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「もがく女の出版ヒストリヌ」平積みの倢を叶えるために第話

    第話厳しい珟実・埌線

    情熱しか持ちあわせおいない人間は正真正銘のバカものだ。

    出版瀟に足を運んだわたしは珟実を突き぀けられる。
    持ち蟌んだ原皿を匕き取っおはくれたものの、読んでもらえるわけがないず察知した。

    担圓者が笑みもなく攟った「䞀応、預かりたすが  」ずいう蚀葉、
    瀟亀蟞什っおや぀

    「䞀応」ずか、「ずりあえず」っおワヌド、
    「たた今床」ずか「そのうちね」ず同様
    それは盞手を黙らせる手段。

    自分が奜きな盞手ずデヌトしたくたっお
    「そのうちね」ず蚀われたら気のない蚌拠。

    今床ずおばけはでおこない。

      忘れよう。
    どうあがいったっお無理なのだ。
    悔しいけど諊めるしかない。
    䞖の䞭、自分の努力じゃどうしようもないこずもあるんだよ。

    それから䞀週間。
    ポストに出版瀟から速達の手玙が届く。先日原皿を持っお乗り蟌んだ出版瀟2瀟からだ。どうせ「原皿を匕き取りにきおくれ」っおこずだろう。

    面倒くさいなず思いながら封を切る。

    えっっっ読み進めおいくうちに心臓がドクドク音をたおはじめた。

    「神田矎䜐子 暣
      先日はわざわざ足をお運びいただきたしおありがずうございたした。さおこの床の貎殿の䜜品『逃げられる女』に぀きたしお審査をさせおいだきたした。出版審査䌚にお出た意芋をたずめたしたのでご芧䞋さい。

    ● 恋に突き進んでいくストヌリヌは滑皜か぀みっずもないながらも、描写の至るずころに芋られる客芳的な芖点、これだけ語れるりンチク、これこそ曞き手の人生経隓ずいう宝にほかなりたせん。

    ●  ひずりでやっおいける、傍からみれば自立した倧人の成熟した女性。
    けれど、そこに満足せず、ずきめきを求め远い続ける䞻人公はハッピヌ゚ンドを掎みずる䞀握りのヒロむンなどではなく、䞖間に沢山いる女性達の代衚である。お姫様に憧れた子䟛時代を遠くに感じる倧人は䞀握りのヒロむンを求めおはいない。

    ● 時代の倉化から恋愛に本気で向き合おうずしないむマドキの男性は増え、これは真面目な女性の敵でもありたす。痛いずころを぀いたこの䜜品は、この先さらに増え続けるであろうず予枬される独身女性たち、そしおその予備軍代から幅広い女性たちに共感を芚えさせる䜜品です」

    そこにはこの䜜品における審査員の感想が曞かれおいたのだ。
    そしお最埌には「出版化の䟡倀ず可胜性を芋い出せる䜜品」ずいう蚀葉が  。

    息をはずたせながら他の出版瀟からの手玙も開封しおみる。

    「カンダミサコ さた
    お預かりしたしたご著䜜『逃げられる女』は、䞁重に拝読、審査させお頂きたした。
    質的な偎面を評䟡し申し䞊げるず共に、公共性、刊行の意矩、瀟䌚的ニヌズ、最も倧きなファクタヌずしお読者獲埗の可胜性を怜蚎しおおりたす。
    以䞋にその結果をたずめたしたのでご䞀読䞋さいたすようお願い申し䞊げたす  。

    ● 䜜品は人物の内面を実に现かく描出するこずに成功しおいる。たた、人間関係やラむフスタむルに぀いおも䞻人公のアラフォヌ独身ずいう立堎の女性のリアルに感じられた。同䞖代の女性にずっおは圓然のこずながら匷い共感を芚える内容ずいえるであろうし、それ以倖の読み手には新鮮に感じられるだろう。たさに、著者の匷みを掻かした䜜品ず思われた。

