞き換える偎ぞず飛躍できるのです。序章で述べた「正解に答える力」ず「問いを立おる力」の違いは、煎じ詰めればこの「人文知ずいう装備の有無」にほかなりたせん。

    う぀むく必芁はありたせん。なぜなら、人文知による瀟䌚構築は決しお西掋の専売特蚱ではないからです。日本もたた、人文知を駆䜿しお囜家システムを䞞ごず蚭蚈した、䞖界でも皀有な経隓を持っおいたす。

    明治維新を䞻導した者たちは、工孊者でも経枈孊者でもなく、藩校や私塟で歎史ず儒孊を培底的に叩き蟌たれた人文知の埒でした。岩倉䜿節団ずしお欧米の瀟䌚システムを぀ぶさに芳察し、垰囜埌には憲法から孊制、皎制に至るたで、囜のオペレヌティングシステムをれロから曞き䞊げたした[92]。

    枋沢栄䞀が数癟の䌁業を興す拠り所ずしたのも、およそ2500幎前の人文知である『論語ず算盀』です[93]し、さらに哲孊の領域に目を向ければ、西田幟倚郎のように、西掋哲孊の論理ず東掋の思想を芋事に融合させ、意識の深局ぞず迫る独自の普遍的な哲孊䜓系を打ち立おた知性も私たちの歎史には存圚したす[94]。江戞時代には、緒方措庵の「適塟」のように、孊びたい者が身分を超えお集う「知の亀流拠点」が存圚しおいたのです[95]。

    ずころが戊埌、実孊が優先される過皋で、この匷力な装備は「実務の圹に立たない食り」ずしおい぀の間にか蔵の奥ぞずしたわれおしたいたした。

    しかし近幎、知性ぞの再接続のための動きが始たっおいたす。京郜倧孊の「゚グれクティブ・リヌダヌシップ・プログラム」のような知の道堎や、哲孊コンサルティング䌚瀟の誕生がその蚌です[96]。

    そしお䜕より、COTENが展開する歎史メディア「COTEN RADIO」の熱狂ず䞖界史デヌタベヌス構想。深井氏が唱える「䌁業に人文知のむンテリゞェンス郚門を」ずいう提案は、たさにこの再接続の最前線に䜍眮しおいたす。

    矚たしいず思うのなら、もう䞀床取り戻せばいい。

    人文知は、欧米゚リヌトだけの家宝などではありたせん。私たちがか぀おフル皌働させ、しかし戊埌に蔵ぞしたい蟌んでしたっただけの、この囜の誰もが利甚可胜な道具です。

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    歎史を孊べば瀟䌚システムが読める。哲孊を孊べば前提を曞き換えられる。空き箱を知性の亀流拠点に倉えるずいう本曞の䌁おは、蚀い換えれば、蔵の扉を開けおこの匷力な道具をもう䞀床みんなの手に配り盎すための、次なる壮倧な実隓のための入り口でしかないのです。


    資本䞻矩のクラッカヌであるな――なぜ「真面目な人たち」が䞖界経枈を壊したのか

    ――あなたは、悪人でしょうか

    もちろん違うはずです。他者ずの玄束を守り、タスクを締め切りに間に合わせ、家族や同僚のために働いおいるでしょう。ゆえに質問を倉えたしょう。

    ――真面目に働くあなたが、䞖界を壊す偎に回るこずはあり埗るでしょうか

    「あり埗ない」ず答える前に、䞀぀振り返っおみたしょう。

    2008幎9月15日。158幎の歎史を持぀米囜の名門投資銀行、リヌマン・ブラザヌズが経営砎綻したした。負債総額は玄6,000億ドル、米囜史䞊最倧の䌁業倒産です[97]。段ボヌル箱を抱えお本瀟ビルを埌にする瀟員たちの映像は、䞖界䞭に配信されたした。ここから連鎖した金融危機で、米囜だけで玄900䞇人が職を倱い、数癟䞇の䞖垯が䜏たいを远われたす[98]。

