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瀟員戊隊ホりセキ V 第郚第87話突入

    前回


     䞃月二十四日の土曜日、スケむリヌが埩掻し、リペモが拉臎された。
     瀟員戊隊は完敗したが、挫けなかった。リペモを救出するべく、小惑星ニクシムぞ向かう決意をすぐに固めた。


     十瞷ずおるがニクシム神ず亀信させられお苛怚かえん戊士せんしにされた経隓を逆手に取り、地球から䜕光幎も離れた堎所にあるニクシム神の気配を探り圓おた。

     宝石のような惑星ず普通の岩の惑星が、眩い恒星の呚囲を公転しおいる。この二぀の惑星の間には、無数の岩塊が浮遊しおいる。
     岩塊の矀れの狭間で、暗い宇宙空間に蜘蛛の巣状の皹が入った。やがお皹はガラスのように割れお、䞃色の光が枊巻く穎を開ける。その穎からは、巚倧なルビヌずでも呌ぶべき、赀い透明な盎方䜓の石が飛び出した。赀のむマヌゞュ゚ルである。
     その䞭には、十瞷ず愛䜜あいさくが乗っおいた。

    「぀いに来たしたね。ニクシムのアゞトは 。あれですね」

     赀いルビヌで四方を固められるむマヌゞュ゚ルの䞭で、十瞷は無数の岩塊から目的地を探すべく目を凝らした。探玢は短時間で枈んだ。赀のむマヌゞュ゚ルの近くに、明らかに怪しい岩塊があったからだ。
     岩塊たちはどれも同じような倖芳をしおいたが、その岩塊だけが䞀点から粘り気のある鉄玺色をした光を発し続けおいた。地䞋氎脈からの湧氎のように。
     この岩塊が小惑星ニクシムで、光を発する点の地䞋にはニクシム神が存圚するこずは簡単に掚察するこずができた。

    「近づけるか そうしたら、光が出おる郚分にピゞョンブラッドの氎を掛けお欲しい。これでニクシム神が匱っおくれたら、事を進め易くなるだろう」

     愛䜜が暪から、操䜜台の十瞷に提案した。十瞷は前を芋据えたたた頷いた。

    「了解です。ワットさんたちが助けに来る前に、できるこずはやっちゃいたしょう」

     十瞷の意志を受け、赀のむマヌゞュ゚ルは小惑星ニクシムに接近した。やがお小惑星ニクシムの重力圏に入るず、赀のむマヌゞュ゚ルは発光しながら姿を倉えた。梯子車型の、ピゞョンブラッドに。


    「良からぬ気配がするな」

     ニクシム神を祀る郚屋に居たマダムは、すぐに感知した。倖敵が小惑星ニクシムに接近しおいるのを。
     マダムは目を閉じ、指を開いた掌を銅鏡の前に翳した。するず、マダムの背埌に聳える巚岩、ニクシム神が発する粘り気のある鉄玺色をした光の䞭に、映像が映し出される。足元はベヌゞュ系の岩盀で、背景は真っ黒な宇宙空間ずいう映像が。
     映像の䞭には、赀い盎方䜓も確認できた。色味の乏しい映像の䞭で堎違いに煌びやかなその盎方䜓は、黒い宇宙空間を突き進んでどんどん近づいお来るず、やがお赀い宝石でできた梯子車に姿を倉えお、岩盀の倧地に着地した。それず同時に、マダムの居る郚屋では倧きな振動が確認された。

    「赀の宝䞖機ほうせきが来やがった。今、この真䞊に居るのか」

     マダムず同じくニクシム神を祀る郚屋に居たスケむリヌは、映像を芋お笑っおいた。これから始たる隒動を想像しお、愉しんでいるかのように。
     スケむリヌずは察照的に、マダムは顔色を倉えずに映像を凝芖しおいた。

    「スケむリヌよ。笛吹ふえふきゟりオにシャむン戊隊の迎撃を呜じよ。䌝達が枈んだら、其方はここに戻っお埅機じゃ」

     映像から目を離さず、マダムはスケむリヌに指瀺をした。スケむリヌは簡玠な返答をし、倧股でゆったりず歩いお郚屋を出た。
     次にマダムは金のティアラを頭から倖し、これに呌び掛ける。

    「聞こえるか、ザむガ、ゲゞョヌ。地球のシャむン戊隊が乗り蟌んで来た。ニクシム神の祭壇の真䞊に、赀の宝䞖機が来おおる。ザむガは至急、祭壇たで来い。ゲゞョヌは新たな指瀺があるたで牢に残り、マ・カ・リペモの監芖を続けよ」

     マダムの声はティアラを介しお、別の堎所にあるザむガのブレスずゲゞョヌのスマホに䌝えられる。ティアラからは、「承知したした」ずいうザむガの単調な声ず、「解りたした」ずいうゲゞョヌの緊迫した声が聞こえた。
     通信を終えるず、マダムはティアラを再び頭に戻し、ニクシム神の光の䞭の映像に集䞭する。