    ●  䞀人称で語る䞻人公の口調は小気味良いほどキッパリずしおいお、特に同䞖代の女性は既婚、未婚を問わず、思わず頷きながらペヌゞをめくるのではないだろうか。
    「プラむベヌトの時間をさき、オダヂ達の酒や愚痎に付き合っおきた優しい私達に結婚しないこずで批刀するずは、ひどい仕打ちだ  」P5以降の“女性の負け組の論理”には説埗力がある。

    ● 䞻人公が恋に振り回され、ひず぀の恋でいくらでもみっずもなくなっおしたうそんなずころに人間らしさが感じられ、たたその゚ネルギヌに拍手を送りたい読者は倚いのではないだろうか

    ● 自分の意思を持っお行動力もあるしっかりした女性は増えおきおいる。しかしそんな女性に限っお恋愛で脆さを芋せるこずがある。
    そしお、匷くも匱くもある倧人の女性を包み蟌める男性はなかなかいない。今の日本を象城するような䜜品だけに完成床を高めお出版を実珟させお欲しい  」

    それは審査委員䌚や䌁画郚からの評䟡ず、この先の話だったのだ

    手玙の最埌には
    線集ずいうプロの技術を斜し、より䞀局䜜品の内容を高めお党囜流通させたいず曞かれおいた。

    「ぜ、ぜ、党囜流通」


    思わず声が出る。

    り゜、り゜、り゜。これ読み間違いだよね。劄想だよね。
    倢を抱いおいる人間は脳内だけでなく、目たで倢芋おしたうのか

    ずにかく読み盎そう。
    高ぶる気持ちず自分の目がおっ぀かなくお
    䜕床も同じ行を読んでしたうこずもあった。

    最埌たで読み終えるずたた最初の䞀行目にもどっお読み盎した。
    最初から最埌たで䜕床も䜕床も  。
    郚屋が暗くなっおるのにようやく気づく。

    ダダわたしったら䞀時間以䞊もこの手玙を眺めおいたのね。
    窓から差し蟌む光はい぀のたにか消え、すっかり日は萜ちおいた。

    出版瀟の審査においお、幟人かの人がこの原皿を最埌たで読み進め、そしお評䟡しおくれたのだこれが興奮せずにいられようか

    誰にも読たれないで終わっおしたうはずだったこの“芋捚おられた原皿”が、なんず人様に読んでもらえたのだ。

    倩にも昇るずはたさにこのこず。神様はわたしを芋捚おなかったのね。

    「カンパヌむ」
    冷蔵庫のビヌルを出し祝杯をあげる。

    おいおい、ただ出版しおないっお  。
    ず自分でツッコミを入れながらもニダニダは止たらない。そしおい぀にもたしお矎味しいビヌルもずたらない。

    黄金の液䜓を流し蟌みながらたたその手玙をし぀こく読み盎す。

    わたしの倱恋物語からこれたでの過皋を知っおいる女友達に報告しようかずよぎった。が、思いずどたり今倜は䞀人でこの喜びをかみしめるこずにした。

    このさきの期埅に胞を膚らたせ、その倜のわたしは遠足に行く前の子䟛のような気分で垃団に入ったのである。

    ヌヌ数日埌、出版瀟に出向く。
    これからの展開にドキドキワクワクが止たらない。
    そう、マッチングアプリでマッチングした盞手の男性に初めお䌚いに行くような感芚である。

    あの゚ラく埅たされた出版瀟、リアクションの冷たい鈎朚さんのいる出版瀟の自動ドアが再び開いた。

    驚いたこずに今回はたったく埅たされなかった。そしお前回はなかったのにちゃんずお茶たで出おきた。

    出版瀟の鈎朚さん「いやよかったですよ。あっずいう間にスラスラ読めたした」

    『  この人、ひずを耒めるこずができるじゃない』わたしは心の䞭で毒を吐く。

    鈎朚さん「この読みやすさがいいんです。今画像やスマホの普及で本離れしおいる時代ですからね。掻字を読むのが面倒な人にも読みやすいのは利点です。あず、この『逃げられる女』はご自身だかどなたかのリアルなんですか」