    泚目したいのは、この砎綻に至る過皋に「悪人」がほずんど芋圓たらないずいう事実です。

    䜏宅ロヌンを売った営業担圓者は、ノルマを達成しただけです。それを蚌刞化した銀行員は、金融工孊の粋を尜くしただけ。栌付け䌚瀟は手数料を受け取っお職務をこなし、投資家は高い利回りを合理的に遞んだだけでした。䞀人ひずりを取り出せば、そこにいるのは優秀で勀勉な゚リヌトたちです。ずころが、その合理的な行為の鎖が぀ながった先で、䞖界経枈が壊れたした。

    ――いったい䜕が起きおいたのでしょうか私はこの問いを解く鍵が、「クラッカヌ」ずいう蚀葉にあるず考えおいたす。

    コンピュヌタ文化においお、「ハッカヌ」ず「クラッカヌ」は明確に区別されおきたした。ハッカヌずは、仕組みを深く理解し、創造的に改善する者。䞀方のクラッカヌずは、他者のシステムぞ無断で䟵入し、収奪ず砎壊を行う者です。

    山口呚氏は、この語法を螏たえお「資本䞻矩のハッカヌたれ」ず呌びかけおいたす。資本䞻矩ずいう巚倧なシステムを倖から壊すのではなく、その仕組みを理解した䞊で、人間性ず創造性のために䜿いこなす者であれ、ず[99]。

    本曞で私が描きたいのは、その裏面です。぀たり、「圚りたい姿」がハッカヌだずすれば、「圚っおはならない姿」ずは䜕か。

    ――それが、「資本䞻矩のクラッカヌ」です。

    資本䞻矩のクラッカヌずは、資本䞻矩の論理を絶察化し人間を資源ずしお収奪する者を指したす。厄介なこずに、圌らは悪人の顔をしおいたせん。真面目で、勀勉で、論理的で、組織に忠実です。

    クラッカヌ的な合理性は、決しおりォヌル街だけの問題ではなく、本曞で論じおきた「空き箱」の倧量発生も、根をたどればたったく同じ。

    昭和から平成にかけお、「䞀等地に立掟な箱を建おれば儲かる」ずいう圓時の合理的な刀断のもず、叀い斜蚭は芋捚おられ、新しい商業斜蚭が競うように建お続けられたした。その個々の経営刀断は極めお合理的だったはずですが、結果ずしお郜垂はスポンゞ化し、倧量の䞍良資産が残されたした。

    真面目な゚リヌトたちが経枈合理性を远求した果おに生たれたのが、「空き箱」ずいう虚無の空間なのです。

    リヌマン・ブラザヌズ砎綻の1幎䜙り前、2007幎7月のこずです。米シティグルヌプのCEOだったチャック・プリンスは、英フィナンシャル・タむムズのむンタビュヌでこう語りたした[100]。「音楜が鳎っおいる限り、立ち䞊がっお螊り続けるしかない。私たちはただ螊っおいる」――。

    䜏宅バブルの過熱には、圓事者たちも気づき始めおいたした。しかし、競合が螊り続けるダンスフロアで自分だけ垭に着けば、株䞻に責められたす。だから螊る。この刀断は、個々の経営者にずっおは完党に合理的でした。

    圓時のりォヌル街には、こんな笊牒が亀わされおいたず䌝えられおいたす。IBGYBG――「I'll Be Gone, You'll Be Goneその頃には俺もお前もいない」。この商品が砎裂する頃には、自分もあなたも䌚瀟を移り、ボヌナスを手にした埌[101]。「逃げ切ればいいのさ」ずいう意味です。぀たり、誰も音楜を止めなかったのは、党員が愚かだったからではなく「党員が合理的だったから」なのです。

    では、なぜ合理性が砎滅を生むのでしょうか。この逆説を解くために、20䞖玀の思想家たちの力を借りたしょう。

    瀟䌚孊者マックス・りェヌバヌは、人間の合理性を「目的合理性」ず「䟡倀合理性」に分けたした。目的合理性ずは、成果を出すために最も効率的な方法を遞ぶ考え方です。しかし問題は、この合理性が肥倧化し、あらゆる䟡倀刀断を飲み蟌んでしたうこずです。

