
タレイラン編9 2026年7月6日
パリから遠く500㎞離れた豪華なシャレー城
一面ブドウ畑が広がる土地に聳え立つこの城で
やんごとなき未亡人が、遠くパリを見つめている
・・我がペリゴール家は大丈夫かしら・・

この老女の名前は
マリー・フランソワーズ・
ロシュアール・モルトマール
長い名前だ
しかし18世紀のフランス人の名前には意味がある
”ロシュアール”
この名は父から受け継いでいる。
その父は
フランスブルボン王朝で最も偉大なる王
ルイ14世の愛人でありながら
正妃に昇りつめた伝説の女性
モンテスパン夫人と同じ血が流れている
”モルトマール”
この名は母から受継いだが、
その母は伝説の財務総監コルベールの娘だ

この老女の記録は残っていない
しかし、華やかな宮廷生活に身を置き
ルイ14世時代のベルサイユを
誰よりも知っている
・・
タレイランはシャレーの地で降ろされた
何故、降ろされたのかは
幼いタレイランは見当もつかない
・・おぼっちゃん。ここに荷物を置いたからね
ほおら、忘れてはいけないよ・・
御者はタレイランを抱きかかえ降ろす
御者の態度が、妙に丁寧に変わっていた。
降りると威厳ある男性が
タレイランの手を引くと
自分の馬車に乗せた
・・拐われるの?僕?・
しかしそうではない
程なく、馬車が止まった
タレイランは不安を隠し
うっすらとした笑顔を崩さぬよう心する
目を上げると向こうに大きなお城だ
・・どこだ?ここは?・・
すると気品ある老女がかけより
幼きタレイランを抱きしめた

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