
推し活受験#4 私がやるしかない。
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**登場人物**
藤田秋帆……40代のパート主婦。ひとり娘・香菜の成績不振に悩む母。
藤田香菜……高校生。アニメオタク。学校の成績には、あまり興味がない。
藤田圭介……香菜の父親。会社員。アタマが硬い。
滝川一灯……秋帆の「推し様」。人気俳優。
秋帆は、L大学から入試資料を取り寄せた。
「香菜、自分で取り寄せなよ」
「うーん……あとで」
「あとでって、いつ?」
「そのうち。どうせ受からんし」
生返事ばかりで、すこしも動こうとしない。
なにせL大だ。関西で人気の4私大「KCLG」の一角で、メディアクリエイト学部の偏差値は55。香菜自身、無理だと思っているのだろう。
圭介はあいかわらず、秋帆に向かって、くどくどと小言を言う。
「そんなこと香菜にやらせろ。俺のときなんか、大学入試の手続きなんて、ぜんぶ自分でやったぞ。中学受験はくじ引きだったし」
また始まった。
30年前の話をされても、今の受験とは何もかも違う。
「今は昔とはぜんぜん制度が違って、大学ごとに受験制度や受験資格が違うんだよ。親がリサーチして、香菜に合うところを見つけてやらないと。香菜にはそんな時間はないから、私たちがやってあげないと無理だって」
「そうやってあれこれ親が先回りするから、今の若い子は自分で考えられなくなるんだ」
圭介は聞く耳を持とうとせず、話はちっとも噛み合わない。
やっと香菜が自分で見つけた夢。
あのとき、あんなに香菜は目を輝かせていたのだ。
初めて「行きたい」と言ったあの子の夢を、諦めるわけにはいかなかった。
私がやるしかない。
秋帆は、ずっしり重い入試要項に、くまなく目を通し始めた。
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