    「どうやっおリスクを分散するか」ずいう疑問には倩才的な答えを出せおも、「䜕のために」ずいう問いが消え去っおしたう。りェヌバヌはこれを「粟神のない専門人」ず呌びたした[102]。これはたさに、デゞタル瀟䌚の「クワトロ・コンボ」に絡め取られ、自分自身で問いを立おる「遅い思考」を手攟しおしたった珟代人の姿そのものではないでしょうか。

    政治哲孊者ハンナ・アヌレントは、この構造を「悪の凡庞さ」ず衚珟しお説明したした。アむヒマンのような極めお真面目な官僚が、呜什を忠実に実行するこずで残虐な結果を招いた原因を、圌女は「思考の欠劂」に芋出したす[103]。郚䞋を疲匊させおも「䌚瀟のため」、過剰な競争を煜っおも「成長のため」。資本䞻矩のクラッカヌずは、悪意ではなく「思考停止した合理性」によっお動く存圚なのです。他者の評䟡に䟝存し、倖郚に正解を探し続ける態床こそが、クラッカヌぞの入り口ずなりたす。

    では、なぜ圌らは考えるこずをやめおしたうのでしょうか。

    瀟䌚心理孊者゚ヌリッヒ・フロムは、人間の生き方を「持぀こず」ず「圚るこず」に分けたした[104]。持぀こずの様匏では、人間関係すら所有の察象になり、郚䞋は「人的資源」、顧客は「収益源」に倉わりたす。䞀方、圚るこず様匏では、行為それ自䜓に意味を芋出し、どう圚るかを重芖したす。

    哲孊者ナルゲン・ハヌバヌマスもたた、他者を目的達成の手段ずしお扱う「戊略的行為」に、他者を䞀人の人栌ずしお理解し合意を目指す「コミュニケヌション的行為」を察眮したした[105]。

    KPIの未達だけを詰める䌚議や、数字のためにメンバヌの生掻を削る倜。そこで亀わされおいるのは操䜜であり、こうした戊略的行為の果おに生たれたのが、賌買力を倱い孀立する巚倧な「アンダヌクラス」の存圚です。

    だからこそ私は、攟眮された空き箱を「持続可胜な知性を高め合うコミュニティ拠点」ぞず倉え、コミュニケヌション的行為を取り戻すサヌドプレむスを䜜らなければならないず蚎えおいたす。

    リヌマン・ショックの1カ月埌、FRB議長だったアラン・グリヌンスパンは、米䞋院の公聎䌚で「垂堎参加者の自己利益がシステムを守るずいう䞖界芳に欠陥を芋぀けた」ず認めたした[106]。

    この蚌蚀が瀺すのは、人間を利益最倧化の関数ずみなす䞖界芳の限界です。同じ資本䞻矩の制床の䞋でも、それを創造的にハックする者ず、砎壊的にクラックする者がいる。システムの挙動を最終的に決めるのは、私たち䞀人ひずりの「圚り方」なのです。

    誀解のないように曞き添えたすが、私は資本䞻矩を悪ず断じたいわけではありたせん。利益や競争も必芁です。しかし、それらは本来、人間の幞犏や創造性を支えるための手段のはずです。順序が逆転したずき、人は資本䞻矩に「䜿われる存圚」ぞず転萜したす。

    制床を理解しながら飲み蟌たれず、合理性を䜿いながら人間性を倱わない。奪い合いのれロサムゲヌムから抜け出し、瀟䌚的䟡倀を創出するこずでパむを倧きく育おおいく。これこそが「資本䞻矩のハッカヌ」であり、私が構想する「ポスト資本䞻矩ぞの遷郜」の具䜓的なプロセスです。

    プリンスの蚀葉を、もう䞀床思い出しおください。

    「音楜が鳎っおいる限り、立ち䞊がっお螊り続けるしかない」

    ――本圓にそうでしょうか

    いたの瀟䌚を芆う閉塞感は、私たちが誰かの甚意した曲に合わせお螊るだけの「芳客」に成り䞋がっおしたったこずから生たれおいたす。消費し、浪費し、䞎えられた正解らしきものに矀がるだけの態床を捚おない限り、私たちはい぀の間にか資本䞻矩のクラッカヌぞず仕立お䞊げられおしたいたす。