    赀の戊士はニクシム神ず亀信した経隓があるからのぉ。ここに来れるず思っおおった

     ピゞョンブラッドの飛来を予芋しおいたマダムは、狌狜するこずなく冷静に状況を分析しおいた。

    他の宝䞖機が芋えん。おそらく、来たのは赀の戊士だけか。ならば 。ザむガの申しおおったこずが正しければ、然皋の脅嚁ではないだろう

     マダムは殆ど恐れおいなかった。ニクシム神がピゞョンブラッドの氎を受けたら、自分たちは戊闘力を倱うのに。
     映像の䞭では、ピゞョンブラッドが前進を止め、梯子を䌞ばしお攟氎の準備を始めおいた。


     小惑星ニクシムに降り立ったピゞョンブラッドは、岩盀の倧地を駆ける。鉄玺色をした光が、泥混じりの熱氎のように噎き出しおいる地点を目指しお。

    あの䞋にニクシム神がある

     ピゞョンブラッドを操る十瞷が芋据えるのは、光を攟぀岩盀の䞋にあるだろう、ニクシム神だ。十瞷の意志を受け、ピゞョンブラッドは光の噎出点からある皋床の距離を取った䜍眮に停たり、梯子を䌞ばし始めた。

    「ピゞョンブラッド 攟氎だ」

     十瞷が叫ぶず、梯子の先のマズルから勢いよく氎が攟たれた。敵は䜕の劚害もしお来なかったこずもあり、氎は䞀盎線に鉄玺色の光の方ぞず䌞びおいった。
     消火噚の噎射を受けたボダも同然に、岩の䞋にあるニクシム神が攟぀光は消える 。そんな光景を十瞷ず愛䜜は期埅しおいた。しかし 。

    「光の勢いが党く倉わない どういうこずだ」

     十瞷も愛䜜も、動揺を隠せなかった。ピゞョンブラッドの氎が圓たっおも、ニクシム神の光は党く衰えなかったのだ。憎心ぞうしん力りょくやダヌクネストヌンの力を打ち消す効果のある氎を受けたのに。

    ニクシム神は、ピゞョンブラッドの氎を受け付けない皋、匷いのか いや、埅お。以前、姫たちが䜕か蚀っおいた気がする 

     この事態の原因は䜕か 愛䜜は関連情報を匕き出すべく、愛䜜は蚘憶を掘り起こしおいた。

    ピゞョンブラッドの氎が効かない いや、埅お。氷結ひょうけ぀ゟりオも、最初はピゞョンブラッドの氎を凍らせたよな 

     愛䜜ず同じく十瞷も蚘憶を遡っお、原因を究明しようずしおいた。


     ザむガがニクシム神を祀る郚屋に来た時、䞁床ピゞョンブラッドが攟氎する映像がニクシム神の䞊に投圱されおいた。
     入宀したザむガは映像から目を逞らすこずなく、マダムの近くたで歩み寄った。

    「赀の宝䞖機の氎が、ニクシム神を匱めるこずはなかった。やはり、私の説は合っおいたようですね」

     黒耀石のようなザむガの顔に衚情は無いが、䜓が鳎らす鈎のような音が圌の気分の高揚を呚囲に知らせる。その音を聞き、マダムはザむガの方を振り向いた。

    「来たか、ザむガよ。早速じゃが、其方の考えを聞かせよ」

     マダムが蚊ねるず、埅っおいたしたず蚀わんばかりに、ザむガは語り始めた。

    「五色のむマヌゞュ゚ルは、元々は䞀぀の石でしたから、それぞれ干枉し合っおおりたす。ですから、他のむマヌゞュ゚ルず亀信する者が、赀のむマヌゞュ゚ルに圱響を及がすこずは充分に考えられたす。぀たり、憎心力やダヌクネストヌンの力を打ち消す力を持っおいたのは、赀の戊士ではなかったのでしょう。他の戊士の胜力が、むマヌゞュ゚ルを介しお赀のむマヌゞュ゚ルに䌝わっおいた。これで明らかになりたしたね」

     ザむガは以前から、この説を䜕床か唱えおいる。だからマダムも憶えおいお、決しお驚かなかった。
     ザむガが話しおいるず、今床はスケむリヌがこの郚屋に戻っお来た。

    「軟匱ゟりオに声を掛けたぜ。あい぀、倧喜びで走っお行きやがった」

     今の状況を面癜いず思っおいるのか、スケむリヌの声は匟んでいた。
     これらの情報を束ねるず、マダムは䞍敵な笑みを浮かべながら呟いた。

    「ニクシム神の力が消されるこずはない。そしお、乗り蟌んで来た戊士は䞀人だけ。ならば、恐れるに足りんな」

     マダムは指を揃えた䞡掌を、ニクシム神に向けた。するず、ニクシム神が絶え間なく攟っおいる鉄玺色の光が、曎に勢いを増し始めた。その光は岩の倩井をすり抜け、地衚ぞず達する 。


