メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

超人トルヌプ第郚・第29話芪身な占い垫は悪意の売人

    女王たりか

    前回


     日が沈み、倪陜に代わっお人工の光が茝き始める時間垯。内瓊うちがわら䜿劎しろうは人混みの䞭を歩いおいた。このたた倧勢に玛れお、䜕凊にも寄らずに垰宅する。昚日もそうだったし、以前からずっずそうだった。しかし、今日は違った。

    占い アむ・ダナギ

     それは自然ず、䜿劎しろうの芖界に入っお来た。
     排萜たカフェの店頭に眮いおありそうな小さな脚立型の黒板に、癜いチョヌクで曞かれた【占い アむ・ダナギ】の文字。その隣には、玫のチャむナドレスを着お、サラサラの黒い髪を長く䌞ばした女性がいた。圌女は折り畳み匏の怅子ず机ず看板を蚭眮し、人混みの䞭に陣取っおいた。机の䞊に眮かれた砲䞞倧の無色透明の球が、安っぜい蚭備の䞭で僅かながらに神秘的なむメヌゞを醞し出しおいる。

     䜿劎しろうは占いに興味は無かったし、神頌みも滅倚にしない。それなのに、今日は違った。䜿劎しろうは誘われるように、玫のチャむナドレスの占い垫ぞず歩いおいき、気付いたら圌女の前に蟿り着いおいた。チャむナドレスの占い垫は、寄っお来た䜿劎しろうを笑顔で迎え入れた。

    「占いでしたら、そちらの怅子にお掛けください」

     圌女に誘われるたた、䜿劎しろうは怅子に座った。机が小さいので、圌女ずの距離は近かった。圌女は唇を緑色に塗っおいたが、それを自然に感じさせる颚貌の持ち䞻だった。圌女は「アむ・ダナギ」ず名乗り、机に眮いた氎晶球は占いに䜿うず説明した。

    「本日は、どのようなこずを占いたしょう」

     アむ・ダナギは慣れた感じで話を始めた。䜿劎しろうは倧きな氎晶球を眺めたたた、溜息に混ぜたような声で話した。

    「この先、䜕か報われるこずがあるのか、占っお欲しいです。仕事でも、私生掻でも」

     アむ・ダナギは「畏たりたした」ず頷き、氎晶球の䞊に䞡手を眮いた。するず、氎晶球が仄かに光り始めたように、䜿劎しろうの目には芋えた。アむ・ダナギは光る氎晶球を凝芖する。

    「未来は䞀぀ではないのですが 。最も可胜性が高い未来では、特に良いこずはありたせん。代わりに、酷く悪いこずも無いのですが」

     アむ・ダナギの占いを聞いた瞬間、䜿劎しろうは溜息を挏らす。アむ・ダナギは氎晶球を芋぀め、占いを続けた。

    「運気を䞊げるヒントを捜す為に、過去を芋おみようず思いたす」

     氎晶球は光の色を倉えた。䜿劎しろうはそれをがんやりず眺める。氎晶球を芋おいたアむ・ダナギは、急に県を芋開いた。

    「今たで、こずごずく努力を蔑ろにされおきたのですね」

     アむ・ダナギは息を呑むような口調で蚀うず、涙を滲たせた目で䜿劎しろうを芋た。アむ・ダナギず芖線が重なった時、䜿劎しろうは思った。

    この占い垫さんは本物の超胜力者なのかもしれない

     その気持ちは数秒で、アむ・ダナギぞの信頌ぞず昇華した。

    「こずごずく努力を蔑ろにされおきた 。間違っおはいないでしょうね」

     䜿劎しろうは目の前のアむ・ダナギに、自身の半生を語り始めた。

     最初に努力を蔑ろにされたのは、䜿劎しろうが高校䞉幎生の時だった。堅実に成瞟を積み䞊げ、名の知れた私倧の理工孊郚の指定校掚薊をもらえるだけの内申点を積み䞊げた。「指定校掚薊で私倧の理工孊郚に進孊したい」ずいう旚を担任に䌝えたら、やんわりず断られた。

    「内瓊うちがわら君なら、もっず良い倧孊に䞀般入詊で合栌できるよ」

     䜿劎しろうが垌望しおいた私倧の理工孊郚の指定校掚薊は、別のクラスの女子に䞎えられた。その女子は、珟圹でその倧孊の理工孊郚に進孊した。䜿劎しろうは䞀般入詊を受けたが䞊手く行かず、䞀浪しお銖郜圏の公立倧孊の工孊郚に進孊した。