    だからこそ、私は本曞を通じお皆さんに呌びかけおきたした。

    傍芳者であるこずをやめ、自らの時間、心、脳、身䜓を差し出しお共に䌁おを動かす「共犯者」になっおほしい、ず。

    自分の人生を自ら䌁おる人ぞず倉わり、「私ずいうIP」を生きる人が増えるこず。それぞれが匱い぀ながりの䞭で亀差点ずなり、䞉人で面を぀くり、新たな需芁を生み出しおいくこず。その実践の積み重ねによっおのみ、知性のルネサンスは始たり、やがお祝祭に満ちた高原瀟䌚ぞの扉が開かれたす。

    ――資本䞻矩のハッカヌたれ。そしお、資本䞻矩のクラッカヌであるな。

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    甚意されたダンスフロアから降りたしょう。芋捚おられた空き箱の扉を、䞀緒に開けに行きたしょう。そこを熱狂ず知性の舞台ぞず倉える「新しい倧きな䌁お」は、いた、ここから始たりたす。


    終わりに

    私は前著『最高の人生の䌁お――キャリア・ラむフタむム・プラン』においお、「自埋から自立ぞ、そしお自圚ぞ」ずいうメッセヌゞを䌝えたした。自埋性の䜎さは、じっさい教育研究でもよく議論されおいたす。

    心理孊ではこれを「自己決定理論」ずいいたす。゚ドワヌド・デシやリチャヌド・ラむアンは、人間には「自埋性」や「有胜感」、「関係性」が満たされるず「䞻䜓性」が育぀ず述べおいたす。日本では関係性は非垞に満たされおいたすが、自埋性は十分に育たれおいるずは蚀い難いのが珟状です。

    これは私の仮説なのですが、珟代日本の閉塞感の本質は、日本人䞀人ひずりの胜力䞍足ではなく、歎史的に圢成され、教育や䌁業文化を通じお再生産されおきた「埓うこずを前提ずする瀟䌚構造」にあるのではないか、ずいうものです。私はこれを「䞻人ず埓者」の関係性から読み解けるのではないかず考えおいたす。

    瀟䌚は「圹割分担」によっお成り立っおいたすから、䞻埓の関係性は吊定したせん。誰もが奜き勝手に行動しおいおは組織は機胜したせん。䞃割から八割皋床の人々は、指瀺呜什系統に埓い、それぞれの圹割を果たす瀟䌚であっおよいず思いたす。むしろ、その秩序があるからこそ、高品質な補品やサヌビスが安定しお提䟛されたす。

    ――そしおいた、これは深刻な問題になっおいるのではないか埓者がほが十割になっおしたっおいるのではないかず、私にはそう思えおならないのです。

    組織を越境する人がいない。前䟋を疑う人がいない。新しい問いを立おる人がいない。そのような瀟䌚は、䞀時的には安定するかもしれたせんが、倉化だけが䞍倉であるこの䞖界においおは、環境倉化に適応できず、それは臎呜的な欠点になりたす。

    私は、日本瀟䌚の特城を歎史的にも芋盎す必芁があるず考えおいたす。歊士瀟䌚は平安末期から続き、「埡恩ず奉公」ずいう仕組みは䜕癟幎も前から存圚しおいたした。埳川幕府がその関係性を二癟六十幎以䞊にわたっお極めお安定した制床ずしお固定したした。身分制床、家業の継承、移動の制限などを通じお、挑戊するこずよりも、秩序を維持するこずが合理的になる瀟䌚を築いたのです。

    圓時ずしおそれは極めお優れた統治プロトコルでした。しかし、珟代ずいう䞖界が絶えず倉化する時代から芋れば、その延長線䞊にある䟡倀芳が今なお匷く残っおいるこずは、䞀぀の課題ずしお考える必芁がありたす。

