メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byyuumi33

おもしろセンサーがはたらく日々を

    ちなみ

    笑いに関していうなら、かなり不謹慎なたちである。

    昔、ミッションスクールに通っていた頃、ミサ中に神父さまの帽子に虫がとまるのを目撃してしまい、こみあげてくる笑いをこらえるのに苦労したことがある。ありがたいはずのお話も、ひそかな笑いの波にかき消されて憶えていない。なんてばち当たりな。いや、カトリックだから、ばちとか関係ないのだろうか。

    先日、料理をしていたとき、半分に切られた大根の置き場所に困ってしまった。まだ洗っていないので、まな板の上には置きたくない。かと言って、キッチントップにそのまま置くのもなあ……。

    結局、切り口を下にして、小型のカッティングボード上に立てて置くことにした。大根は変にすっくと立って、ふさふさと緑の葉を茂らせている感じになった。

    その大根の佇まいが「ツボ」に入ってしまい、私の笑いは止まらなくなってしまった。自分でもよくわからないのだけれど、大根がきりっとした風情を漂わせているような気がして、おかしくてたまらなかった。ひひひひ、と不気味に笑う母を、怪訝けげんな面持ちで見つめる娘たち。

    箸が転げてもおかしい、なんていう年頃はすっかり過ぎてしまったのに、まだこんな調子とは。

    それを聞いた夫が言った。

    「『面白い』としょっちゅう思えるなんて、幸せやん。つらいときはおもしろセンサーが働かないでしょ」

    ふむむ、彼の言うこともわかる。苦しいとき、困っているときは、なかなか「面白いポイント」を見つけられないもの。久しぶりに笑ったことに気づいて「ああ、私、ここんとこつらかったんだな」と自覚したことが何度もある。

    笑えるとは、生活を楽しめているってこと。そのことを思い出させてくれる人がそばにいる。まずは家族に感謝だなあ、と思った。

    きりりと葉を茂らせながら立ち、私を笑わせてくれた大根は、豚バラ肉と煮ておいしく食べた。笑いのある家でみんなで豚バラ大根を味わう。お肉の苦手な長女はぶーぶー言っていたけれど、いつかこの食卓と私の笑いを懐かしく思い出す日も来るのかな、なんて考えてしまった。

    おもしろセンサーが機能するおだやかな日常を、大切にしていきたい。

     
     
     
    ライター、9歳双子の母。小さな幸せを大切にする、40代関西人。連続更新1300日超。|育児日記|思い出話|読書記録|ひとり井戸端会議|モノとわたし|自省のひと言| ご連絡は「クリエイターへのお問い合わせ」、またはDMにお願いいたします。

    あなたへのおすすめ