     

    「担任が他のクラスの女子に掚薊を回したのは、倧孊からの芁望だったらしいんです。理工孊郚の女子を増やしたかったみたいで。あの掚薊をもらえおたら、珟圹で進孊できたハズなのに 。䞀浪でもそれなりの倧孊に行けたし、そもそも䞀浪したのは自分の力䞍足だから、文句蚀うなっお蚀われそうですけど」

     䜿劎しろうは肩を萜ずし、ボ゜ボ゜ず語る。アむ・ダナギはしっかり䜿劎しろうに目を向けお、話を聞いおいた。

    「理䞍尜な蚘憶は簡単には消えたせん。悪くない結果ず受け取る人もいるしれたせんが、ご自分の努力だけでは抗えなかったこずもありたすし、さぞ悔しかったこずず思いたす」

     䜿劎しろうが顔を䞊げるず、アむ・ダナギの顔が芋えた。圌女は䞋唇を噛み締め、涙を堪えおいるような衚情をしおいた。この衚情だけで䜿劎しろうは認められたような気分になり、もっずこの占い垫に自分の過去を話そうず思った。

     次に䜿劎しろうが努力を蔑ろにされたのは、就職掻動の時だった。䜿劎しろうは就職のこずを考えお、䌁業の繋がりの匷い教員の研究宀を遞んだ。䜿劎しろうは研究実隓を勢力的に行い、指導教員の論文に茉せるデヌタを提䟛し続けた。
     䜿劎しろうは倧孊院に進孊し、同じ指導教員の元で研究を続けた。ずころが博士前期課皋の䞀幎生の䞀月、䜿劎しろうは指導教員からこう蚀われた。

    「内瓊うちがわら君。申し蚳ないが、就職先は自分で探しお欲しい。『研究職の女性比率を増やせ』ず、囜が䌁業にせっ぀いお回っおるらしくおな。共同研究しおる䌁業さんは䜕凊も、『女の子にりチの䌚瀟を玹介しおください』っお蚀うんだよ」

     高䞉の時ず同じような話だった。たた、狙っおいた進路を女子に譲らされた。今たでの努力を党お無䞋にされたように、䜿劎しろうは感じた。



     博士前期課皋二幎の䞃月、䜿劎しろうは倧孊の研究宀ずは無瞁の䌁業の研究開発郚から内定をもらえた。内定の報告をしたら、指導教員に笑顔で「やったな」ず蚀われたのが腹立たしかった。

     

    「今の䌚瀟は朰れおないし、クビにもされず、それなりの絊料ももらえおたす。もっず酷い目に遭っおる人だっおいるし、文句蚀うなっお蚀われそうですけど 。たた、同じような理由で女子に譲らされるなんお、思っおもいたせんでしたよ」

     䜿劎しろうは今、腹の奥に閉じ蟌めおいた過去の䞍満を、初察面の占い垫の前で攟出しおいた。初察面の占い垫であるアむ・ダナギは、䜿劎しろうから目を逞らすこずなく、話に耳を傟け続ける。䜿劎しろうは話を続けた。

     就職先で、䜿劎しろうは業務に邁進した。無茶ぶりも同然の䞊からの芁求にも嫌な顔䞀぀せず、新商品の開発や今たでの商品の改善に取り組んで来た。䜿劎しろうが開発に携わった商品が、倧きな売り䞊げを蚘録したこずもあった。

     それでも、䜿劎しろうの努力はたたしおも蔑ろにされた。

     先日、䜿劎しろうより䞉歳幎少の女性が、䜿劎しろうの郚眲の管理職に昇進した。䜿劎しろうは埌茩に、出䞖争いで抜かれたのだ。䜿劎しろうは瀟内の地䜍には興味が無かったので、圓初はこのこずを気にしおいなかった。しかし、今日、瀟内で別の瀟員が雑談しおいるのを聞いた時、䜿劎しろうの気持ちは倉わった。

    「あの子がチヌフになったの、女性の管理職を増やす為なんだっお。囜から『管理職の女性比率を䜕にしろ』ずかせっ぀かれたらしくお。最初は内瓊うちがわらさんが候補だったらしいけど、囜がうるさいからあの子の方にしたんだっお」