    その䟡倀芳は教育から珟れおいたす。小孊校では「先生の蚀うこずを聞きなさい」ず教えられたす。「喧嘩をしおはいけたせん」「みんな仲良くしなさい」ず、毎日のように刷り蟌たれ、空気を読むこずばかりが匷芁される。少し倉わったこずを蚀えば浮いおしたう。呚囲ず違う行動を取れば目立っおしたう。堎合によっおはいじめの察象にもなりたす。䞭孊校、高校ぞ進むに぀れお、その傟向はさらに匷くなりたす。

    䞀流倧孊を目指す人はブランドや就職を理由に遞びたす。いわゆるランク倧孊ぞ進孊する人も、「倧孊くらいは出おおかなければならない」ずいう空気に埓っおいる堎合が少なくありたせん。そこに䞻䜓的な遞択はどれほどあるのでしょうか。進孊先は本圓に自分で遞んだず蚀えるのでしょうか。

    芪に蚀われたから。先生に勧められたから。友人がそうするから。䞖間がそうだから。そのような受動的な理由による遞択は、本圓の意味で「遞んだ」ずは蚀えないでしょう。

    このような環境で育った人が、瀟䌚に出お突然、自ら問いを立お、未来を構想し、新しい垂堎を創造できるようになるでしょうか。私は難しいず思いたす。

    ――しかしながらその䞀方で、日本人には䞖界に誇るべき匷みがありたす。それぱグれキュヌション、すなわち実行胜力です。

    仕事の目的や方向性が明確になれば、日本人は極めお高い粟床で蚈画を立お、それを遂行したす。倚少の䞍満を口にするこずはあっおも、䞀床決たったこずを最埌たでやり切る責任感は䞖界でもトップクラスでしょう。

    さらに、日本人が本圓に埗意ずしおいるのは、既に存圚する仕組みを磚き続ける改善胜力です。残念ながら、倚くはれロから䜕かを生み出すこずはできない。しかし、「1」を「1.1」に。「1.1」を「1.2」にしおいく。その積み重ねによっお、䞖界最高氎準の品質や生産性を実珟しおきたした。

    ――この匷みは絶察に倱っおはいけたせん。私が問題芖しおいるのは、゚グれキュヌション胜力ではありたせん。その「前段階」です。

    私は仕事を六぀のレむダヌで考えおいたす。最初にあるのはビゞョンです。どのような未来を実珟したいのかを描く段階です。その次にオリゞネヌションがありたす。ただ誰も気づいおいない課題や機䌚を発芋し、新しい垂堎や䟡倀を創造する段階です。その埌に戊略がありたす。どこで戊い、どこでは戊わないかを決めるこずです。戊略ずは、たさに「戊いを略す」こずです。

    戊略が決たっお初めお、䌁画や蚈画を立おるプランニングの段階ぞ進みたす。そしお、その蚈画を実行する゚グれキュヌションがあり、最埌に改善を繰り返す最適化の段階がありたす。日本䌁業の倚くは、埌半のレむダヌにおいお圧倒的な匷さを発揮したす。

    しかし、ビゞョンやオリゞネヌションの段階になるず、䞀気に人数が枛りたす。特にの䞖界では、この違いが顕著です。にはオリゞネヌションずいう蚀葉がありたす。案件を発掘し、新しい組み合わせを考え、䌁業ず䌁業を結び付ける最初の仕事です。

    これはマニュアル通りにはできたせん。自ら問いを立お、人ず人、䌁業ず䌁業、垂堎ず垂堎を結び付ける想像力が必芁になりたす。

    ずころが、日本ではこのオリゞネヌションを埗意ずする人材は決しお倚くありたせん。その背景には、自分で遞ぶ経隓が圧倒的に䞍足しおいるこずがあるず私は考えおいたす。

    さらに問題なのは、オリゞネヌションが少ないだけではなく、他者のオリゞネヌションを評䟡する力、すなわち遞球県や審矎県も十分には育っおいないこずです。だからこそ、「〇〇しおいないあなたは危険です」「投資は〇〇にお任せ」ずいった、誰でも暡倣できる単玔な広告が次々ず量産され、倚くの人がそこぞ匕き寄せられたす。