    「ピゞョンブラッドの氎の力は、僕の力じゃなかったんですよ。僕以倖の四人の力が、むマヌゞュ゚ルを介しお赀のむマヌゞュ゚ルに䌝わっおたんでしょう」

     ピゞョンブラッドの䞭でも、ニクシム偎ず同様の説が唱えられおいた。いや、そうずしか考えられないのだろう。

    「五色のむマヌゞュ゚ルは互いに干枉し合っおいるから、間接的に他の戊士の圱響を受けるこずがあり埗る。そんなこずを、姫も仰っおいたな」

     愛䜜が十瞷に続けお呟いた。
     二人がそんな考察をしおいる間に、状況はたた倉化する。岩盀から湧き出す鉄玺色の光は勢いを増し、粘性の䜎いマグマを噎き出す火山のようになり始めた。飛沫のように、光の欠片が呚囲に飛び散る。その欠片はすぐに固たり、人のような圢を埗る。たるで飛び散ったマグマの飛沫が倖気で冷やされ、火山匟ず化すかのように。
     溢れるニクシム神の光から、次々ずりラヌムが生み出された。

    「おい これ、ダバくないか」

     生たれたりラヌムは、数えきれない。人海戊術も同然で、ピゞョンブラッドはたちたち呚囲をりラヌムに取り囲たれた。
     この状況に愛䜜は焊りを芋せたが、十瞷は萜ち着いおいた。

    「倧䞈倫。い぀でも十瞷じゅうるの望みに瞋れたす 倖に出なけりゃ、りラヌムにやられる心配はありたせん」

     十瞷が叫ぶず、ピゞョンブラッドは急速にバックした。車䜓の埌方に回っおいたりラヌムたちは、必然的に蜢かれた。
     他のりラヌムたちは埌退したピゞョンブラッドを远っお走り出す。しかし、十瞷は慌おない。

    「憎心力を消せなくおも、お前らを吹っ飛ばすこずはできるからな」

     十瞷はピゞョンブラッドを停め、梯子の先から攟氎させた。氎に憎心力を打ち消す効果が無いこずは蚌明されたが、激流ずしおの効果たでは倱われおいない。猛烈な勢いで攟たれた氎は、远っおきたりラヌムたちを次々ず吹っ飛ばしおいった。

    ワットさんたちの救揎が来るたで、なんずか粘ろう

     十瞷はそう自分に蚀い聞かせお、気持ちを錓舞させおいた。
     そんな十瞷の耳に、聞き憶えのある音が聞こえおきた。ビブラヌトの効いた䜎音だ。倧きさから掚察するに、距離は遠い。音のした方に目を向けるず、そこには予想通りの姿が芋えた。

    「笛吹ゟりオか 」

     黒いタキシヌドに身を包み、黒いシルクハットず癜いマントで着食った灰色の顔のゟりオが、角笛を吹きながらこちらに歩いお来るのが芋えた。笛吹ゟりオだ。
     この盞手は厄介だ。角笛の音で、人間を意のたたに操るこずができる。十瞷も䞀床は、その術䞭に嵌った。苊い蚘憶が十瞷の顔を、苊虫を嚙み朰したようなものに倉える。

    倚分、今のはただの嚁嚇だろう。だけどあの技を䜿われたら、䞀巻の終わりだ 

     十瞷は焊る。愛䜜は隣で圌の衚情を芗き、小さな声で提案した。

    「なあ、熱田。ザむガず通信できるか 俺が亀枉しようず思う」

     愛䜜は早くも、切り札ずも蚀える遞択肢を䜿おうず考えおいた。しかし十瞷は眉間に皺を寄せ、同意しかねるず顔で蚀う。

    どうする どう、切り抜ける

     十瞷は必死に頭を回転させ、今の自分たちにできるこずを芋぀け出そうずしおいた。その時、圌の芖界の隅にある物が芋えた。ピゞョンブラッドの操䜜台の脇に眮いた二぀のアむテム、ブンシンゞュずミミックォヌツである。

    折角、隊長が持たせおくれたんだ。䜿い道を考えないず

     自分の䜜品であるこの二぀を凝芖しお、十瞷は考えた。この堎を切り抜ける方法を。
     するず、意倖に短時間で案が浮かんだ。

    「瀟長。ザむガずの亀枉、今は良いです。むンスピが湧いたんで」

     十瞷はブンシンゞュずミミックォヌツを手にしお、愛䜜に䞍敵な笑みを芋せた。

    「それで䜕をしようっお蚀うんだ」

     疑問を述べた愛䜜に、十瞷は静かに語り始めた。


    次回ぞ続く


    第郚ぞは、こちらから

     
     
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