    「それ、酷くない 䜿劎しろうさん、出䞖ずか興味無さそうだけど 。あの子もそんな理由で担ぎ䞊げられお、倧䞈倫かな」

     聞きたくなかったが、聞こえおしたった。
     これで䞉床目だ。女子にポストを譲らされるのは。䜿劎しろうの䞭で仕事ぞの意欲が音を立おお厩壊した。

     

    「管理職になりたいず思ったこずは䞀床も無かったから、埌茩の女子が自分の䞊叞になったこずは悔しくもないんですけど 。い぀もい぀も、『女性を増やしたい』っおいう理由で俺は振り萜ずされる。どんなに頑匵っおも、『女性を増やしたい』っお芁望が俺の努力より䞊になる。䜕床も同じこずを聞いお、嫌になっおきたんです」

     䜿劎しろうの口調はだんだん荒くなっおいた。アむ・ダナギは、申し蚳なさそうに俯き始めた。

    「女性ずしお、申し蚳ない限りです」

     この蚀葉は䜿劎しろうの耳に深く突き刺さり、この瞬間から䜿劎しろうの耳には、アむ・ダナギの声しか聞こえなくなった。呚囲を行きかう人々の雑螏も、䜕故か聞こえなくなった。䜿劎しろうの耳に、アむ・ダナギの萜ち着いた声が響く。

    「今たで通りの努力を続けた堎合、貎方の未来が悪くなるずいうこずはありたせん。良くもなりたせんが。今たで通りの努力をしお、埗られる成果は珟状維持です」

     アむ・ダナギは顔を䞊げた。䜿劎しろうはアむ・ダナギの目しか芋えなくなった。匷い磁石に匕き付けられる鉄も同然に。䜿劎しろうに芖線を突き刺したたた、アむ・ダナギは蚀った。

    「しかし、運気を手繰り寄せる方法はありたす。倱敗したら、今よりも悪い未来が蚪れたすが 。詊したすか」

     そう蚀っおアむ・ダナギが差し出したのは、癜い指環だった。指環には、五枚の花匁を持぀花の装食が斜されおいる。䜿劎しろうは目を芋開いお、この指環を凝芖する。

    「是非ずも。もう、俺の努力を蔑ろになんおさせたせん」

     䜿劎しろうは指環を受け取った。倧きく目を剥いお。

     䜿劎しろうは占いの代金ずしお五千円札をアむ・ダナギに枡し、この堎を埌にした。目を剥き、口蚱を怪しく緩たせながら。アむ・ダナギは満面の笑みで、去り行く䜿劎しろうを芋送った。


     䜿劎しろうを占った数分埌、アむ・ダナギの元を䞀人の女性が蚪れた。サングラスを掛けお癜杖を持った、パンツスタむルの黒いリクルヌトスヌツを着た女性だった。

    「等掻ずうか぀リングの配垃ず掻動資金の獲埗、ご苊劎様です。四之銖よんのくび」

     癜杖の女性はアむ・ダナギの隣に立ち、前を向いたたたそう蚀った。アむ・サナギは座ったたた、癜杖の女性の顔を芋䞊げお䞍敵な笑みを浮かべた。

    「二アルこそ、お疲れ」

     アむ・ダナギこず四之銖よんのくびの声は、接客甚ずは違うものになった。二柳杏こず二之銖にのくびは前を向いたたた、萜ち着いた口調で語った。

    「麒麟きりんが成熟し、等掻ずうか぀ず戊いたした」

     その蚀葉を聞き、四之銖よんのくびは机に眮いた氎晶球を手に取っお眺める。

    「本圓の姿で暎れるの、解犁になったの」

     四之銖よんのくびの緑色をした唇が、普段よりも䞍気味に芋える。しかし、二之銖にのくびは党く動じない。

    「貎方は今たで通り人間に等掻ずうか぀リングを配垃し、人間たちを殺し合わせおください」

     この回答に、四之銖よんのくびは舌打ちをした。

    「朱雀すざくの矎女ちゃんず遊べるのは、ただ先か」

     倚くの人が二人の近くを通り過ぎた。しかし、二人の䌚話に反応する者は誰もいなかった。



        この数日埌だった。
        内瓊うちがわら䜿劎しろうが、東トン春姫チュンヒの講挔䌚に乱入したのは。


    第30話ぞ続く

     
     
     
    理科知識を䜿っお、か぀か぀生きおたす。理科は生掻手段。 noteには、自䜜小説ず゚ッセむを投皿しおたす。近い趣味の方ずの意芋亀換を求めおたす

    あなたぞのおすすめ