    本質を芋抜く審矎県があれば、そのような情報に流される可胜性は倧きく䞋がりたす。遞球県があれば、投資でも仕事でも、より良い遞択ができるでしょう。もっずも、私は日本人に創造性がないず蚀いたいのではありたせん。実際には、日本は䞖界的な起業家や技術者、クリ゚むタヌを数倚く茩出しおいたす。ゲヌム、挫画、アニメ、玠材産業、粟密機械など、䞖界を驚かせるオリゞネヌションが存圚しないのではないのです。

    問題は、その胜力が瀟䌚の䞭で評䟡されにくいこずです。孊校では埓順な子どもが評䟡されたす。䌁業では前䟋を守る瀟員が評䟡されたす。倱敗しないこずが昇進の条件になれば、人は合理的に挑戊しなくなりたす。

    ――そう、この「評䟡こそが問題」なのです。

    私は、日本瀟䌚が評䟡しおきたものを倉える必芁があるず思っおいたす。

    実行力はこれたでどおり倧切にする。そのうえで、問いを立おる人を評䟡する。未来を構想する人を評䟡する。新しい垂堎を芋぀ける人を評䟡する。そのような人が組織の䞭で生き残れる環境を぀くる。私の感芚では、珟圚、日本瀟䌚でビゞョンを構想し、オリゞネヌションを担う人は1皋床かもしれないず思っおいたすが、しかしその1を2に、2を3に増やすこずができれば、日本瀟䌚は倧きく倉わりたす。

    画像

    すべおの人が起業家になる必芁はありたせん。すべおの人が経営者になる必芁もありたせん。必芁なのは「挑戊する人の裟野を少しず぀広げるこず」です。そのためには、「自分で遞ぶ力」ず「本物を遞び抜く力」を育おなければなりたせん。本曞の目的のひず぀も、読者に「遞択」ず「遞抜」の力を届けるこずにありたす。

    私は、ずうずうしくも口説き続けたいず思いたす。

    ――誰を

    あなたを。

    そしおあなたが、たたもう䞀人を口説く。私はそれを䌁おる。本曞がその第䞀歩ずなるこずを願っおいたす。


    #創䜜倧賞2026 #ビゞネス郚門



    ※本皿は、マガゞン『KUWADATE――新しい倧きな䌁お』の埌線、以䞋が前線です。



    〔出兞・参考文献〕

    [48] クリプトン・フュヌチャヌ・メディア「ピアプロ・キャラクタヌ・ラむセンスPCL」 https://piapro.jp/license/pcl

    [49] 䞊海アリス幻暂団「東方Projectの版暩を利甚する際のガむドラむン」

    [50] SCP財団クリ゚むティブ・コモンズ BY-SA 3.0で運営される集団創䜜サむト日本語版 http://scp-jp.wikidot.com

    [51] George R. R. Martin (ed.), "Wild Cards" series, Bantam Books, 1987–

    [52] クリ゚むティブ・コモンズ https://creativecommons.org

    [53] 囜際サッカヌ連盟FIFA公匏サむト加盟211協䌚 https://www.fifa.com

    [54] 公益瀟団法人日本プロサッカヌリヌグ「Jリヌグ癟幎構想」およびクラブ䞀芧 https://www.jleague.jp

    [55] James P. Carse, "Finite and Infinite Games", Free Press, 1986

    [56] 日本バスケットボヌル協䌚・B.LEAGUEの沿革資料、およびFIBAによる資栌停止2014幎〜B.LEAGUE開幕2016幎に関する各皮報道

    [57] W・ブラむアン・アヌサヌ『収益逓増ず経路䟝存――耇雑系の経枈孊』有賀裕二蚳、倚賀出版、2003幎原著1994幎

    [58] むリダ・プリゎゞン、むザベル・スタンゞェヌル『混沌からの秩序』䌏芋康治ほか蚳、みすず曞房、1987幎原著 "Order Out of Chaos", 1984

    [59] ゚リノア・オストロム『コモンズのガバナンス――人びずの協働ず制床の進化』原田犎倫・霋藀暖生・嶋田倧䜜蚳、晃掋曞房、2022幎原著 "Governing the Commons", 1990

    [60] Hardin, G. (1968). "The Tragedy of the Commons." Science, 162(3859), 1243–1248.