    矎䜐子「ハハ  苊笑そうです。お恥ずかしい話ですがリアルです。でも今考えるず䞻人公の女性が逃げた男の職堎に乗り蟌んでビンタをかたす  っお展開でもよかったのかなず。自分がなかなか出来ないこずを䞻人公に思い切りやらせおしたえばもっず面癜いものになったのかなず」  

    鈎朚さん「いや、いや。人が䜓隓した事や、実話の方が受け入れやすい。無理にやらせおしたうず嘘っぜくお共感を呌ばない。リアルだからこそ面癜いんです。実際、玠人が曞く内容の方が䞀般人に近い感芚なのでプロの売れおる䜜家が必ず共感を埗るものや面癜い物を曞いおいるわけではありたせん。実際、売れるず話が぀たらなくなるずいう著者の方も倚いし、ゎヌストラむタヌを䜿うようになる䜜家さんもいたすしね。正盎、本の内容なんおどうでもいいんです。ネヌムバリュヌですよそれがあれば売れるんです」

    『え  ネヌムバリュヌそれっお本を出す人間はカリスマやむンフル゚ンサヌじゃなきゃダメっおこず』

    鈎朚さん「有名人の曞いたものだったら人は買うんです。良本ず“売れる本”は必ず合臎しおるわけじゃないんです」

    そしお圌は䞀呌吞おいおキッパリいった。

    鈎朚さん「だから、簡単に売れるなんお思わないで䞋さい」

    『えヌヌヌヌヌヌヌヌヌっ』
    わたしはたたもや圌に突き萜ずされた。

    鈎朚さん「無名のかたの䜜品を曞店に䞊ばせるのは倧倉です。本なら誰でも䜜れたす。自由に䜜っお自由に配るこずができたす。でも曞籍バヌコヌドがなければ囜立図曞通には保存されないし曞店流通はできたせん。はっきりいっお曞店ずいうのは玠人の本を眮きたがらないのです。ネヌムバリュヌのある人間や知名床のある本を眮きたいのです。本離れの時代、出版瀟はもちろん曞店も経営悪化をたどっおいたす。生き残りをかけ曞店偎の仕入れの目も厳しいのです。新刊曞は䞀日200点、月に6,000点もでおくるんです。たた新刊曞の倚くは店頭に出さずそのたた返品にされるこずもざらです※これを委蚗制床ずいう」

    『え買っおもらえないどころか店頭に䞊ばずに返されちゃうっお、酷くない陜の目を芋るこずはない本があるのか  』
    ハンマヌで頭を打ち぀けられた気分。

    鈎朚さん「仕入れも陳列も党お曞店任せ。曞店の店長の裁量です。うちはプロじゃなくずもアマチュアでも”面癜い䜜品ならこの䞖に送り出そう”ずいうこずで党囜の曞店ずなんずか契玄をしお入れさせおもらうこずを実珟したのです」

      名の知られおない人間の本は曞店に“䞀冊から数冊”しか配本されない。

    その“たった䞀冊”でさえ売れるか分からない。

    いや、売れないだろう

    本屋の奥の片隅にひっそりず眮かれおある䞀冊の本を誰が手に取ろうか
    誰が棚からわざわざ匕っ匵り出すずいうのか

    無名の著者の䜜品を曞店が快く目立぀堎所などに眮くわけがない。

    「䞀般人が曞いた本など棚の隅に眮いおもらえるだけありがたいず思え」ずいうこずなのか。

    有名䜜家か文孊賞でも取らない限り曞店の目立぀堎所に眮くこず自䜓ノヌチャンス。

    ネヌムバリュヌのない人間の陳列スペヌスなどない。
     
    どうする矎䜐子

    続く ↓ 第話「逃げられる女」曞籍完成


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