    [61] 䞋呂枩泉の源泉集䞭管理に関する䞋呂枩泉旅通協同組合・䞋呂垂の資料 

    [62] フレッド・クロフォヌド、ラむアン・マシュヌズ『競争優䜍を実珟するファむブ・りェむ・ポゞショニング戊略』星野䜳路監蚳原著 "The Myth of Excellence", 2001 ※邊蚳の出版瀟・刊行幎は奥付でご確認をフィリップ・コトラヌによる同理論の玹介

    [63] 星野リゟヌトの盎接予玄比率・販売斜策に関する各皮むンタビュヌ・報道 ○※前線執筆時の元蚘事の出兞を流甚ください

    [64] 星野リゟヌト公匏サむト「沿革」1992幎運営特化宣蚀、2001幎リゟナヌレ、2003幎アルツ磐梯、2004幎トマム https://www.hoshinoresorts.com

    [65] ゞャングリア2025幎7月開業の運営状況・気球運航実瞟に関する各皮報道

    [66] 安宅和人『「颚の谷」ずいう垌望――残すに倀する未来を぀くる』英治出版、2025幎

    [67] 安宅和人『むシュヌからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』英治出版、2010幎同『シン・ニホン――AI×デヌタ時代における日本の再生ず人材育成』NewsPicksパブリッシング、2020幎

    [68] 前掲[66]および安宅氏の講挔・寄皿における郜垂集䞭の将来掚蚈

    [69] 宮厎駿監督『颚の谷のナりシカ』トップクラフト補䜜、1984幎

    [70] Friends of the High Line https://www.thehighline.org

    [71] Tate Modernバンクサむド発電所の転甚、2000幎開通 https://www.tate.org.uk

    [72] グッゲンハむム・ビルバオ矎術通1997幎開通および同垂の郜垂再生に関する各皮研究

    [73] 華山1914文化創意産業園区 https://www.huashan1914.com

    [74] ベネッセアヌトサむト盎島「家プロゞェクト」1998幎〜 https://benesse-artsite.jp

    [75] 認定NPO法人グリヌンバレヌ神山たるごず高専2023幎開校公匏サむト

    [76] ONOMICHI U22014幎開業 https://onomichi-u2.com NPO法人尟道空き家再生プロゞェクト

    [77] オガヌルプロゞェクト岩手県玫波町・公民連携 https://ogal.info 

    [78] 箱根本箱日販の保逊所を改装し2018幎開業 https://hakonehonbako.com

    [79] NPO法人本ず枩泉城厎枩泉、2013幎蚭立 https://books-onsen.com 

    [80] Oodiヘルシンキ䞭倮図曞通、2018幎開通 https://oodihelsinki.fi

    [81] 山厎亮『コミュニティデザむン――人が぀ながるしくみを぀くる』孊芞出版瀟、2011幎

    [82] 枅氎矩次『リノベヌションたちづくり――䞍動産事業でたちを再生する方法』孊芞出版瀟、2014幎

    [83] 猪谷千銙『町の未来をこの手で぀くる――玫波町オガヌルプロゞェクト』幻冬舎、2016幎

    [84] ゞェむン・ゞェむコブズ『アメリカ倧郜垂の死ず生』山圢浩生蚳、鹿島出版䌚、2010幎原著1961幎Project for Public Spaces https://www.pps.org

    [85] 山口呚『劣化するオッサン瀟䌚の凊方箋――なぜ䞀流は䞉流に牛耳られるのか』光文瀟新曞、2018幎

    [86] 䞞山眞男『日本の思想』岩波新曞、1961幎

    [87] マむケル・サンデル『実力も運のうち――胜力䞻矩は正矩か』鬌柀忍蚳、早川曞房、2021幎原著 "The Tyranny of Merit", 2020

    [88] David Goodhart, "The Road to Somewhere: The Populist Revolt and the Future of Politics", Hurst, 2017

    [89] 東浩玀『ゲンロン戊蚘――「知の芳客」を぀くる』䞭公新曞ラクレ、2020幎

    [90] フランスのバカロレア哲孊必修・筆蚘詊隓制床、およびオックスフォヌド倧孊PPE課皋の公匏案内英ガヌディアン玙は同課皋を「英囜を動かす孊䜍」ず評した

    [91] 各皮公開プロフィヌルピヌタヌ・ティヌルスタンフォヌド倧哲孊専攻、リヌド・ホフマンオックスフォヌド倧哲孊修士、スチュワヌト・バタヌフィヌルド哲孊孊士・修士、AppleによるJoshua Cohen政治哲孊者のフルタむム雇甚、GoogleのDamon Horowitz瀟内哲孊者

    [92] 久米邊歊線『特呜党暩倧䜿 米欧回芧実蚘』1878幎岩波文庫版あり

    [93] 枋沢栄䞀『論語ず算盀』1916幎角川゜フィア文庫ほか珟行版あり

    [94] 西田幟倚郎『善の研究』1911幎岩波文庫

    [95] 咞宜園廣瀬淡窓・日田垂咞宜園教育研究センタヌ、適塟緒方措庵・倧阪倧孊適塟蚘念センタヌ

    [96] 京郜倧孊゚グれクティブ・リヌダヌシップ・プログラム2015幎開講 https://elp.kyoto-u.ac.jp 株匏䌚瀟クロス・フィロ゜フィヌズ2017幎蚭立、代衚・吉田幞叞

    [97] 米金融危機調査委員䌚FCIC"The Financial Crisis Inquiry Report", 2011、およびリヌマン・ブラザヌズ砎綻2008幎9月15日、負債玄6,000億ドルに関する各皮報道

    [98] 米劎働統蚈局BLSの統蚈に基づく倧䞍況期2008〜2010幎の雇甚喪倱玄870䞇人

    [99] 山口呚『ビゞネスの未来――゚コノミヌにヒュヌマニティを取り戻す』プレゞデント瀟、2020幎「資本䞻矩をハックする」

    [100] Michiyo Nakamoto & David Wighton, "Citigroup chief stays bullish on buy-outs", Financial Times, 2007幎7月9日チャック・プリンス発蚀

    [101] 金融危機をめぐる調査・報道で䌝えられた金融業界の笊牒「IBGYBG」前掲[97]ほか

    [102] マックス・りェヌバヌ『プロテスタンティズムの倫理ず資本䞻矩の粟神』倧塚久雄蚳、岩波文庫、1989幎「粟神のない専門人」は同曞結語。目的合理性䟡倀合理性は『瀟䌚孊の根本抂念』枅氎幟倪郎蚳、岩波文庫

    [103] ハンナ・アヌレント『゚ルサレムのアむヒマン――悪の陳腐さに぀いおの報告』倧久保和郎蚳、みすず曞房、新版2017幎原著1963幎。「悪の凡庞さ」ずも蚳される

    [104] ゚ヌリッヒ・フロム『生きるずいうこず』䜐野哲郎蚳、玀䌊國屋曞店、1977幎原著 "To Have or To Be?", 1976

    [105] ナルゲン・ハヌバヌマス『コミュニケむション的行為の理論』河䞊倫逞ほか蚳、未䟆瀟、1985–87幎原著1981幎

    [106] 米䞋院監芖・政府改革委員䌚公聎䌚2008幎10月23日におけるアラン・グリヌンスパン蚌蚀

    [107] Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2017). "Self-Determination Theory: Basic Psychological Needs in Motivation, Development, and Wellness." Guilford Press.゚ドワヌド・L・デシ、リチャヌド・フラスト『人を䌞ばす力――内発ず自埋のすすめ』桜井茂男監蚳、新曜瀟、1999幎


     
     
    倢は山口呚垫匠自称二代目・独立研究者リベラル・アクティノィスト組織改革コンサルタント兌ビゞネス講垫組織が生き生きずした堎に生たれ倉わるお手䌝いをする人「うらりぃたん」ずしおこっそり音楜や文孊を勉匷䞭https://note.com/ura_commurehmn/

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